『GRIME グライム』とは、Clover Biteが開発したメトロイドヴァニアゲーム。
本作と同じ世界線の新たな物語が描かれる続編も発表されている。
本作は、PS5、PS4、Xbox、PCでプレイ可能。私はPC版をプレイ。また、今後Nintendo Switch版の発売も予定されている(国内Nintendo Switch版は今のところ不明)。
本作はどんなゲームか、その特徴や魅力と共に実際にプレイした感想と各要素の評価をネタバレなしでレビューする。また、本作に似ているゲームも紹介する。
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あらすじStory
何を見せられているのか
ゲームが始まると、状況はよく分からないけれど愛し合う誰かと誰かがいて、そこから何かが産まれた。
ただ、その様子は意味不明。
岩と肉塊のような物がぐちゃぐちゃーっとなって、ギューッと圧縮されて、ポンッ!
そんな感じで「はい、主人公が出来上がりました!」と生まれた主人公が派手に地面に落下するところからゲームは始まる。

岩?芸術品?
落下したせいでボロボロになってしまったけれど、近くにいた雑魚敵その1みたいな奴を、ずぉおおおおっと吸い込むと主人公は元気になった。
主人公の頭部はブラックホールのような仕組みらしく、色んなものを吸い込めるようだ。
そこら辺にいる奴を吸い込みつつ道を歩いていくと、主人公はヨンという名の岩生物に遭遇する。
ヨンは、主人公のことを「美しい美しい!」と褒めてくれる。
主人公は、頭部は亜空間で身体はすっぽんぽんっていうとんでもないコーディネートだけど、これが美しさなのか?
「ファッションって難しいな」と思いつつも、褒められてるなら良しとしよう。

アクランの目的
やたらと主人公を崇めてくれるヨンに導かれて、主人公はひとまず宮殿に向かうことに。
宮殿に着くと、シドラという巨大な化け物 兼 鍛冶屋さんとの会話から、主人公の名前がアクランだということが判明する。
そして、アクランはカルベンと呼ばれる高貴な種族っぽいけれど、アクランが宮殿の遥か下の地で産まれたせいで偽物扱いされてしまう。
え、そんな、ひどい。いや、そもそも、このゲームの目的って何だっけ!?
というところで、シドラが助け舟を出してくれる。
アクランの目的を明らかしてくれるそうだ。その代わりに仕事を手伝えという条件付きなんだけど。
こうしてアクランことブラックホールマンの旅が始まる。

ゲームの特徴Features
メトロイドヴァニア

本作はメトロイドヴァニアゲームなので、進める場所を見つけてどんどん攻略していく。
ボスを倒すと新たな移動スキルを習得して行ける場所が増えていく。
NPCが「あそこに行け」という目的地は指定してくれるけれど、そこまでの道のりは自分で探していく必要がある。
各所にあるピンク色の大きな岩がセーブポイントであり、ファストトラベルが出来る設備もある。
ブラックホールマンの力

主人公は常時2種類の武器を装備しておくことができて、すぐに持ち替えられる。
武器では近接攻撃だけではなく固有の特殊攻撃も可能。
本作にはスタミナゲージがあり、スタミナを消費して特殊攻撃を発動する。スタミナは時間が経つと回復する。
また、頭部がブラックホールな主人公ならではの攻撃方法もある。
敵の攻撃が当たる瞬間にタイミング良くボタンを押すと「吸い込み」ができる。ジャストガードのタイミングで発動できる。
成功すると、敵の体力を減らし、主人公のブレスゲージが溜まる。
ブレスゲージが最大まで溜まったら、主人公の体力回復に使うことが出来る。
スキルは敵からもらう

