『The Valiant』レビュー: 闇堕ちした友達と大げんか
『The Valiant』とは、KITE Gamesが開発したリアルタイムストラテジーゲーム。
本作は、PS5、Xbox、PCでプレイ可能。私はPC版をプレイ。
PvPやマルチプレイでプレイするモードもあるけれど、本稿はシングルプレイのキャンペーンについてのレビューとなっている。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
テンプル騎士団
本作の舞台は中世ヨーロッパ。
主人公のセオドリッヒはテンプル騎士団の一員として中東へ遠征しており、彼が現地勢力と激しく戦っている最中から物語は始まる。
セオドリッヒには指揮する部下だけはなく、心強い戦友のウルリッヒがいる。兄弟のように信頼し合う仲だ。
そんな2人は道中でうっかり何らかの遺跡に足を踏み入れてしまう(正確には落下事故だけど)。
そこで、ウルリッヒは杖の一部と思われる遺物を見つけ、手に取る。
セオドリッヒは「何それ?ふーん」とスルーしたけれど、ウルリッヒは杖に興味津々の様子。
ウルリッヒの暴走
「さて、今日も戦いますか」と、またいつものように戦いを繰り広げていると、突然ウルリッヒの部隊が単独行動をし始める。
「何してんだよ!」と追いかけたセオドリッヒは、ウルリッヒと共に敵親分との戦いに巻き込まれてしまう。
でも、なんとか無事に勝利できてひと安心。
ところが、ウルリッヒは、瀕死の敵親分相手に例の杖の使い方等を詳しく訊き出そうと躍起になっている。
そう、ウルリッヒは杖の呪いなのか何なのか、完全に杖に執着して闇堕ちしてしまったのだ。
セオドリッヒの旅立ち
その後、無事に帰国した2人だけど、ウルリッヒは杖パワーのおかげでみるみる出世していく。
一方、セオドリッヒは戦自体にも意味不明に豹変した友にも嫌気がさし、騎士団を辞めて田舎に引っ込んでいた。
それから10年以上の月日が流れたある日、セオドリッヒのもとにマルコムという修道士が訪ねてくる。
マルコム曰く、例の杖は人智を超えた力を持つアロンの杖の一部であり、他のパーツが揃ってしまうと大変なことが起こってしまうそうだ。
確かに、ウルリッヒのあの暴走ぶりを見るに、きっと良いことにはならなさそうだ。
というわけで、セオドリッヒは引退していた割にはすんなり二つ返事で、杖パーツをウルリッヒより先に見つけてやろうという旅に出る。
ゲームの特徴Features
旅路
本作は、ミッションクリアで物語が進んでいく。
ワールドマップからミッションを選び出撃部隊を選択してスタートする。
難易度はミッションごとに選択可能。
また、ミッションごとに目標が提示されており、ミッション中に手に入れられる装備品の数なども事前に確認してスタートすることができる。
設定されている各目標を達成出来たら、ミッションクリア経験値に加えて、それぞれの目標に応じた経験値を獲得できる。
戦いを指揮する
ミッションでは、出撃した部隊の移動や攻撃対象を指示していくことになる。
部隊にはヒーローユニット(主要キャラがリーダー)と一般兵ユニット(名もなき戦士たち)がいる。
動かしたいユニットを選択して、目的地もしくは攻撃対象の敵部隊を指定すると自動で移動していく。
各ユニットは攻撃対象を指示していなくても射程範囲に敵が近づくと自動で攻撃を始めてくれる。
また、各ユニットには固有のスキルがあり、活力を消費して使用出来る。
現地でリクルート
ミッション中に一般兵ユニットが討ち死にすると、復活は出来ない。
しかし、補充キャンプでお金を支払うと、新たな部隊を追加することが出来る。
特定の場所では、素材を使って、敵を迎撃するための柵や監視塔などの施設を作ることが出来る。
お金や素材は、ミッション中に探索して見つけたり敵を倒すことで獲得できる。
ちなみに本作では、各ユニットは攻撃を受けるとアーマーゲージが減っていき、ゲージがゼロになると体力が削られていく。
アーマーゲージは時間回復するけれど、体力は補充キャンプなどでしか回復できない。
ヒーローの特権
ヒーロー(主要キャラ)たちは、経験値によってレベルアップしていく。
レベルアップ時にスキルポイントを獲得し、各キャラごとのスキルツリーをアンロックしていくことが出来る。
スキルツリーによって生じる効果は、そのヒーローと同じクラスの一般兵にも効果が及ぶので、味方全体が強化されるわけだ。
また、ミッション中に手に入れた装備品によってヒーローの装備や固有スキルを変えることが出来る。
こうしてヒーローたちは、ある程度好きに成長させていくことができる。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
リアルタイムストラテジーゲームはバトル続きになるゲームが多いので、「物語はオマケ程度かな」と思っていた。
ところが、プレイしてみると、しっかり物語が描かれていてびっくりした。嬉しいびっくり。
ミッションの前後にはカットシーン含めた会話があり、ナレーション担当の修道士マルコムの思いが日記調に語られる。
テンプル騎士団が登場するけれど軍記物ではなく、不思議な杖を取り巻くファンタジーな物語だ。
この時代の史実を詳しく知らなくても、すんなり物語に入っていけるのが嬉しい。
キャラクターの魅力
3.5
主人公のセオドリッヒは絵に描いたような硬派な騎士。
罪なき民が襲われているだと?助けに行くぞ!
