『Bear and Breakfast』レビュー: ある日、森の中、熊さんがリゾート開発
可愛くて忙しくて楽しくて時間が溶ける宿泊施設運営シミュレーション『Bear and Breakfast』をネタバレなしで、攻略のコツと各要素の評価を交えてレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
Bear and Breakfast製品情報
タイトル | Bear and Breakfast |
---|---|
開発元 | Gummy Cat |
対応機種 | PS5, PS4, Nintendo Switch, PC |
ジャンル | シミュレーション, アドベンチャー, |
本稿では、PC版をマウス+キーボードでプレイした際のレビューを行なっている。
Bear and Breakfastの攻略
ストーリー
悪夢にうなされるクマ
ゲームが始まると、不気味な鳥が稲妻を背にして何か物騒なことを言っている。セリフの意味は全然分からないけれど、なんだか不穏だ。
これは主人公が見ている悪夢のようだ。主人公も意味が分からず、夢の中で右往左往している。
そして、ハッと目覚めると、そこは雑木林にある主人公の自宅のベッドだった。
好奇心旺盛クマのハンク
主人公は、ハンク。どこからどう見ても熊だ。
ハンクは、お母さんクマと友達のアニとウィルと共に森の奥で暮らしている。
お母さんからは林の端にある柵の向こうには行ってはいけないと厳しく言われているけれど、仲良し3匹組は好奇心いっぱいだ。
しかも、今日は遂にお母さんクマから、ちょっと遠出が必要なおつかいを頼まれた。大手を振って正々堂々と柵の向こうに行けるぞ!
おつかいなんて、もはやオマケだ。3匹は意気揚々と柵の先への冒険へと向かっていく。
雇用されたハンク
柵の向こう側は、舗装された道路や建物など明らかに人間の文明を感じる風景が広がっている。
ところが、人間たちがいる気配はない。廃墟と化した小屋やお店があるのみ。
ウロウロ見て回っていたハンク含め3匹は、廃墟の中で周りの景色に全くそぐわないサングラスを掛けたサメの置物を見つけた。
そいつに付いていたスイッチを押してみると、サメを通して突然メッセージが流れてくる。「この荒れ果てた地をリゾートにして人間を呼び込まないか?小銭も稼げるぜ?」と。
人間に興味津々で物作りも大好きなハンクは、「ボク、やります!」と答え、まさかの口約束で雇用された。というかフランチャイズのような契約が締結された。
こうして、ハンクは荒れ果てた地に宿泊施設を作りながら、手作りでリゾート地を再建していくことになる。
攻略のポイント
広がるハンクのプロジェクト
本作にはいくつかのエリアが登場し、ゲーム進行に伴って行ける場所が増えていく。
各エリアには良い感じの廃墟があり、リフォームして充実した宿泊施設に変えて運営するのが本作のメインだ。
そこら中に様々な資源がたくさん落ちており、ハンクはそれを拾って宿泊施設の設備を作っていくことになる。こうした資源は、採取しても一定時間後に再生する。
ゲーム内では常に時間が流れているけれど、主人公ハンクにはスタミナや空腹などの概念はなく、夜通しでもぶっ続けで働くことが出来る。
ハンクB&Bの作り方
本作のタイトル『Bear and Breakfast』はBed and Breakfast(B&Bと略される)をもじっている。
B&Bは欧米に多い宿泊施設で、おもてなしは寝る場所と朝食のみというのが基本。ホテルより素朴で、ゲストハウスや民宿っぽい感じだ。
というわけで、本作ではB&Bな宿泊施設を作って経営する。
各地にある建物をリフォームして宿泊施設を作ることになるけれど、各建物には作れる部屋の種類が決まっている。配置は自由だ。
また、部屋の種類ごとに家具の種類も決まっている。逆に必要な家具が揃っていないと部屋として機能しない。
部屋に置く家具や料理は、手に入れたレシピに沿ってクラフトすることになる。
宿泊客を選別するハンク
