『スキタイのムスメ 音響的冒険劇』レビュー: センス炸裂オトメちゃん
『スキタイのムスメ 音響的冒険劇』とは、Capybara、Superbrothers、Jim Guthrieが開発したポイント&クリックアドベンチャーゲーム。
独特なピクセルアートが特徴で、スマホやタブレットの機能を駆使した新感覚のゲーム。多くの賞も受賞している。
本作開発元の一つであるSuperbrothersは、本作後に『JETT: The Far Shore』を発売している。
また、もう一つの開発元であるCapybara Gamesは、本作後に『Grindstone』を発売している。
本作は、iOS、Android、PCでプレイ可能。私はiOS版をプレイ。
『スキタイのムスメ 音響的冒険劇』とはどんなゲームか特徴や実際にプレイした評価を交えてネタバレなしでレビュー。本作の魅力と攻略のコツやおすすめな人とおすすめ出来ない人、本作と似ているゲームも紹介する。
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あらすじStory
オトメちゃん
本作の主人公はオトメちゃん。
スキタイ族(紀元前に栄えた遊牧民国家)の戦士だ。とある目的のため、不思議な世界にやってきた。
そこで出会った丸太さんに導かれ、オトメちゃんは壮大な戦いに挑んでいく。
「どういうこと?」と思うかもしれないけれど、そんな感じ。本当に。
時々、全く世界観が違うスーツ姿の偉そうなオジサンが登場して偉そうに何か言われるけれど。
とにかく頑張れ、オトメちゃん。
ゲームの特徴Features
探索と月
本作は、ポイント&クリックゲームなので、さまざまな場所を探索して、気になるものを調べてゲームを進めていく。
ところが、本作は、プレイしていればゲームが進むわけではない。
特定のイベントは、現実世界の月の満ち欠けと連動している。
満月や新月など、特定の月の形になっている日にしか進められないイベントがあるので、一気にエンディングまで攻略することはできない。
つまり、例えば満月イベントを逃すと、現実でも約1ヶ月待たなくてはならない。
バトル発生
所々で、バトルも発生する。
iPadでのプレイでは、探索中は横持ちでプレイするだけど、バトルになると縦持ちになる。
バトルでは敵がBGMに合わせて攻撃してくるので、剣か盾のアイコンをタップして攻撃と防御をタイミング良く繰り出して攻略する。
評価と感想Rating
とがりまくってるグラフィック
グラフィックに一目惚れ。
昔からあるドット絵というグラフィック技法だけど、激しく独特。個性的。もはや回り回って、新しい。
デザインは現代的だけど、ドット絵のレトロ感もある。キレッキレのセンス。
一方で、背景は完全なドット絵ではなくて、光の表現が美しい。CGとピクセルアートを組み合わせて作られている。
スクエニのHD-2Dシリーズに近いコンセプト(リリースは本作の方が先だけど)で、美しすぎ。
ピクセルアート好きにはたまらない。ずっと眺めていたい。
グルグル回す
バトルが発生した時に「剣を構える」動作や、メニュー画面を見るために「本を開く」といった行動をする時は、実際にスマホかタブレット自体を縦持ちに回転させなければならない。
これが結構面白い。
ただ、私はiPadでプレイしていたので本体が結構重たくて、筋トレっぽくなってきた。
月の満ち欠け
現実世界の月に連動するから一気にクリアできないってどういうこと!?面倒臭くない?
と、最初は思ったけれど、このゆったり進む感じが意外と心地良くなる。
クリアするまでは、「今夜の月はどうかな?」と確認する。
普段は気にすることはほぼないからこそ、本作をプレイ中だけでも月の満ち欠けを気にするのは新鮮だった。
いつの間にか感情移入
ゲームの冒頭では、世界設定も物語もよく分からない。
とりあえず、歩いていて出会った「丸太さん」の話を聞く。
それでも、うーん、よく分からない。オトメちゃんは、一体何がしたいのか、理解出来ない。
でも、物語が進むにつれて、オトメちゃんの使命と運命、そして覚悟が分かってくる。
そのうち、どんどん感情移入してしまう。いつのまにか、彼女の行く末を案じていた。
雰囲気ゲーかと思いきや、ちゃんとストーリーが楽しめる。
親近感湧きまくり
本作は、かなりこだわって日本語翻訳されている。
神秘的なストーリーだけど、セリフは猛烈に軽いノリ。ちょっと斜に構えてる内容が多い。神秘的な現象にさえツッコミ入れてることもある。
クスッと笑ってしまう面白いセリフが多い。
でも、セリフのせいで神秘さが吹き飛ぶこともあるので、好みは分かれるかもしれない。
音楽とのつながりは?
パズルのように謎解きしていくけれど、ヒントは最小限。
調べるべき場所をタップすると、ドーレーなど音が鳴る。確かに音階とパズルがリンクしてるけど、「音響的」とタイトルに付いてる割には、そこまでパズルに音要素はない。
勝手に音楽がパズルのヒントになってるとか、パズルを解くことで音楽が出来上がるとか、そんなゲームを想像していたんだけど。そういうわけではない。
また、バトルでは敵の攻撃はBGMに合っているんだけど、こちらの攻撃や防御を入力するタイミングは、そこまでリズムとバチッと合う感触は得られなかった。
オシャレ音楽すぎて、私がリズムを理解出来てなかっただけかもしれないけど、目で見てタップした方が確実だった。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
個性的なグラフィック
物語もゲームプレイも独創的
現実世界と連動している
残念なところ
音楽要素が意外と少なめ
物語は理解しにくい
オススメな人
ピクセルアートが好き
個性的なゲームを探している
月の満ち欠けに興味がある
オススメではない人
一気にエンディングまで攻略したい
トガったセンスが苦手
JETT: The Far Shore
本作開発元が手がけた新たなアドベンチャーゲーム。ピクセルアートグラフィックではないけれど、これまた独創的な世界設定と独特なゲームプレイが楽しめる。
Backbone
ピクセルアート好きで、独創的な世界設定が好きなら、こちらもオススメ。擬人化された動物たちの世界が舞台のノワール調でありつつアッと驚く物語が楽しめるアドベンチャーゲーム。
スキタイのムスメ 音響的冒剣劇
© Copyright Capybara Games Inc, Superbrothers Inc 2011