『Wo Long Fallen Dynasty』レビュー: 最強武器は攻め気 – ウォーロン フォールンダイナスティ
『Wo Long Fallen Dynasty ウォーロン フォールンダイナスティ』とは、コーエーテクモゲームスが開発したアクションRPG。
『仁王』シリーズで知られるTeam NINJAが手がけているけれど、本作は『仁王』とは全く関係ない新規IPだ。
本作は、PS5、PS4、Xbox、PCでプレイ可能。私はXbox版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
画像はタップもしくはクリックすると拡大して見ることが出来ます。
あらすじStory
三国志
舞台は、後漢末期の中国。
本作の物語は三国志がベースとなっている。コーエーテクモゲームスといえば『三國無双』シリーズだけど、本作は全く別の物語で繋がりはない。
主人公は名もなき義勇兵(キャラクリエイト可能)で、三国志の物語が始まる発端である黄巾の乱に官軍側の義勇兵として参戦している。
主人公がその戦いの中で目覆いの少年という、名前の通り目を布で覆った不思議な少年を黄巾軍から助け出すところから物語は始まる。
容疑者は主人公
目覆いの少年を助ける際に、主人公は重傷を負ってしまったけれど、少年から渡された不思議な玉の力で復活する。何なんだ、この玉は。良いもの貰っちゃったな。
とりあえず元気になったので、少年と共に黄巾軍と戦うことに。
そして、初ボス登場!
初ボスは怪しい薬を飲んで妖魔化してしまうけれど、これまた少年から渡されたスーパー玉パワーで撃退する。すごいな、この玉。
ところがその直後、主人公は何を思ったのか、目覆いの少年を刃でブスッと刺してしまう!
…え!違います!私じゃないです!私じゃないです!そんなことしてないです!そんな操作してないです!
丹薬
実は、この突然の凶行は黒衣の道士という悪い奴が主人公に化けてやったことだ。
黒衣の道士は、不死になれる手段を求めて、各地の武将に丹薬を渡して悪事をはたらいているらしい。
で、刺された目覆いの少年は理性を失い、龍となって主人公を蹴り飛ばしてしまう。え、少年の正体は龍だった!?
真相は分からないものの、ここで再びスーパー玉パワーが発動する。
蹴り殺されたはずの主人公は一命をとりとめ、偶然にも三国志のヒーローである劉備たちや紅晶という謎の美女と出会い、行動を共にすることになる。
あの黒衣の道士の仕業と思われる妖魔が増え、様々な戦いに参加することになる主人公。
乱世をおさめるには、どうやらあの黒衣の道士をやっつけるしかなさそうだ。
ゲームの特徴Features
各地で戦う
本作ではメインストーリーに沿ってミッションが発生し、各ミッションの舞台となるステージへ赴き、探索とボス戦を攻略していく。
セーブポイントからは、攻略済みの他のステージに移動することが可能で、攻略済みのステージでも初見時とは違うミッションに挑むこともできる。サブクエストだ。
氣勢が大事
主人公は、近接武器と遠距離武器で攻撃出来る。
本作にはスタミナゲージはなく、いくらでも動ける。
本作で大事なのは、氣勢(きせい)ゲージ。敵にも主人公にも体力ゲージとは別に氣勢ゲージが表示されている。
氣勢ゲージは中央が原点。敵を攻撃するとゲージは原点から右側に溜まっていく。
逆に敵から攻撃を受けるとゲージは左側に溜まっていく。
ゲージが左端まで溜まってしまうと、一定時間スタンしてしまう。
また、氣勢ゲージは、左右どちらに溜まっていようとも、攻撃したり受けたりしていないと時間と共に原点戻っていく。
化勁を狙え
本作では、上述した氣勢の管理が大事。
その手助けになるのが化勁(かけい)と呼ばれるジャストガードだ。
敵の攻撃をジャストガードすると、主人公の氣勢ゲージは右に、敵の氣勢ゲージは左に溜まる。
また、敵が赤く光って放つ大技をジャストガードすると、敵の氣勢ゲージの長さが大幅に短くなる(上限下限が削られる)。より敵をスタンさせやすくなるわけだ。
主人公は武器で弱攻撃と強攻撃が出来るけれど、氣勢ゲージが右に溜まった状態で強攻撃を放つと、より大ダメージを与えられる。
また、仙術という魔法や武器による武技には氣勢ゲージを一定量消費する。
氣勢ゲージが原点以下でもスキルは使用できるけれどゲージがマイナスの状態になってしまうので、自分で自分の首を絞めないよう氣勢ゲージ管理には注意しなければならない。
士気を高めろ
