『サイバーパンク2077』レビュー: 都会で暮らしたかっただけなのに
作り込みが激しすぎるサイバーパンクな街にどっぷり浸かって生きる人生はプレイヤー次第な『Cyberpunk 2077 サイバーパンク2077』をネタバレなしで、攻略のコツと各要素の評価を交えてレビュー。
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サイバーパンク2077製品情報
タイトル | Cyberpunk 2077 サイバーパンク2077 |
---|---|
開発元 | CD Projekt Red |
対応機種 | PS5, PS4(本編のみ), Xbox(Xbox Oneは本編のみ), PC |
ジャンル | オープンワールド, アクションRPG |
本作はテーブルトークゲームの『Cyberpunk 2.0.2.0』がもとになっている。
残念ながら発売後しばらくは不具合が多く、販売停止したほど問題になったけれど、現在は改善されており問題なくプレイできる。
しかし、追加DLC含め本作をしっかり楽しむならPS5、Xbox Seriesでのプレイがおすすめ(PC版は同等のスペック以上が推奨)。
本稿ではXbox Series X版のレビューを行っている。
サイバーパンク2077の攻略
ストーリー
憧れのナイトシティ
2077年のアメリカ西部。新しい生活を夢見て大都市ナイトシティへ向かおうとしているVと名乗る者が本作の主人公だ。
お金もコネも地位も何も持っていないVは、まずは仕事を見つけてお金を稼ぐところからスタートだ。
その足掛かりとして、Vはジャッキーという気のいい兄ちゃんから怪しげな仕事を受ける。まあ、予想はつくけれど、非合法な仕事だ。
で、当然のようにトラブルが発生する。しかし、なんやかんやで命からがら切り抜けることができた!というチュートリアルを無事に終える。
チュートリアルな修羅場を共に乗り越えたVは、ジャッキーと一気に意気投合する。大都市生活の先輩であるジャッキーに導かれて、Vのナイトシティ生活が幕を開ける。
アラサカを踏み台に成り上がる
ジャッキーから街での遊び方を教えてもらったり、危ない仕事をこなしながら、Vはナイトシティに溶け込んでいく。もはや都会っ子だ。
そして、そんなある日、大きな仕事が舞い込んでくる!
大物フィクサーから、「とある生体チップを盗んで来い」という依頼を受ける。しかも、盗む相手は、大企業アラサカのVIPだ。
ジャッキーとVは「危険なヤマだ」と思いつつも、またとない大きな取引に胸を躍らせ、千載一遇のチャンスに飛び込んでいく。
キアヌが語りかけてくる
しかし、やはり上手くことが運ぶわけはない。
アラサカに忍び込んで生体チップを盗むだけだったはずのVとジャッキーに、とんでもないトラブルが勃発する。
2人はこの上なくヤバい殺人現場を目撃してしまい、しかも、その犯人だと濡れ衣を着せられて追いかけ回されることになってしまう。Vは盗んだ生体チップが壊れないように自らに挿し、命からがらフィクサーの元へ向かった。
しかし、最悪には最悪が重なる。Vは、盗みの依頼主であるフィクサーに裏切られ撃ち殺されてしまった!
最悪の展開が連発しすぎて、さすがに主人公が死んでしまった。全て終わった。
いや、ここからが物語の本題だ。死んだはずの主人公は、まさかの復活を果たす。主人公補正だ。
しかも、なぜかキアヌ・リーブスの幻覚が見えるようになっている。不幸中の幸いとは、まさにこのこと!?
