『Scarf スカーフ』レビュー: 布タイプのドラゴン
『Scarf スカーフ』とは、Uprising Studiosが開発した謎解きとプラットフォームアクションが楽しめるパズルアドベンチャーゲーム。
本作は、PS5、PS4、Xbox、PCでプレイ可能。私はPS版をプレイ。
本作がどんなゲームか、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
2.5頭身マンの誕生
水中に小さな光が灯る。
そこから人のような形が見え始め、光は水面へと浮かび上がっていく。
そして、水の中から遂に主人公が登場!
ババーン!めちゃくちゃ2.5頭身!
青く透き通った身体には穴なのか黒い丸が胸から背中へと繋がっている。
そんな青色ボディの2.5頭身マンは、近づいて来た赤い何かに導かれて歩き始める。
赤いスカーフ
赤い何かとは、シュシュッシュシュッと飛び回るドラゴンだ。
ドラゴンは主人公に懐いてくれるようだ。
そして、懐いてくれるがあまり(?)、なんとスカーフとなって主人公の首に纏わりついた。
どうやら首が絞められる心配はなさそうなので、首元からドラゴンをたなびかせて、更に進んでいくことにする。
輝く糸
スカーフとなったドラゴンには事情があるようだ。
ドラゴンには大きな母ドラゴンがいた。
しかし、人型をした小さな者たちが襲ってきて、母ドラゴンの力を糸のように引き抜いて奪っていってしまった。
というわけで、主人公はその糸を集める手助けをすることになる。
しかし、母ドラゴンを襲ってきた者たちは、主人公とよく似ている2.5頭身マンで、主人公の仲間にも見える。
主人公は一体何者なのだろうか。
そして、母ドラゴンの力が集まった時、何が起こるのだろうか。
ゲームの特徴Features
遺跡巡り
本作は、遺跡を順番に巡って糸を集めていくアドベンチャーゲーム。
各遺跡が一つ一つステージとなっていて、探索と謎解きをしながら進み、所定の数の糸を見つければクリアとなり、次の遺跡に進めるようになる。
糸は、各遺跡に棲む2.5頭身マンが持っていて、彼らを追いかける形で探索していく。
スカーフアクション
本作は、謎解きとともに3Dプラットフォームアクション要素もある。
ゲームの進行に伴ってスカーフ(ドラゴン)の能力が増えて、2段ジャンプや滑空やスリングショットなどが可能になる。
これを駆使して、足場を渡って行ったり、ギミックを作動させる。
ちなみに、本作にバトル要素はない。主人公に体力やスタミナといった概念もない。
谷間に落下したり水没してしまうと、少し前からやり直しになるだけだ。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
3.5
かなーり抽象的な物語。
メッセージやテーマをなんとなーく感じる癒しの雰囲気ゲーだ。
ただ、探索中にインクと呼ばれる黒い闇を見つけることがある。
後述する収集要素でもあるけれど、これによって主人公やドラゴンの正体が分かってくるので、インクを積極的に探すと物語を理解しやすい。
で、インクを見つけるたびに主人公の身体が黒くなっていくので、「この2.5頭身マンって、もしかして闇堕ちするのでは」と心配になってくる。
これによって癒し一辺倒だけではなく、ちゃんと先が気になってきてゲームを進めたくなる。
コンパクトなゲームボリュームもちょうど良い。
もし、この闇の真実とコンパクトさが欠けていたら、途中で寝落ちしていたかもと思うくらい、超穏やかなゲームだ。
キャラクターの魅力
3.5
キャラにセリフはないけれど、主人公も追いかける対象の2.5頭身マン達も、ちょこまかと動いていて、仕草が可愛い。
主人公よりも糸を奪った2.5頭身マン達の方が、表情は分からないものの個性的。
スカーフとなったドラゴンも、たまにドラゴンの姿に戻ることがあり、主人公に懐く仕草が可愛い。
一方で、ナレーション入りのシーンでは物語の説明をしてくれるけれど、ゲームプレイのテンポと違い断片的な語りがザクッザクッと早めに流れる。なんだかチグハグ(内容は合っているけれど)。
しっかり語るか、もはや言葉は一切ない謎物語にしてしまうか、どちらかに振り切ってしまった方が、ゲームの穏やかなテンポが崩れなかったと思う。
操作性
3.5
挙動や操作感は大味。
癒しの雰囲気だけど、残念ながら操作していて「心地良いー!」とはならない。
でも、繊細な操作やアクションが求められるわけではないので、ゲーム攻略上は全く問題なし。
