『The Last Spell』とは、Ishtar Gamesが開発したストラテジーゲームでありローグライクゲームでもある。
本作は、早期アクセスで配信されていたけれど、遂に製品版としてフルリリースとなった。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、PCでプレイ可能。私はPC版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
破壊力抜群の魔法
争いの絶えない世界で、ヘロニム・テラーという魔術師が超強力な魔法を編み出した。
そして、魔術師テラーは世界の争いを止めようと、その超強力魔法を使い、街が1つぶっ飛んでしまった。
その街には王様の家族がいたにも関わらず、やらかしてしまった魔術師。
王様はもちろん激怒りだけど、同時にその魔法の強さにも魅せられてしまった。
そして、王様は自国の魔術師にも超強力魔法を習得させ、争っている隣国や街を吹っ飛ばすように命じていく。

自業自得な人類
そこからは魔法合戦だ。他の国も魔法を習得し乱用し始める。
破壊の限りを尽くした人間たち。もはや何のために争っていたのか、世界はボロボロだ。
そして、やっと戦争は終わり、世界に静寂が訪れた。
しかし、傍若無人に世界を壊しまくった人類には手痛いしっぺ返しが待っていた。
世界には霧が立ち込め、大量の魔物たちが現れて人間を襲う。そして、あっという間に人類存亡の危機に陥ってしまった。

究極魔法
世界を壊したのが魔法なら、世界を救うのも魔法だ。人類はたくましい。
この世界に蔓延してしまった呪いを一掃するため、最後の呪文である究極魔法 The Last Spell の発動だ!
よし、やってやれ!魔術師!
…魔術師?
あれ?まだ?もしもし、魔術師さん?
な、なんだって?発動するためにはまだまだ時間がかかるって!?
でも、もう究極魔法しか望みがないんだ。よし、詠唱する魔術師をみんなで守るぞ、持ち堪えるんだ!

ゲームの特徴Features
昼も夜も全力投球

本作は、街の中央で究極魔法 The Last Spell を唱えている魔術師を、毎晩攻めてくる魔物から守りきるのが大きな目的。
詠唱を終えるまでには何日もかかり、昼と夜の2つのパートを繰り返すことになる。
夜パートがバトルであり、英雄たちが大群の魔物と戦うタクティクスバトルを行う。
昼パート(生産フェーズと呼ばれる)では、街や防衛設備を整え、英雄を強化したりなど、次の夜のバトルに向けて準備することになる。
夜パートでは全ての魔物を倒しきり、昼パートではプレイヤー自身が「フェーズ終了」を選択すると、次の昼か夜に変わる。自動で時間が流れているわけではない。
少数精鋭バトルの夜

夜のバトルでは、中央の街に向かって東西南北いずれかから魔物が攻めてくる。複数の方向から一気に攻めてくる夜もある。
バトルはタクティクスバトルで、味方ターンと敵ターンが交互に変わる。
英雄には行動ポイントと移動ポイントがあり、各ポイントを使い切るまでならスキル(発動可能回数には制限あり)を複数回使用できるし、移動も自由。
味方ターン内なら、他の英雄に切り替えることも可能。ある英雄のポイントが残っている状態で別の英雄を操作し、また元の英雄の操作に戻ることもできるわけだ。
各英雄には体力ゲージとアーマーゲージ、マナゲージあり、特定のスキルにはマナ消費も必要となる。
体力とマナはバトルを終えると一定量自動回復する。必ずしも全快とはならないので、次の夜のことも考えてやりくりしなければならない。
守りを固める昼

夜のバトルが終わると、英雄は経験値を獲得し、バトル内容に応じて報酬も貰える。
レベルアップした英雄は、ランダムで提示されるアップグレードやスキルツリーのアンロックができる。
そして、お金とマテリアル(建築素材)を使って、英雄の戦いをサポートする便利な施設や魔物の行手を阻むバリケードなど防衛施設を建築する。
ショップもあり、英雄の装備品を新調することもできる。
また、街には働いてくれる一般人もいて、お金やマテリアルを採掘してもらったり、自動回復では足りなかった英雄の体力やマナを回復するよう祈りを捧げてもらうなど、仕事を依頼することができる。
永続効果

本作はローグライクゲームなので、The Last Spellを唱えている魔術師がいる魔法陣が破壊されるとゲームオーバーになり、1からやり直し。
しかし、永続効果である引き継ぎ要素もある。
バトルで得る穢れたエッセンスを捧げたり特定の目標を達成することで、異空間にいる悪魔と神のような奴から永続効果をアンロックしてもらうことができる。
英雄のステータスが向上したり、建設できる設備が増えたりするので、徐々に多くの夜を生き延びられるようになっていく。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ

4.0
ゲームが始まると、ひたすらバトルと防衛や編成を繰り返すだけなので、物語の描写はほぼない。
プレイヤーは街の司令官という立場になっていて、どこかから指示を飛ばしているらしく、ゲーム内で姿が見れるわけではない。
それでも、世界設定が面白い。
英雄が魔物の親分を倒しにいくのではなく、魔法詠唱するまで魔術師を守るという設定が新鮮。
描写は少なくとも、崖っぷち感が身に沁みるゲームプレイになっているので、自ずと絶対生き延びてやる!という気持ちになってくる。
キャラクターの魅力

