『The Artful Escape』レビュー: 目も耳も口も開きっぱなし
『The Artful Escape』は、Beethoven and Dinosaurが開発したアドベンチャーゲーム。
ゲームプレイはサイドスクロールで、美しい芸術作品のようなグラフィックが特徴。
本作はPS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はXbox版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
悩む青年
主人公は17歳の少年フランシス。ギタリストを目指している。
明日は、いよいよ地元の町で初舞台。
実は、彼の亡き叔父さんは有名なフォークソングシンガー。
明日は、叔父さんのアルバム20周年を祝うパーティで、フランシスは、そこで叔父さんの曲を演奏する予定だ。
初舞台といえばドキドキワクワクしそうだけど、フランシスは、ひたすら憂鬱そうだ。
自分じゃない誰か
みんなが叔父さんの再来を期待している。そんなことは分かってる。
でも、自分は違う。やりたい音楽も違う。
フランシスは絶賛葛藤中。
悶々とするフランシスには、ふと声をかけられたViolettaという女性との会話が心に響く。
自分ではない誰かになれたらなあ。でも、誰に?…寝よ。
帰りたいんですけど!
で、悶々としながら寝たその夜中、ドンドンドン!とドアを叩く音。
玄関から出てみると。やたらと丁重な口調のZommという名のその化け物がいる。別のゲームならバトルが始まるところだ。
が、そのZommに「Lightmanというミュージシャンの前座をして欲しい」と言われ、フランシスはホイホイついていく。
ここからぶっ飛び展開の連続が始まる。
連れてこられたのは不思議な銀河に浮かぶ宇宙船。
しかも、3回のステージを終わらせないと家に帰れないと言われる。
騙された!明日の初舞台に間に合わない!
いやいや、それより銀河とか化け物とかの方が気になるでしょ。と思うけれど、フランシスは、摩訶不思議なステージに挑むことになる。
ゲームの特徴Features
基本は右へ
ゲームは、いくつかのチャプターに分かれている。
宇宙船にいる時は好きに探索してNPCと会話できるけれど、演奏を行うステージが始まると右へ右へと進んでいく。
演奏は、各地の惑星でのフランシスの様子が銀河に生中継されているというシステムらしい。
ジャンプで谷間を越えながら、ひたすら右へと進んでいく。
移動中はXボタン(Xbox版)を押している間ギターを弾くことが出来て、演奏に合わせて背景の植物に光が点いたりなどリアクションが起こる。
ギター演奏
ステージの所々では、しっかり演奏をする場所がある。
そういった場所では、スピーカーに浮かぶホログラムやエイリアンなどの顔に、3つの丸いボタンと2つの楕円ボタンに見える部分がある。
それがコントローラのX,Y,BボタンとLボタンとRボタンに対応している(Xbox版のボタン表示)。
ホログラムやエイリアンの顔のボタンが光る順番通りにボタンを押せば成功。
何者になりたい?
ところどころで発生する会話中には選択肢が登場する。
自分の思いに沿って選べばいい。それは、物語を通して主人公の肩書きや決め台詞になったりする。
また、コスチュームを選べる場面もあり、その後のチャプターでも主人公の外見として引き継がれていくので、これぞ!というこだわった格好にするのがオススメ。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.5
主人公は有名歌手な叔父さんがいるという特殊な環境。
でも、目標を模索している人、何かを為したくて葛藤した経験がある人、ほぼ全ての人が共感できる物語。
心にグサッとくるセリフもある。
きっと、プレイした人それぞれが絶対に何かを感じるはず。
でも、全然小難しかったり説教じみた話ではなくて、純粋に楽しい物語。
何もメッセージを感じ取らなくても、摩訶不思議なぶっ飛び冒険譚として面白い。世界の雰囲気も最高。
テンポがめちゃくちゃ良くて、ジェットコースターのように次々と景色が変わる映像的な演出含めて心鷲掴み。最初から最後まで一気にプレイした。
キャラクターの魅力
5.0
どこからそのアイデア湧くの?っていうくらい、魑魅魍魎な見た目の化け物だらけ。他のゲームでラスボスできそうなやつばっかり。
