【ザァオ ケンゼラの物語】父が息子に遺したメトロイドヴァニア – Tales of Kenzera ZAU攻略とレビュー
太陽と月の力を操り、生死の狭間を駆け抜けるメトロイドヴァニア『ザァオ: ケンゼラの物語 Tales of Kenzera: ZAU』。
ザァオ ケンゼラの物語の特徴
- ストーリー: 父を亡くした若者が試練に挑むというゲームの中の本に綴られた物語を辿る
- 攻略: 戦い方が変わる月と太陽の仮面を切り替えて立ち回る
- 評価: メトロイドヴァニアとしての面白さは少なめだけど疾走感が気持ち良く、物語を楽しむゲーム
- 2つの仮面を切り替えるハイペースなバトルが楽しい
- エキゾチックな雰囲気の美しい景色を堪能できる
- 探索要素は軽め
- 物語主導型ではあるものの描き方がざっくりとしている
『ザァオ ケンゼラの物語』をネタバレなしで、攻略のコツと各要素の評価を交えてレビュー。本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
ザァオ ケンゼラの物語の攻略
ザァオ ケンゼラの物語の概要
タイトル | ザァオ: ケンゼラの物語 Tales of Kenzera: ZAU |
---|---|
開発元 | Surgent Studios |
販売元 | Electronic Arts |
発売日 | 2024年4月24日 |
対応機種 | PS5, Switch, Xbox, PC |
ジャンル | メトロイドヴァニア, 2D横スクロールアクション |
シリーズ | 新規IP |
プレイ機種 | PS5 |
ストーリー
バァバを亡くしたズベリッ
本作は、中央〜南アフリカで暮らす人々が培ってきたバントゥー文化をベースにして作られている。
そんな本作の物語は、バントゥー文化と未来が混ざったようなアマラという世界から始まる。
アマラには悲しみに打ちひしがれる少年ズベリッがいた。ズベリッのバァバ(父親)が病気で亡くなってしまったのだ。
父の死を受け入れられないし受け入れたくもないズベリッだったけれど、ママァ(母親)から手渡された本を読んでみることにした。この本の作者はバァバだ。父は自身の体が病に冒されいていると知った後に、この本を書き始めたそうだ。自伝か遺書だろうか。
ケンゼラの世界へ
ズベリッの父が書いたのは、ケンゼラという世界が舞台の物語だった。
その物語の主人公はザァオという若いシャーマン。ザァオは最愛の父を亡くしたものの、その父を生き返らせようと死を司る神カルンガに願いを捧げる場面から物語は綴られている。
そう、ズベリッとザァオの状況はかなり似ている。
この物語は、ズベリッの父が超個人的な趣味で書いた小説というわけではなく、父から息子へのメッセージなのだ。
ザァオが挑む試練
というわけで、ゲームでプレイするのはズベリッの父が書いた物語の方だ。
ケンゼラ世界の物語では、父を亡くした主人公ザァオの祈りにこたえて死の神カルンガが現れた。
実はケンゼラの世界には、カルンガがもたらす死を拒絶した大精霊が3体いる。つまり、カルンガが取り逃がした大獲物だ。
ザァオは、この3体の大精霊を死の世界へ送ってみせるから、その代わりにザァオの父を死の世界から返せと死の神カルンガに取引を持ちかけた。
めちゃくちゃ大胆な若者ザァオだけど、なんとカルンガはその取引に乗ってくれた。なんでも言ってみるもんだ。こうしてザァオの試練が始まる。
しかし、この物語を書いたズベリッの亡き父の真意とは一体何なのだろうか。そして、ズベリッは何を学ぶのだろうか。
攻略のポイント
物語を辿るメトロイドヴァニア
本作は物語に沿って各地を旅していく物語主導型のメトロイドヴァニアゲームだ。メインストーリーはいくつかの章に分かれている。
目的地はマップ上に表示される。しかも新しいエリアに入った途端に、そのエリアのマップが一挙公開されるので、それを頼りに進んでいく。
