『Sundered』レビュー: ヌルヌル探索ラブクラフト
『Sundered』とは、Thunder Lotusが開発したメトロイドヴァニアゲーム。
Thunder Lotusは、本作とゲーム性は大きく異なる高評価アドベンチャーゲーム『Spritfarer』や『Jotun』の開発元だ。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はNintendo Switch版『Sundered: Eldrich Edition』をプレイ。発売当初の内容から、新たなボスとエリアが追加されている。
本作はどんなゲームか、その特徴や魅力と共に実際にプレイした感想と各要素の評価をネタバレなしでレビューする。また、本作に似ているゲームも紹介する。
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あらすじStory
ここはどこ?
主人公はエシという女性の放浪者。
砂漠を彷徨っていたら、とても砂漠地帯とは思えない全く雰囲気の違う遺跡に入り込んでしまう。
脳内に直接メッセージ
訳の分からない事態に戸惑っていると、トラペゾヘドロンと名乗る誰かからアドバイスのようであり嘲りのようなメッセージが脳内に流れてくる。
遺跡から脱出できなくなったエシは、トラペゾヘドロンに促されるまま、エスカトンと呼ばれるこの遺跡を巡っていくこととなる。
ラブクラフト
遺跡内を巡るうちに、エシはトラペゾヘドロンから脳内で遺跡についての講義を受けたり、大量の敵と対峙することになる。
そして、そのうち、彼女は、人間離れした能力を得るようになるけれど、それと引き換えに人間性を失っていく。
「一体何が何なんだ」という感じだけど、本作は様々なゲームに登場するみんな大好き(?)ラブクラフト神話がモチーフになっている。
ゲームの特徴Features
ローグライクなメトロイドヴァニア
エシが駆けずり回る遺跡は大きく分けて3つのエリアに分かれている。
それぞれのエリアには、新たなスキルを習得できる部屋、ミニボス、大ボスの部屋がある。
これらの重要な部屋の位置は決まっているけれど、その間の道はランダムマップ。道中のマップ構造は死ぬ度に変化する。
地図は重要な部屋だけが常に同じ場所に表示され、道中は毎回実際に歩いた部分だけ表示されていく。ゲームオーバーになると、道中の地図は空欄になる。
3つのエリアどこから攻略してもいいけれど、各エリアで習得する移動スキルによって、攻略済みのエリアでも探索できる場所が増えるメトロイドヴァニアになっている。
強くなるエシ
ゲームオーバーになった場合は道中の道がリセットされるけれど、デスペナルティは特にない。拠点であるサンクチュアリに戻されるだけ。
敵を倒したりツボなどを壊すとシャードと呼ばれる経験値が手に入り、ゲームオーバーになっても獲得したシャードが失われることはない。
拠点のサンクチュアリでは、このシャードを使ってスキルツリーをアンロックしていくことができる。
攻撃力や防御力、体力といった基礎ステータスのアップグレードが出来る。
アンロックしたスキルは付け替えが可能で、体力回復アイテム効果上昇やアーマーの回復速度を高めるといった能力を好きな組み合わせで装備することが出来る。
スキルにはそれぞれ「防御力ダウン」や「シャード入手率低下」など代償もあるので注意。
なめらかなエシ
エシの基本アクションは、近接攻撃とローリング回避とジャンプ。壁ジャンプも出来る。
スキルを習得すると、遠距離攻撃のキャノンや、フックジャンプや空中ダッシュなども出来るようになる。
また、ジャンプだけではたどり着けない場所でも、敵を空中で攻撃することで滞空時間が延び、更に上方へジャンプも出来る。
更に、敵に一定回数攻撃を当てていると紫ゲージが溜まっていき、「絶技」と呼ばれる強力な範囲攻撃を発動できるようになる。
人間やめる?
ボスを倒すとエルダーシャードが手に入る。ミニボスを倒した際にはエルダーシャードの欠片が手に入り、3つ集めるとエルダーシャード完全体になる。
このエルダーシャードと引き換えに、2段ジャンプなどの移動スキルをアップグレードすることが出来る。
瞬間移動のようにジャンプ出来たり、滑空出来るようになったり、かなり強力なアップグレードとなっている。
が、アップグレードと同時に、本作のストーリーの肝となるエシの人間性を失うことになる。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
3.5
本作の物語はラブクラフト神話がベースになっており、正直なところちゃんと理解するのは難しい。
ラブクラフト神話に詳しい人なら分かるのかな?
