【Wanderstop】立ち止まってお茶を飲む、それも勇気 | 攻略とレビュー ワンダーストップ
戦えなくなった戦士が心を休めるのは不思議なティーハウス。お茶作りと心の葛藤物語が描かれる穏やかなシミュレーション+アドベンチャーゲーム『Wanderstop』。
Wanderstopの特徴
- ストーリー: 最強だったものの戦えなくなってしまった戦士アルマが、ティーハウスに身を寄せて自分と向き合う物語
- 攻略: お客に合ったお茶を淹れて物語を辿るシミュレーション要素のあるアドベンチャーゲーム
- 評価: お茶を淹れる作業でリラックスしつつ、物語は胸に刺さる

- ゲームプレイでも雰囲気でも癒されまくる
- 笑える会話も心に響く話もあり、良いセリフが多い
- 装飾が楽しい
- テンポがかなりゆっくり
『Wanderstop』の攻略もレビューもネタバレなしで詳しく掲載。似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
Wanderstopの攻略情報
Wanderstopの概要
タイトル | Wanderstop |
---|---|
開発元 | Ivy Road |
販売元 | Annapurna Interactive |
発売日 | 2025年3月11日 |
対応機種 | PS5, Xbox, PC |
ジャンル | アドベンチャー, シミュレーション, ライフシム |
シリーズ | 新規IP |
プレイ機種 | PC(ゲームパッド使用) |
ストーリー
戦士アルマの挫折

アルマは戦士だ。負け知らずの最強戦士だ。
アルマは強い。自身も実力もある。口先だけではなく、誰にも負けないくらい努力もしていた。
しかし、ある日、アルマは負けてしまった。
慢心していたのだろうか。アルマは更に厳しい鍛錬を積んだ。アルマは挫けたりしない。「負けた経験が、更に強くしてくれる」そう前向きに自分に言い聞かせ、腕を磨いた。
ところが、アルマは再び負けてしまった。
なぜ?誰よりも努力しているし、才能もあるはずだ。なぜ、なぜ負けるんだ?
アルマの中で何かが音を立てて壊れた。
辿り着いたのはティーハウス

アルマは森へと駆け出した。
無敵の戦士と謳われたマスター・ウィンターズを探そう。今は森に住んでいるという伝説の戦士に導いてもらおう。マスターに修行をつけてもらえば、まだまだ強くなれる。
急ごう。早く強い戦士に戻りたい、いや、戻らなければ。
しかし、アルマの足取りは重たくなってきた。なんだか力が湧かない。先を急ぎたい気持ちでいっぱいなのに、足がうまく持ち上がらない。
そして、遂には自慢の剣さえ持ちあげられなくなってしまった。
「なぜ」「どうして」困惑、焦燥、悔しさ、色んな気持ちが溢れてきて、アルマの目の前は真っ暗になってきた。
そして、次に目を覚ました時、アルマはワンダーストップというティーハウスのベンチに腰掛けていた。
くすぶるアルマのお茶生活

ベンチで目覚めたアルマの傍には、ボロという名のワンダーストップの店主がいた。彼が森で倒れていたアルマを助けてくれたそうだ。
全身で微笑んでいるような穏やかであたたかなボロはアルマの事情を聞き、ある提案をしてくれる。
「ワンダーストップを手伝ってみない?」
え、話聞いてた?最強戦士がカフェでバイトするわけがないし、そもそもそんな状況でもないんだけど?
もちろんボロの申し出をお断りしたアルマだったけれど、森に戻るとまた気を失ってしまい、自慢の剣は重たすぎてどうやっても持てないままだ。
ボロによるとアルマは疲れているらしい。アルマ自身は疲れている自覚なんて微塵もなかったけれど。
このままでは埒が開かない。助けてもらった恩もあるし、剣を持てるくらい疲れがとれるまで、ティーハウスの手伝いをしようか。
こうして立ち往生したアルマのティーハウスお手伝い物語が始まった。
攻略のポイント
ティーハウスの運営

本作はライフシムやシミュレーター要素が含まれているアドベンチャーゲーム。
アルマは、ティーハウスであるワンダーストップを切り盛りする。
お店を訪れるお客さんと会話をして、彼らが求めている味のお茶を淹れて提供する。一定数のお客さんに対応しきると章が変わってゲームが進行する。
ただし、ワンダーストップでは金銭のやりとりはなく、特定のNPCのみが客として現れる。
収支を気にしたり、迅速に客対応しなければならないようなお店経営シミュレーションゲームというわけではない。
お茶の素材

