『Rebel Transmute』レビュー: 初めてだけど懐かしい未知の惑星
メトロイドヴァニアを長く愛する人のツボに直球で刺さってくる『Rebel Transmute』をネタバレなしで、攻略のコツと各要素の評価を交えてレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
Rebel Transmute製品情報
タイトル | Rebel Transmute |
---|---|
開発元 | Evan Tor Games |
対応機種 | PC |
ジャンル | メトロイドヴァニア, 2D横スクロールアクション |
Rebel Transmuteの攻略
ストーリー
テラ6に向かうムーン・ミコノ
本作の主人公ムーン・ミコノは、テラ6という未知の惑星に向かっていた。
テラ6とは、巨大企業フォーレイ社が地球化させようと開発していた惑星だ。しかし、その研究所で原因不明の大爆発が起こり、テラ6で働いていた職員達は行方知れずとなってしまった。
残念ながら、主人公ムーンの母もそのうちの1人だ。
しかし、フォーレイ社からの説明はムーンが満足できるようなものではなかった。救出活動がちゃんと行われたのかも怪しい。
フォーレイ社なんて当てにならない!私が行く!
というわけで、ムーンは1人でお母さん救出作戦を決行することにした。なんとも頼もしい娘さんだ。
巨大企業の研究所跡地
ところが、ムーンの救出作戦は思った以上に前途多難な始まりとなる。
宇宙船でテラ6に着陸しようと思ったところ、妨害電波のような何かに撃ち落とされ、ムーンはテラ6に墜落してしまった。
予想外のアグレッシブ着陸となったけれど、目的地に着いたのだから良しとしよう。
いや、しかし、宇宙船が墜落したのだ。ゲームの主人公とはいえ、ムーンが大怪我を負う大事故となってしまった。これぞまさに二次災害。
そして、墜落したムーンが次に目を覚ましたのは、テラ6に残る研究所の回復ポッド内だった。
墜落現場から誰かが助けて出してくれたようだ。一体誰が?人がいるってこと?
母の行方とテラ6の真実
十分に回復できたムーンは、ポッドから飛び出し、ムーンを助けてくれたものの精神をコンピューターに移す羽目になったイナヤ博士と出会う。
さらに、自由意志を手に入れたというロボットたちにも遭遇する。人ではなくロボットが暮らす星になっているようだ。
彼らから母の行方に繋がる情報を聞き出しつつ、ムーンは未知の惑星テラ6の奥深くへと潜っていく。
お母さんは一体どこ!?そして、爆発事故の真相とは?
攻略のポイント
惑星探索メトロイドヴァニア
本作はメトロイドヴァニアゲームであり、各地でボスを倒して新たな移動スキルを習得し、探索できる範囲が広がっていく。
メインストーリー進行に伴って、NPCから次の目的地の位置を教えてもらうことは出来る。目的地が複数ある時もあり、攻略順はプレイヤーの自由だ。
目的地までの道のりはプレイヤーが実際に探索しながら見つけていくことになる。
ムーンの戦い方とデスペナルティ
ムーンの基本アクションは、ジャンプとスライディングと銃での攻撃。
空中ダッシュや障壁を壊せる弾など、メトロイドヴァニアあるあるなアクションを習得していき、バトルでももちろん活用できる。
ムーンは、敵を攻撃する度にスパークブラッドを獲得できる。これがゲージ一本分溜まると体力を回復することが出来る。また、敵を倒すと通貨であるレッドフラックスが手に入る。
ゲームオーバーになるとムーンの体力ゲージであるコアを1つその場にポロッと落として、最終セーブポイントからやり直しとなる。体力上限が減るというのが本作のデスペナルティだ。
でも、ゲームオーバーになった場所に戻れば、コアを拾って体力上限を元に戻せる。ただし、ゲームオーバーになる度にコアを落としていくので注意。コアを回収しないまま死にまくっていると、あちこちにコアをばら撒いたまま貧弱体力になって回収に行くのも一苦労することになる。
