『ザァオ ケンゼラの物語』レビュー: 父が息子に遺したメトロイドヴァニア – Tales of Kenzera ZAU
太陽と月の力を操り、生死の狭間を駆け抜けるメトロイドヴァニア『ザァオ: ケンゼラの物語 Tales of Kenzera: ZAU』をネタバレなしで、攻略のコツと各要素の評価を交えてレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
ザァオ ケンゼラの物語製品情報
タイトル | ザァオ: ケンゼラの物語 Tales of Kenzera: ZAU |
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開発元 | Surgent Studios |
対応機種 | PS5, Nintendo Switch, Xbox, PC, |
ジャンル | メトロイドヴァニア, 2D横スクロールアクション, |
本稿では、PS5版のレビューを行なっている。
ザァオ ケンゼラの物語の攻略
ストーリー
バァバを亡くしたズベリッ
本作は、中央〜南アフリカで暮らす人々が培ってきたバントゥー文化をベースにして作られている。
物語は、バントゥー文化と未来が混ざったようなアマラという世界から始まる。
そこには悲しみに打ちひしがれる少年ズベリッがいた。ズベリッのバァバ(父親)が病気で亡くなってしまったのだ。
父の死を受け入れられないし、受け入れたくもないズベリッだったけれど、ママァ(母親)から手渡された本を読んでみることにした。
この本の作者はバァバだ。父は自身の体が病に冒されいていると知った後に、この本を書き始めたそうだ。自伝か遺書だろうか。
ケンゼラの世界へ
ズベリッの父が書いたのは、ケンゼラという世界が舞台の物語だった。
その物語の主人公はザァオという若いシャーマン。ザァオは最愛の父を亡くしたものの、その父を生き返らせようと死を司る神カルンガに願いを捧げる場面から物語は綴られている。
そう、ズベリッとザァオの状況はかなり似ている。
この物語は、ズベリッの父が超個人的な趣味で書いた小説というわけではなく、父から息子へのメッセージなのだ。
ザァオが挑む試練
というわけで、ゲームでプレイするのはズベリッの父が書いた物語の方だ。
ケンゼラの物語の中では、父を亡くした主人公ザァオの祈りにこたえて死の神カルンガが登場した。
ケンゼラの世界には、カルンガがもたらす死を拒絶した大精霊が3体いる。つまり、カルンガが取り逃がした大獲物だ。
ザァオは、この3体の大精霊を死の世界へ送るから、その代わりにザァオの父を死の世界から返せと死の神カルンガに取引を持ちかけた。
めちゃくちゃ大胆な若者ザァオだけど、なんとカルンガはその取引に乗ってくれた。なんでも言ってみるもんだ。
こうしてザァオの試練が始まった。しかし、この物語を書いたズベリッの亡き父の真意とは一体何なのだろうか。
攻略のポイント
物語を辿るメトロイドヴァニア
本作は物語に沿って各地を旅していく物語主導型のメトロイドヴァニアゲームだ。メインストーリーはいくつかの章に分かれている。
目的地はマップ上に表示される。しかも新しいエリアに入った途端に、そのエリアのマップが一挙公開されるので、それを頼りに進んでいく。
もちろん特定の扉を開けられるようになるなど新たな移動スキルを習得すると、通過済みのエリアでも新たに探索できる場所があるといったメトロイドヴァニア要素はある。
各地にはヤンボの焚火があり、そこに近づくと体力回復ができるし、焚火間でファストトラベルもできる。
月と太陽の仮面
ザァオは、月と太陽の仮面を切り替えて戦う。いつでもサッと切り替え可能だ。それぞれに必殺技もある。
- 月の仮面
- 遠距離攻撃が可能
- 敵や水を凍らせて時を動きを止めることができる
- 必殺技は横方向のビーム
- 太陽の仮面
- 近接攻撃が可能、コンボを繋げて攻めることができる
- 槍を投げて攻撃やギミック作動が出来る
- 必殺技は縦方向の火柱
敵を攻撃するごとにパワーが溜まっていき、それを消費して体力回復や必殺技のを放つことができる。
シャーマンスキルと装身具で強くなる
本作では敵を倒すとウーロジーと呼ばれる経験値を獲得し、一定量溜まるとシャーマンポイントを獲得する。
シャーマンポイントによって、月と太陽の仮面それぞれの新たなスキルをアンロックしたり、アップグレードすることができる。
本作では各所に小刻みにチェックポイントが設定されており(オートセーブが行われる)、デスペナルティは特にない。
ゲームオーバーになったら直前のチェックポイントからやり直しになるのみで、経験値を失ったりはしない。
また、主に寄り道では装身具を拾うことができる。装身具を装備すると与ダメージ量が上がったり経験値獲得量が上がるといったボーナスが発動する。
最新ゲーム情報
ザァオ ケンゼラの物語の評価
物語の面白さ
大切な人を失った時にどう乗り越えるか、死はどう受け入れるべきなのか、それをバントゥー文化の伝承を交えて語られる物語だ。
バントゥー文化に詳しくなくても、誰しもが経験するだろう喪失感が描かれているので、共感しやすい。
私はバントゥー文化にほぼ触れたことがないので、登場する神々自体も新鮮で面白かった。
ザァオは感情的になりやすいものの、徐々に考え方や言動が落ち着いてくる。
