『The Pedestrian』レビュー: 落書きしまくってるのは誰ですかー!?
2次元と3次元が融合した不思議な感覚を味わいながらパズルを解いてどこかへ向かう『The Pedestrian』をネタバレなしで要素ごとに詳しい評価を交えてレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
The Pedestrian製品情報Game Info
- タイトル
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The Pedestrian
- 開発元
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Skokum Arts
- ジャンル
-
パズル, パズルアドベンチャー
- 対応機種
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PS5, PS4, Nintendo Switch, Xbox, PC
本稿ではXbox版をレビューしている。
The Pedestrianの内容Features
あらすじ
シミから生まれたピクトグラムマン
ゲームが始まると画面上に黒いシミがある。
そのシミを動かしてみると、超シンプルな構造の人間が誕生した!
トイレのマークなど色んな標識に登場するピクトグラムマンだ。
本作のタイトルはPedestrian(歩行者)なので、信号などに描かれているピクトグラムマンってところだろう。
看板やメモを越えてゆけ
ピクトグラムマンは、看板や壁を渡り歩いていく。しかし、そこには落書きのようなパズルが描かれており、すんなり進むことができない。
それでも諦めずに、あっちへこっちへと走り回りながらパズルを解いて進むピクトグラムマン。
そのうちに、背景はどこかの工場から街へ、そして電車へと移動して行く。
ピクトグラムマンは、一体どこへ行くのだろうか。
そして、こんなにたくさんのパズルを街中に落書きして回ったのは、一体どこのどいつだ!?
ゲームプレイの特徴
出口を目指す
本作でやることは、ひたすら出口に向かって進むのみ。
ピクトグラムマンは看板やメモの上を歩き、出口のドアが描かれている場所を目指す。そうすると、また別の場所へと進んでいくことができる。
本作の背景は3DCGで描かれているけれど、ピクトグラムマンが移動できるのは看板やメモに描かれた2D横スクロールのパズル上のみだ。
パズル上では、ピクトグラムマンは移動とジャンプ、そして鍵などを背中に背負ったりブロックを押したり出来る。時にはギミックを利用しながら、先へと進んでいくことになる。
パズルとパズルを繋ぐ
ピクトグラムマンが進むパズルは一見別々の看板やメモに分かれているように見えるけれど、パズル上のドアで行き来ができる。
で、このドア同士の繋がりは、プレイヤーが操作できる。
通常時は、ピクトグラムマンの移動やアクションを操作するけれど、Yボタン(Xbox版)を押すと神の手モードに切り替えることが出来る。
神の手モードにすると、看板やメモなどパズルが描かれている物自体を移動させることと、別々のパズル上に描かれているドアやハシゴ同士を線で繋げることができる。
ピクトグラムマンは、この繋いだ線通りにドアからドアへと別のパズルへ移動していくことが出来る。
ちなみに、この線は部屋同士の上下左右の位置関係を反映していなければ機能しない。
例えば、左方向に向かうように描かれているドアは、そのパズルより左側にあるパズル上のドアとしか線で結ぶことができない。そのため、神の手モードでパズルの配置を変える必要があるのだ。
ちなみにパズルの配置や線はいつでも好きに変えることができる。
戻れなくなったらスタートに戻る
パズル内には様々なギミックがある。ボタンで作動するビームやジャンプ台など様々だ。
ゲーム進行と共にパズルは複雑化していき、そのうち、電気コードやバッテリーも登場して、配線まで行わなければならなくなる。
パズルの位置を変えたり試行錯誤することになるけれど、ドアは必ず他のパズルのドアとペアにしておかなければならない。
パズルを解いている最中に、もしドア同士を繋ぐ線を変えた時にスタート地点からの道筋が繋がらなくなったら、強制的にスタート地点に戻されてしまう。常にスタートからゴールまで一本道で繋がった状態にしなければならないのだ。
スタート地点に戻されると「しくじった!」と思うところだけど、実はこのルールを逆に利用するパズルも登場する。
The Pedestrianの評価Review
物語の面白さ
ピクトグラムマンがひたすら進む。本作に物語要素は一見すると、ない。
背景の風景は、プレイヤーを楽しませる単なる飾りだろう。
そう思っていたら、「あれ?なんだかパズルと背景が連動してる?あれ?あれ?あ!ああーーっ!」という展開が待っている。
エンディングまで到達した時、きっとあれこれ考察したくなるはずだ。
というわけで、ほんのり物語要素が楽しめる。でも、メインはパズルなので、別に何かに気づいて考察しなくても十分楽しめる。
キャラクターの魅力
登場キャラは、ほぼピクトグラムマンだけ。ピクトグラムマンがジャンプしたり、背中に鍵を背負ったりしていて、なんだかちょっと可愛い。
特にセリフがあるわけではないけれど、奮闘するピクトグラムマンを眺めながら「ピクトグラムって本当に過不足ないデザインだよなー」とプレイしながら改めて感心していた。
しかし、やはり気になるのは、このパズルの裏にいる誰かだ。
一体なぜ街の至る所に落書きがあるのか?
