『The Knight Witch』レビュー: 強さの秘訣は、甘い嘘
『The Knight Witch』とは、Super Mega Teamが開発したメトロイドヴァニアゲーム。
2D横スクロールでプレイする弾幕シューティングアクションでもある。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はPC版をコントローラーでプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
技術と自然の力
その昔、世界は生物にとって生きにくい環境だった。
しかし、それを技術の力で打開し、生物が快適に暮らせるようにしたのがダイガダイ家。
ところが、一見平穏になったものの、ダイガダイ家の技術は自然の資源を枯渇させていってしまう。
そこで「世界を守るんだ!」と立ち上がったのは、ガイアの子たちと呼ばれる面々。
そんな彼らの中から選ばれた4人のナイトウィッチ Knight Witchが、ダイガダイ家率いるゴーレム兵器軍団と激闘の末、見事に勝利した。
ダンジョニダス
ガイダガイ家を倒したものの、世界の崩壊は既に崖っぷち。空が割れるという訳の分からない天変地異まで起こっていた。
しかし、生き残った人々は、激しい戦いのなかで見つかった地下の古代遺跡ダンジョニダスに逃げ込み生き延びることが出来た。
それから14年後。やっと本作の主人公レインが登場する。
実は、彼女は5人目のナイトウィッチ。
訓練はしたけれど、他の4人ほど強くなれず14年前の戦いの際には自宅に引きこもっていたという苦い過去を持っている。
ゴーレム再来
生活の場は地下になってしまったものの、生き延びることができたのはナイトウィッチ達のおかげ。
「そんなナイトウィッチ達を讃えよう!」という記念式典の日、レインは所在なさでモヤモヤしていた。
が、そこに突然、全て破壊したはずのゴーレムが大量に現れ、町を襲ってくる。
レインは訓練したことを思い出しながらゴーレムを撃退しつつ住民が避難する浮遊城に辿り着く。
そこで、彼女は正式なナイトウィッチに任命される。ピンチなので緊急任命されたんだけど、14年越しの昇進だ。
昔の汚名を返上しようと使命感に燃えるレインは、みんなを守るため戦いに身を投じていく。
ゲームの特徴Features
メトロイドヴァニア
本作はメトロイドヴァニアゲームなので、探索しながら進める道を見つけて進んでいく。
新たなスキルを手に入れる度に探索できる範囲が広がる。
しかし、エリア同士は完全に地続きというわけではなく、拠点の浮遊城から各エリアにワープして攻略していく。
また、目的地をNPCから指示されてから新たなエリアに行けるようになることが多く、ストーリー進行に合わせて攻略していくことになる。
弾幕シューティングとカード
本作のバトルは、弾幕シューティングアクション。
主人公レインは常に浮かんでいて、縦横無尽に飛ぶことが出来る。
敵は弾幕で攻撃してくるので避けながら弾を撃って攻撃する。
敵を倒すと通貨であるシャードとマナがドロップする。
マナは魔法発動に消費する。
で、その魔法はカードになっている。
手持ちの魔法カードからデッキを組み、画面右下にデッキから出された3枚のカードに描かれた魔法を発動できる。
魔法を1つ発動すると次のカードが補充される。カードは再利用されるので、マナさえあれば魔法はいくらでも発動することが出来る。
リンクと嘘
本作では、敵を倒しても経験値は獲得しない。
レインの強さはリンクの鎖。NPCを助けて「ありがとう」と感謝されることでリンクの鎖が伸びる。
リンクの鎖が一定まで伸びるとレベルアップし、通常弾か魔法(マナ)を強化するか選ぶことが出来る。
また、ストーリー進行に伴って特定のタイミングでレインはインタビュー形式の会見を行う。
そこで返答を2択から選ぶことになるけれど、人々を喜ばせる嘘をつくとレインは多くの人から信頼され、より多くのリンクを得られる。
しかし、本作はマルチエンディングであり、真実を伝えるか、嘘をついて人々を安心させるのか、どんな結末になるのかはプレイヤー次第だ。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
過去に挫折した主人公が一念発起し強くなって、偉大なナイトウィッチたちと肩を並べて戦うようになる。
そんな分かりやすい成長物語かと思ってたら、全然違ったー!