アルマの仕事は、ティーハウスで提供するお茶の素材を育てるところから始まる。
- ティーボール
- どんなお茶にも必須の素材
- ワンダーストップ周辺に生えている茶葉をカゴいっぱいになるまで採集する
- 集めた茶葉を乾燥機にかけると、一定時間後にボール状になり使用可能となる
- 果実
- お茶のフレーバーとなる
- 種を特定の配置で植えると、配置によって異なる果実が生る
- 種を一直線に並べて植えると種が生る小型のハイブリット(植物)が生え、これによって種自体を増やすこともできる
- キノコ
- 植物に特殊効果を与える
- ティーハウス周辺に生えている
- 植物の周りに特定の配置で植えると、植物が増えたり、生る果実の色を変えることができる
ちなみに、本作では種を植えればすぐに植物がポコンッと生え、更に水をやれば即座にポンッと実が生る。育つまでじっと待つ必要はない。
お茶の淹れ方

素材が揃ったら、ティーハウス中心に鎮座する巨大ポットを使ってお茶を淹れる。
- ポットに水を淹れる
- 沸騰させる
- 抽出器へお湯を移す
- 抽出器へティーボールを投入
- 作りたいお茶に合わせて果実を投入
- 複数の果実を入れることもできる
- 果実によって効能が異なるため、客の要望に合う果実を投入する
- 出来上がったお茶をカップに注ぐ
上記の順番で、ポットのレバーを操作するなどして工程を一つずつこなしてお茶を淹れる。
また、ティーカップは一回使用すると汚れるので、店内を走るミニ列車型食洗機に渡して洗ってもらわなければならない。
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Wanderstopのレビュー
物語: 頑張り続ける人に突き刺さる

お茶を淹れるのがゲームプレイの大きな特徴ではあるけれど、ゲーム全体としては物語主導型アドベンチャーゲームといえる。
NPCとの会話とアルマの自分語りがゲームの大きな部分を占めている。
あらすじから気配が漂っている通り、本作では「人間の心持ち」がテーマに描かれている。
ファンタジーな世界が舞台ではあるけれど、物語は多くの人に響く内容だ。
目標に向かって邁進しているはずが、いつの間にか「頑張ること」を頑張ってしまっている人。目標を達成して満足していたはずが、逆に失敗を恐れるようになってしまった人。
社会人でも学生でも、生きていれば誰しもが陥りやすい精神状態だ。そのため、感情移入しやすい。
日本語翻訳のクオリティは高く、アルマも画面も貫通して私自身の胸にグサァッと突き刺さったセリフもあった。
とはいっても、説教じみていたり意識高すぎ問答で攻め立てられるわけではないのが良いところで、スッと物語に入り込める。反省物語とか心の闇物語といった重たい雰囲気になっていない。
NPC達は超個性的でコミカルで、アルマもなかなか攻撃力高めなツッコミをする。気の抜けた鳴き声の鳥プラフィン達もツボに入る面白さ。
クスクス笑っていたら、なんだか心が震えて涙がじんわりしてきて、「ああ、いつの間にか心がすり減っていたのか」と気づく。決して押し付けがましくなく、そっと心を解きほぐしてくれる物語だ。
操作性: 面倒くさい作業に癒される

お茶を淹れる工程は、ちょこまかと面倒臭い。
落ち葉を見つければいちいち箒に持ち替え、果実は1個ずつ手でもぎ取り、特に失敗も成功もないけれどチョコマカとレバーを操作したり、細かな作業を積み重ねる。
「操作しやすいですか?」と聞かれれば、「操作性は問題ないけれど、操作は面倒臭い」という回答になる。
しかし、これが良い。というか、この細かい工程(操作)が本作の魅力といえるまである。
もし本作が「お湯が冷めてしまうまで、あと◯秒…チックタック…」といったゲームなら作業の細かさが難しさと面白さに変わるけれど、本作では急かされないことで細かな作業が癒やしになっている。
手間暇かけて一杯のお茶をゆっくり淹れる、そのペースに自然と癒されてリラックスするのだ。
茶葉集めカゴなどのツールまで手放せるようになっているとか、別にやりくりの必要がないアイテムでも持ち運べる数に上限があるなど、「そこはさすがに無駄では」と感じる部分もあるけれど、「いちいち」に癒されているうちに気にならなくなる。
ただ、本作のゆっくりペースにどうしても馴染めず「瞬間お茶淹れスキル習得とかないのか」と感じてしまう人だと、逆にイライラゲームだと感じるかもしれない。
難易度: どれだけ休めるか、寝落ちとの戦い