見えざる何者かが気になって考察したくなったら、背景をよく観察しながらプレイするのがおすすめ。
操作の快適さ
ピクトグラムマンは、移動、ジャンプ、鍵などを持ったりスイッチを押す。出来ることはそれだけだ。
複雑なアクション操作もないし、最初から最後まで出来ることは同じ。
というわけで、操作性や挙動は問題なし。
ただ、ドアとドアを繋ぐ線を引くための点が密集していると、うっかり間違えった点を選択してしまいやすい。それでスタートからの道が途切れてしまうと最初からやり直しになってしまうので、ちょっと困る。
また、ネタバレになるので詳細は伏せるけれど、完全に最初から最後まで2D横スクロールでプレイできるわけではない。主観視点のゲームで酔いやすい人は終盤のプレイ時には注意。
難易度バランス
出来ることもルールもシンプルだけど、それを応用したしっかり悩めるパズルがたくさん登場する。
単にギミックをどう使かを考えるのではなく、ギミックとパズルの位置関係も同時に考えなければならない悩み甲斐のあるパズルばかりだ。
でも、ゲーム進行と共に難易度が急激に上がるわけではなく、徐々に複雑になっていくので応用の仕方にプレイヤーが気づきやすい良い難易度バランスになっている。
ちなみにヒント機能などはないので、悩んだら試行錯誤するしかない。
ゲームシステムの面白さ
本作はとにかく見た目の新鮮さが1番の魅力。
他のゲームなら背景にあたる看板や壁の上でちょこまかとピクトグラムマンが動く。その見た目の面白さに、まず惹きつけられる。
パズル自体はもちろん面白いけれど、シンプルな内容ではある。
しかし、パズルの内容とフォトリアルな風景が連動し始める仕掛けが面白いところ。
シンプルなパズルゲームだと思わせておいて、「様子が変わってきたぞ?ん?…あ!」と仕掛けに気づいた時に「うわー、なるほど!」と唸る面白さが待っている。
逆に言うと、その瞬間に全てが詰まっているとも言えるので、ぜひ仕掛けが判明する最後までプレイして欲しいゲームだ。
やりこみ要素の楽しさ
基本的にはひたすらパズルを解くのみというゲーム。
でも、実は何箇所かに隠しエリアがあり、ピクトグラムマンが被れる帽子が隠されている。
結構分かりにくい場所に隠されているものの、リプレイ時にチャプター選択が出来ないので、後から探しに行こうという気は湧きにくい。
そして、本作の最大のやり込みは、考察だ。
特に終盤のステージに置かれている物をじっくり観察すると本作に隠された謎について自分なりの考察が浮かんでくるはず。
グラフィックの芸術性
3DCGで描かれている。ただ、その高精細さよりも、本作では視覚的な演出が魅力。
ピクトグラムマンがドアから出て次のパズルに移ろうとすると、背景の街の風景もグワァアアンと移動する。
この演出が見ていて楽しい。
パズル部分は完全にピクトグラムで、本当に誰かがメモ帳に落書きしたような雰囲気が醸し出されている。
サウンドの魅力
パズルを解いている時はBGMが消える時もあるけれど、解けた瞬間や背景が動く際にはクラシック系のBGMが流れる。
オシャレな曲ばかりだ。
でも、正直なところ、そんなに記憶には残らない。BGMはたまに流れる程度だ。
サントラはこちら
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Moncage
立方体を回転して違う面同士の風景を繋げて解くパズルゲーム。
本作と同じくパズルの裏に隠された物語の考察が楽しめる。
Baba is You
試行錯誤するパズルゲームが好きなら、こちらもおすすめ。
パズルのルールを変えるシステムが面白く、歯ごたえもかなりしっかり。
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The PedestrianレビューのまとめSummary
おすすめな人
- パズルが好き
- 新鮮な体験をしたい
- ピクトグラムマンのファン
おすすめではない人
- パズルにはヒント機能が欲しい
- 物語をちゃんと理解したい
- パズルを解くだけだと飽きる
総合評価
- 2Dパズルと3D背景が融合した演出
- 考察が捗る世界設定
- 悩み甲斐のあるパズル
- やり込み要素が分かりにくい
- チャプター選択でリプレイできない
The Pedestrian
© 2021 Skookum Arts, LLC
https://www.skookum-arts.com