脳がジョニーにハッキングされる
いやいや、ハリウッドスターが見えるとはいっても、幻覚が見えるなんてラッキーとは言えない。しかも、キアヌ演じるジョニー・シルヴァーハンドは、50年以上前に大事件を起こした伝説のテロリストだ。
Vは、盗んだ生体チップを自らに挿したことが原因で、ジョニーに精神やら人格を乗っ取られ始める。だからといって、挿した生体チップを抜こうとしたら死んでしまうというオマケ付きだ。
自分が自分でなくなる?死んじゃう!?そんなのどっちも嫌だ!都会っ子になりたかっただけなのに。
でも、Vは持ち前の崖っぷちド根性で、ナイトシティで生きのびる方法を見つけようと駆けずり回り、生体チップの謎やナイトシティに渦巻く陰謀にも近づいていくことになる。
攻略のポイント
物語の結末はプレイヤー次第
上記の通り、物語の導入部分だけでもめちゃくちゃ長い。しかし、これは私がプレイしたVの物語だ。
本作では、ゲーム開始時にキャラクリエイトするとともに主人公の生い立ちとなるライフパスを3つから選択することができる。
- ノーマッド
- ナイトシティの外で暮らしてきた田舎者
- 私が選択したライフパスで、導入部は上記あらすじになる
- ストリートキッド
- ナイトシティで暮らしてきたチンピラ
- ゲーム始めからナイトシティに慣れている
- コーポレート
- 巨大企業アラサカの産業スパイ
- ならず者である上記2つとはかなり立場が異なる
どの生い立ちを選ぶかによって物語の冒頭から内容が変わるし、ゲーム中の選択や行動によってもストーリーは変化する。
Vが辿る人生や結末もプレイヤーによって分岐していくというわけだ。
大都会オープンワールド
本作はオープンワールドゲームだ。行きたい場所に行って、好きなことが出来る。
そこかしこにサブクエストや収集物が散らばっていて、どれから攻略してもいい。身の丈以上のクエストに挑戦してもいいし、やりたくないことはやらなくていい。
舞台となる都市ナイトシティは、いくつかのエリアに分かれており、それぞれ界隈を牛耳っているギャングが違う。また、エリアごとに仕事をくれるフィクサーも異なる。
街には、アパレルショップやムフフなお店など街には楽しい施設もたくさんある。
一方で、懸賞金がかかっている危険な無法者もいるし、突然目の前で犯罪が始まったり、道を歩いてただけなのに銃撃される理不尽なことも起こる。
街でどう立ち振る舞うか、各ギャングたちとどんな関係を築くかも完全に自由。人間関係が1番の武器になるし、命取りにもなるので、誰かと敵対関係になりそうな時は要注意。
バトルの攻略方法もプレイヤー次第
各クエストやバトルでも、どう攻略するかはプレイヤーの自由だ。
NPCとトラブルになってしまった場合でも、会話中に登場する選択肢によって平和に解決することも、お金で解決することも出来る。
またブレインダンスという他人の記憶を疑似体験できる機能を使って情報収集もできる。
もちろん暴力で解決することも可能で、バトルにでもどう立ち回るかは自由だ。
銃やブレードなど武器でゴリゴリ攻める脳筋プレイももちろん出来る。武器種は大量にあり、自分でクラフトしたりアップグレードも出来る。
また、監視カメラなどをハッキングしてステルスプレイで攻略することもできる。
本作では装備品以外にサイバーウェアという要素がある。神経や眼球に取り付けられる機械であり、ステータス強化が出来る。人間なのかロボットなのか、もはや分からない状態だ。
もちろん敵も体を改造しまくっているので、敵のサイバーウェアをハッキングして有利に立ち回るなんて戦術も可能だ。
レベルアップで強くなる
本作ではバトル含め様々なアクションを行うと経験値を獲得する。レベルアップした際にはスキルポイントを獲得し、任意のステータスをアップグレードできる。
バトルだけではなく、交渉やハッキングの成功率が上がるスキルもあるので、どんなVに仕上げていくかは完全に自由だ。
サイバーパンク2077の評価と感想
物語の面白さ
オープンワールドというと、探索やサブクエストに熱中してしまい、メインストーリーを忘れてしまうことが多い。
しかし、本作ではメインストーリーがジェットコースターのように展開していくので物語に夢中になり、逆にサブクエストがそっちのけになるほどだ。
そして、分岐要素がエゲツない。ちょっと面白い程度の分岐ではなく、本気で分岐する。それぞれ全く異なる結果になる選択肢が並ぶので、毎回真剣に悩む。
さらに、どの選択肢がどのくらい物語を変えているのかもわからない。
でも、確実なのは、自分が選んだ通りの物語になっているということだ。どの選択肢でもめちゃくちゃ自然に物語がつながっていくので、違和感なく自分で人生を歩んでいる気分が味わえる。
キャラクターの魅力
倫理観や道徳観が崩壊してる世界なので、敵ではないNPCたちにも危険人物が多い。何を言い出すかも予想できないので、目をギラギラさせて駆け引きに徹することになる。
NPCは多いけれど、それぞれ人物背景までちゃんと作られており、みんな魅力的だ。
選択肢によって嫌われることもあるし、恋愛関係になることもできるので、各キャラにしっかり絡むことができる。
操作の快適さ
本作は主観視点(一人称視点)でプレイする。
まず、私は主観視点のゲームは普段からあまりプレイしない。非現実的な動きが気になってしまったり、主人公の姿が見れないのでゲームに入り込めないという個人的な好みだ。酔うこともある。
でも、それでも本作は楽しくプレイできる。
