『Returnal リターナル』レビュー: 死んでも触手、生き返っても触手
『Returnal リターナル』とは、Housemarqueが開発したローグライクアクションゲーム。TPS視点のシューティングアクションでもある。
開発元は、シューティングゲーム『RESOGUN』などを開発してきたデベロッパー。本作発売後にソニー・インタラクティブ・エンターテイメント SIEの傘下に入っている。
本作は、PS5、PCでプレイ可能。私はPS版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
不時着した宇宙飛行士
主人公は、セレーネ。宇宙飛行士だ。
セレーネは、アストラ社のスカウトという役割を担っていて、宇宙を探索している。
そんなわけで、セレーネが宇宙船で航行していると、気になる白い影の信号を捉えた。「なんだろう?」と思っていると、あれ?宇宙船の様子がおかしい。
で、ドガーーン!
セレーネは、アトロポスという惑星に不時着してしまった。アトロポスは、着陸が許可されていない危険な惑星なのに。
でも、不時着によって宇宙船は壊れてしまい、脱出出来なくなってしまった。
その場にとどまっていても埒が開かない。「何か助けになるものがあるかもしれない」と、セレーネは不気味な惑星を探索してみることに。
私、死んでる?
惑星を進んでいくと、誰かの遺体を見つける。セレーネと同じ服を着ているし、どうやら他のスカウトっぽいぞ。確認しなければ。
「失礼しまーす」と遺体をひっくり返すと。
なにーーー!?私!?
なんと、セレーネ自身の遺体を発見する。
でも、とりあえず気を取り直して、セレーネはまた探索を続ける。とんでもない鋼メンタルだ。
アトロポスはやはり危険な惑星で、敵意剥き出しの触手うねうねエイリアンが襲ってくる。でも、拾った銃を使って撃退していく。
そして、また他の自分の遺体を何体か見つける。
さらに、この惑星の住人であろう種族の大量の遺体も見つける。誰か何がどうなっているのか説明してくれ!
無限ループの始まり
エイリアンを撃退しながら進んでいたセレーネだけど、遂に手に追えないエイリアンに遭遇してしまう。
ぎゃーー。死んでしまった。
…はっ!目が覚めると、宇宙船の墜落現場。思いっきりスタート地点。
どうやら死んでも死んでも、墜落した時点に戻される。しかも、なぜか毎回惑星の地形が変わってるときたもんだ。
なんとかこの無限ループから、そして怖すぎるアトロポスから脱出したい。
この惑星の謎と脱出方法を探るためにセレーネは何度も何度も不時着を繰り返していく。
ゲームの特徴Features
ローグライクTPS
本作はローグライクゲームなので、ローグライクおなじみのシステムになっている。
マップは部屋ごとに分かれていて、各部屋内の全ての敵を倒すと次の部屋に進むことができる。そして、最終的にはボス部屋に突入することになる。
ゲームオーバーになったら、所持している武器もアイテムもステータスのアップグレードも全て失う。
そして、リスタートする度に地形だけでなくモンスターやアイテムの出現場所も変わる。
でも、各所にいるボスを倒して手に入る永続スキルやキーアイテムもある。
いくつかのエリアを順番に攻略していくことになるけれど、この永続スキルやキーアイテムを持っていれば、リスタートになっても次のエリアへ近道ができるようになる。
宇宙飛行士の心得
バトルシステムはTPSなので、三人称視点で敵を撃っていくのが基本の戦い方。
セレーネは、ジャンプとダッシュ回避も出来る。
メインの武器は銃で、宝箱や敵からドロップする武器を取捨選択しながら進んでいく(常時1つしか装備できない)。
また銃の弾は無制限だけど一定数撃つごとに自動でリロードされる。
任意の時点でリロードはできないし、リロードには少し時間がかかる。しかし、リロード中にタイミングよくボタンを押すと瞬時にリロードできる。
また、アダプティブトリガー機能が採用されていて、L2ボタン全押し(L2半押しでは通常射撃)でセカンダリファイアという強力な弾が撃てる。
セカンダリファイアは再使用までクールタイムが経なければならないので、使いどころに注意。
惑星になじむ