もちろん特定のギミックを利用できるようになるなど新たな移動スキルを習得すると、メインストーリーで攻略済みのエリアに戻ると新たに探索できる場所があるといった自分で探索するメトロイドヴァニア要素はある。
また、各地にはヤンボの焚火があり、そこに近づくと体力回復ができるし、焚火間ではファストトラベルもできる。
そして、やり込み要素にあたるのがエコー。各地にある水晶のようなエコーを調べると、その場に関連した伝承と物語を知ることができる。
月と太陽の仮面を切り替えて戦う
ザァオは、月と太陽の仮面を切り替えて戦う。いつでもサッと切り替え可能だ。それぞれに必殺技もある。
- 月の仮面
- 遠距離攻撃が可能
- 敵や水を凍らせて時を動きを止めることができる
- 必殺技は横方向のビーム
- 太陽の仮面
- 近接攻撃が可能、コンボを繋げて攻めることができる
- 槍を投げて攻撃やギミック作動が出来る
- 必殺技は縦方向の火柱
敵を攻撃するごとにパワーが溜まっていき、それを消費して体力回復や必殺技のを放つことができる。
シャーマンスキルと装身具で強くなる
本作では敵を倒すとウーロジーと呼ばれる経験値を獲得し、一定量溜まるとシャーマンポイントを獲得する。
シャーマンポイントによって、月と太陽の仮面それぞれの新たなスキルをアンロックしたり、アップグレードすることができる。
本作では各所に小刻みにチェックポイントが設定されており(オートセーブが行われる)、デスペナルティは特にない。ゲームオーバーになったら直前のチェックポイントからやり直しになるのみで、経験値を失ったりはしない。
また、寄り道では装身具を拾うことができる。装身具を装備すると与ダメージ量が上がったり経験値獲得量が上がるといったボーナスが発動し、どれを装備するかはプレイヤーが好きに選べる(装備可能数もやり込み要素で増やせる)。
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ザァオ ケンゼラの物語のレビュー
物語: 死に向き合う教訓を得られる物語
大切な人を失った時にどう乗り越えるか、死はどう受け入れればよいのか、それがバントゥー文化の伝承を交えて語られる。バントゥー文化に詳しくなくても、誰しもが経験するだろう喪失感が描かれているので、共感しやすい。
私はバントゥー文化にほぼ触れたことがないので、登場する神々や伝承自体も新鮮で面白かった。
堅苦しいわけではなく、ザァオの物語は分かりやすい。ザァオは感情的になりやすいものの、徐々に考え方や言動が落ち着いてくる。
この成長ぶりは目を見張るレベルだ。「ザァオ、気持ちは分かるけれど、落ち着こうよ」と思っていたら、「え、もう達観し始めてるじゃん」と驚かされる。というわけで、物語はザクザク進む。
NPCは、ザァオが成長するために登場する。各キャラとの交流を通してザァオが何かを学ぶことになるので、印象的なキャラとして記憶に残る。
ただ、キャラの数はかなり少なく、サクッとしたイベントシーンのみに登場するので、会話を楽しむ余裕はあまりない。
テンポは良いけれど、本作は物語主導ゲームであり、大切な人の死という切ないテーマなので、もっとじっくり丁寧に描かれてもいいと思った。テーマの割にはあっさり風味だ。
本作は死期が迫っていた時のズベリッの父が書いている物語なので、余計なことまで書いている暇なんてなかったのかも。
操作性: 細やかさには欠けるけれど、素早く動き回れる
ザァオは、最初からめちゃくちゃキビキビ素早く動ける。メトロイドヴァニアといえばお約束の2段ジャンプや空中ダッシュを冒頭から使えるので、ゲームスタートと共に動きまくれる。
そうしたアクションを駆使するハイペースなバトルやプラットフォームアクションは気持ち良い。仮面を切り替えながら舞うように戦えるのは手触りが良く、ゲーム最初からどんどんプレイしたくなっていく。
ただ、細かな部分は気になる。