困っている騎士がいるぞ!助太刀致す!
悪事をはたらいているやつがいるって!?全員まとめてぶっ飛ばす!
物語がしっかりあると上述したけれど、人間ドラマが細かく描かれるほどではないので、セオドリッヒは気持ち良いほどにサクサクと判断を下していく。
そんなセオドリッヒと意気投合した仲間たちが集まってくるので、みんな清々しい。
一方でウルリッヒは、闇落ちキャラの典型例だ。いい感じに腹立たしい。
操作性
3.5
本作はコントローラーフルサポートと表記されていたのでコントローラーでもプレイしてみたけれど、マウス+キーボードの方が圧倒的にプレイしやすい。
複数のユニットを選択したい時など、コントローラーではモタモタしてしまう。
でも、マウス+キーボードでも操作自体は分かりやすいけれど、ゲームプレイは煩雑になりがち。
今どのユニットを選択中か、どのスキルを使っているかがパッと見て分かりにくい。
ユニットとスキルメニューが連動して表示されたり、選択中の項目のエフェクト等がもっと見やすいと良かった。
難易度バランス
4.0
ミッションごとにイージー、ノーマル、ハードの難易度選択をしてプレイできる。
私はノーマル難易度でずっとプレイしていたけれど、歯ごたえしっかりあり。
かなりの数の敵ユニットが連続して攻めてくることも多く、時には一時撤退することも大事。
敵軍勢の方が多い場面ばかりなので、交戦状態で気を抜いたら一気にボロボロになってしまう。
でも、ゲームオーバーになっても、ミッション内のチェックポイントからやり直せる親切設計なのがありがたい。
ゲームシステム
4.0
出撃する部隊は少なめなので、防衛とか大軍同士の削り合いのリアルタイムストラテジーというより、RPGっぽく楽しめる。
派手さや目新しさはあまりないけれど、物語やヒーローの成長要素などによって先に進みたい意欲を刺激してくれる。
各ミッション内でも事態が二転三転するので、ミッションスタートするとクリアまで熱中してプレイしてしまう。
ただ、本作はチュートリアルがあまり親切ではない。
ヘルプ画面に新登場したスキルの説明は足されていくけれど、プレイ中には気づきにくい。
必要最低限の操作法だけ案内してもらったら、あとはプレイしながら自分でシステムを覚えていくことになる。
やりこみ要素
3.5
フィールド上には、装備品や宝箱が置かれている。
本作では、味方ユニットがいる地点から一定範囲内しか落ちているアイテムが見えないので、ウロウロ探索して見つけていくのがやり込み要素の一つ。
また、ストーリー上は侵攻しなくていい敵の拠点もある。
でも、各ミッションごとに設定されている目標をクリアして経験値をより多く獲得するのがやり込み要素でもあるので、余裕があれば敵拠点を潰して回るのがおすすめ。
また、PvPや協力プレイのゲームモードもあるので、キャンペーン以外も楽しめる。
グラフィック
3.5
最先端なグラフィックというわけではない。
でも、ゲームプレイ中は特に気にならない。
ほとんど遠めの頭上からの視点でプレイするので、そもそも高解像度である必要はない。
ところが、ミッション前後の会話シーンなどではキャラがアップになるので、荒さを感じてしまう瞬間はある。
サウンド
4.0
中世の雰囲気あふれるBGM。
でも、本作では曲よりボイスの方が魅力的。
フルボイスなので物語に興味が湧きやすいし、バトル中も「オーッ!」とかけ声上げたり、ピンチになると「もう…力尽きそうです…隊長…」と呻いたり、終始にぎやかだ。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
RPGとしても楽しめるリアルタイムストラテジー
物語を楽しめる
ミッションごとに難易度が選べる
残念なところ
UIや操作法がパッ見で分かりにくい
チュートリアルが親切ではない
オススメな人
リアルタイムストラテジーが好き
中世ヨーロッパの雰囲気が好き
成長要素を楽しみたい
オススメではない人
リアルタイムストラテジーに馴染みがない
ハイペースなバトル展開が好き
派手な演出を期待している
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ディオフィールドクロニクル The DioField Chronicle
スクエニなJRPGでリアルタイムストラテジーが楽しめる。RTSに馴染みがない人でもプレイしやすく、物語や召喚獣を使った派手な演出も楽しめる。
Bad North
騎士たちの戦いが楽しめるリアルタイムストラテジーならこちらもおすすめ。北欧が舞台で、島を襲ってくるヴァイキングたちを撃退していく。ローグライク要素も楽しめる。
The Valiant
闇堕ちした友達と大げんか
中世ヨーロッパを舞台に、不思議な杖にまつわる物語が楽しめるリアルタイムストラテジー。
キャラの成長要素もありRPGのようにもプレイすることができて、次から次へと攻めてくる敵とのバトルに夢中になる。
The Valiant
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