本作では、敵を倒すと経験値を獲得する。
セーブポイントでは溜まっている経験値を消費して、体力などの好きなパラメータを上げることが出来る。
また、そうしたレベルアップとは別に、スキルをアンロックすることでも主人公を強化することができる。
それには、まず敵を吸収しなければならない。
上述した「吸い込み」で同じ種類の敵を一定数吸収する(吸い込みでトドメを刺す)と、その敵からもらえるスキルが明らかになる。この時点ではまだスキル習得はできない。
各地にいる強敵を倒すと手に入るハントポイントを消費して明らかになったスキルをアンロックすることができる。
つまり、敵をぶん殴って倒すだけではなく、積極的に吸い込みを使うことでプレイヤー好みの成長が可能になるわけだ。
情熱があれば経験値が増える

セーブポイントに触れると雑魚敵が復活するし、各武器は特定のステータスが一定以上じゃないと装備できなかったり、本作にはソウルライクな部分がある。
ただし、ゲームオーバーになっても経験値は失わない。
何を失うかというと情熱だ。
いや、ゲームオーバーになって心が折れるとかいうプレイヤーの心持ちの情熱の話ではない。
敵を倒すと画面左上の数字が増えていく。これが情熱。
数字が多いほど敵を倒した時の獲得経験値が増えていく。ただし、敵から攻撃を受けると少しずつ減っていってしまう。
で、ゲームオーバーになると、この情熱がゼロになる。
しかし、最後に死んだ場所に立っている壊れた器(主人公の分身)を壊せば、ゲームオーバー前の情熱カウントに戻すことができる。
つまり敵を倒し続けるほど、より強くなれるということだ。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ

3.5
訳の分からないオープンニングを見て、唐突にゲームが始まる。
何が何なんだ、このブラックホールヘッドは一体なんなんだ。何をどうすればいいんだ。
とにかく訳が分からなさすぎる。
でも、NPCの話をよく聞いていると、なんとなく世界の仕組みがじわじわ分かってくる。
とはいっても、すんなり分かる物語ではないので、理解しようという姿勢を保ち続けなければならない。
気持ち悪く不気味な雰囲気でNPCは魑魅魍魎。独創的で、ハマると癖になる世界だ。
キャラクターの魅力

4.0
上述の通りよく分からない物語だけど、NPCたちはコミカルな奴が多い。
ホラー映画にそのまま出演できそうな見た目のキャラばかりだけど、性格は明るい奴が多く、もはや可愛ささえ感じる。
そして、本作で1番魅力的なキャラは主人公だ。
主人公の頭がブラックホールって、未だかつて見たことがないタイプの主人公だ。
ひとしきり巨大化する変身を重ねた挙句、最終的にコンパクトになるラスボス第3形態みたいだ。まあ、そうだとしても頭部がブラックホールっていうラスボスは見たことがないけれど。
でも、頭部が亜空間で表情は全く分からないけれど妙に愛着が湧いてくる。
しかし、よく考えると、敵を吸い込んで自分の能力にするってことは、もしかしてカービィと同じ!?いや、そんな、まさか!


操作性

4.0
主人公の挙動はキビキビ動くわけではなく、重厚なアクションだ。
武器によって挙動が変わるので、攻撃スピードが速い武器と遅い武器ではプレイ感覚がかなり変わる。
それでも、全体的に重めな動きではなる。
武器による攻撃は通常攻撃と特殊攻撃のみなので、操作は分かりやすい。
当たり判定も吸い込みタイミングも精度が高い。
パリィ不可な攻撃の時は敵が赤色に光るし、見た目でも分かりやすい(対応できるかは別問題だけど)。
難易度バランス

4.5
本作は高難易度アクションだ。間違いなく死にゲー。
死んでも経験値が減らないのでレベルは上げていける。が、レベルが1つ上がってもそんなに強くなるわけではない。
武器には必要能力値があるため、ホイホイと強い武器も使えない。
更に、ダッシュ回避含めアクションによるスタミナ消費が多めなので、スタミナ管理も辛い。
でも、良質な死にゲーであり、敵の攻撃パターンや吸い込み可能タイミングを覚えれば乗り越えていける。
また、地形トラップも多く、プラットフォームアクションの難しさもしっかり味わえる。
アクションが重ためなので、無駄な動きをしたら死ぬ。ハイペースなバトルとは違った難しさと達成感が味わえる。
ゲームシステム

