『Airhead』レビュー: 頭から空気が漏れちゃうメトロイドヴァニア
頭と体は別人、だけど友達。奇妙で超個性的で愛くるしいメトロイドヴァニアでありパズルアドベンチャーでもある『Airhead』をネタバレなしで要素ごとに詳しくレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
Airhead製品情報
タイトル | Airhead |
---|---|
開発元 | Octato, Massive Miniteam |
対応機種 | PS5, Xbox, PC |
ジャンル | メトロイドヴァニア, パズルアドベンチャー, 2D横スクロールアクション |
本稿では、PC版をレビューしている。
Airheadの攻略
ストーリー
まずは体が出発
ゲームが始まると、どこかの洞窟を走り回る「体」がいる。
体だ。2等身キャラの身体部分のようで、明らかに頭がない。ボディと呼ぶことにする。
頭がないけれどボディは元気だ。どこからか地鳴りが聞こえてくる洞窟をひょいひょいと探検していく。
ヘッドとボディの運命の出会い
ボディが洞窟を探検していると、地面に転がっている「頭」を見つける。
頭だ!ボディにはない頭だ!
ボディが羨望の眼差しで頭を見ていると(ボディには目はないけれど)、巨大な機械のような腕が壁を突き破って登場し、頭から頭を引っぺがして持って行ってしまった。
頭から頭を?意味が分からないけれど、実際にそんなことが行われたのだ。
何かが剥がされたけど頭は頭として存在している。とりあえず取り残された頭はヘッドと呼ぶ。
萎んでいくヘッドを担いで行く
ボディは恐る恐る取り残されたヘッドに近づいてみる。
ぷしゅぅううう。
え!?頭がオナラをしている!…ではなく、ヘッドから空気が少しずつ漏れている!
ボディは、急いで何故かたまたま近くに置かれていた空気ボンベでヘッドに空気を注入してみる。
あ!ヘッドが膨らんだ!でも、また空気が漏れて萎んでいく。萎むと元気がなさそうだ。空気はヘッドの命だ。つまり空気が全て抜けてしまえば、ヘッドは死んでしまう。
実は、さっきの機械がヘッドから強奪して行ったのは、ヘッドの空気補充装置だったのだ。
「ぼ、僕に任せておけ!」というつもりなのだろうか、ボディはヘッドを担ぎ、空気を補充してあげながら犯人の大腕マシンを追いかけて行く。
攻略のポイント
謎解きメトロイドヴァニア
本作は、メトロイドヴァニアであり、パズルアドベンチャーゲームだ。
バトルではなく、足場を作ったり障害物を取り除くなど謎解きを攻略して先へと進んでいく。
もちろんメトロイドヴァニアなので、新たなスキルを習得すると解ける謎解きが増え、探索できる範囲が広がっていく。
「あそこを通って行け」とか「あれしろ、これしろ」といった指示などはなく、自力で道を見つけて進んで行くことになる(目的地は地図に位置だけ表示される)。
ヘッドとボディの歩き方
本作でプレイヤーが直接操作するのはボディの方だ。ヘッドは、ボディが両手で担いで運ぶ。
謎解きを攻略する際には、ボディは物を引っ張ったり、ロープを掴まなければならない。その間は、ヘッドをそこら辺に置いておくことになる。
しかし、ヘッドからは常に空気が漏れている。空気はヘッドの命なので、画面右下に表示される空気残量が全てなくなってしまったらゲームオーバーだ。
ヘッドはボディに担がれている状態では、ボディが動くごとに空気が減る(たぶん振動で空気が漏れるのだろう)。
そして、ヘッドがボディを降ろすと自動的に空気が減っていく(ボディが栓になっているのだろうか)。
本作の世界には、なぜかあちこちにエアタンク(空気ボンベのこと)が置いてあるので、そこでヘッドに空気を補充しながら進まなければならない。
ヘッドの能力
自力で動けないし空気は漏れるし、圧倒的弱者であるヘッド。しかし、本作で新たな能力を習得するのはヘッドの方だ。
各地にある不思議な機械にヘッドを掲げると、ヘッドは新たな能力を習得する。あと、ちょっと豪華な装飾も付く。
ヘッドの能力によって、エレベーターを操作したり、明かりを灯すことができるようになり、これによって探索範囲が広がっていく。
こうしたヘッドの能力を使用する際には目を消費する。目はエアタンクで空気を補充すると全回復する。