本作では、敵を倒すと経験値であるを仙氣を獲得し、セーブポイントでレベルアップ出来る。
また、敵を倒すと士気ゲージが溜まり、士気ランクが上がると戦闘力も上がる。
士気ランクは、別のミッションになるとリセットされるので、プレイ中のミッションだけで有効な強化だ。ちなみに、敵にも士気ランクがあり、それが敵の強さの目安になる。
ゲームオーバーになってしまうと、士気ランクが1下がり、獲得していた仙氣を半分失い、最後のセーブポイントからやり直し。
しかし、前回倒された敵を倒せば、取り戻すことが出来る。
ステージ上には、軍旗を掲げる台座(大きな台座のものはセーブポイントになる)があり、掲げるごとに不屈ランクが上がる。不屈ランクはゲームオーバーになっても、それ以下には士気ランクが下がらない数値となる(そのミッション内のみで有効)。
士気ランクの高い敵に挑む前までに士気ランクをしっかり上げておき、死んだ時のために不屈ランクも上げておくのが攻略のコツ。
記事はさらに下に続きます
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
3.5
三国志がベースなので、壮大な戦いが展開する。
が、ものすごい唐突に駆け足で、時にはぶつ切りで急展開していく。
私はそもそも三国志に全然詳しくないので脳内補完もほぼ出来ず、余計にNPCに言われるがまま駆けずり回されてる感が強かった。
派手な殺陣シーンや盛り上がっているNPCたちのカットシーンが唐突に流れ、それをポカーンと見てたら、「さあ、あいつを倒しに行け!」「私とこっちに来て!」と言われ、「あ、はい、私の出番ですか」と黙々と出陣する。
じっくり物語を味わう余裕はなく、感情移入させてくれる暇も与えてくれない。
本作は物語を楽しむゲームではない。物語は三国志をなぞって戦うためのガイドに過ぎない感じ。
キャラクターの魅力
3.5
三国志に詳しくない私でも、さすがに聞いたことがある有名な武将たちが登場する。
しかも、同行してくれることも多く、ソロプレイでもマルチプレイのように加勢してくれる。
確かに頼もしいし個性も豊かだけど、上述した通り展開が矢継ぎ早すぎて「仲間感」はあまり感じられない。
「え、あの有名人がそんな簡単に仲間になる!?え、あ、もう一緒に戦ってくれるんだ」と、余計に唐突感が増すことに。
本作はバトルやアクションがメインだ。物語やキャラはオマケ。
でも、メニュー画面から各キャラの説明が読めるので、そこで少し補完することはできる(そこで初めて分かる新事実も多い)。
操作性
4.0
主人公の挙動はキビキビ良好。
攻撃、化勁、攻撃、攻撃、化勁、化勁、仙術!とコンボのように攻防アクションが繋げられる。かなり気持ち良い。
当たり判定や装備重量の挙動への反映も良く、ハイペースで高精度なバトルが楽しめる。
が、困るのがカメラ。
本作は動きがアクロバティックだ。
特に敵の大技をジャストガードすると、主人公も敵も派手に跳ねる。
また、敵がスタンした時や上空か背後からの一撃では、絶脈という大ダメージ攻撃ができる。その際派手な演出が入る。演出自体は設定からオフにできるけれど、やはり動きは大きい。
どちらも爽快感が増すしカッコイイんだけど、複数の敵がいる時や絶脈1発なんかじゃ倒れないボス戦では、スタンや絶脈前後でカメラが凄い勢いで行ったり来たりして見づらくなる。
また大きいサイズのボス戦では、カメラがボスに合わせてボヨンボヨン動くので見づらさが更に増す。(現在は、アプデによって発売当初より快適に調整可能になっている)
全体的にもう少し視点が遠い方が、バトルに集中しやすかったと思う。
あと、他の大作ゲームと比べてロード時間が長いのも少し気になった。
難易度バランス
4.5
本作は公式が「三国死にゲー」と謳っている通り、高難易度アクションRPG。
敵はしっかり強い。嫌なところから主人公を狙ってくる憎たらしい奴も多い。
でも、単に難しいというわけではなく、こちらの士気ランクによって同じ敵でも恐ろしさが変わる難易度の変動が面白いところ。
また、攻めれば攻めるほど有利になるし、不利になっても化勁を利用して挽回できることもあり、自分の上達も分かりやすい。
本作ではジャストガードを多用するところから『SEKIRO SHADOWS DIE TWICE』と比べたくなるところ。
しかし、実際のプレイ感覚はかなり違う。本作は自分からガンガン攻めるのが基本。『SEKIRO』のように敵の攻撃を利用した攻め方とは違う。
個人的には『STAR WARS JEDI』シリーズの方が、プレイ感覚が近いと思う。