武器以外に拾えるものは、爆弾などの消費アイテムや回復アイテム(本作ではスーツの耐久度が体力にあたる)、パラサイトと呼ばれる寄生生物など。
パラサイトは拾うとセレーネにピタッとくっつく。気持ち悪いけれど、良い効果と悪い効果を同時に発生させてくれる不思議な生物だ。
また、アーティファクトと呼ばれる単純に良い効果のみが現れる装備品もある。
拾えるアイテムやパラサイトのなかには、悪性因子と呼ばれる汚染物質が付いたものもある。
悪性因子が付いたものを拾うとセレーネのスーツが故障する。しかし、ダメージを受けずに一定数の敵を倒すなど特定の条件をクリアすると修理することが出来る。不思議スーツだ。
また、敵を倒したりフィールドで拾うオボライトが本作の通貨であり、特定の場所で消費するとアイテムを手に入れることができる。ショップみたいな感じだ(店員はいないけど)。
戦うほど強くなる
セレーネを強くするには戦い続けるしかない。
ダメージを受けずに敵を倒していくとアドレナリンレベルが上がっていく。これによって攻撃力が向上したり、様々な効果を得ることができる。
でも、1発でもダメージを受けてしまえば、ゼロにリセットされる。
一方で、ダメージを受けても変わらないのが、武器の熟練度。敵を倒すごとに熟練度が上がっていき、より強い武器がドロップするようになる。
また、熟練度が上がることで、各武器固有の追加効果もアンロックもされる。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.5
ローグライクゲームだけど、ちゃんと物語がある。しかも、かなり先が気になる物語が。
触手だらけのエイリアンに囲まれて脱出を目指すというスリル満点なSF。
と思いきや、セレーネの訳ありな過去やこの惑星で起きた事件が徐々に明らかになるミステリーでもある。
「エイリアンだ!きゃー!」というパニック系の物語ではなくて、ヒタヒタと静かに不気味な雰囲気。ややホラー寄り。セレーネの口調も抑え気味だし。
物語が進行する際には、セレーネが昔住んでいた家が登場する。
そこでは主観視点になり、あちこち調べることになるけれど、ビックリさせられる演出もあって『バイオハザード』でもプレイしているような気分になる。
ローグライクゲームは繰り返しプレイによる作業感を感じやすいけれど、本作では魅力的な物語が先へ先へ進みたい欲を刺激してくれる。
キャラクターの魅力
3.5
基本的に登場キャラはセレーネのみ。
彼女は、宇宙飛行士として音声記録を残しておくために、かなり独り言を喋る。
常に「一体どういうことなのよ!?」っぽいことしか喋らないけれど。
ただ、彼女の過去や惑星のことが分かるにつれ、「あれ?セレーネって、もしかして…」と、セレーネのことが1番不気味に思えてくる。興味惹かれる描き方だ。
操作性
5.0
私は普段シューティングゲームをあまりプレイしないけれど、本作の操作にはすんなり馴染めた。
戸惑ったことは1つだけ。セカンダリファイアはチャージされてなければ何も撃てないという仕様。
ピンチな時って、グッと指に力が入りがち。
慣れるまでは意図せずL2ボタンを押し込んでしまいチャージされていないセカンダリファイアを空撃ちしてしまって自らピンチを招いていた(コントローラー設定でアダプティブトリガー「強」にしておくのがおすすめ)。
でも、そんなのすぐに慣れてしまうし、操作性は良好。ジャンプもダッシュも優秀で、ちゃんと見てれば敵の攻撃は避けやすい。
難易度バランス
4.0
操作しやすいと上述したけれど、簡単というわけではない。
敵の攻撃は弾幕系。四方八方から弾が大量に迫ってくるハイペースなバトル。特にボスはがっつりしっかり強い。
しかし、プレイしているとお気に入りの銃が決まってくるはず。自分にとって扱いやすい武器が早々に手に入ればかなり有利に進められるようになる。
セレーネは敵を倒すごとに強くなるので、寄り道しつつ多くの敵を倒しながら進んでいれば、長生きしやすいローグライクゲームだ。
そして、数回プレイしていると見覚えのある部屋が出てくるようになる。しかも、同じ構造の部屋での敵の発生位置は同じなので、ランダムマップとはいえ、ある程度覚えゲーでもある。
ゲームシステム
5.0