4.5
システムの各要素が上手く噛み合っていて、高難易度さによっても面白さが更に倍増している。
単に敵を倒すだけでは新たなスキルは習得できない。スキル習得のためと体力回復のために敵を吸い込みたいと思っても、吸い込み=ジャストガードなのでダメージを受けるリスクがある。
更にスキル習得には経験値ではなくハントポイントが必要。積極的に強敵に挑まなければならない。
吸い込みというアクションが加わることでバトルに捻りが生まれていて、雑魚敵で経験値稼ぎすればいいわけではない難しさに病みつきになる。
メトロイドヴァニアとしても、エリア同士が意外なところで繋がっていたり、探索が面白いマップ構造になっている。
足場を引き寄せるなど本作ならではの移動スキルも独特で面白い。
やりこみ要素

4.5
各武器はアップグレードが出来る。
自分のお気に入りの武器を育てて、更に好きなスキルをアップグレードしたり、自分のプレイスタイルに合わせたビルドを考える楽しさが味わえる。
そして、多種類の敵を吸い込みまくって色んなスキルを開示するのが本作1番のやり込み要素とも言える。
隠し通路もしっかりあるので、探索するやり込みもちゃんと楽しめる。
基本的には主人公を強化するためのやり込み要素ばかりなので、やる気も湧きやすい。
グラフィック

4.0
強烈な主人公の外見から始まり、本作の世界はどこもかしこもかなり独特。
岩やツタも蠢いているし、不気味かと思いきや淡いピンクや緑色が効果的に使われていて美しい場所もある。
気持ち悪さのセンスが抜群で、グラフィックのクオリティも高い。
見た目で「あー、あのゲームに似てるなあ」という感覚は一切起こらない。超個性派。
正体不明な気持ち悪さが好きな人なら気に入るはず。
サウンド

4.0
不気味な雰囲気を盛り上げてくれるBGMが多い。
一方で、ボス戦が始まるとBGMが盛り上がる。
攻撃した時の効果音は、岩をパンチしたようなゴッとかドゴッという鈍い音なので、バトルでの爽快感は低め。鈍器の音だ。
また、ジャンプした時やダッシュ時の効果音もあまり鳴らないので、アクションの爽快さは感じにくい。
\\サントラはこちら//

総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
独創的な世界設定や雰囲気
ハイリスクハイリターンなシステム
好きなプレイスタイルで戦える
本作ならではの移動スキル
残念なところ
バトルで爽快さは感じにくい
物語が分かりにくい
オススメな人
高難易度な死にゲーが好き
メトロイドヴァニアが好き
個性的なゲームを求めている
頭をブラックホールにしてみたい
オススメではない人
ハイペースバトルが好み
とっつきやすい物語じゃないと興味を失う
気持ち悪い世界が苦手
おすすめ類似ゲーム本作に似たゲームはコチラ
泥で出来た戦士が創造主を求めて戦うメトロイドヴァニアゲーム。物質から生物が創られるという設定が本作とやや近い。こちらはハイペースなバトルでソウルライクな高難易度が味わえる。

ハイペースではない重厚アクションが好きなら、こちらもおすすめ。敵の攻撃に合わせて防御方法を変えるなど、無駄のない動きをしなければならない高難易度2D横スクロールアクションゲーム。

GRIME
主人公はラスボス第3形態
頭部がブラックホールで、いい意味で気持ち悪い個性的な世界が魅力のメトロイドヴァニアゲーム。 重めなアクションで、単に敵を殴って倒すだけではないバトルシステムが面白く、死にゲーな高難易度が味わえる。 ゲームプレイも世界設定も本作ならではの面白さがいっぱい。
GRIME
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