『Little Nightmares II リトルナイトメア2』レビュー: 悪夢から逃げる紙袋ヒーロー
『Little Nightmares 2』とは、Tarsier Studiosが開発したパズルアドベンチャー。
ゲームジャンルには、サスペンスアドベンチャーやホラーアドベンチャーと表記されていることもあり、ハラハラしたり不気味な演出も多い。
本作は、2017年に発売された『Little Nightmares リトルナイトメア』の続編。
また、スマホ向けの『Very Little Nightmares ベリーリトルナイトメア』もリリースされている。こちらは第1作目の前日譚。
本作は、シリーズ第3作目とり、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はPS版をプレイ。
本作と開発元は変わるが、本作の続編も発表されており、2024年発売予定となっている。
本作はどんなゲームか、その特徴や魅力と共に実際にプレイした感想と各要素の評価をネタバレなしでレビューする。また、本作に似ているゲームも紹介する。
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あらすじStory
紙袋少年
突然、森の中でハッと目覚める少年。傍には壊れたテレビ。
そこから物語が始まる。
特に何がどうしたという説明もなく、紙袋を頭に被った少年は森を進んでいく。
この少年が本作の主人公であり、名前はモノだ。
あの子との出会い
森を進んでいくと、かなり怪しげな『バイオハザード』でも始まりそうな家にたどり着く。
人がいる気配はない。
いや、人いたーー!と思ったけど、動かない。なんか色々と身体から飛び出てる。
あれ?やっぱり『バイオハザード』かな?と思ってたら、何か音が聞こえてくる。オルゴールの音。
その音を頼りに進んでいくと、監禁されている女の子を発見。
彼女こそリトルナイトメアシリーズの重要人物(過去作では主人公)のシックスだ。
2人分の悪夢
モノとシックスは特に何か話し合うわけでもなく、協力しながら進むことになる。
森を進んで街に着き、更にどこかを目指していく2人。しかし、街の様子は異様。
人だけ一瞬で消えたかのように服だけ残されていたり、2人を執拗に追ってくるタイトル通り悪夢のような怪物たち(元は人間っぽいけど)に遭遇したり。
時々、嫌なノイズを流してくるテレビに映し出されている番組が全ての元凶なのか。
2人は一体どこへと進んでいくのか。
ちなみに本作は前作の『リトルナイトメア』の前日譚にあたる。
ゲームの特徴Features
ひたすら道を探す
本作は、奥行きのあるサイドスクロールでプレイする。
時には障害物があったり、ドアに鍵がかかっていたりする。
使えそうなものを探し出したり、ギミックを利用して謎解きしたり、時にはタイミングよくアクションしながら進んでいく。
モノは、歩く、しゃがむ(屈みながら移動も可能)、走る、物を持つ、投げる、ぶら下がるといったアクションが出来る。
怪物がいる場面では、見つからないように屈んで歩き、見つかったら大爆走で逃げる。
ちなみに体力やスタミナといったシステムはない。高所から落下した場合でも怪物に捕まってしまった場合でも一撃死だ。
相棒に命を託す
本作の主人公は紙袋少年モノなので、操作するのはモノだ。
そして、レインコート少女シックスはあとを付いてくる。
でも、シックスは傍観してるだけではない。積極的に謎解きに手を貸してくれる。
ちなみに本作はシングルプレイのみで、シックスを操作する協力プレイが出来るわけではない。
特定の場所に来るとシックスは必要なアクションを自動的に行う。それが謎解きのヒントでもあるので、彼女の挙動には要注目。
シックスが持ち上げてくれて高い場所によじ登ったり、一緒に重たい物を押してくれたり頼りになる相棒だ。
でも、たまに「いや、そっちじゃなくて、ここに来て!」と言いたくなることもある。その場合は、シックスに「ヘーイ」と声をかけて呼ぶことが出来る。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.5
会話もないし説明もないし、じゃあ画面から具体的な物語が読み取れるかっていうと、そういうわけでもない。
摩訶不思議、ひたすら不気味。
そもそも、モノとシックスの正体も不明で、なぜ2人がせっせと街を進んでいくのかも全然分からない。
だけど、面白くて仕方ない。この世界に惹き込まれたら、細かいことなんてどうでもいい。先が気になる。
次にどんな恐ろしい奴がいるのか、このあと何が起きるのか。ハラハラが気持ち良い。テンポが最強に良い。
しかも、具体的な説明は何もないのに、考察したくなる物がチラチラ現れる。壁に飾られてる絵とか、怪物たちの様子とか。
本当に魅力的な世界だ。
いや、もちろん不気味で怖いし、実際にこんな街があったら、間違いなく近寄ってはいけない。でも怖いもの見たさが止められなくなる魅力がたっぷり。
