「ドラクエ10 オフライン」レビュー: 全て失っても平常運転の勇者 – 『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オフライン』
『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オフライン』とは、スクウェア・エニックスが開発したRPG(ロールプレイングゲーム)。
ドラクエシリーズのなかで唯一のオンラインゲームである「ドラクエ10」をシングルプレイのオフラインゲームに作り替えたタイトルだ。
本作は、オンライン版のVer.1の物語全てをプレイすることができる。オンライン版ではVer.ごと1本の新作ゲームのように新たな物語が展開し、現在Ver.6まで配信されている。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、PCでプレイ可能。私はNintendo Switch版をプレイ。
ちなみに、私はオンライン版の内容は物語もゲームプレイの様子も全く知らない状態でプレイしている。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
エテーネの民
ゲームが始まると、主人公とその兄か弟(姉か妹も可能)をキャラクリエイト出来る。
そして、主人公がよく分からない夢から目覚めるところから物語は始まる。
主人公は、とある小島に住んでいるエテーネの民の1人。外界のことは何も知らない。
主人公の住む村は偉いカメ様に守られており、結界によって外から見えなくなっている状態で、平和に暮らしている。
のほほん村と名付けたいくらい、のほほんとした村だ(本当はエテーネの村という名前)。
急展開
ところが、ある日、村の巫女であるアバが「この村に災いが起こり滅ぶ」という不吉な予言を突然お知らせする。
のほほん終了のお知らせ。
でも、「テンスの花という特別な花があれば助かる」という予言その2に従い、主人公と兄弟(姉妹)と巫女の孫であるシンイの3人は花を探しに行く。
フラフープをぶん回す変なボスに邪魔されつつ、花を手に入れた3人が帰途につくと、あれ?村の方角が禍々しいぞ?
そういえば、さっきのフラフープマンが冥王とか言っていたような…。
悲劇
村に着くと、あからさまにラスボスっぽい雰囲気漂わせるネルゲルという奴が村を襲撃中。
そいつ曰く、エテーネの民は時を操れるので滅ぼさなければならないらしい。
いや、そんな能力は昔話であって、今のエテーネの民ではもう誰も使えなくなってる能力って聞いてますけど!?
と思いきや、使えたー!主人公が突然、能力開花!
兄弟(姉妹)を時空のどこかに吹き飛ばし、逃げさせることに成功。
転生
「じゃあ、主人公も逃げよう!」と思うけれど、残念ながら主人公は死んでしまう。ネルゲル強し。
と思いきや、死ななーい!
神とか精霊っぽい誰かの声に導かれ、主人公はこの世界の他種族に転生し、世界を救う旅に出ることになる。
とんでもない急展開だけど、やるしかない。
世界中を巡り、故郷の仇と兄弟(姉妹)を追わなければ。
そう、ドラクエの主人公だから。問答無用で黙々と勇者をやるしかない!
