『Sea of Stars』レビュー: 全てが詰まっている最強RPG
懐かしさも新しさもRPGの楽しみが大満足で楽しめて、往年のRPGファンほど夢中になる『Sea of Stars』をネタバレなしで要素ごとに詳しい評価を交えてレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
Sea of Stars製品情報
タイトル | Sea of Stars |
---|---|
開発元 | Sabotage Studio |
対応機種 | PS5, PS4, Nintendo Switch, Xbox, PC |
ジャンル | RPG |
シリーズ | The Messenger |
本作は、高評価アクションゲーム『The Messenger』と同じ世界線の前日譚が描かれている。
ただし、本作ではゲーム性は全く変わり、物語が直接続いているわけではないので、本作からプレイしても全く問題ない。
本稿では、Xbox版をレビューしている。
Sea of Starsの攻略
ストーリー
ゼイルとヴァレアの最終試練
ゲームが始まると、大量の本に囲まれた人物が1人でぶつぶつと喋っている。この人は、どうやらプレイヤーに話しかけているらしい(たまにチラチラ振り返ってカメラ目線になる)。
この謎の人物は様々な世界の物語をまとめているらしく、そのうちの1つを聞かせてくれるらしい。よーし、じゃあ聞いてみるか!というわけで、本作の物語が始まる。
あるところに、険しい山道を走る少年と少女がいた。
少年は、太陽の魔法を操るゼイル。剣を武器に戦う舞剣士だ。少女は、月の魔法を操るヴァレア。杖を巧みに操る武闘僧だ。
打倒フレッシュマンサー
ゼイルとヴァレアが住む世界にはフレッシュマンサーという悪い奴が残した災いが平和を脅かしている。
しかし、太陽と月の力を持つ子が数年おきに生まれ、災いに立ち向える至点の戦士となるように育てられる習わしとなっている。
というわけで、魔力を持つゼイルとヴァレアも至点の戦士なるため、なぜか裁縫が1番大事という修行を受けてきた。そして、遂に最終試練である霧の長老のいる山登りに挑んでいたところが物語の始まりだったわけだ。
いや、正確にはゼイルとヴァレア以外に、もう1人試練に参加している者がいる。登山の途中で、2人の幼馴染みであるガールがものすごい勢いで仲間に加入したのだ。
ガールは魔力を持たない普通の人であり食いしん坊。しかし、ガールは大好きなゼイルとヴァレアと共に旅に出るという長年の夢を叶えるため、「お料理戦士」という謎ジョブで戦いに参戦することになった。
至点の戦士
霧の長老から課せられた試練に合格したゼイルとヴァレアは、ついに至点の戦士となった。
しかし、一息つく間もなく、2人+お料理戦士は巨大石像にぶん投げられて、災いとの戦いへと送り出された。
3人の最初の目標はフレッシュマンサーが残した最後の災いである「棲まう者」を倒すために、レイスの島に向かうこと。蝕が起こる瞬間に棲まう者の弱点が露わになるそうなので、その前に他の至点の戦士達と現地で落ち合う予定だ。
しかし、すんなりと目的地まで辿り着けるわけもない。更には至点の戦士の先輩であるブルガバスとエルリナ、そして時々登場する正体不明の怪しい4人組も思わせぶりなセリフを吐き散らかしてくる。
全てが怪しい、怪しすぎる。どうやらゼイルとヴァレアが知らない真実がまだまだ隠されていそうだ。災いを倒せば本当に世界は平和になるのだろうか。
攻略のポイント
物語に沿って仲間と大冒険
本作ではワールドマップ上を移動し、街やダンジョンに着くと画面が切り替わり内部を攻略する。クラシックなRPGスタイルだ。
物語が進行すると共に新たな仲間や乗り物が登場し、行ける場所も増えていく。
また、ワールドマップ上やダンジョン内の焚き火がある場所ではキャンプを張ることが出来る。キャンプで体力を全回復したり、おやつを料理することが出来る。
おやつは回復アイテムであり、探索中などに手に入れた食材を使って料理する(購入も可能)。
おやつは所持できる数に上限があるため大量に溜め込むことは出来ず、キャンプに着く度に料理して補充しておく必要がある。無計画に使いすぎないようにも気をつけなければならない。
仲間とコマンドバトル
本作のバトルは、シンボルエンカウントでバトルが始まるターン制コマンドバトル。
各キャラは武器を使った通常攻撃とスキルとコンボ技、そしてアイテム(おやつ)の使用が出来る。
スキル使用時にはMPを消費するけれど、通常攻撃を行えば回復できる。