シューティングゲームだけど撃ち合いではなく弾幕系なのが新鮮。3Dで弾幕ということ自体も珍しい。
ローグライクとしては、リスクをとるか否かの選択に迷うことで面白さが増すよう上手く調整されている。
「その程度のマイナス効果なら、なんとか出来る」と調子に乗って、メリットもデメリットもあるパラサイトを拾う。だけど、そのうちそれが自分の首を絞めることになる。パラサイトは小さいクセに恐ろしいヤツだ。
武器の熟練度システムも気に入ったシステム。長生きするほど、良い武器が手に入りやすくもなる。完全に運頼りではないのが嬉しい。
という感じで、プラス効果とマイナス効果のバランスが絶妙。
操作しやすく歯ごたえもあり、興味をそそるハラハラした物語など、全要素がバランス良くクオリティも高い。
やりこみ要素
3.5
本作は、基礎ステータスが上がるなどのローグライト的な永続効果は少なめ。
しかし、死んでも失わないエーテルというものがある。貴重品だ。
これをスタート地点の祭壇みたいなところに一定数収めると、新たなアーティファクトが出現するようになる。これがやり込み要素でもある。
また、敵エイリアンを倒すごとにスタート地点の墜落した宇宙船で図鑑っぽい様々なデータが見れるようになる。
更に、発売後に配信されたアプデ「Returnal: Ascension」により、シシュポスの巨塔という際限なく戦いながら登り続けるダンジョンも登場した。
グラフィック
4.5
ランダムマップだけど、「本当にランダムなんですか!?」と聞きたくなるくらい、風景はめちゃくちゃ綺麗に作り込まれている。
いや、もちろん、不気味な風景ばかりだけど。
敵エイリアンの気持ち悪さは最強。近くでゆっくり眺めてる暇がないのが残念になるほど凝った触手ウネウネな見た目をしている。
やや暗すぎる場所も多いので、画面設定は少し明るめの方がいい。
でも、その暗さのおかげで、敵の弾やエフェクトが際立つ。
避けなきゃいけないけれど、バババーッと迫ってくる弾幕を「綺麗だなあ」と思わずぼんやり眺めてしまう。
サウンド
3.5
BGMは、ずっと静かで不気味。
そこにエイリアンの奇声をが響く。奇声は、敵がセレーネを見つけた合図なので、よく聞いておかないといけない。
わざとビックリさせようと大きな音が鳴る演出もあるけれど、何より驚くのがセカンダリファイアのチャージ完了音。
かなり大きな音が鳴るので、すごくビックリする。無駄に驚いてしまうので控えめな音にして欲しい。切実に。
総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
不気味な雰囲気
とっつきやすい操作感
魅力的な物語
メリットとデメリットのバランスが良い
残念なところ
画面が暗め
完全にランダムではない
オススメな人
シューティングゲームが好き
ローグライクが好き
ホラーなど不気味な雰囲気が好き
オススメではない人
触手が気持ち悪すぎて無理
怖い雰囲気が苦手
ストーリー要素はいらない
メトロイド ドレッド
未知の惑星を探索するなら、こちらもおすすめ。高評価メトロイドヴァニアゲーム。こちらは2Dだけど、たった1人でエイリアンたちと戦い、不気味な雰囲気漂う物語が楽しめる。
Sundered
こちらも異空間のような不気味なダンジョンを1人で探索していくローグライク要素もあるメトロイドヴァニア。突然大量の敵が出てくるハラハラ感が面白い高評価ゲーム。
Returnal リターナル
https://www.playstation.com/ja-jp/editorial/this-month-on-playstation/everything-you-need-to-know-about-returnal/
Returnal™ ©2021 Sony Interactive Entertainment Europe. Published by Sony Interactive Entertainment Europe Ltd. Developed by Housemarque Oy. “Returnal” is a trademark of Sony Interactive Entertainment Europe. All rights reserved.