キャラクターの魅力
5.0
モノとシックスは表情どころか顔もほぼ見えない。
小さなボディで一生懸命走ったりしてて、可愛らしく見えるんだけど、実は2人が1番怖い。
「えっ、この子たちって…」と思う場面が何度もある。
そして、2人を襲ってくる怪物たちが、これまた良い。
本当に悪夢に出てくる怪物そのもの。みんな良い味出してる。
プレイしていて、思わず「いや、もうホントどうした?なんでそんなことになった?」ってツッコミ入れたくなるくらい怪物たちは狂ってる。
そして、そんな怪物たちの最期では、鳥肌が立つ素晴らしい演出を見ることが出来る。
操作性
3.5
操作性は、はっきり言って良くない。
もたつきのある挙動の方が恐怖感が増すから、ワザとだと思う。ゲーム性と合ってるし、不満には思わない。
ただ、画面全体が暗いので奥行きが分かりにくくなる場所がある。
そして、アクションができる物に対してボタン入力しているのに受け付けてくれない時がよくある。
立ち位置の問題なのか、ボタンを押すタイミングなのか、よく分からない。そうかと思うと、結構ずれた位置にジャンプしても、瞬間移動してよじ登ってくれる時もある。
自分としては同じことをしたつもりでも、許される時と許されない時がある。謎の判定。これも悪夢の一部なのかもしれない。
でも、リスタートとなるチェックポイントが小刻みにあるので、ストレスが溜まることはない。
難易度バランス
4.5
謎解きの難易度は高くはない。頭をひねらなきゃいけないようなパズルはない。
それよりアクションのタイミングの方が大切。特に怪物から全力疾走で逃げる時など、一瞬の戸惑いで絶命する。
常に初見殺し多発なので、それを楽しく味わうのがオススメ。
ちなみに、死に方はちゃんとそれぞれの場所で変わる。モノのドジ死を見てシックスがリアクションしてくれる時もある。
ゲームシステム
4.0
雰囲気が抜群。これを楽しむ、それに尽きる。
常にハラハラ出来て、先が気になりまくるし、無我夢中でプレイしてしまう。
過去作と比べて、2人で進む新鮮さはあるけれど謎解きはやや単純になった。それよりアクション要素の方が強くなり、ハラハラ度が増している。
でも、相変わらずの、いや、もっとスケールアップした不気味さは最高だ。
怪物に追いかけられる悪夢を見ている時って、逃げようとするんだけど、なぜか上手く逃げられない。
本作は、まさにあの感覚。それがゲームプレイで体感できるんだから、すごい。
やりこみ要素
4.0
やり込み要素としては、モノが被る帽子を見つけることと、ノイズになった子供たちを見つけること。
どちらも正規ルートとは違った寄り道にあることが多く、見つけにくい場所にあるので制覇するのは結構大変。
また、謎解きに関係ない場所に登れたり、特に意味のない物を持ったり壊したりもできる。隅々まで探索するのが楽しくなる。
敢えて怪物に捕まった時の演出を見てみるのもオススメ。
本レビューでは、ネタバレな場面や気持ち悪い場面を極力避けてゲーム画像を載せているので、実際にプレイすると「うわぁ」って思う場面が盛りだくさん堪能できる。
グラフィック
5.0
抜群の雰囲気が命のゲームなので、芸術性が高い。気持ち悪さのセンスが最強。
でも、ただただ気持ち悪いだけではなくて、可愛さとか愛嬌もある。さじ加減が絶妙。
怖い絵本。そんな感じ。一度プレイしたら、きっと忘れられなくなる。
サウンド
4.0
BGMはほぼなくて、環境音ばかり。怪物の息づかいや何かを引き裂くような音、ノイズや誰かの話し声など。怖がらせようとしてくる。
本作はホラーなので、びっくりさせる演出も多くて、ドォーーンと突然大きな音が鳴ることもある。驚かされるのが苦手な人は、音量に注意。
総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
不気味で悪夢な雰囲気とグラフィック
ハラハラが続くテンポの良さ
キャラが魅力的
残念なところ
操作性の悪さでもたついたりミスすることがある
謎解き要素は薄め
オススメな人
ホラーや気持ち悪い雰囲気が好き
謎解きが好き
緊張感が続くゲームが好き
リトルナイトメアシリーズのファン
オススメではない人
怖い雰囲気が苦手
気持ち悪いものは見たくない
初見殺しが許せない
操作性が快適でないとイライラする
シリーズ過去作『Little Nightmares』と『Very Little Nightmares』。時系列の設定はあるけれど、それぞれが直接つながっているわけではないので、どれからプレイしても大丈夫。どれもオススメしたいほど傑作揃い。
本作と同じくらい不気味っぷりに磨きがかかっている悪夢を巡るアドベンチャーゲーム。ポイント&クリック型なので、本作のようなアクション要素はなし。
Little Nightmares II リトルナイトメア 2
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