部屋を作っておもてなしの準備が整ったら、受付台から予約リクエストを確認して宿泊してもらうお客さんを選ぶ。
客ごとに、泊まる部屋に対する居心地の良さや装飾など各要素に対する要求度が表示されており、それを参考に宿泊してもらう部屋を割り振る。
また、寝室以外にもバーやダイニング、バスルームといった特別な部屋も作ることができて、これによって衛生状況や食べ物に対して強くこだわりを持っているお客さんにも対応することができる。
基本的には部屋内に置く家具や装飾品のレベルが高いほど部屋の各パラメータが上がっていく。
ゲームが進むと、各宿泊施設にスタッフを配置して効率的に運営出来るようにもなる。
学んで仕入れるハンク
宿泊客たちは、各々好きに観光を楽しんでいるけれど、彼らは周囲にゴミを落とすことがある。
「人間って奴は!」とハンクが怒ってしまうかと思いきや、ゴミは貴重な資源だ。ゲーム内でも「貴重品」と表示されるほど。
本作では人間界のお金と貴重品(ゴミ)が通貨となる。ゴミと書いて貴重品と読む通貨はアライグマのトゥックから装飾品を買う際に必要になる。
人間界のお金は、もちろん宿泊客たちから稼ぐことになる。よりレベルの高い家具を揃えた質の良い部屋に宿泊したお客さんは宿泊代を多めに払ってくれる。ちなみに後払いだ。
この人間界のお金を使うと、各NPCのショップで新たなお料理レシピや特定の素材を購入することができる。
話題のゲーム
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Bear and Breakfastの評価と感想
物語の面白さ
物語要素は軽め。
不穏なオープニングから始まるけれど、主人公ハンクは、正体不明のサメのオブジェ(名前はフィン)にのせられて、すんなりとリゾート地再建に着手する。
そこからは忙しい不眠不休クマとなるため、壮大な物語を展開している暇はない。実際、物語に関する描写は少しずつだけだし、それで良い。
しかし、新たなエリアに行くと必ず会うバーバラおばあちゃんや、森に棲む凶暴な精霊や過去に起こった火事など、気になる話題がチラホラ出てきて、メインストーリーもちゃんと楽しめる。
ただ、日本語翻訳にややムラがあり、セリフの意味が分かりにくい時があるのが残念。
わざとハンクを惑わすキャラもいるけれど、そういうわけではない場面でも不自然な文章になってしまっていることがある。
キャラクターの魅力
みんな可愛い。
性格も外見そのままに可愛いNPCもいるけれど、マフィアなネズミとか(全然怖くないけど)、幼馴染のウィルは人間文化にかぶれて斜に構えまくっているし、個性強めなキャラも多くて面白い。
ちなみに、宿泊客以外の人間のNPCはハンクと普通に会話してくれる。言葉は通じないけれど、なぜか意思疎通できる。
そして、はじめはハンクを見かけると逃げ出していた宿泊客達も、徐々に笑顔を向けてくれるようになる。彼らは宿泊施設のオーナーが熊でも全く動じないようだ。
可愛くて癒される。クマに優しい世界で、クマもみんなに優しい世界だ。
クマのプーさんみたい。いや、プーさんとは違い、本作のクマはめちゃくちゃ働くけれど。
操作の快適さ
私はマウスとキーボードを使用した。
操作性は良好で、画面は随時拡大縮小できて見やすいし、部屋を作る際にも細かなマス目が表示されるので配置しやすい。
また、壁や屋根を表示するか否かの設定もすぐに切り替えられる。「壁表示なし」状態がプレイはしやすいけれど、屋根を表示すると実際の建物全体の雰囲気も見れるので、サッと切り替えられるのは嬉しい機能だ。
気になったのはクラフトする際の家具リスト。
並び替えは出来るけれど、ズラーッと家具の名前が羅列されている。レベル別に色分けされていたり種類別のタブなどがあるともっと快適だと思う。
そうは言っても、特にストレスに感じるほどではないので、全体的に快適にプレイすることができる。
難易度バランス
難易度選択はできない。でも、難しくはないし、失敗やゲームオーバーの概念もない。
