『Ravenlok』レビュー: 超高速おとぎ話
『Ravenlok』とは、Cococucumberが開発したアクションアドベンチャーゲーム。
ボクセルアートグラフィックが特徴であり、開発元はこれまでに『Riverbond』『Echo Generation』を手がけている。
いずれもボクセルアートが効果的に使われており、本作は同デベロッパーのボクセルアート3部作の最終作にあたるとのこと。
本作はXbox、PCでプレイ可能。私はXbox版をプレイ。
本作には現在のところ日本語版がないため、本稿の画像は英語版プレイ時のゲーム画像となっている。
本作がどんなゲームか、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
画像はタップもしくはクリックすると拡大して見ることが出来ます。
あらすじStory
田舎町に来た少女
のどかな田舎の一軒屋に越してきたパパとママと少女の3人家族。
大叔母さんから受け継いだ家だそうだ。
パパとママは新天地で意気揚々としているけれど、主人公である少女は退屈そう。
友達はみんな市街地にいるし、近所には面白そうな所も見当たらないし。
「つまんなーい、つまんなーい」とぼやく少女に、パパは大倉庫の鍵を渡す。
「何か面白いものがあるかもしれないから、見ておいで」と。
鏡を通る
仕方なく大倉庫に向かった少女は、芸術家だった大伯母さんが遺した珍しい物を眺めながら倉庫を見て回る。
そして、その奥で少女は曇った鏡を見つける。
「大きな鏡だなぁ」とぼんやり眺めていたら、鏡から何者かの手がヒュッと伸び出てきて、少女は腕を掴まれてしまう。
「鏡が通れる?ていうか手?誰?」と混乱する間さえほぼなく、少女は何者かに鏡の中へ引っ張り込まれてしまう。
で、鏡を通った先は完全に異世界。
そして、そこにはウサギが1匹。どうやら、こいつが少女を引っ張り込んだ手の持ち主だ。
このウサギ、少女より小さくて弱そうだけど、とんでもない怪力か!?
闇堕ちしたおとぎ話
そんな怪力疑惑のあるウサギは、突然少女をRavenlokと呼ぶ(本名はゲーム開始前にプレイヤーが好きに決められる)。
そして、更に「君こそ、この世界の救世主なんだ!」と唐突に言い張る。
実はこの世界は平和なおとぎ話の世界だったけれど、なぜか闇堕ちしたハートの女王のせいで治安が最悪になっているらしい。
しかし、最大の謎は主人公の脅威の理解力と適応能力。
ウサギが喋ってる不思議さとか、家に帰る方法はあるのかとか、そういう現実的な疑問は完全無視。
主人公はすんなりRavenlokとして各地の問題解決に乗り出し、ハートの女王の凶行を止める戦いに挑んでいく。
ゲームの特徴Features
おつかい少女
本作では、メインストーリー進行に沿って様々なエリアを旅していくことになる。
クエストとして次にやることがリストアップされるので、それを一つずつ攻略していく。
大体の場合、アイテムを集めて来たり、バトルに勝利するといったものだ。
ちょっとした謎解きも登場する。
また、サブクエストもあり、攻略すると回復薬など消費アイテムを貰うことが出来る。
一度行ったことがあるエリアには、各地にある鏡からファストトラベルで移動可能。
勇者
主人公は、剣と盾を装備していて、そこら辺にいる雑魚敵相手にはシームレスバトル。
ボスや特定のバトルではフィールドが区切られて、敵を倒しきらないと先に進めない。
主人公は近接攻撃と防御、ステップ回避が出来る。
また、ゲームが進行すると必殺技のようなスキルを習得する。
スキルはクールタイムを経れば、好きに発動することが出来る。
強くなるRavenlok
敵を倒すと経験値とお金が手に入る。お金は、そこら辺に置かれているツボを割ることでも手に入る。
バトルで自動的にレベルアップするのではなく、魔女の家にいるネズミに話しかけて経験値を消費することでレベルアップが出来る。
本作には装備品の付け替えはない(見た目だけ変わる帽子はある)。レベルアップによってのみ強くなる。
お金は回復アイテムや爆弾など消費アイテムを買うために使用する。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
2.5
『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』が混ざったような物語。
まさにおとぎ話そのままで、特に捻りはなく、展開は予想しやすい。
それでもおとぎ話とは先が読めても面白いはず。
ところが、本作の会話は簡潔な説明文だけで進んでいくので、感情移入する隙がない。
「この場所でアイツが悪いことをしています。そこに進むにはアイテム3つが必要です。」
「悪い奴を倒せましたね。では、次はあっちのエリアです。」
セリフはそんな調子で巻いてくる。おつかい感を隠す気なんてさらさらないほど、おつかいだ。
余計なお喋りなんてせずにさっさと世界を救えということだろうか。やらされてる感が強い。
キャラクターの魅力
3.5
トゥイードルダムとトゥイードルディーなど『不思議の国のアリス』にゆかりのあるおとぎ話にぴったりなキャラが登場する。