壁に近づくと意図せず壁ジャンプしてしまうし、敵に触れると謎のお見合い時間が発生することがあるし(ザァオも敵も行動できなくなる)、マップ画面を閉じた直後にザァオが移動できない謎の硬直時間も発生する。今後の修正に期待したいところだ。
難易度: どんどん攻略できてしまう
本作には難易度設定はない。そして、プレイしていて難しさを感じることは、ほぼない。
敵の配置数や密度は少ないし、マップ構造もシンプル。新たなエリアに入った途端にマップが開示されてしまうので迷うこともない。
でも、特定の場所では全敵を倒さなければ先に進めないし、アーマー持ちの敵は時間経過で体力が自動回復してしまうので厄介だ。
というわけで、ヌルすぎるというわけではない。当たると一撃死という殺意むき出しなトゲも多い。また、寄り道では正規ルートよりプラットフォームアクションの腕が試されるところも多い。
でも、小刻みにオートセーブ地点が設定されており、デスペナルティもないので、サクサク攻略できる難易度だ。
そのため、敵に追い込まれながら道に迷うしっかりメトロイドヴァニアゲームに慣れている人にとっては物足りないと思う。
ゲームシステム: ほんのりメトロイドヴァニアで物語を楽しむゲーム
月と太陽の仮面それぞれに強みと弱みがあり、切り替えながら戦うバトルは面白い。ガンガン進めるテンポの良さも心地良い。
ただ、上述した通り、メトロイドヴァニアゲームとしては珍しく物語主導型ではあるものの物語の描き方はざっくり。そしてメトロイドヴァニアゲームとしては、道に迷う楽しさや敵が少なくて物足りない。
バントゥー文化という本作ならではの雰囲気やエピソードは魅力的だし、仮面の切り替えは面白いし、良い材料は揃っている。しかし、面白くなりそうな可能性に比して、こじんまりまとまっちゃったという感じだ。
ゲームとしてはちゃんと面白いし、プレイしていると「楽しい!気持ち良い!」と感じるからこそ、うーん、「勿体ない!惜しい!」と思う。
芸術性: 力強く美しい絶景が広がる2.5D
背景も前景も美しい3DCGで描かれる。
色とりどりで、太陽と月の仮面それぞれでのエフェクトも綺麗。神秘的で自然豊かであり、西洋や東洋にはない独特の雰囲気が流れている。
個人的には、ズベリッが住む未来感溢れるアフリカンな世界がめちゃくちゃ魅力的。伝統的な模様などが活かされた未来デザインがかっこいい。
BGMも神秘的ではあるけれど、アフリカンな力強い空気を感じる曲が多い。
月と太陽の仮面それぞれで攻撃時の音も変わり、効果音は派手でアクションがより気持ち良くなる。PS5版では、コントローラーからも効果音やエコーのナレーションが響いてくるので臨場感がより増す。
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ザァオ ケンゼラの物語の総合評価
Tales of Kenzera: ZAU
総合評価
美しい風景と、仮面を切り替えるハイペースなバトルとプラットフォームアクションを楽しめるメトロイドヴァニアゲーム。探索要素は物足りなく、物語を辿るのがメイン。
おすすめな人 | ハイペースなアクションが好き 物語を楽しみたい バントゥー文化に触れてみたい |
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おすすめではない人 | 歯ごたえのある探索やバトルを求めている 寄り道豊富なマップ構造が好き 長時間遊べるゲームを探している |
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プリンスオブペルシャ
失われた王冠
- こちらもエキゾチックな雰囲気が魅力
- ペルシャを舞台にしたメトロイドヴァニア
- 時を操る能力を使って立ち回るバトルが特徴
フィスト 紅蓮城の闇
- こちらも2.5Dグラフィックが美しいメトロイドヴァニア
- 背中の武器を切り替えながら戦うバトルも魅力