でも、実際にはコミカルで軽いノリのやつばかり。セリフもゆるい。
主人公は、自分が選ぶ選択肢によって、自信満々ボーイにもなれるし、ずっと何かが心配ボーイにもなれる。
自分の気持ちを投影してプレイすれば、物語への没入感増し増しだ。
個人的にはVioletteのセリフが好きで、辛辣なこともあるけど記憶に残る良いキャラ。
操作性
4.5
本作には、複雑な操作はない。
ダァアアアアアーーーッドワァアアアアーーーッと浮遊するような疾走ができる。本当に音楽に乗っている感覚。
それを妨げるようなものは一切なくて、ノンストレス通り越して高揚感感じるくらい操作していて気持ちいい。
ヘタなストレス解消法とかより、ぶっ飛べる。
難易度バランス
4.0
本作は疾走感がものすごい。音楽のように流れるように進む。
なので、ジャンプや演奏が難しくて詰まることは一切ない。
演奏する場面でも、表示される順番は覚えなくていい。モンスターの顔のボタンが光ってる最中に押す事も可能なので、見ながら押していけばいい。
もし、ジャンプ失敗して落ちても、演奏でボタン押し間違えても、何事もなかったかのように一瞬でやり直しになるだけ。
ゲームシステム
4.0
ただただ右へ走り、特にスコアも何もなくギターをジャジャーン、ピロピロピロと掻き鳴らす。
ゲームとして真新しいことは特になく、いや、そもそもゲームなのか?
でも、操作の気持ちよさと、音楽と主人公の動きにドンピシャに合った豪華な演出、矢継ぎ早に変わっていく風景の連続。これは、やはり自分で操作できるゲームだからこそ味わえるもの。
音楽がテーマのゲームはたくさんあるけれど、ここまで操作と映像まと音楽が一体化してるゲームは珍しい。
そこを究極に最優先にして作られていて、実現できちゃってる凄いゲーム。
やりこみ要素
3.5
ひたすら一本道。寄り道はなく、猪突猛進の爆走状態でギターを弾く。
ゲームクリアとは別のことといえば、宇宙船でNPCに話しかけてクスッと笑えるセリフを聞いたりくらい。
あとは、チャプターごとにリプレイ可能なので、違う選択肢を選んだり、たくさんある衣装からいろんな組み合わせを楽しむことが出来る。
でも、圧倒的なグラフィックを隅々まで見渡して堪能するのが1番のやり込み要素かも。
グラフィック
5.0
最高に素晴らしい。芸術作品。ずっとずーっと見惚れる。
静止画でも色とりどりで、普通じゃないデザインで、圧倒的な芸術性の高さ。
主人公がジャンプしてギターをバァアーンと鳴らすと、背景で火花が散ったり、花が勢いよく咲いたり、生態不明な巨大生物がなぜか大空へ打ち上がって行ったり。
演出の派手さとタイミングが完璧。
ずっと口あんぐり開いちゃってて、喉が渇いた。でも、その渇きも忘れて没頭。もの凄い世界だ。
サウンド
5.0
音楽がテーマのゲームなので、もちろん音楽のクオリティは高い。
フォークソングもジャズも、エレクトリックギターの音色も全て良い曲ばかり。
楽しいから無駄にギターをジャカジャカ弾きながら走ってたんだけど、常にそれっぽく聴こえるので嬉しい。壮大な曲を弾けちゃってる気分になれる。
総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
芸術性が高いグラフィックと音楽
心に響く物語
操作性と音楽が一体化する気持ち良さ
残念なところ
ゲームとしては難しさや複雑さはない
やり込み要素はほぼなし
オススメな人
芸術性の高いゲームが好き
個性的なゲームを探している
数時間でクリア出来るゲームを探している
人生に迷っている
オススメではない人
複雑なゲームプレイを求めている
長時間遊べるゲームを探している
一本道だと物足りない
水彩画のようなグラフィックが滑らかに動くアクションアドベンチャーゲーム。アクション要素が多めの高評価タイトル。
謎解きとステルスが楽しめる極彩色のアドベンチャーゲーム。部分的にローポリゴンを使ったグラフィックが美しい。
The Artful Escape
© 2021 Annapurna Games, LLC. Developed by Beethoven and Dinosaur Ply Ltd. Published by Annapurna Interactive under exclusive license. All rights reserved.
https://theartfulescape.com