『大神 絶景版』とは

和で彩られた美しい世界・ナカツクニを舞台とした感動活劇「大神」が、高解像度になって登場。
色鮮やかにいきいきと描かれるグラフィックは、まさに絶景の名にふさわしく、息をのむ美しさ。大神アマテラスとなって、魅力的な登場人物たちとの心あたたまる物語に心震わせ、美しい大自然を駆けめぐろう。
PlayStation Store
物語が終焉を迎えた時、きっとあなたは涙に濡れる…。
2006年にPS2で発売された名実ともに神ゲーと呼ばれているタイトル。
日本画が生き生き動くグラフィックと、日本昔ばなしの雰囲気満点なあたたかいストーリー。
リメイクにより、更に美しく滑らかになり、もはや芸術の域に達しているゲーム。
なんと4K画質でもプレイ出来てしまう。
PS4、Nintendo Switch、Xbox One、PCでプレイ可能。
私はPS4版をプレイ。
ストーリー
神である白ワンコが主人公
主人公は犬。いや、厳密には狼。
正体は、神木村という村に伝わる「凶悪妖怪ヤマタノオロチ討伐伝説」で活躍した神であるアマテラス(天照大神)。

しかし、物語の冒頭に、何者かがヤマタノオロチを封印していた剣を引き抜いてしまう。

ヤマタノオロチが復活してしまい、それととも石像として祀られていたアマテラスも蘇ることとなる。
しかし、人から見るとただの白いワンコ。
全盛期の力も記憶も失ってしまったワンコは、相棒の虫サイズの絵師「イッスン」と共に、力を取り戻しながら、妖怪を討つため旅に出る。

日本昔ばなし
登場するキャラクターの多くは、日本昔ばなしでお馴染みの人物が元になっている。
かぐや姫や浦島太郎など、有名人ばかり。

しかし、昔ばなし通りでのイメージからかけ離れ、現代的な人間味溢れるキャラクターになっている。
個性の強いキャラも多い。
例えば、相棒のイッスンは、「一寸法師」から連想する「勇気いっぱいひたむき少年」というイメージはほぼなく、美人好きで巨乳好きの家出少年といった感じにイメージ崩壊している。


平安時代くらいの時代設定だが、現代的な口調になっていて、かなりフザケたシーンが多く、笑いを誘うセリフも多い
ストーリー上でも昔ばなしが元になっているエピソードが多い。

ゲームの特徴
日本画グラフィック
『大神』の最大の魅力の1つは、水墨画がそのまま動き出したようなグラフィック。
後述するアクションでも水墨画要素が登場するが、筆で描かれた墨の表現がふんだんに使われている。

どこを切り取っても絵画作品として成立しそうなほど芸術性が高い。
筆しらべ
『大神』の魅力のもう1つである「筆しらべ」。
PS4版では、R1ボタンを押すと、筆しらべモードになって時が止まり、スティックで筆を動かして画面上に墨で図形を描くことが出来る。


PS4版ではタッチパネル、Nintendo Switch版ではタッチスクリーン上に、指で図形を直接描けるようにもなっている。
時代が『大神』に追いついたわけだ。
冒険を進めていくと、少しずつ「描き方」を習得する。

決まった描き方があり、横線一本を描けば剣のように物が切れるし、丸を描いて上にチョンと線を足せば爆弾が現れる。
また、描く場所によっても効果が変わる。
空に丸を描くと太陽が現れて昼になるが、枯れ木に丸を描くと桜が咲く、そして、水面に丸を描くと蓮が現れて上に乗れるようになる。


芸術派アクションバトル
バトルは、シンボルエンカウントのアクションバトル。
鬼や天狗といった日本古来の妖怪たちが敵が現れる。

アマテラスは、鏡、剣、勾玉の三種の神器を近接武器として使える。
それぞれ攻撃の仕方や特徴が違うが、好みで使い分けたり、敵に合わせて装備を変える。


表装備と裏装備と2つの武器を装備して切替えながら戦うことができる
同じ武器でも表裏のどちらに装備するかで挙動が変わる!
また、バトルでも筆しらべを活用する。
しかし、妖怪も伊達に長年生きながらえているわけではない。
妖怪のごとに「弱点筆しらべ」が決まっている。
弱点筆しらべを描かない限り攻撃を当てられなど、筆しらべがバトルの鍵を握っている。

癒やしの日本画グラフィックとは裏腹に、近接攻撃はスピーディー、その合間に筆しらべも行うという、アグレッシブなアクションバトルとなっている。

特にボスバトルは、謎解きのように特定の筆しらべを組み合わせて使わなければならず、手も頭も忙しい
昼夜を超えて、筆しらべ、謎解き、お悩み解決
フィールド、ダンジョン、村と様々な場所を冒険するアマテラス御一行。
どこもかしこも謎解きが溢れている。
フィールドでは、タタリを祓ったり、様々な場所に宝箱も隠れている。

村では、住人の悩みを「神による奇跡」のように解決していくサブクエストも豊富にある。
NPCたちは昼夜で行動が変わるので、サブクエストのクリアには昼夜にまたがった行動が必要なことも多い。

ダンジョンでは、筆しらべによるギミックを使った謎解きが多い。
ダンジョンスタートから奥で待ち構えるボス戦まで、筆しらべを最大限に使いまくる。
一方で、タイミング良くジャンプするなどがアクションの腕が試される場面もある。

神の強さとは
アマテラスは、経験値でレベルアップして強くなるわけではない。
バトルで手に入るのはお金やアイテムだけ。
アマテラスは、人々の幸せと信仰心で強くなっていく。
人々のお悩み解決してあげたり、フィールドに残る「羅城門」などの祟られた場所を浄化したり、野生動物に餌をあげると、「幸玉」という幸せの塊が集まってくる。


