『OLD MAN’S JOURNEY おじいちゃんの記憶を巡る旅』とは
おじいちゃんの記憶を巡る旅は、人生の貴重な瞬間、壊れた夢、計画の変更など、魂を巡るパズルアドベンチャーゲームです。
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主人公と旅を伴にする中で、時折軽快にパズルを解きながら、美しいビジュアルと手作りの世界観を体験できるでしょう。
オーストリアのBroken Ruluesが開発。
元々は、スマホとPC向けに発売され、様々な賞を獲得している。
現在は、PS4、Nintendo Switch、Xbox Oneでもプレイ可能。
ストーリー
海辺の家で佇むおじいちゃん。
その光景だけで、何とも言えない切なさを感じさせる。
初っ端から、胸がキュッとする。
そんなおじいちゃんの元に一通の手紙が届く。
それを読んだおじちゃんは、いそいそと用意を始め、突然旅立つ。
手紙には何が書いてあったのか、どこに向かって旅立つのか、プレイヤー側は気になることばかり。
しかし、『おじちゃんの記憶を巡る旅』では、一切セリフは登場しない。
更に操作方法も詳しくテキストで表示されない。
「見て感じる、手探りで謎を解く」なパズルアドベンチャーゲーム。
プレイヤーは、おじいちゃんの進む道を繋ぎながら、おじいちゃん自身の思い出を辿っていくこととなる。
ゲームの特徴
指で触る
主人公はおじいちゃんだけど、おじいちゃんを直接操作するわけではない。
画面上には手のアイコンが表示されていて、その手をコントローラーで動かす。
PS4版では、◯ボタンを押すと、手のアイコンがある場所を指でツンツンと突くことができる。
地面をツンツンッと触るとマークの旗が立ち、おじいちゃんは、そのマークに向かって黙々と歩く。
また、道中にいる人や物など、「何か起こりそう?」という場所をツンツンとすると、何かしらのリアクションが起こることもある。
3次元を2次元で扱う。
おじいちゃんは、2次元的にしか動かない。
上下左右の動きのみ。
しかし、2Dグラフィックではあるものの、背景は奥行きがあるように描かれている。
手前の丘と、遠くにある丘と、更に遠くにある高い山など。
おじいちゃんは、遠近感を完全に無視して歩く。
どんなに遠くにある山だろうと、輪郭線の黄色線同士が繋がっていれば歩いて行ってしまう。
というわけで、プレイヤーは、丘や山の輪郭を動かして、おじいちゃんを誘導していく。
丘や山の輪郭は、上述の「手アイコン」で摘むことが出来て、摘んだまま上下に動かすことが出来る。
動かすことで、手前や奥にある丘の輪郭同士を繋げることが出来て、おじいちゃんの歩ける道がどんどん延長されていく。
輪郭同士が繋がる部分は点で表示されるので、分かりやすい。
その点で、おじいちゃんは歩く丘を切り替えて進んでいく。
思い出しタイム
主人公はおじいちゃんだし、やはり疲れてきてしまう。
特定の場所に来ると、おじいちゃんはベンチに座る。
そこで、画面はおじいちゃんにズームアップ。
おじいちゃんの休憩時間であり「記憶を巡る」時間。
おじいちゃんは、座った場所から連想する記憶を思い起こしていく。
プレイヤーは、それを見ながら、おじいちゃんに何があったのか、どんな人生を歩んできたのかを少しずつ知ることになる。
背景に溶け込んだ人々
おじいちゃんは道すがら、様々な人と出会う。
とはいっても、仲間になったり、長々と会話するわけではない。

時には、丘の輪郭を引っ張り下ろすと、丘で隠れてしまっていた家や人がニョキッと登場する。
おじいちゃんが歩く必要のない場所に隠れている人もいる。
彼らを見つけて、指でツンツンとするのが、ちょっとしたやり込み要素になっている。
評価
- 2次元による表現の限界を逆手に取ったゲームシステム
- 絵だけで伝わるあたたかい物語
- 美しいグラフィック
- 適度なゲームボリューム

- 謎解きが単調になってくる

ゲームのようでゲームじゃない、だけどゲーム。
これは、最近『GRIS』でも感じたことだけど、アート作品に触れているのか、ゲームを遊んでいるのか分からないほど芸術性が高い。

そして、ストーリーがストレートに心に響く。
「良い体験をした」という感動が色濃く残るゲームだ。
でも、1番感動したのは、2次元の表現の限界を逆手にとったゲームシステム。
今もたくさんの2Dゲームが発売されているけれど、「大作」「最先端」になると3DCG。
やっぱり2Dでは描き切れないものがある。
しかし、『おじいちゃんの記憶を巡る旅』では、そんな限界を逆手にとっている。
どんなに奥にある山でも丘でも、「輪郭が繋がってたら繋がってる道でしょ」と言わんばかりにおじいちゃんはテクテク歩いて行く。
「あー、そっかー、なるほどな、そういう捉え方があるのか」って目からウロコ。
で、このシステムを使って道をどんどん繋げていくわけで、徐々に「うーん、次の道はどこと繋がるか」と謎解きのようになってきて面白い。
ただ、逆に言うと、このシステムに尽きる。
最初に感動した「輪郭繋げシステム」に慣れてくると、そのうち「はいはい、また道繋げね」になってくる。
しかし、そのくらいのところで、ちゃんと終わる。
長々と続いたり、世界観壊しちゃうようなギミックが登場する前に、「いいところ」で終わる。
まさにショートアニメのようなゲームで、「あともうちょっと見たい」と思うくらいでコンパクトに終わるのが素晴らしい。
ボリュームはコンパクトだけど、ラストシーンに差し掛かる頃には、もはやおじいちゃんに完全に感情移入してしまっていて、結末には「うわぁあ」と感動した。
今作は、スマホでもプレイ出来る。
私はPS4でプレイしたけど、スマホで動画を見るように、おじいちゃんの思い出を見ていくのもいいなあと思う。
操作が簡単で詰まるようなこともなく、めちゃくちゃ癒される現実逃避になると思う。
誰の人生にも、色んな思い出があり、ドラマがあって、何もない人生なんて無い。
そして、きっかけは何であれ、何歳でもいつでも新しい旅に出ることが出来る。
しんみりと感慨にふけってしまうようないいゲームだった。
おすすめプレイヤー
芸術的なゲーム、なかでもポイントアンドクリックゲームが好きな人には絶対おすすめ。
時間制限もなければ、ゲームオーバーもない。
ゲームが苦手っていう人や、ゆっくりゲームしたいって人にもおすすめ。
そして、「なんだか泣きたい!心温まりたい!」な「涙活」にもぴったりなゲーム。
Old Man’s Journey おじいちゃんの記憶を巡る旅
www.oldmansjourney.com
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