もちろん主観視点ならではの非現実的な動きではあるけれど、丁寧に作られているおかげか全然酔いもしなかった。
そして、戦術がたくさんあるとか自由度が高いというと複雑そうな感じがするけど、実際のところ操作はシンプルだ。
周囲を調べるためにスキャンをしたら、基本的に左スティックでの移動と攻撃ボタンと決定ボタンくらいしか使わない。
難易度バランス
バトルになると、物陰に隠れたり回避などのアクションで立ち回ることもできるけれど、FPS慣れやアクションが得意である必要は全然ない(私はノーマル難易度でプレイ)。そのくらいのバトル難易度だ。
よっぽど「かかって来いやあ!」と真正面から敵陣に突っ込んでいかない限りは、結構まったりバトルが出来る。
敵が強いなら、交渉やハッキングで攻略することも出来るし、たくさんの攻略法があるおかげで攻略に詰まってしまうことはない。
ゲームシステムの面白さ
ストーリー分岐があってオープンワールド。ゲームシステム自体に目新しさが特にあるわけではない。
しかし、数の暴力というか、量の暴力が凄い。膨大で細かい作り込みに殴り飛ばされ、鼻血垂らしながらナイトシティに夢中になっていく。
本作の最大の魅力は、なんと言ってもナイトシティという街自体。本当に魅力的な街で、完全に『サイバーパンク2077』の世界が出来上がってる。
10歩歩けば何か気になるものが目に入ってくる。良いところも悪いところも目に入ってくる、現実の街のようだ。
最初は専門用語や登場人物を頭の中で整理するのにあたふたする。読み物だけでも超大量だ。テキストやセリフを読んでいる時間が1番長いと思う。
派手に見えるゲームだけど、原作はテーブルトークゲームということもあり、じっくり物語を読んで考えて選択するゲームだ。
やりこみ要素の楽しさ
サブクエストや収集要素などやり込み要素はもちろんギッシリ膨大なボリュームで用意されてるけれど、それだけではない。
本作のもう1つの大きな魅力は物語の分岐だ。何周すれば全て見ることが出来るんだろうか。コンプリートなど考えたくもなくなるほど選択肢だらけ。
分岐のあるメインストーリーを追うだけではなく、ナイトシティで生活するというだけでもしっかり楽しめる豪華なゲームだ。
また、追加DLC『Phantom Liberty 仮初めの自由』では、新たなエリアとストーリーが追加される(PS5、Xbox Series、PCのみでプレイ可能)。
グラフィックの芸術性
サイバーパンクな世界設定のゲームはたくさんある。
そのなかでも、本作のサイバーパンクは、SFより現実寄りの生々しいサイバーパンクだ。
メカメカしいカッコ良さやネオンギラギラなきらびやかさは、文句なくカッコいい。そして、汚さのリアルっぷりも凄い。ゴミがそこら中に散らばってるし、ゴキブリもカサカサしている。
グラフィックの綺麗さや描き込みっぷり、キャラの表情、デザインの素晴らしさ、全てが一級品だ。
ただ、キャラクリエイトできる主人公が、どうにもカッコ良くならないのが気になる。垢抜けない。なんだか常に姿勢が悪い。主観視点なので、主人公の姿を見る機会は鏡かメニュー画面くらいだけではあるけれど、やっぱり気になる。
サウンドの魅力
たくさんのアーティストとコラボしていて、カッコいいBGMが盛りだくさんだ。
車移動中にはラジオを流しているという形で様々なBGMを聴くことが出来る(アプデによって歩行中も聴くことができるようになった)。楽曲の数も膨大で、おしゃれな気分で都会生活が満喫できる。
サントラはこちら
本作と似ているゲームや関連作は更に下へ
サイバーパンク2077レビューのまとめ
おすすめな人
- 自由度が高いゲームが大好き
- 物語を楽しみたい
- サイバーパンクが好き
おすすめではない人
- 分岐要素が苦手
- テキストやセリフを読むのが面倒くさい
- かなり3D酔いしやすい
総合評価
- 自由度がとんでもなく高い
- 分岐要素もあり夢中になる物語
- 街や人物背景など細部まで作り込みがハンパない
- バグが発生する(現在はかなり改善された)
- 主人公がなんだか垢抜けない
サイバーパンク2077が好きならおすすめゲーム
関連ゲーム
The Witcher 3: Wild Hunt ウィッチャー3 ワイルドハント
本作開発元CD Projekt Redの代表作。
こちらもプレイヤーが自由に物語を進行できるのが魅力アクションRPG。
似ているゲーム
バルダーズ・ゲート3
こちらも自由度が高くプレイヤーの選択やプレイ内容によって物語が変化していく高評価RPG。
バトルはストラテジーゲームのようになっており、その戦術もかなり豊富。
仲間との人間関係(人間ではない種族が多いけれど)も楽しめる。
The Ascent アセント
サイバーパンクが好きなら、こちらもおすすめ。
下級市民の主人公が、街の混乱に乗じて成り上がっていくアクションアドベンチャーゲーム。
見下ろし型のシューティングやハクスラ要素も楽しめる。
Disco Elysium ディスコエリジウム
本作と同じようにテーブルトークRPGが元になった高評価RPG。
しっかり練られた世界設定や細かな分岐が自然につながっていく物語が魅力。
主人公の多重人格がキャラクターとなって脳内に現れるのが大きな特徴。
Cyberpunk 2077 サイバーパンク2077
© 2020 CD PROJEKT S.A.
https://www.cyberpunk.net/jp/ja/
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