筆しらべのアップグレードも可能!
メインストーリーのみ追っていると見逃しやすいので注意。
散らばった珠
各所で「はぐれ珠」という宝物を手に入れることが出来る。
「全部集まるとすごいことになるかもよ」とアナウンスが入るとおり、後々すごいことが起きる。
世界中隅々まで探索し、サブクエストも全てクリアしないと全て揃えることができないので、はぐれ珠収集数が、そのまま『大神』のやり込み度になっている。

ミニゲームの報酬だったり、様々な筆しらべを習得していないと手に入れられない場所にも隠されている。

評価
良いところ
- 華やかな日本画のまま動くグラフィック
- 自分で筆を持って描く筆しらべシステムの面白さ
- 筆しらべがしっかり活かされた数多くの謎解き
- 日本昔ばなし的ほっこりストーリー
残念なところ
ほぼなし
強いて挙げると
* カメラの死角が気になる
* メッセージのテンポがゆっくり
感想
噂通りの名作っぷり
オリジナル版はプレイしたことがなく、初めてプレイした。
神ゲーだという評判は知っていたが、プレイしてみて、その噂通りだった。
いや、実のところ、期待以上だった。

リメイクっていうと、グラフィックは綺麗になってるけど、システムや挙動とかに古さを感じてしまうことが多い。
しかし、本作では「昔のゲームだなあ」と感じる瞬間が全くなかった。
世界観もシステムも独創的だし、操作性も良くて滑らかに動く。

今、全くの新作として発売されても通用すると思う。
和の美しさと技術
まず目を惹くのがグラフィック。
発売当時も個性的だったんだと思うけど、今でも日本画をベースにしたグラフィックは珍しい。
背景の水墨画っぷりとプレイヤーが描く筆しらべが、同じ墨の質感なので、本当に自分がゲーム画面に落書きしている感覚になる。

しかも、思いっきり平面な日本画がベースだけど、3Dで動く。
しかし、筆しらべモードになると、遠くのものも近くのものも同じ平面として線を描いて結べたりする。
この独特な感覚に、目からウロコをぼろぼろ落としながら夢中になってしまった。

そして、自ら『絶景版』と謳ってるだけあって、本気で絶景。
特にお気に入りなのが、アマテラスが動くと足下から植物がわさわさ生えてくるエフェクト。
歩きスピードだと草が生えるが、爆走スピードになると花が咲き乱れる。

まさか2006年に発売されたゲームのリメイク作でスクショ撮りまくるとは、正直予想してなかった。
ほっこりストーリー
グラフィックやゲームシステムだけでなく、ストーリーも良かった。
まず、キャラクターが見た目も性格も超個性的で魅力たっぷり。
見た目のインパクトから凄く個性的。
米俵や桜の木など、そのキャラを表すアイテムが、すごいバランスで頭上に乗っかっていることが多い。


新たなキャラが登場する度に、まずは頭頂部を確認するのが楽しみだった。
性格も濃いキャラばかりで、ノリツッコミ的な珍エピソード繰り広げていたり、笑いどころたっぷりなセリフがたくさん登場する。

主人公は崇められるはずの神様だけど、シロとかポチとか呼ばわりで、完全に犬扱い。
といった感じで、厳かな神の物語のはずなのに、だいぶ軽いノリで終始楽しい。
しかし、全体的には、おとぎ話っぽく心温まるストーリーで、特に終盤は壮大な展開に。
ラストバトルでは、泣きながら戦った。
軽いノリだったはずが、いつのまにかどっぷり感情移入していて、大感動。

筆しらべで謎解きを満喫
筆しらべという独特なシステム。
作中、このシステムがうまく活用される謎解きが豊富に用意されていて、たっぷり謎解きを楽しめた。

取得した筆しらべが増えるごとに、謎の解き方が豊富になっていって、全ての筆しらべを駆使するように作られているアイデアに感心しっぱなしだった。
ゲームでは、大体終盤に強力な技を覚えて、それで全部まかなえちゃうことが多い。
しかし、序盤に習得した筆しらべが、ちゃんと最後まで第一線で大活躍するように全て活かされているのが良かった。

絵巻物を見るようなテンポ
2段ジャンプを覚えたあたりからアクション性も高くなり、バトルもどんどんスピーディーになっていく。
謎解きが多く登場するけれど、頭を抱えてしまうような難しさではない。
かなりボリュームたっぷりのゲームではあるもののサクサクプレイしていける。
絵巻物をスルスルーと紐解いていくようにもたつくことなく、謎解きも楽しみながらストーリーを追っていくことが出来る。

気になるところを強いて挙げるとすると、バトルでの動ける範囲が狭めで、たまに視点が不安定になることがあったこと。
そして、アイテム説明やセリフが結構ゆっくり。
しかも、アイテム拾う度に毎回同じメッセージが流れる。
ずっとプレイしていると、メーセージ速度を変えたい!と思った。
まあ、あくまでも、ほんの少し「面倒だな」と思う程度で、そんな細かいことしか気にならないくらい、満足度がとっても高いゲームだった。

おすすめな人
芸術性高いゲームが好きなら絶対おすすめ。
とは言っても、実際にはどんな人でも楽しめると思う。
珍しいゲームやってみたいけど、でも安定感があって安心な大作ゲームをプレイしたいっていう人にもおすすめ。
かなりたっぷり楽しめる。
そして、オリジナル版をプレイしたことのある人でも、この生まれ変わった絶景ぶりは必見。

大神 絶景版
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