また、通常攻撃を行った際には、敵から生マナが飛び出して散らばる。コマンド入力前にこのドロップした生マナを回収してブーストを行うと、攻撃に属性が付与されたりスキルの威力が上がる。それぞれのスキルはブーストによって3段階まで強化可能だ。
さらに、スキルを使用したり攻撃を受けるとコンボゲージが溜まっていく。溜まったコンボゲージを消費すると仲間との連携技を発動することができる。
コンボゲージはパーティー共有のもので、バトル中にはバトルメンバーの入れ替えも可能だ。戦況に合わせて、いつ誰と誰のコンボ技を使うかを作戦を立てておかなければならない。
リアルタイムで威力アップ
本作のバトルにはリアルタイム要素がある。
上述した生マナによるブーストだけではなく、攻撃やスキル使用時にタイミング良く決定ボタンを押すと威力が高まる。
敵に攻撃された際もタイミング良く決定ボタンを押せば、強ブロックを行い被ダメージ量を減らすことが出来る。
また、敵の強力なスキルはキャンセルさせたりダメージ量を軽減することもできる。
敵がスキル準備状態になると複数の武器種と属性を表すアイコンが敵の傍に表示される。表示されている属性の攻撃を当てるとアイコンが消えて敵スキルの威力が弱まり、全てのアイコンを消すことができれば敵が準備していたスキルの発動自体をキャンセルすることが出来る。
記事はさらに下に続きます
Sea of Starsの評価
物語の面白さ
物語も雰囲気も最高。ワクワクがたらふく詰まった大冒険物語が味わえる。
笑いたっぷり、胸熱展開あり、不気味な場面もあり、様々なエピソードが展開する。
しかも、それぞれがくどくなくないのが良いところ。「今度はこんな事件が!」という新鮮さが消えないうちに、また新たな事件が勃発する。
丁寧に描かれつつ脅威のテンポの良さで新たな世界が登場したり仲間が加入したり、RPG好きのツボを的確に突いてくる出来事ばかり起こる。
それと同時に、冒頭から謎や伏線がてんこ盛りで、プレイヤーに疑問を持たせ続ける物語構成も上手い。そして、伏線回収がちゃんと行われた時の「なにぃ!?なっなるほど!!」も気持ち良い。
変な表現だけど、個性的な王道RPGだ。
キャラクターの魅力
主人公含め仲間たちはもちろんのこと、NPCや街を歩いているモブキャラまでも丁寧にキャラ付けされて描かれている。
思わず目が潤んでしまう感動的な場面も多いし、考えさせられるセリフも多い。全員仲間にしたいくらい魅力的で、大好きになる。
怪しいヤツは最高に胡散臭いし、眩しすぎて直視できないほど真っ直ぐ明るいヤツもいる。
そして、多くのNPCが確固たる芸人根性を持っており、笑えるネタを振りまいてくれる。メタ的セリフもあり、特にゲーマー歴が長い人は思わず笑ってしまうはず。
操作の快適さ
コマンドバトルなので、基本操作はシンプルそのもの。
ワールドマップでは上下左右の4方向しか動けないレトロさが再現されているけれど、フィールドでの移動はスティック操作で動く現代的な快適さが味わえる。
飛び降りて近道したり、登ったり泳いだり、全てなめからかでスムーズ。立体的に入り組んだマップ構造が面白くて隠された宝箱を探し出すのも楽しい。
しかも、単に入り組んでいるわけではなく、寄り道した際に正規ルートに戻るまでの面倒臭さを感じにくく、動線の組み立て方が巧い。
バトルでの攻撃時と防御時のリアルタイムなボタン押しタイミングの判定は正確で、初見のスキルや敵が登場するとタイミングを探らなければならないけれど、動きを見れば推測しやすいようになっている。「え、そんなタイミングで押す!?」という変なタイミングはない。
UIも分かりやすく、各所にある謎解きでも操作が煩雑になることもない。プレイしていてストレスを感じることが一切ない。
難易度バランス
ゲーム開始前に難易度選択などはないけれど、ゲーム内で秘宝と呼ばれるアイテムを手に入れると難易度を調整することができる。例えば、バトルごとに全回復するとか自動で攻撃時のリアルタイムなボタン押しが成功になるといったものなどだ。
私は、そうした難易度が変わる秘宝は使わずプレイしたけれど、特に詰まることはなく攻略できる難易度だ。
とはいっても、ぬるくはない。特にMP管理が重要で、ボス戦では相手の強力なスキルをキャンセルするように戦略立てて戦わなければならない。
そして、やはりリアルタイム要素が一番の肝だ。
本作ではエリア移動などで敵が再出現せず、レベルをゴリゴリ上げられるわけではないし、HPやMPは爆上がりしない。