この成長ぶりは目を見張るレベルだ。「ザァオ、気持ちは分かるけれど、落ち着こうよ」と思っていたら、「え、もう達観し始めてるじゃん」と驚かされる。というわけで、物語はザクザク進む。
テンポは良いけれど、本作は物語主導ゲームだし、大切な人の死という切ないテーマなので、もっとじっくり丁寧に描かれてもいいと思った。
キャラクターの魅力
上述した通り、ザァオは最初は若くて青い。自分の希望が最優先だし、カルンガの話を茶化したり、根拠のない自信もある。これはこれで、若者らしくて見ていて微笑ましい。
あらすじを読むと予想がつくとは思うけれど、そこから神々と対峙することで精神的に成長していく。
NPCは、その成長のために登場する。各キャラとの交流を通してザァオが何かを学ぶことになるので、印象的なキャラとして記憶に残る。
ただ、キャラの数はかなり少なく、イベントシーンのみにしか登場しないので会話を楽しむ余裕はあまりない。
しかし、本作は死を覚悟したズベリッの父が書いている物語なので、余計なことまで書いている暇なんてなかったのだろう。
操作の快適さ
最初からめちゃくちゃキビキビ素早く動ける。
メトロイドヴァニアといえばお約束の2段ジャンプや空中ダッシュは最初から使えるので、冒頭から動きまくれる。
そうしたアクションを駆使するハイペースなバトルやプラットフォームアクションが気持ち良い。仮面を切り替えながら舞うように戦えるのは手触りが良く、ゲーム最初からどんどんプレイしたくなっていく。
ただ、細かな部分は気になるところがある。
壁に近づくと意図せず壁ジャンプしてしまうし、敵に触れると謎のお見合い時間が発生することがあるし(ザァオも敵も行動しない)、マップ画面を閉じ直後はザァオが移動できない謎の硬直時間も発生する。今後の修正に期待したいところだ。
難易度バランス
本作には難易度設定はない。で、プレイしていて難しさを感じることは、ほぼない。
敵の配置数や密度は少ないし、マップ構造もシンプル。そもそもあらたなエリアに入った途端にマップが開示されてしまうので迷うこともない。
特定の場所では全敵を倒さなければ先に進めないし、アーマー持ちの敵はアーマーゲージーを削り切らないと自然回復する。
というわけで、ヌルすぎるというわけではない。当たると一撃死という殺意むき出しなトゲも多い。
でも、小刻みにリトライポイントが設定されており、デスペナルティもないので、サクサク攻略できる難易度バランスになっている。
そのため、敵に追い込まれつつも迷子になるがっつりメトロイドヴァニアに慣れている人にとっては物足りないと思う。
ゲームシステムの面白さ
本作は、メトロイドヴァニアとしては珍しく物語主導のゲームだ。
月と太陽の仮面それぞれに強みと弱みがあり、切り替えながら戦う罵倒は面白い。ガンガン進めるテンポの良さも心地良い。
ただ、上述した通り、物語主導のゲームではあるものの物語の描き方はざっくり。そしてメトロイドヴァニアとしては、道に迷う楽しさや敵が少なく物足りない。
バントゥー文化という本作ならではのユニークさは魅力だし、二つの仮面は面白いし、良い材料は揃っている。しかし、面白くなりそうな可能性に比して、こじんまりまとまっちゃったという感じだ。
ゲームとしてはちゃんと面白いし、プレイしていると「楽しい!気持ち良い!」と感じるからこそ、うーん、惜しい!
やり込み要素の楽しさ
各地にはエコーと呼ばれる割れた水晶のようなものが浮かんでいる。
ここでは、その場所にちなんだエピソードを知ることが出来る。
また、寄り道では、ちょっとプラットフォームアクションなど正規ルートよりはアクションの腕が試される道を進まなければならない。その先では新たな装身具を手に入れることができる。
というわけで、装身具やエコーなどを集めて回るのがやり込み要素だ。
マップ画面からは、各要素の回収度を確認できるので、コンプリートを目指しやすい。
グラフィックの芸術性
背景も前景も美しい3DCGで描かれる。
色とりどりで、太陽と月の仮面それぞれでのエフェクトも綺麗。神秘的で自然豊かであり、西洋や東洋にはない独特の雰囲気が流れている。
個人的には、ズベリッが住む未来感溢れるアフリカンな世界がめちゃくちゃ魅力的。伝統的な模様などが活かされた未来デザインがかっこいい。
サウンドの魅力
BGMも神秘的ではあるけれど、アフリカンな力強い空気を感じる曲が多い。
月と太陽の仮面それぞれで攻撃時の音も変わり、効果音は派手でアクションがより気持ち良くなる。
PS5版では、コントローラーからも効果音やエコーのナレーションが響いてくるので臨場感が増す。
本作と似ているゲームや関連作は更に下へ
ザァオ ケンゼラの物語レビューのまとめ
おすすめな人
- ハイペースなアクションが好き
- 物語を楽しみたい
- バントゥー文化に触れてみたい
おすすめではない人
- 歯ごたえのある探索やバトルを求めている
- 寄り道豊富なマップ構造が好き
- 長時間遊べるゲームを探している
総合評価良いところ&残念なところ
- キビキビと気持ちの良いアクション
- バントゥー文化を活かした美しい世界
- 共感しやすい物語
- 探索の面白さが少ない
- テンポは良いが、物足りない
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ザァオ: ケンゼラの物語 Tales of Kenzera: ZAU
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