4.0
本作のキャラといったら英雄たちだ。で、この英雄たちがなかなか良い。
英雄たちは、バトル中にたまにセリフを言う。
敵を一気に何体か倒すと「ゲーーップ」とか「ヒーハー!」とか口走り、命知らずのヒャッハーな感じだ。
それでいて、バトル開始時には「死にたくない!」と弱気な人間らしいセリフを吐いたり、魔物が大量に現れると「生き延びるぞ!」と仲間を鼓舞したりする。
かなり厳しい戦いなので、ついつい険しい顔になってプレイしてしまうんだけど、英雄たちのセリフのおかげで和んだり勇気が湧く。
あと、もう1人、大切なキャラが。
街の中央で詠唱を続ける魔術師だ。
「早く詠唱終わらせてくれよ!」と思うけれど、魔術師は本当に必死で詠唱している。
大量の魔物には見向きもせず全身全霊で詠唱している様子は、なんだかシュールだ。
操作性

4.0
タワーディフェンスとタクティクスバトルを織り交ぜたストラテジーゲームなので、出来ることや確認できるパラメータなども多い。
いろんなボタンや数値が画面上に並んでいる。見にくいというわけではないけれど、情報はぎっしりだ。
私は、ゲームパッドでもマウス+キーボードでもプレイしたけれど、マウス+キーボードの方がプレイしやすいと思う。
カメラ移動や英雄たちの操作とは別に、パラメータ確認や建設メニューなどUI部分も操作することになるので、その切り替えや項目選択がゲームパッドだとなかなか面倒臭い。
表示の大きさは設定できるけれど、それでもUIのアイコンなどが小さめなので、小さい画面でプレイすると見づらいと思う。
難易度バランス

4.5
本作は、歯ごたえゴリゴリでバキバキだ。
敵の量が尋常ではない。毎回敵のターンになると敵がグングンッと一斉に街に近づき、その後ろから更に大量の敵が姿を現す。
毎ターン「もうやめてくれー!」と叫びたくなるほど大量だ。
それでいて英雄は少なすぎる(なんとゲーム最初は3人ぽっち!)し、回復手段は限られているし。厳しい夜が続く。
でも、攻略できないわけではない。
もちろん永続効果をアンロックするほど長生きしやすくはなるけれど、次の日のことを視野に入れながら昼夜しっかり戦略を練らなければジリ貧だ。
死んで強くなればいいやというローグライトというより、ちゃんとストラテジーなプレイが求められる。
味方が少ないので、各英雄の手数を増やしたり範囲攻撃スキルを活かして戦うのが勝利のコツ。
ゲームシステム

5.0
基地防衛と資源管理のストラテジー、敵が大量なタクティクスバトル、少しずつ要素が増えていくローグライト、2度と同じ戦いにはならないローグライク。
それぞれが相乗効果で面白くなっている。
いくつかのジャンルを組み合わせたゲームでは、結局のところそれぞれが独立していたり、面倒なゲームプレイになってしまうことも多い。
でも、本作は各要素が過不足なくまとまっていて、互いにちゃんと良い影響を及ぼし合っている面白いゲームシステムになっている。
難易度が高めなので「誰にでもおすすめ!」とはいかないかもしれないけれど、本作のゲームプレイはかなり面白い。
ストラテジーゲームに抵抗がなければ、ぜひ体験してみてほしい。
やりこみ要素

4.5
様々な永続効果をアンロックするのが、一番のやり込み要素。かなりの量がある。
新たな装備品や建設できる建物が増えていくと、戦い方の幅も広くなっていく。
また、毎晩のバトル終了時には評価がある(街が破壊されるほど、住人がパニックになって報酬も少なくなる)。より高い成績を目指すのもやり込み要素だ。
ちなみに、本作は、一般的なローグライクゲームより1回のラン(スタートからクリアもしくはゲームオーバーまで)が長い。
しかし、中断セーブができるので安心だ。まあ、それでも「あともう一戦!」とついついプレイを続けてしまうんだけど。
グラフィック

4.0
とっつきやすいピクセルアートグラフィックだ。
世界は壊滅状態なので、色鮮やかだったり絶景とはいかないけれど、丁寧に描かれている。
キャラは2頭身だけど、装備品を変えるとちゃんと見た目も変わるのが嬉しい。
また、キャラ詳細画面からは、見た目のカスタマイズが結構細かくできる。
名前も変更できるので、お気に入りの英雄にすると余計に死なせたくなくなる。
サウンド

4.0
毎晩絶望する。昼になっても世界は相変わらずボロボロ。
悲壮感漂うのかと思いきや、BGMはかなりにぎやかで威勢がいいロック調。
気持ちを盛り上げてくれるBGMと、常にギリギリな戦況。
アクションゲームではないものの、かなりハラハラできるゲームだ。
\\サントラはこちら//

総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
ストラテジーとローグライクが融合した面白システム
高難易度
世界設定が面白い
残念なところ
1回のランが長い(途中セーブ可能)
小さい画面だとUIが見にくい
オススメな人
ストラテジーゲームが好き
歯ごたえのあるバトルを求めている
ピンチな状況ほど燃える
オススメではない人
攻略しやすいゲームを求めている
長いバトルに耐えられない
複雑なゲームをする気分じゃない
おすすめ類似ゲーム本作に似たゲームはコチラ
ストラテジーとローグライクが融合したゲームなら、こちらもおすすめ。資源を産出しながらクリスタルを守って進んでいく。大量の敵が攻めてくるリアルタイムストラテジーも楽しめる。

大量の敵相手に少数で戦うタクティクスバトルなら、こちらもおすすめ。こちらでも行動ポイントを使い切るまでは自由に動けて、仲間との連携攻撃が有効な厳しめバトルが味わえる。

The Last Spell
史上最長の詠唱時間
拠点を補強して防衛するタワーディフェンスとタクティクスバトルが融合したローグライクゲーム。
各要素が相乗効果で面白くなっている、病みつきになるシステムが魅力。
少数で大量の敵に立ち向かう難易度の高さも魅力。
The Last Spell
©The Arcade Crew – Ishtar Games – 2023, all rights reserved.
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