しかし、セーブポイントでレッドフラックスを払えば、その場でコアを回収して体力上限値を回復できる救済措置が用意されている。
オーグメントでカスタマイズ
ムーンは、敵を倒してレベルアップするわけではない。
オーグメントと呼ばれる装備品によって、死んでもレッドフラックスを失わないなどの便利機能や、射程が伸びたり連射出来るなど追加効果を発動できる。
オーグメントにはそれぞれ装備コストが決まっており、バッテリー数値(装備可能コスト上限値)内なら好きな組み合わせで装備できる。
体力やバッテリーは、各地で強化アイテムを拾うことで上限値をアップグレードしていくことが出来る。オーグメントも強化アイテムも隠し部屋や行きにくい場所に隠されていることが多いので、積極的に寄り道するのがおすすめ。
ボス戦と探索時それぞれで活躍するオーグメントがあるので、適時付け替えると攻略しやすくなる。ただし、オーグメントの付け替えはセーブポイントでしか出来ない。
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Rebel Transmuteの評価と感想
物語の面白さ
物語はあまり濃くはないけれど、旅する動機づけとして十分な内容だ。
フォーリス社がテラ6で何を行なっていたのか。その真相を暴いていくSFサスペンスが楽しめる。
また、お母さんの行方やフォーリス社の真実だけでなく、意志を持ったロボット達のエピソードも垣間見ていくことが出来る。
機械が意志を持ったらどうなるのか、意志とはそもそも何なのか。SF作品でたまに見かけることはあるけれど、興味深いテーマが描かれている。
日本語翻訳の品質は問題なく、先の展開が気になる物語が楽しめる。ただ、物語は動線に過ぎないので、物語をじっくり味わう濃厚ドラマなゲームではない。
キャラクターの魅力
大事故が起こったので、テラ6は何もない荒涼とした地になっていると思いきや、住民は多い。ロボットや機械ばかりだけど。
なんだか深いことを言っているロボットもいる。
ムーンは未知の惑星に単身乗り込んでいくほど度胸があるので、常に強気だ。超巨大昆虫が現れても、ロボットがコミュニティを築いていようが全く物怖じしないどころが驚きもしない。
ムーンが落ち着いたリアクションをすることが多いので、物語は落ち着いた調子で進む。
操作の快適さ
本作は見ての通り、レトロゲームに寄せて作られている。
プレイ感覚も、まさにレトロだ。攻撃や行動は、真横と真上と真下の4方向。斜めに滑らかにとはいかない。
挙動もレトロそのものでキビキビはしておらず、溜めなくジャンプしたり、平行移動のように落ちる。レトロゲームをプレイしている時と同じ感覚だ。
そして、1ドットが大きいので当たり判定も大きめだ。
レトロゲーム好きな人や馴染みのある人なら、「あー、これだ、これ!」となるレトロクオリティの高さ。
でも、レトロゲーム慣れしていない人だと「もどかしい!なんか不便!」と感じると思う。レトロさが魅力のゲームなので、最新ゲームの感覚でプレイするつもりの人はあらかじめ身構えておいた方がいい。
難易度バランス
難易度選択は出来ない。
雑魚敵はしっかり邪魔で、上述した通り360°自由な攻撃が出来ないため、特に飛行タイプの敵に苦労することが多い。
当たり判定が大きめで敵に触れるだけでダメージを受けてしまうので、特にボス戦では体力回復(注射を打つ動作で少し時間がかかる)を行うタイミングを見計らうのが難しいところ。
レトロゲームならではの難しさが味わえる。難しさもレトロゲームそのものだ。
しかも、死ぬ度にデスペナルティが積み重なったり、体力も攻撃力も成長スピードがゆっくりなので、歯ごたえのあるゲームプレイが楽しめる。
でも、敵を攻撃していれば体力回復できるし、オーグメントの組み合わせでプレイスタイルを変えられるので、苦戦して詰まる難しさではない。
目的地も位置は教えてくれるので、探索が苦手な人も迷子で遭難することはないはず。
ゲームシステムの面白さ