ゲームの特徴Features
誰になって何をするのか
上述の通り、物語の冒頭で転生することになるけれど、種族は自由に選択できる。
どの種族を選ぶかによって序盤の物語が変わる。
が、基本的にどの種族でも五大陸を旅していくという大筋は同じで、序盤以降は自由に冒険できる。
自分の進み方によって仲間キャラの加入タイミングなどは変わる。
ちなみに、選択した種族によってステータスに違いは生じない。また、ゲームが進むと人間(エテーネの民)に戻ることもできる。
ドラクエなバトル
バトルはオーソドックスなターン制コマンドバトル。
フィールド上の敵とシンボルエンカウントだ。
バトル中にはテンションというゲージがある。
敵に攻撃を受けたりするとテンションが上がり、魔法などとは別にテンションを使って発動できるスキルもある。
テンションが100になるとスーパーハイテンション状態になり必殺技発動が可能になったり攻撃力などが上がる。
職業とレベル
主人公は転職が可能。戦士や僧侶や盗賊など、職業ごとに異なるスキルを習得することができる。
そして、主人公のレベルは職業に紐づいている。
例えば、戦士の状態で戦ってレベルアップし強くなっても、僧侶に転職した途端レベル1になる。
でも、また戦士に戻れば転職する前のレベルに戻る。
レベルアップ時にはスキルポイントを手に入れて、スキルパネルをアンロックしていくことが出来る。
スキルパネルは職業ではなく武器種ごとに分かれている。ただ、装備できる武器種は職業によって異なるので、気に入った職業で使える武器種のスキルパネルをアンロックしていくのがおすすめ。
ちなみに、仲間キャラは転職は出来ず、独自の特性やスキルパネルを持っている。
寄り道しまくれ
メインストーリーを進める以外に、サブクエストややり込み要素がたんまりと用意されている。
サブクエストが受注できるNPCは紫色の吹き出しが出ているし、宿屋のコンシェルジュがおすすめのサブクエストを教えてくれる。
また、敵が討伐書をドロップすることがあり、モンスター討伐も楽しめる。
フィールドや宝箱から手に入る素材を使って、アイテムクラフトができる「れんきんがま」や装備品をクラフト出来る「ふしぎな鍛治」もある。
また、料理も出来て、食べると一定時間のバフをかけることも出来る。
釣りも出来るし、カジノもあるし、他にもやり込み要素がたっぷり用意されている。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
平凡そうな主人公が、突然猛烈な勇者パワーを発揮して壮大な冒険に出るぞー!
ドラクエだ。ゲーム開始した瞬間からドラクエだ。
王道であり夢中になるテンポの良さとストーリーテリングの楽しさは、さすが。
種族ごとに文化や性格が違い、仲間になるキャラごとにエピソードの雰囲気も全く違う。
クスッと笑えるセリフやテキストも多く、先が読めるほど王道な展開でもジーンと感動する。
そうかと思えば、「な、なんだと…!?」というびっくり展開も楽しめる。
ドラクエ好きなら、まず間違いなくハマるはず。
私はオンライン版の内容は全く知らずにプレイしたけれど、ドラクエの新作として内容の濃い物語が楽しめる。
キャラクターの魅力
4.5
仲間キャラはそれぞれ境遇も性格も違い、かなり魅力的だ。
オンライン版ではゲストキャラだったそうなので、ずっと共に旅できるのは本作ならではの魅力。
旅の道中では仲間と会話が出来るんだけど、結構細かく変わるので、いちいち話しかけるのも楽しい。
NPCたちのセリフも面白くて印象に残るキャラも多く、随所でクスクス笑えるドラクエ節が楽しめる。
また、本作では主人公や転生する種族の見た目や年代をカスタマイズできるのも面白いところ。
オンラインゲームが元になっているからこそ、出来上がっている一本道の主人公の物語ではなく、好きな主人公で自由に冒険している感じが味わえる。
操作性
4.0
オーソドックスなRPGなので、特に複雑な操作はなく問題なし。
更に、移動中にはダッシュしたり(乗り物もあり)、バトルスピードも速く出来たり、RPGでモタモタッとしてしまう瞬間を極力短くしてプレイすることが出来る。
もちろん、通常スピードでJRPGならではのリズム感でプレイするのも良い。
また、本作では地図が親切。NPCの場所が地図から把握できて、サブクエストの攻略にかなり便利。
メインストーリーもサブクエストも、これまでの経緯とこれから何をやるのか、かなり細かくガイドが確認できるなど丁寧親切設計だ。
難易度バランス
4.0