でも、上述もしたけれど、セリフはゲーム進行のガイドに終始することばかり。
楽しそうなキャラは揃っているのにもったいない。
もっと無駄な会話をしてくれたらいいのに。
NPCは主人公のことを早急に友達認定してくれて、サクサクお悩みを披露してくれる。
そして、主人公は上述した通り猛烈な適応能力で、すぐに本名など捨てて自らRavenlokと名乗り、どんどん二つ返事でクエストを引き受けていく。
そう、全員総力を上げてゲーム進行を後押ししてくれる。ありがとう。でも、早いんだ。早すぎるんだ。
各キャラに対する感想が湧く前に会話が閉じられる、イベントは超特急で過ぎていく。
待て待て、余韻とか、間とか、そういうのが欲しいんだ。
操作性
3.5
主人公の操作は簡単で、キビキビ動いてくれる。
敵のロックオンは出来ないけれど、スキルを発動すると自動で近くの敵を狙ってくれる。
ただ、操作性は良いけれど、アクションが軽すぎて逆に味気ない。
とにかく主人公の剣を振るスピードが異常なほど高速。絶対普通の少女じゃない。
スキル使うより通常攻撃連打の方が敵のHP削りやすいくらい超高速。
しかも敵がしっかり怯むので、もはや敵を押しながら剣を振り回す扇風機状態に。
爽快を通り越してしまった軽さと高速さ。
難易度バランス
3.0
敵に反撃する隙を与えないくらい超高速で攻撃が出来るので、バトルもものすごい勢いで終わる。
雑魚敵だろうがボスだろうが、通常攻撃連打でみるみるうちに倒せてしまう。
大量の敵が現れて被ダメージがかさむこともあるけれど楽にゴリ押し出来るし、スキルをほんのり交えて攻撃してたらいつの間かバトルが終わっている。
寄り道せずに攻略しても、まず詰むことはないはず。
経験値が溜まってもレベルアップせずにぬるくならないようにするのも良いかもしれないけれど、それでもバトルはかなり単純なので通常攻撃のボタンを押す回数が増えるだけだ。
クエストリストにやることや集めるアイテムの数が全て書かれているので、謎解きでも迷う事はほぼない。
ゲームシステム
3.5
バトルは、かなりシンプル。分かりやすいのは良さでもあるけれど、上述した通り通常攻撃で終わってしまうので味気ない。
じゃあ、物語や世界を楽しむのがメインなのかと思いきや、無駄が削ぎ落とされ過ぎた状態で、ものすごい勢いで進んでいってしまう。
様々なエリア、おとぎ話がベースになったキャラや世界設定など、ワクワクさせるものが揃っている。
料理の仕方によっては夢中になれる世界だと思う。
しかし、本作ではそれぞれの要素が軽く火を通しただけで提供されている。素材は良いはずなんだけど。
やりこみ要素
3.5
サブクエストや収集要素であるウサギのフィギュアを集めるのがやり込み要素。
サブクエストはメインストーリーを追っていたら特に意識しなくても攻略出来てしまうと思う。
せっかくエリアの行き来が出来るので、エリアをまたがったサブクエストがあったら面白くなったと思う。
一方で、ウサギのフィギュアは各地に散らばっていて、巻き気味で進む本作のなかでは唯一世界を堪能させてくれる良いやり込み要素。
ちなみにフィギュアを見つけても、謎のダンスを踊らなければ取得出来ない謎儀式がある。
グラフィック
4.0
ボクセルアートとCGが融合したグラフィック。緻密に組まれたボクセルが美しい。
巨大なマカロンやティーポットがあったり、女王の迷路や機械仕掛けの劇場もあり、摩訶不思議なおとぎ話の世界が堪能できる。
あちこち眺めながら歩きたくなる世界だ。
そのため、展開が早くて、どのエリアも超速で素通りになってしまうのが余計にもったいない。
サウンド
3.5
おとぎ話の雰囲気に合っているクラシックっぽいBGMが流れている。
グラフィックの良さと相乗効果で良い雰囲気だ。
しかし、気になるのは効果音。
上述した通り、アクションの軽さは効果音によるところも大きい、
敵を剣で斬った時にズバズバとかではなく、カンカンカンッと金属を叩くような軽い音だ。そのせいで余計にアクションが軽いと感じてしまう。
総合評価Summary
3.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
緻密で美しいボクセルアート
おとぎ話がベースになった世界
残念なところ
ゲーム進行が浅く早すぎる
バトルが通常攻撃だけで終わってしまう
オススメな人
ボクセルアートが好き
短時間でクリアできるゲームを探している
オススメではない人
考えたり迷ったりしたい
歯ごたえを楽しみたい
おすすめ類似ゲーム本作に似たゲームはコチラ
本作開発元が手がけたRPG。80年代映画を彷彿とさせる奇妙な現象が起こった街で少年少女が戦う。こちらもボクセルアートが魅力。
こちらもおとぎ話がベースになった世界や物語が楽しめる。ただし残酷版。クマのぬいぐるみが主人公のメトロイドヴァニアゲーム。
Ravenlok
超高速おとぎ話
おとぎ話の世界が舞台のアクションアドベンチャーゲーム。
美しいボクセルアートグラフィックが魅力で世界を堪能したいところだけど、物語もバトルも薄くゲーム進行が早すぎるのが残念。
Ravenlok
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