『Graveyard Keeper』レビュー: 不謹慎すぎる牧場ゲーム
「闇落ちStardew Valley」「汚い牧場物語」という褒め言葉がぴったりな病みつきライフシム『Graveyard Keeper』をネタバレなしで要素ごとに詳しい評価を交えてレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
Graveyard Keeper製品情報
タイトル | Graveyard Keeper |
---|---|
開発元 | Lazy Bear Games |
対応機種 | PS4, Nintendo Switch, Xbox, PC, iOS, Android |
ジャンル | 農場シミュレーション, ライフシミュレーション, アドベンチャー |
本稿では、追加DLCの『Breaking Dead』『Stranger Sins』もダウンロード済みのNintendo Switch版をレビューしている。
Graveyard Keeperの攻略
ストーリー
交通事故に遭った男性
ゲーム始まると、とある男性が愛する女性のもとへ家路を急いでいた。この男性が主人公だ。
恋人(妻かも?)に「今から帰るよ!」とメッセージを送りながら、スマホを片手にウキウキ歩き始めた。
次の瞬間、男性は突然バーンと車に激突されてしまう。
歩きスマホは危険だ。一瞬で人生が終わってしまう。
主人公死亡。完。
異世界での就職先は墓地
いや、もちろん物語は終わらない。ここから始まる。
意味不明なことを喋る謎の男性の姿が目に浮かんだかと思うと、交通事故に遭ったはずの主人公の男性は、なぜか怪我もなく目を覚ました。
ところが、そこは見知らぬ土地だ。不気味でめちゃくちゃ雰囲気悪いし、なんだかヤバい。
元気なガイコツ(頭部のみ)が、話しかけてくるほどヤバい。
そのガイコツ頭のジェリーによると、主人公は「新しい墓守」に勝手に就任してしまっているらしい。
一体全体何がなんだか、事態が全く飲み込めないまま、主人公は墓守として暮らしていくこととなる。
しかし、墓地の静かな雰囲気とは裏腹に、不謹慎なことが巻き起こり始める。
愛する人に再び会える方法を見つけ出すためなら、人に言えないようなことだって何だってやってやる!
攻略のポイント
陰鬱な農場シミュレーション
本作では、農場シミュレーションゲームあるあるな作業がひと通り出来る。
農業、釣り、木材加工、鍛治、果物採集、料理などなど。地下ダンジョンへ潜ってバトルを交えた探索も出来る。
自宅周りに作業台をどんどん作り、材料集めて武器やら建築物やらをクラフト。クラフトして出来たアイテムを使って、更にクラフト。
体力やスタミナもあるし、時間と曜日の概念もあるため常に時間が流れている。
そして、主人公はクラフトなどアクションを行うと経験値を獲得する。
溜めた経験値を消費するうと新たなテクノロジーをアンロックできる。これによってクラフトできるアイテムを更に増やすことが出来る。
クエストによって信頼度が変わる
拠点である墓地近くには町やNPCの農場などがあり、そこで暮らすNPCからクエストを受注することができる。物語が進行するメインクエストも、サブクエストもある。
クエストの攻略方法は複数あることが多い。
NPCが特定のアイテムを要求しているクエストでは、お金を貯めて正々堂々とお目当てのアイテムを購入して調達することも出来るし、危ない裏ルートで手に入れたり、自分で頑張ってクラフトして準備することもできる。
しかも、どう攻略したかによって、依頼者であるNPCからの評価も変わる。
本作ではNPCそれぞれに主人公に対する好感度ではなく、信頼度が存在する。単純に良い人として振る舞うのではなく、アウトローなNPCは悪い手段でクエスト攻略する方が主人公を信頼するようになる。
決して清く正しく仲良くというわけではない。
口外厳禁の墓守クラフト
さて、本作が不謹慎と言われる決定的な要素は、墓守の仕事だ。
上述したクエストを攻略しつつ、本職である墓守の仕事をこなさなければならない。
まず、やさぐれたロバが定期的に遺体を運んでくる。で、その遺体を教会周辺の墓に埋葬していく。
ただ埋めるだけではなく、墓標だとかお墓の装飾も墓守の仕事だ。お墓関連のクラフトもある。
でも、実は、埋葬する前に出来ることがある。遺体の解剖だ。
解剖して、遺体の一部(もしくは全部)を抜き取って素材として活用する、倫理観など完全無視したクラフトが出来る。ちなみに解剖スキルが低いと遺体はグチャグチャになってしまい、素材があまり手に入らない。
遺体から切り取った肉を村の酒場に売却(食用として!)できたり、脂肪からロウソクを作って教会に飾ったり。さらには、脳や心臓で錬金術まで行えるようになる。
寄付を募る
墓守は教会の運営も行う。特定の曜日には、教会で説教を行い寄付を募ることが出来る。
裏では遺体を冒涜しまくっているというのに、偉そうに勝手に創作した話で説教する。教会運営に関わるスキルやクラフトもあり、どんどん寄付を集めてお金を稼ぐことができる。
教会だけではなく、特定のNPCとの取引もそれぞれ決まった曜日にしか出来ない。スケジュール管理必至!