本作には難易度選択はなく、ゲームオーバーもない。
フィールドガイドを見ればお客さんが求めているお茶のフレーバーは分かるし、なんと答えが書かれた本もティーハウスに置かれている(見なくても攻略できるレベル)。
しかし、ゲーム進行と共にフレーバーが増え、複数の果実を混ぜ合わせる要素も出てくるので単調な繰り返しというわけではない。お客さんの話からお目当てのお茶を当てる面白さも味わえる。
ゲーム内で難しさを感じることはほぼなく、プレイ時に1番の敵になったのは眠気だった。いや、決してつまらなくて眠たくなったわけではない。
本作はゲーム進行も操作もゆったりペースで、ミスという概念もなく(間違ったお茶を淹れてしまったら流せばいいだけ)、ゲーム全体から癒し成分が漂っており、めちゃくちゃリラックスしてしまう。
「このティーハウスのソファで横になりたい」と何度思ったことか。
システム: このゲーム自体が休憩時間

戦い続けてきたアルマが、はじめて立ち止まって休息しつつ自分と向き合う物語。ゲームプレイも物語そのものだ。
会話中に選択肢はあるものの好感度が変わるとかバッドエンドになる心配はなく、やりくりも特に必要なく好きなペースで物語を進めればいい。ただただお茶を淹れて会話を楽しむ。
しかし、それだけではなく、ゲーム内で写真を撮って店内の額縁に入れたり、雑貨を手に入れたら店内の好きな場所に飾ってインテリアも楽しめる。
淹れたお茶はアルマ自身が飲むこともでき、そのお茶のフレーバーによって彼女自身の様々な事情が語られる。
ゲーム攻略に必須というわけではないけれど、こうした要素が自由にゆったり過ごしている気分が増す仕掛けになっている。
本作をプレイしていると本当にお茶を飲んで休憩している気分になった。
幅広い人が楽しめるゲームではあるけれど、個人的には大人の人におすすめしたいゲームだ。頑張ることの危うさがくどくなく複雑でもなく上手くゲームに練り込まれているので、気が張っている大人の人に「お茶と一緒にどうぞ」とお出ししたいゲームだ。
芸術性: 目と耳も癒されるティーハウス

本作の世界は魔法に溢れており、ピンク色と薄紫色が多く使われている。黒魔術ではなく、平和な魔法を感じる色づかいが美しい。
全体的にやや深めな色で落ち着いた雰囲気にまとめられており、可愛いけれど可愛くなり過ぎない絶妙な塩梅。
そして、やはり1番の魅力はティーハウスの真ん中にそびえる巨大ティーポット。管がグニャグニャしていて、様々な色に変わるお茶が流れていく様子が面白く、こんなカフェがあったら何時間でも居座って眺めてしまいそう。
また、アルマがソファやベンチに座るとそこからの眺めや遠景に画面が変わる。特に操作することもなく、ただでさえ穏やかなゲームプレイのなかで更に休憩できる。そのまま癒し動画になりそうだ。
音楽はもちろん穏やかなBGMが流れており、店内BGMはラジオのチャンネルを変えることができる。どれも癒し度満点の曲ばかりだ。
そして、お茶が注がれる時のコポコポコポとか、食洗機列車が進む水の音など、効果音はASMRだ。
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Wanderstopの総合評価
Wanderstop

総合評価
お茶を淹れる作業に癒されつつ、頑張り過ぎている全ての人に刺さる物語が胸に染み渡るシミュレーション+アドベンチャーゲーム。本作自体が休息のような、ゆったりした時間を味わえるゲーム。
おすすめな人 | のんびり癒されたい 物語を楽しみたい 何かを長年頑張り続けている |
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おすすめではない人 | 効率性を考える忙し楽しさを味わいたい 作業をメインに楽しみたい ゆったりテンポだとイライラしてしまう |
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Potion Craft
- 素材を混ぜ合わせてお客さんが注文するポーションを作るシミュレーションゲーム
- レシピではなく、すり潰し具合や素材を投入するごとに完成品が変わっていくのが特徴
- すんなり完成品を作れない難しさもありつつASMRのような効果音に癒される

マジカルデリカシー
- 駆け出しの魔女になり、街の住民が望む料理を作って届けるシミュレーション+アドベンチャーゲーム
- どんどん行ける場所やできる場所が増えていき、アクション要素も楽しめる
- 可愛らしいピクセルアートも魅力