空気容量や目の上限値は、各地でアップグレードアイテムを見つけると増やすことが出来る。
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Airheadの評価
物語の面白さ
本作にセリフはない。
ヘッドとボディ以外にも生物は登場するけれど、そいつらは更に奇妙だし、やはりセリフはない。
ライブラリーと呼ばれる図鑑のようなテキスト情報では、各生物の謎の生態を読むことができるけれど、物語をしっかり説明してくれることはない。
でも、「訳分かんないや」では終わらない。
超個性的でありつつ、プレイヤーを惹きつける可愛さや奇妙さが良い仕事をしていて、自分なりのストーリーやヘッド達の気持ちを想像するようになる。
そして、そのうち、せっせとヘッドを運ぶボディの姿や、地面に置かれて風に吹き飛ばされるヘッドの何とも言えない表情に胸が鷲掴まれていく。
奇妙であろうとヘンテコ生物であろうと、ボディとヘッドの間には友情がある。絆がある。
プレイする前には予想だにしていなかった、まさかの胸熱友情物語が楽しめる。
キャラクターの魅力
上述した通り、プレイしていると、いつの間にかヘッドとボディに感情移入してしまう。一見不気味に見えるけれど、プレイすると可愛くて仕方なくなるのだ。
特にヘッドの何とも形容できない表情が最高で、地面に置いていかれるとちょっと寂しそうに見えるし、能力を習得した時はちょっと得意げだ。
また、注入するとヘッドが重たくなる空気の入ったエアタンクもあり、その際にはボディは文字通り頭を抱えて「ふぬぅうう」 と重たい足取り歩くし、いちいち可愛い。
他の生物たちは邪魔してくるけれど、時には謎解き攻略に利用させてもらう。彼らの見た目も強烈だけど、仕草はどこか可愛い。
可愛さと奇妙さが同居している。開発者さん達の脳内を覗いてみたくなるくらい独創的で個性が光りまくっている世界だ。
操作の快適さ
操作感は、パズルアドベンチャーな感覚だ。
アクションゲームのようにキビキビしているわけではないし、精度が高い操作性というわけではない。
ゲームプレイ上で気になったのは、段差などに引っかかって動けなくなる事件が発生しやすいことと、掴める対象物同士が近接していると意図したものを掴めなくなることだ。
掴める物は互いに一定間隔をあけて置くこと、これが大事。そうしないと、絶命寸前のヘッドの真横で、ボディがなぜか岩を引っ張り始めるなど、ヘッドの「なぜだぁああ!」という悲痛な叫びが聞こえてくる事故が発生してしまう。
こうした操作性のせいでやり直しになってしまうこともあるけれど、小刻みに置かれているエアタンクがチェックポイントになっている(任意のタイミングでチェックポイントからやり直しも可)ので、攻略に支障が出るほどではない。
また、高画質設定にすると動作が安定しないことがあり、引っかかるバグ含めて今後のアプデに期待したいところ、
難易度バランス
本作に難易度設定はないけれと、ヒントを表示するか否か等の設定ができる。
メトロイドヴァニアに馴染みがあって道に迷うのが好きな人や、謎解きが好きな人はヒントやウェイポイント機能はオフで進むのがおすすめ。
その設定でプレイすると、悩みつつ迷子になるのが楽しい絶妙な難易度バランスだ。
「今はまだ進めない道なのかな」と思っても、実は既に解けるパズルだったりする。
謎解きによって進めるか進めないかがパッと見で判断できないので、アクションだけで進むメトロイドヴァニアよりも道を探す捻りが楽しめる。
謎解き自体も一捻り二捻りあり、解けた時の「脳が気持ち良い!」が味わえる良いパズルばかり。変な解き方はなく、試行錯誤すれば必ず解ける謎解き難易度だ。
ゲームシステムの面白さ
謎解きとメトロイドヴァニアが、本当に良い配分でブレンドされている。
どちらかが「なんとなく」とか「ほんのり」になっておらず、どちらもしっかり楽しめる。
そもそも謎解きだけでメトロイドヴァニアというのはそれだけでも珍しいし、それがしっかり成立している。解けるパズルが増えて探索範囲が広がるというシステムが面白い。
そこに常に空気が漏れていくという独創的な要素がゲームの良い刺激になっていて、バトルや危険な敵がいなくても緊張感が続く。