しかし、そうは言ってもStar Wars JEDIシリーズとも同じというわけではなく、本作ならではの歯ごたえや達成感がしっかり楽しめる。
ゲームシステム
5.0
攻撃したり受けたりによって、体力だけではなく氣勢ゲージが変わるのが本作の最大の面白さ。
「押せ押せ!」と攻めつつ、「そんな攻撃なぞ私には効かーん!」と敵の攻撃をジャストガードで弾き飛ばし、その勢いを使ってまた攻める。
どのアクションも成功すれば自分の有利になり、失敗すれば不利に直結する。
また、探索すればするほど軍旗を掲げる場所が見つかって士気ランクが上がっていくのも、単にバトルだけ繰り返すのではなく探索する楽しさを感じやすい良いシステム。
探索もバトルの一挙手一投足も、強敵に怯まず立ち向かった証が明らからな恩恵となって得られるので、達成感を感じやすい面白い死にゲーシステムになっている。
やりこみ要素
4.5
武器も防具も倒した敵がたくさんドロップする。装備品の吟味だけでなく、気に入った装備品は鍛冶屋さんで強化や追加効果付与も出来る。
また、成長要素もたっぷりやり込める。
本作では、五行(木、火、金、地、水)から選択してレベルアップする。それぞれ氣勢ゲージの溜まり度合いなど対応したパラメータが成長していく。
自分のプレイスタイルに合わせて成長させる楽しみがしっかり味わえる。
また、レベルアップ時に選択した元素に応じて、各元素のスキルポイントを獲得する。それを消費して、スキルツリーならぬ仙術ツリーをアンロックしていくことができる。
攻撃手段だけではなくサポートとして使える仙術も多いので、どれから習得していくのか考えるのも楽しいところ。
ちなみに、覚えた仙術はなんでもかんでも使えるわけではない。仙術ごとに一定の士気レベル以上じゃないと発動できないようになっている。強力な仙術ほど高い士気レベル状態じゃないと使用することはできない。
グラフィック
4.5
綺麗な3DCGグラフィックで描かれている。
装備品で見た目も変わるので、付け替えも楽しい。
ただ、装備重量の概念があるので、なるべく軽くしようとするがあまり、イベントシーンでとてつもなくヘンテココーディネートな主人公になってしまっていて思わず笑ってしまう。
また、本作は立体的なマップ構造のステージが多く、古代中国の雰囲気あふれる風景が美しい。
あと、大体のボスは仙薬を飲んで人間を辞めてしまうんだけど、その妖魔化した禍々しく魑魅魍魎な姿は、さすがTeam NINJA!
サウンド
4.0
ずっと戦ってるので、ずっと威勢のいいBGMが流れている。
基本的ににぎやかな印象で、戦う気持ちが高まる良い曲が多い。一方で、穏やかな曲が流れる場面では中国っぽい音色が聞こえることもある。
サントラはこちら
総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
氣勢という死にゲーシステムが面白い
探索が楽しめる
歯ごたえのある爽快アクション
残念なところ
見づらくなるカメラワーク
物語の展開が唐突で楽しめない
オススメな人
高難易度アクションが好き
ハイペースなバトルが好き
三国志が好き
オススメではない人
ジャストガードが苦手
物語を楽しみたい
落ち着いたカメラワークじゃないと困る
おすすめ類似ゲーム本作に似たゲームはコチラ
仁王2
本作を手がけたTeam NINJAの代表作。戦国時代を舞台としたアナザーストーリーが楽しめる。本作のようにジャンプやアクロバティックなアクションではなく、スタミナ管理が大事なソウルライク系死にゲー。
SEKIRO SHADOWS DIE TWICE
ジャストガードの腕を磨くなら、こちらもおすすめ。架空の戦国時代を舞台とした高難易度アクションアドベンチャー。ジャストガードで敵の体勢を崩すと一撃必殺という高評価作。
Wo Long Fallen Dynasty ウォーロン フォールンダイナスティ
最強武器は攻め気
三国志をベースとした物語で、ハイペースなバトルが楽しめる高難易度アクションRPG。
攻撃を続けてジャストガードも交え攻め気を利用したり士気を高めるシステムが面白い。
物語の描き方はやや荒いけれど、アクションの面白さが補ってくれるほどバトルが魅力。
Wo Long Fallen Dynasty ウォーロン フォールンダイナスティ
©KOEI TECMO GAMES CO., LTD.
https://teamninja-studio.com/wolong/jp/