デスペナルティもある歯ごたえをちゃんと感じられるバトルで、隠し部屋や寄り道も多い面白いマップ構造になっており、ギミックや景観も異なるエリアが互いに各所で繋がっている。
斬新さや個性というより、手堅く丁寧に作られた良質メトロイドヴァニアゲームだ。
現代ゲームだと当たり前になっている便利な機能はなく、レトロゲームに寄せている徹底ぶりも魅力。
とはいっても、不便でプレイしにくいというわけではない。現代ゲームにはない面白さと難しさが味わえる、レトロゲームだからこその不便さだけが活かされている。なんでもかんでもレトロにしているわけではない。その加減が絶妙で、昔のメトロイドヴァニアゲームをプレイしている人ほど、「ああ、ツボが分かってるなあ!」となると思う。
特にメトロイドシリーズの初期の頃のタイトルが好きな人にブッ刺さるはず。
やり込み要素の楽しさ
まず、本作ではオーグメントもムーンを強化するアイテムも探索して見つけなければならないので、まずは寄り道まで探索することが1番重要なやり込み要素だ。
壁がキラキラ光っている時は要注意。必ず何かが隠されている。
そして、各地にいるNPCに出会って悩み事を叶えてあげると、報酬が貰える。ロボットたちの集落では、貴重アイテムをいくつか買うこともできるので、レッドフラックスを貯めることも大事だ。
NPCは意外な場所にポツンと立っていたりするので、素通りしないように注意。敵にはロボットが多く、敵だと思ってうっかり撃ちそうになったヤツもいるくらい、唐突に立っているNPCもいる。
また、各地にあるポッドを調べたり、データを拾うなど、報酬が貰える収集要素もある。
グラフィックの芸術性
レトロな雰囲気満点のピクセルアートグラフィックで描かれる。ゲームプレイももちろんだけど、このグラフィックがレトロ感抜群!
テラ6は崩壊した研究所もあるけれど、自然豊かな環境で色あざやかだ。
そして、こうした未知の惑星といえばお約束だけど、昆虫がモチーフになっている敵が多い。全体的にデフォルメされたデザインなので、昆虫嫌いな人でもそんなにキツくはないはず。
また、セリフもしっかりドットの日本語フォントになっているのも嬉しいところ。
サウンドの魅力
BGMはかなり控えめ。探索中は静かに不気味な曲調で、ボス戦になってもBGMはうるさくならない。
そのため、サウンド面は寂しい印象で、音楽からは気持ちが盛り上がらず、少し物足りない。
本作と似ているゲームや関連作は更に下へ
Rebel Transmuteレビューのまとめ
おすすめな人
- レトロなメトロイドヴァニアゲームが好き
- シューティングバトルが好き
- 寄り道しながら探索するのが好き
おすすめではない人
- レトロな操作感が苦手
- 主人公をもりもりレベルアップしたい
総合評価良いところ&残念なところ
- 昔ながらのメトロイドヴァニアの良さが味わえる
- 寄り道や隠し部屋も豊富なマップ構造で探索が面白い
- 先が気になるストーリーが楽しめる
- 好きな方向に攻撃できない
- 現代ゲームの滑らかな快適さは味わえない
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メトロイド ドレッド
未知の惑星でメトロイドヴァニアといえば、こちら。
本作は特にメトロイドシリーズの初期のタイトルに近いプレイ感覚だ。
初期作から最新作まで常に面白い元祖メトロイドヴァニア。
Axiom Verge
こちらも初期のメトロイドシリーズを彷彿とさせる高評価メトロイドヴァニア。
異次元をドローンで探索するなど、独自のシステムも面白い。
様々な武器種が登場し、ハッキングを利用したバトルも魅力。これまで2作発売されている。
Rebel Transmute
©2024 Evan Tor Games & Jandusoft
https://www.evantor.com
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