しかも、空気は常に満タンが良いわけではなく、空気が減るとヘッドのサイズが小さくなって狭い場所に進めたり、水に徐々に沈んだりなど、空気が上手くゲームプレイにも落とし込まれていて、プレイしながら感心しまくりだった。
やりこみ要素の楽しさ
メトロイドヴァニアゲームなので、まずは隅々までの探索がやり込み要素。初っ端からすぐには到達できない場所もあり、能力が増えてから戻って来るのが楽しみになる。
また、寄り道をして空気容量とスキル使用回数を増やすのもやり込み要素だ。
空気を追加で溜められるようになるアイテムは耳であり、ヘッドにポコッとくっつく。
スキル使用回数は目であり、増えるとヘッドにくっついている光る丸が増える。
こうして探索することで主人公が強化できるし、見た目も変わるので楽しい。
また、様々な生物や遺物を見てライブラリーに表示される情報をアンロックしていくのもやり込み要素だ。出会う生物の特定の仕草を目撃することでアンロックされる情報もあるので、わざと捕まらないと特定できない習性もある。
グラフィックの芸術性
イラストレーションなグラフィックで描かれる。
色づかいは独特で奇抜なデザインの生物が多い。これが本作の独創性を更に増していて、見た目からも「うわー、訳分からなくて最高!」とワクワクしてくる。
上述もしたけれど、ヘッドの何とも言えない表情が、かなりお気に入り。
見ていると、勇ましいような悲しそうな目に見えたり、笑っていたり驚いているような口に見えたり、不思議だ。日本の文化だと土偶に近い。
ヘッドとボディの人形でもあったら、飾っておくと魔除けになりそうだ。
サウンドの魅力
BGMは静か。しかし、新しいエリアに入ったり、大きく何かが動くと壮大な曲が流れて来る。
不気味な曲になるかと思いきや、意外と綺麗で癒されるメロディなことが多い。
でも、どこかで地鳴りがしていたり、サウンド面でも不気味さはもちろんある。
一方で、出会う他の生物達は見た目は奇妙でも、動きも鳴き声もコミカルで可愛い。
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Airheadレビューのまとめ
おすすめな人
- 謎解きも探索も好き
- 自分で道を見つけるのが好き
- 個性的なゲームをプレイしたい
おすすめではない人
- バトルやアクションで攻略するメトロイドヴァニアを求めている
- 物語をはっきりと説明して欲しい
総合評価良いところ&残念なところ
- 謎解きと探索が融合した個性的なメトロイドヴァニア
- 考えがいのある謎解きがたっぷり楽しめる
- 独創的で魅力的な世界設定とキャラ
- 引っかかって動けなくなるバグや動作が不安定になることがある
- 掴める対象が近接していると操作しにくい
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GRIME
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敵を吸い込む頭がブラックホールな主人公は一度見たら忘れられない。
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Cocoon
奇妙な世界でデザインも素晴らしいパズルアドベンチャーゲーム。
言葉による説明はなく、それぞれ別の世界が入っているオーブを持ち運び、世界を出たり入ったりする頭がこんがらがりそうな謎解きに脳が喜ぶ高評価作。
深世海 Into the Depths
空気残量に気を配るメトロイドヴァニアなら、こちらもおすすめ。
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The Last Case of Benedict Fox
謎解きで進むメトロイドヴァニアなら、こちらもおすすめ。
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銃と悪魔の能力を使ったバトルも楽しめる。
Airhead
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