シンボルエンカウントなので、戦う相手は選べる(もちろんバトルになったら別のモンスターも登場することがある)。
戦いやすい弱めな敵を選んでレベル上げできる一方、序盤から強すぎな敵とも遭遇できる。
ドラクエシリーズをプレイしたことがある人なら、敵の姿を見れば「あいつはケンカ売ったらヤバいやつ」と分かるだろう。
あまりドラクエを知らない人なら、フィールド上の柵が目安になる。柵を越えると一段強い敵が現れる。
どの敵に挑むのかによって、ある程度自分で難易度を調整できるってわけだ。
メインストーリー攻略で苦戦することはないけれど、ちゃんとドラクエ難易度なのでレベル上げは必須だ。
ゲームシステム
4.0
私は本作で初めてドラクエ10に触れたわけだけど、特に違和感を感じないのが良いところ。
オンライン版を無理やり作り替えてると感じる瞬間はなくて、純粋にシングルプレイ向けRPGとして楽しめる。
オンライン版を知っている人から見ると「え?」「変だよ」とか違和感があるのかもしれないけど。もちろん、「オンライン版ならもっと作り込まれているんだろうな」と思うところはある。
でも、ドラクエ10の物語をいつものドラクエスタイルで楽しむゲームだ。
物語や世界設定が面白いので、確かに「オンラインだからとプレイしないままで体験しないままだったら勿体無かったな」と思った。
オフラインやシングルプレイが好きな人が楽しめるように作ってくれたのは本当にありがたい。
やりこみ要素
4.5
サブクエストや討伐依頼にクラフト要素もあり、もりもりのやり込む要素がもっりもり。
カジノにハマれば世界の危機なんて忘れてしまうし、鍛治に熱中するとボス攻略より素材集めが旅の目的になる。
それともう一つ。
本作では物語の序盤に転生する種族によって、転生時のストーリー展開が変わる。
周回プレイして他のパターンを見てみるのも面白い。
また、大型拡張追加コンテンツ「眠れる勇者と導きの盟友」も配信されている。なんとオンライン版のVer.2が丸ごと体験できる特大ボリュームの追加DLCだ。
グラフィック
3.5
キャラは2頭身。
カットシーンでは8頭身になるけれど、主人公はキャラクリエイトできるためかカットシーンに登場しない。残念。
高解像度ではなく、良く言えば昔ながらのドラクエっぽさを味わえる。
悪く言えば、他のシリーズ作に比べると(特に近年のドラクエ11と比べてしまう)見劣りする。
サウンド
4.0
ドラクエならではのいつものBGM。いつも通り最高だ。
本作ではイベントシーンでボイスが付き、グラフィックの派手さが足りない分を補ってくれている。
「え?ドラクエにはボイスいらないんだけど!」という人には、ボイス無しにも出来るようになってるのは親切。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
シングルプレイ向け新作ドラクエとして楽しめる
魅力的な物語やキャラクター
ゲーム進行に自由度がある
やり込み要素がたっぷり
残念なところ
他シリーズ作に見劣りするグラフィック
主人公しか転職できない
オススメな人
ドラクエシリーズが好き
『ドラクエ10』に興味があるけどオンラインプレイは嫌
ボリュームたっぷりなRPGを味わいたい
オススメではない人
最新グラフィックでプレイしたい
物語が一本道のドラクエが好き
レベル上げが面倒臭い
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現在ナンバリングタイトル最新作であるドラクエ11。8頭身3Dで楽しめるモードと2Dちびキャラで楽しめるモードを搭載したシリーズ集大成のような高評価RPG。
シングルプレイでじっくり楽しむRPGを求めているなら、こちら。8人の主人公それぞれの物語を楽しめる大ボリュームな内容。本作と同じく仲間が加入していく順番や攻略順は自由。
ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オフライン
全て失っても平常運転の勇者
ドラクエの新作として楽しめる、ドラクエらしさが詰まった王道RPG。
職業や種族など自由さを味わいつつ、笑えて感動もする壮大な物語と個性豊かなキャラクターが魅力。
オンラインプレイが苦手なシリーズファンにおすすめな1本で、ボリュームたっぷり楽しめる。
ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オフライン
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