記事はさらに下に続きます
Graveyard Keeperの評価と感想
物語の面白さ
墓守になることだけでなく、遺体でクラフトするのは初めてだ(当たり前だけど)。
この設定だけで十分心掴まれた。
墓守の仕事以外でも、すべてにおいて不謹慎度が振り切れているゲームだけど、センス良くブラックユーモアに仕上がってる。
不謹慎ではあるもののメインストーリーがしっかりリードしてくれるので、ライフシムでありがちな「何からやればいいんだろう」と目的迷子にならないのも良いところ。
キャラクターの魅力
どのキャラもクセが強すぎてる。聖職者だろうが良い人はいないし、みんな期待を裏切らない腹黒さだ。
その人の性格によって主人公への信頼度の上がり方が変わるので、その人の腹黒さを見極めて利用するというライフシムとしてあるまじき(褒めてる)攻略が楽しめる。
操作の快適さ
本作に手取り足取りなチュートリアルは無い。何がどうなるのか実際に自分で試して覚えるしかない。
でも、慣れてしまえば、操作性は良好。
残念なのは、日本語訳がおかしいところと、たまに操作不能になるバグが発生すること。ダンジョンで剣を振り続けて操作不能になるというバグに何回か遭った。
アプデでの修正に期待したいところ。
難易度バランス
それぞれのクエストの攻略は結構大変だ。曜日によってできることが限られるので、ちゃんと計画を立てて動かなければならない。
アップグレードによってスタミナや体力の上限が爆上がりすることはなく、お金はすぐは尽きそうになるし、木を切ってるだけでもすぐ日が暮れるし疲れてくる。
農場シミュレーションゲームとしては難易度高めだ(ゲームオーバーになるわけではなく、スイスイ攻略できない)。
不謹慎ネタのインパクトが強いけれど、管理する要素が多種多様で効率性も求められる、やりごたえ抜群の良質シミュレーションゲームだ。
ゲームシステムの面白さ
システムまで不謹慎すぎて最高だ。
クエスト攻略にかまけて遺体を放置していると腐ってしまい、色々とマズイことになる。
この遺体の腐敗スピードが急かされる要素となっていて、独特の緊張感が常に続くので刺激的で面白さが続く。
ちなみに埋葬や解剖する余裕がなければ、遺体を川に投げ捨てて見なかったことにさえできる。不謹慎な自由度が高い。
遺体から利用できる臓器が増えたり、教会での説教内容を勝手に創作して多額の寄付をもらえるようになったり、成長要素(成長と言っていいのか)も本作ならではの内容ばかりで面白い。
それでいて、上述した通り、ネタに走るだけではなく、シミュレーションゲームとしてしっかりクオリティ高く仕上がっている。
やりこみ要素の楽しさ
メインストーリーだけでも自由度もボリュームもたっぷりだけど、追加DLCまで始めると余裕で時間が溶けてとろけていく。
追加DLC「Breaking Dead」では、遺体からゾンビを作り、作業を手伝ってもらうことが出来る。もはや倫理観だけでなく、科学の常識もかなぐり捨ててしまう。
「Stranger Sins」は大型拡張DLCで、街に自分の酒場を開くことができる。街の過去を知ることができるストーリーの追加もあり、盛り沢山の内容だ。
特に、酒場の経営では、料理(人肉を提供する)や酒作りも出来て、がっつりやり込める。
村人からの酒場の評判を気にしたり、酒場でイベントを主催したり。墓守と酒場経営者の兼業となり、どっちが副業なんだか分からなくなってくる。
また、さらに『Better Save Soul』『Game of Crone』といった追加DLCもあるので、やり込み要素たっぷりだ。
ちなみに、追加DLCのタイトルはどれも人気海外ドラマをもじったものになっている。ブラックユーモア効きまくり。
グラフィックの芸術性
全てピクセルアートなグラフィックで描かれる。
ドット絵で良かったと、なぜかプレイヤー側が安心してしまった。不謹慎すぎる要素ばかりだけど、ドット絵でデフォルメされているからこそジョークとして成り立つ。
もし、本作をフォトリアルな3DCGで作ったら、大変なことになるだろう。
サウンドの魅力
ゲームの雰囲気から分かる通り、暗めのBGMが多い。
とはいっても、ホラーな不気味さ漂う曲というわけではなく、占いの館みたいな曲調のBGMが多い。
本作と似ているゲームや関連作は更に下へ
Graveyard Keeperが好きならおすすめゲーム
関連ゲーム
Bandle Tale: A League of Legends Story
本作開発元が手がける新たなクラフトシミュレーションゲーム。
リーグオブレジェンドのヨードルが主人公となり、可愛いバンドルシティで様々なクラフトに精を出す。
似ているゲーム
Stardew Valley
こちらもコンテンツが豊富なたっぷり遊べる農場シミュレーションゲーム。
不謹慎なクラフトはなく、特に初期の『牧場物語』が好きなひとにはたまらない人気作。
たくさんのNPCと交流できて、家庭を築くこともできる。
Evil Genius 2: World Domination
王道ではない設定のシミュレーションゲームなら、こちらもおすすめ。
いわゆるヴィラン 悪役になり、悪の組織を運営して世界征服を目論む経営管理シミュレーション。
Graveyard Keeperレビューのまとめ
おすすめな人
- 農場シミュレーションが好き
- 不謹慎ネタが好き
- 長時間遊べるゲームを探している
おすすめではない人
- 不謹慎ネタは苦手
- チマチマした作業が面倒くさい
- ゆったりしたライフシムをプレイしたい
総合評価良いところ&残念なところ
- ストーリーや世界設定が面白い
- 不謹慎ネタが盛り込まれつつ、質の高いシミュレーションに仕上がっている
- クエストの攻略法など自由度が高い
- 追加DLCが、その内容含めて豊富
- チュートリアルが不親切
- 日本語訳がおかしいところがある
- 操作不能になるバグが発生する
Graveyard Keeper
© 2018 by tinyBuild and Lazy Bear Games
http://graveyardkeeper.com
ライフシムゲームをもっと見る