通常の攻撃力や防御力のままではバトルが長引いて苦戦しやすく、リアルタイム要素ありきの難易度バランスになっている。それでいて攻撃時も防御時もボタン押しの判定は厳しめなので、常に集中するバトルが味わえる。
ゲームシステムの面白さ
昔ながらのオーソドックスなRPGだ。
それと同時に、探索やバトルのリアルタイム要素などには新しさが詰まっていて、操作性などには現代ゲームの快適さが組み込まれている。
懐かしくて、新しい体験。良いものは変わらず残しつつ進化している。久しぶりに帰った故郷のようだ。
一方で、往年のRPGに馴染みがない人にとっては、逆に「懐かしさ」の部分が新鮮に映るはず。
どの世代にも通用するRPGの普遍的な面白さがしっかり埋め込まれており、全要素が丁寧に作られていてRPG好きゲーマーの心を満たしてくれる。
固定バトルが多いけれど(雑魚敵戦の回避は可能)、レベルアップ時にはプレイヤーが選択したパラメータを追加でアップグレードすることが出来る。
こうした少し手心が加えられる成長要素やブーストを利用したりパーティー編成によって、プレイヤーの意思も組み込める戦略性高いバトルが出来るのも魅力。
やりこみ要素の楽しさ
やり込み要素としては、収集要素やサブクエストがある。
各地にある遺物を集めると、物語をより理解できるエピソードをチークスというNPCに教えてもらうことができる。
また、料理のレシピを集めるのも収集要素の一つだ。
サブクエストとしては、とある村を拡充していくのが最大のクエストだ。世界各地を旅しないと攻略できないようになっているけれど、報酬も得られるし、物語要素もあるので、1番おすすめのやり込み要素だ。
また、どの街にもお悩みを抱えるNPCがいて、解決するとお礼に報酬がもらえる。ただし、本作にサブクエストリスト等はなく、自分で場所や目的を覚えておかなければならない。
更に、釣りやホイールズというミニゲームが用意されているし、ダンジョンにも街にもそこかしこに宝箱が隠されているので探索しまくるのもやり込み要素だ。
また、今後追加DLCも配信される予定で、更なる物語の展開が楽しみなところ。
グラフィックの芸術性
眼福。
前景から背景の隅々まで緻密で美しいピクセルアートグラフィックで描かれる。
色づかいも綺麗で、キャラの動きも眺めているだけでため息が出るほど細かく作られている。
また、カットシーンはアニメーションで描かれており、キャラのドット絵とアニメでのデザインの違いを見るのも楽しい。
サウンドの魅力
耳に残る神メロディ揃いのBGMだ。
冒険のワクワクを感じさせる曲が多くて、例え不気味なダンジョンでも、明るく前向きになるBGMが流れている。
本作と同じ世界線が描かれる『The Messenger』とはゲーム性も雰囲気も異なるけれど、BGMだけは近い雰囲気を感じる。
また、本作には神曲揃いの『クロノトリガー』の音楽を手がけた光田さんがゲストコンポーザーとして参加している。
サントラはこちら
本作と似ているゲームや関連作は更に下へ
Sea of Starsレビューのまとめ
おすすめな人
- RPG(特に往年のJRPG)が好き
- 物語や世界を味わいたい
- コマンドバトルを楽しみたい
おすすめではない人
- リアルタイム要素が苦手
- レベル上げで強くなりたい
- メタ的なセリフに冷めてしまう
総合評価良いところ&残念なところ
- テンポ良く惹き込まれる物語
- リアルタイム要素豊富なコマンドバトル
- 美しいピクセルアートと音楽
- サブクエストの確認リストがない
Sea of Starsが好きならおすすめゲーム
関連ゲーム
The Messenger
本作開発元の代表作。本作と同じ世界線(本作の方が前日譚)の物語が描かれる。
ゲーム性は本作と全く異なり、更にこのゲーム内だけでも途中でゲーム性が激変する高評価2Dアクションゲーム。
似ているゲーム
クロノ・トリガー
本作のプレイ感覚と近い体験ができる名作RPG。
敵の位置によってスキルの効果範囲が変わったり、シームレスにコマンドバトルが始まるなど似たシステムが楽しめる。
時を超える壮大な物語や神BGMも魅力。
オクトパストラベラー2
昔ながらのJRPGの魅力はそのままに、現代的な良さも楽しめるRPGならこちらもおすすめ。
ブーストや弱点を突く戦略性の高いバトルと、全く異なる8人それぞれの物語を体験できる高評価作。
Sea of Stars
© Sabotage Studio 2023
https://seaofstarsgame.co
RPGをもっと見る