毎回押すべきボタンが表示されるし、迷うこともなく親切。
数回だけ、手に持ったアイテムを手放したのに常に持っているエア持ち運び状態になったり、段差の亜空間に閉じ込められたことはあったけれど、オートセーブが小刻みなので大変なバグに遭遇することはなく快適にプレイできた。
難易度バランス
3.5
ゲーム攻略の大半は謎解き。
特にヒント機能はないけれど、そんな必要もなくサクサク攻略できる簡単さだ。
プラットフォームアクションも、タイミングは厳しくなく、ゲームの雰囲気そのままに穏やかにプレイできる。
雰囲気を楽しむ。それが本作のメインだ。
ゲームシステム
3.5
上述もしたけれど、本作は良くも悪くもいわゆる雰囲気ゲーであり、ゲームとしてはシンプル。
でも、遺跡ごと異なるギミックが登場するし、ほんわか刺激がある謎解きが楽しめる。
また、各遺跡は縦にも横にも広くて、探索が楽しい。
「何かちょっとゲームしたいな」という時にピッタリなゲームだ。気負わず構えずプレイできる。
やりこみ要素
4.0
ここまで、ひたすら「癒し」と書きまくってきたけれど、やり込み要素のコンプリートは意外と大変。
各遺跡には、上述した物語の真相が分かる闇のインクと、オモチャと絵が一定数置かれている。
これを全て見つけ出すのがやり込み要素だ。
隅々まで探索しないとコンプリートするのは難しい。
この3つのやり込み要素のうち、インクがある場所の近くには禍々しい石碑が目印として置かれているので、1番見つけやすい。
ちなみに本作はマルチエンディング。やり込み要素が条件になっている。
私は探索が楽しくて最初から隠しエンディングに入ってしまい、「あ、これバッドエンディング見てから、やり直して真エンドに向かうやつだ」と、やっちまった感を抱えながらエンディングを見ることになってしまった。
また、その他にも遺跡にある特定の物で遊んだりすると実績解除になるものもある。
別に報酬はないけれど、2.5頭身マンの可愛い仕草を見ることが出来て、心がほっこり。
グラフィック
4.0
グラフィックは、滑らかな3DCG。
ローポリゴンではあるけれど、風景が美しくて綺麗。
滑空しながら眺めるのが本作最大の癒しポイント。
遺跡の遺跡感(変な日本語だけど)がしっかり醸し出されているし、スカーフが光るデザイン含めて、本作をプレイしていると名作ADV『風ノ旅ビト』を思い起こした。
サウンド
4.0
BGMももちろん癒し。
そして、風や石が擦れる音や虫の音など環境音がしっかりすぎるほど鳴っている。
特に茂みに突入すると、カサッどころではなく、ガサガサガサァッ!と葉が鳴る。
どれだけ豪快に茂みをかきわけてるんだ。
落ち着いた癒しの雰囲気のなかで、ガサァッと大きな音が鳴るので「茂みから不審者か!?いや、自分か」と毎回後ろを振り返ってしまう。最後までなかなか慣れなかった。
でも、茂みに入りさえしなければ、ASMRのような心地いい自然の音を堪能しながら冒険できる。
総合評価Summary
3.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
美しい風景
癒やされる雰囲気
キャラの仕草が可愛い
残念なところ
ゲームプレイは単調
物語のまとまりが薄い
オススメな人
雰囲気ゲーが好き
短時間で攻略できるゲームを探している
難しいゲームをする気分じゃない
オススメではない人
やりごたえのあるゲームを求めている
物語を楽しみたい
戦いたい
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風ノ旅ビト
ほんのり謎解きしながら雰囲気を楽しむアドベンチャーなら、こちらもおすすめ。砂漠に点在する遺跡を巡っていく。風に乗る浮遊感が気持ち良い。
Arise A Simple Story
ほんのり謎解きしつつ、ゆるいプラットフォームアクションで進むアドベンチャーゲームなら、こちらもおすすめ。とある老人の思い出を基にした美しく不思議な風景が魅力。
Scarf
布タイプのドラゴン
形を変えるドラゴンと共に遺跡を巡って謎解きとプラットフォームアクションが楽しめるパズルアドベンチャーゲーム。
風景の美しさやキャラの可愛い仕草が魅力的で、雰囲気を味わうゲーム。
Scarf スカーフ
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