トラペゾヘドロンは断片的にエピソードを語るのみで、物語の全体像も把握しにくい。
とは言っても、ストーリーが分からないと面白くないというゲームではないので問題はない。
キャラクターの魅力
3.0
上述の通り「ラブクラフトよく分かんないや」状態でのプレイなので、脳内に直接語りかけられたりストーリーの講義をされても、「はいはーい、そんなに大きい声で話さなくても聞こえてますよ、何言ってるのかは分からないけど」くらいで聞き流していた。
でも、1人で黙々と闘うエシのことは応援したくなる。
メトロイドヴァニアゲームにはつきものの「1人で頑張ってて大変そう。がんばれ!がんばれ!」と思う気持ちは、ちゃんと湧いてきた。
操作性
5.0
エシは、ヌルヌル滑らかに動く。また、どのスキルもシンプルな操作で発動しやすい。
ジャンプ中に敵を攻撃してフワッと滞空するテクニックを多用することになるけれど、結構長く空中に浮かんでいてくれるのでストレスなし。
操作はかなり快適でプレイしやすい。
大量に敵が出てくるけれど、バトル中の挙動もかなり気持ちよくて、攻撃してるだけで楽しい!
難易度バランス
4.5
本作には、ただ歩いているだけでも、突然ゴングが鳴ると敵の大群が攻めてくるという恐ろしいシステムが搭載されている。
ゴングが鳴った途端、四方八方から敵が攻めてきて、かなりしっちゃかめっちゃかに。主人公のがいる場所も見えなくなってしまうほど、敵が密集してくる。
一方で敵が来ない時は静寂そのもの。エシの息遣いのみが聞こえてくる。
この緩急が良い緊張感を保ってくれる。いつゴングが鳴るんだろうとヒヤヒヤする気持ちは常に消えない。
ただ、エシの成長は目覚ましい。
スキルツリーによって攻撃力も防御も上がりまくるので、ついさっき苦戦してた敵があっさり一撃で蹴散らせるようになる。
人間性を失ってスキルをアップグレードするかどうかで難易度が変わるのが面白いところ。どれだけ苦労するかは自分次第だ。
ゲームシステム
4.5
どのエリアから、どのくらいずつクリアしていくか、完全に自由。スキルのアップグレードも自由。
人間性を大切にするなら難しくなる。逆に人間性失ってスキルをアップグレードすれば豊富なアクションが楽しめる。
スキルツリーをどんどんアンロックしていけば脳筋プレイし放題。脳筋プレイ好きとしては、これが本当に気持ち良くて、かなり病みつきになった。
かなり自由度が高くて、マップも毎回変わるし、敵が攻めてくるタイミングも分からない。
初見の面白さを常に味わいながら、探索も楽しめる。
それぞれの要素がうまく噛み合った中毒性の高いゲーム。
やりこみ要素
4.0
スキルツリーをどのくらい解放するか。成長要素が一番のやり込み要素。
また、ミニボスは必ずしも全て倒さなくてもクリア出来る。全部のスキルを集めなくてもいい。
そして、本作はマルチエンディングだ。
人間性を完全に失うか、少しだけ失うのか。周回プレイも楽しめる。
また、一周のみのプレイだとしてもクリア後要素もあり、たっぷり楽しめる。
グラフィック
4.5
気味の悪い敵が多いし、絶景と呼べる風景もほぼ無いけれど、始終グラフィックが美しい。
手描きイラスト調が文字通りヌルヌルに動く。ゲームスタートして1番最初に感動したのが、このイラストの動く滑らかさ。
ボスは大体巨大だけど、そのデザインは気持ち悪くてかっこいい。
サウンド
4.0
BGMは荘厳な感じだった不気味だったり。雰囲気を盛り上げてくれる。
敵が大量に攻めてくる合図のゴングの音がかなり大切なので、探索中はしっかり耳を澄ましておかなければならない。
効果音は、敵を斬った時のザクザク音はややボケていて残念。挙動が気持ち良いので、もっとズバッズバッとした効果音も味わいたかった。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
ローグライクもメトロイドヴァニアも楽しめる
操作性が良く気持ちいい
グラフィックが美しい
残念なところ
敵が大量になると主人公の位置が見にくくなる
物語を理解しにくい
オススメな人
メトロイドヴァニアが好き
ハイペースなバトルが好き
脳筋プレイが大好き
オススメではない人
分かりやすい物語を楽しみたい
敵一体一体とじっくり戦いたい
Spiritfarer
本作開発元が手がけた高評価ゲーム。本作とゲーム性はかなり違っており、シミュレーション要素のあるアドベンチャーゲーム。かなり泣ける感動の物語とグラフィックの美しさが大きな魅力。
Dead Cells
本作と同じくメトロイドヴァニアとローグライクがどちらも楽しめる大人気作。本作よりもローグライク要素の方が強め。
Sundered
©2018 Thunder Lotus.