ナイトウィッチにも世界にも秘密があり、インタビュー形式の会見では2択の間でかなり迷う。
「え!そんな大事なことが隠されてたのか!」と驚いた後、今度は会見で主人公が人々にその事実を隠す側になるのか選択するわけだ。
厳しけれど真実を伝えるのか、嘘をついて人々を安心させるのか。
それぞれの立場によって正義は異なるという描き方になっていて、考えさせられる物語が楽しめる。
キャラクターの魅力
4.0
主人公は、「私みんなを守るわ!」という義務感を感じつつも、真実を知るうちに迷うようになる。
会見での2択の間で悩むうちに、主人公に感情移入していく。
NPCたちは種族も性格も様々。
でも、主人公を強くするためにはNPCから感謝してもらわないといけないので、「この人は「ありがとう」って言ってくれるかな、わくわく」と邪な気持ちを抱えながら話しかけるという妙な体験が出来る。
NPCとの会話はあっさりしているので、申し訳ないけどNPCのことが経験値に見えてくる。
操作性
4.0
操作性は良好。
操作はシンプルだ。魔法も画面上に表示されているボタンを押すだけ。
また、右スティックでエイムができるけれど、エイムしなければ近くの敵をオートエイムしてくれる(少しダメージ量は下がる)。
弾幕ゲームやシューティングアクションに馴染みがない人もプレイしやすくなっている。
当たり判定は正確で、大量の弾幕をぎりぎりでかわしていくことがちゃんと出来る。
難易度バランス
4.0
歯ごたえしっかりめ。
メトロイドヴァニアとしての道に迷う難しさはほとんどなく、弾幕バトルの難しさがメイン。
本作では、NPCを助けたり会見を開くことでしか強くなれないので、レベルアップは限られている。
また、レベルアップ時には提示される2択から選択するのみなので、攻撃力を上げたいとか体力を増やしたいといった自分好みの成長ができない。
チート機能はあるけれど、難易度選択はない。
そのため、弾幕ゲームの上手さが要求される場面が多く苦戦することもある。
ゲームシステム
4.0
メトロイドヴァニア+弾幕シューティング。
この組み合わせは、初めてプレイした。
メトロイドヴァニアといえば、ジャンプで届かない場所が名物なのに。縦横無尽に飛び回れる主人公でメトロイドヴァニアが成立するのか。
一応、成立してる。
「一応」と書いたのは、メトロイドヴァニアにはなっているけれど、その面白さは少なめなので。
迷ったり、新たなスキルで進める場所が増える感覚はあまり味わえない。ちょっと寄り道がある感じ。
ゲーム全体として見ると弾幕シューティングの方がメイン。二つのジャンルを混ぜるというのは面白い発想ではあるんだけど。
やりこみ要素
4.0
各地にある檻にはNPCが捕まっている。それを助け出してリンクを高める。
探索しバトルを制して様々な種類の魔法カードを集める。
また、各地に落ちているアーマーカタログを拾うとショップの品揃えが増える。
ここらへんがやり込み要素だ。
また、周回プレイして会見での2択の選び方による変化を楽しむのも面白い。
グラフィック
4.0
背景までぎっしり描き込まれている手描きイラスト調のグラフィック。
キャラデザインは可愛く、舞台となるダンジョニダスは地下とはいえ自然豊かで美しい。
クオリティの高いグラフィックでプレイできる。
サウンド
4.5
北欧系の民族音楽っぽいBGM。
通常時は静かな曲調だけど、バトルになると盛り上がる曲に変わる。
ボス戦時のBGMなど良曲が多い。
サントラはこちら
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
弾幕ゲーム+メトロイドヴァニアが新鮮
真実か嘘を選択する物語
NPCによって成長するシステム
操作しやすい
残念なところ
探索の面白さは低め
自由度が低め
オススメな人
弾幕シューティングゲームが好き
物語を楽しみたい
分岐要素が好き
オススメではない人
探索をメインに楽しみたい
弾幕ゲームが苦手
戦った分、強くなりたい
おすすめ類似ゲーム本作に似たゲームはコチラ
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弾幕シューティングが好きなら、こちらもおすすめ。こちらは、農業+弾幕+ローグライク。作物を育て守りながら弾幕と共に攻めてくる大量の敵を倒す。核爆発によって突然変異した動植物溢れる世界設定も面白い。
The Knight Witch
強さの秘訣は、甘い嘘
弾幕シューティングでメトロイドヴァニアという新鮮な組み合わせが楽しめる。 デッキビルドになっている魔法やNPCからの感謝で強くなるなど、様々な要素が登場するシステムが楽しめる。 真実か嘘かを選択していく物語も魅力。
The Knight Witch
© 2022 Super Mega Team, Published under licence by TEAM17 Digital Limited.
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