フィールド上にある素材は拾っても翌日にすぐ復活するので、テンポよく攻略できる。常にノンストップで忙しくて、それによってどんどん夢中になっていく。
また、自由に部屋を作ることは出来るけれど、外枠は決まっている(宿泊施設の大きさ自体は広くできない)。
限られたスペースにより良い部屋をより多く作ることが求められるため、パズルのように頭を捻る面白さが味わえる。
また、エリアごとにひと通りのメインクエストを達成すると、追加の目標に挑戦出来る。
クリアするとハンクの移動スピードが上がるなどゲームプレイに便利な機能がアンロックされたり、お客さんも宿泊代をより多く払ってくれるようになる。
しかし、より質の高い部屋を求めるこだわり派のゲストが増えてくるし、追加目標もどんどん難しくなっていく。
挑戦するのは自由だし時間制限もないので、自分のペースで難易度調整出来るのが嬉しい。
ゲームシステム
クマがリゾート地を再開発する。しかも手作り。その設定だけで興味そそられる。
そして、マネジメントを楽しむシミュレーションゲームには名作も多いけれど、複雑に絡み合う要素や出来ることが多く敷居が高いゲームも多い。
しかし、本作では部屋の質とゲストの要望に要素が絞られているため、分かりやすい。
「考える要素が多いほど燃えてくるぜ!」という敏腕経営者には、本作は物足りないかもしれない。
でも、本作には物語や建築やクラフト要素もバランス良くブレンドされており、熱中させるツボを的確に突いてくる。
プレイを始めたら一気に夢中になってしまい、ふと時計を見てびっくりしたほど時間が溶けた。中毒性の高いクマだ。
やりこみ要素
上述したメインクエスト攻略後に登場する追加目標を攻略するのが、分かりやすいやり込み要素だ。
部屋の質を上げるといったものから、特定の部屋を一定数作るなどいくつかの部屋を壊して作り直さななければならないレベルのものまであって、やりごたえしっかり。
そして、1番のやり込み要素は、宿泊施設を思う存分作り込むこと。
広さの拡張はできないし、置ける家具も個数も決まっているため、サンドボックスゲームほどは自由に建築できない。
それでも、装飾品は色んな種類があるので、ちょこちょこ手を加えていくのが楽しい。
また、今後追加コンテンツも計画されているそうだ。
グラフィックの芸術性
手描きイラスト調のグラフィックで描かれる。しっかり描き込まれていてクオリティが高い。
家具や装飾品のデザインもいちいち可愛いし、絵本のようなほのぼのさが魅力だ。
至るところから癒し成分が放出されている。
サウンドの魅力
エリアによってBGMは異なる。夜になるとBGMも変わる。
作業している時間が多くなるけれど、飽きにくい穏やかな曲ばかりだ。
本作と似ているゲームや関連作は更に下へ
Bear and Breakfastレビューのまとめ
おすすめな人
- シミュレーションゲームが好き
- 作業を楽しみたい
- 忙し楽しく時間を溶かしたい
- ほのぼのしたい
おすすめではない人
- 複雑なマネジメントを楽しみたい
- 自由に建築や装飾をしたい
総合評価良いところ&残念なところ
- 資源の復活スピードなどテンポが良くて忙し楽しい
- とっつきやすく分かりやすくマネジメントが楽しめる
- 可愛くて癒される
- 完全に自由な建築はできない
- 不自然な文章の日本語翻訳がある
Bear and Breakfastが好きならおすすめのゲーム
似ているゲーム
Spiritfarer
物語もマネジメントも建築やクラフトも楽しむなら、こちらもおすすめ。
迷える魂の旅立ちを手伝うライフシム要素もある。
カスタマイズできる大きな船を拠点にして探索も楽しめる感動の高評価作。
Let’s Build a Zoo
ほのぼのした雰囲気のマネジメントゲームなら、こちらもおすすめ。
好きに動物園を作り、より多くのお客さんを集めて稼ぐ。
従業員の管理もあり、サンドボックス要素も経営も楽しめる。
Bear and Breakfast
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