『FORSPOKEN フォースポークン』レビュー: 不思議の国の魔法パルクール
『Forspoken フォースポークン』とは、Luminous Productionsが開発したオープンワールドアクションアドベンチャーゲーム。
Luminous Productionsは、『ファイナルファンタジー15』の開発者さん達の多くが属して発足したデベロッパーで、現在はスクウェア・エニックスに吸収合併されている。
本作は、PS5とPCでプレイ可能。私はPS5版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
どん詰まりニューヨーカー
本作の主人公は、フレイ・ホーランド。
ニューヨークで暮らす彼女は、生まれながらに親がいない。
里親とは上手くいかず、独り立ちして幸せになろうと厳しい現実で1人闘う21歳だ。
彼女は、新天地で人生を仕切り直そうと計画していて、その資金を稼ぎのために物騒なギャングと関わっている。
しかし、そのせいで警察に捕まってしまうし、挙句の果てにギャングに貯めていた資金ごと自宅を燃やされてしまう。
踏んだり蹴ったりどころか、どん底どん詰まりだ。
この現実は、このニューヨークという街は、フレイが生きていくにはあまりにも辛すぎる。
異世界にようこそ
失意のフレイだったけれど、ここから物語は急展開する。
黄昏ていたフレイは、ふと廃屋に置かれた美しい腕輪を目にする。
吸い寄せられるように腕輪を自身の腕に装着してみたフレイ。
すると、次の瞬間。
どぅわわわわぁああん。画面が紫色に!ロード画面か?いや、ロード画面じゃない。ワープだ。
次に目を開けると、フレイはアーシアという異世界に到着していた。しかも、元の現実には戻れなくなってしまった。
カフと魔法と瘴気
ここから、フレイの身に起こったことを簡単にまとめて記載する。
フレイが付けた腕輪には誰かが宿っており(フレイはカフと名付ける)、そのおかげで魔法が使えるようになった。ちなみにカフとは会話も出来る。憎まれ口を叩き合うけれど。
アーシアはファンタジーな世界だけど、人間含め生物を狂わせる瘴気(フレイはブレイクと呼んでいる)に蝕まれていっている。
でも、フレイは異界から来たせいか瘴気の影響を受けない。
アーシアにはタンタという人々に崇められていた4人の統治者がいたけれど、絶賛ご乱心中の模様。瘴気発生にも関わっているらしい。
というわけで、ここから導き出される展開は、フレイが魔法を駆使してアーシア救出するぞ物語だ。
フレイは「現実に戻る方法を探すためなんだからね!」と自分に言い訳しつつも、アーシアに起こっている脅威に立ち向かっていくことになる。
ゲームの特徴Features
魔法パルクールでオープンワールド
本作はオープンワールドゲームなので、好きに探索しながらメインストーリーに沿って進んでいく。
道中には、封印迷宮というダンジョンや宝箱、フレイを強化出来るタンタの碑など、探索するポイントが点在している。
本作の大きな特徴は魔法パルクールでの移動。
崖を跳びながら登ったり、空中ダッシュしたり、高速移動ができる。
徒歩や普通のダッシュも出来るけれど、魔法パルクールの高速っぷりは桁違いだ。
魔法パルクールは発動する度にスタミナを消費し、時間経過でスタミナは回復する。
魔法で戦う
フレイは魔法で戦う。
魔法には攻撃魔法と支援魔法があり、攻撃魔法は好きに発動出来る。
敵の動きを止めるなどの支援魔法や必殺技的なチャージ魔法は、通常の攻撃魔法を敵に当てるごとにチャージされ、溜まりきったら発動可能になる。
バトル中も、もちろん魔法パルクールは使用可能。
敵からの攻撃は、ステップのような短距離パルクールで避けられる。
しかし、敵が赤色になって攻撃してくる時は、ピョーンとがっつりパルクールで側転するようなロール回避でしか避けることが出来ない。
また、ジャストガードや体勢を崩した敵にフィニッシュブローも可能。成功するとフレイの体力が回復するのでピンチの時にも狙っていきたいところ。
一流の魔法使いになる
クエストクリアやバトルで敵を倒すと経験値を獲得し、レベルアップしていく。
バトル中には、敵の背後から攻撃したりパルクールを組み合わせて立ち回ったりすると「お上手ですね!」とスコアが溜まり、その評価が画面右端に表示される。
好成績なほど、敵を倒した時により多くの経験値やアイテムが獲得できる。
逆に、ダメージを受けるとガクッと評価が落ちる。
この評価はバトルが終わっても維持されたままで、コンボが途切れたりバトルが終わると初期値に戻るといったアクションゲームあるあるなシステムとは異なっている。
賢くバトルを重ねていくほど、より早く強くなれるというわけだ。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
3.5
辛い人生を歩んできた主人公フレイが、心機一転ファンタジー世界へ。
瘴気の発生や狂ったタンタ、そしてカフの正体など、気になる謎が満載だけど、それは舞台装置だ。
本作は、他人に心許せなかったフレイが人としての成長していく物語が中心になっている。
ただ、物語はテンポがあまり良くない。
異様に細々とした段階を経て進む場面もあれば、ズバァッと急展開することもある。
世界設定や物語の背景はテキストで読むだけだったり、突然フレイが「全て把握した!」と一気に理解してることもある。
先が分かりやすい物語ではあるので攻略に支障があるわけではないんだけど、物足りない。
また、1つのイベントシーンの最中に妙なタイミングで暗転したり、会話中に不思議な間が空いたり、演出が安定していないのも気になるところ。
物語が面白くないわけではないんだけど、物語に浸れるゲームではない。
キャラクターの魅力
3.5
他人に優しくされたり信頼されることがなかったフレイが、くすぐったさを感じながら人と打ち解けていく様子は微笑ましい。
なかなか素直になれない彼女にヤキモキしつつ、「もう幸せになっていいんだぞ、フレイ」と自分でもよく分からない立場からフレイをあたたかく見守る。
また、上述した通り物語描写は薄めだけど、フレイとカフの会話だけは何故かかなりたっぷり。
歩いている最中にも憎まれ口を叩き合いまくっていて、最初は「もー、そんなこと言いつつ仲良しか」と思って聞いてたんだけど。
徐々に強気発言の多さに辟易してきて、設定で会話の頻度を下げてしまった。それでも十分なくらいよく会話してる。
操作性
4.0
高速移動とハイペースな派手バトル。これが本作最大の魅力だ。
敵の背後をとりながらバシバシ魔法を放つ。慣れてくるとピュンピュン立ち回れて楽しい。
魔法パルクールでの移動は、自動でガンガン障害物を乗り越えてくれるし快適。
操作方法も分かりやすい。
操作性は悪くない、悪くない。そう、悪くはない。
しかし、いま一歩満足できない。
多用する攻撃魔法を溜めて放つには、PS5版ではアダプティブトリガーを全押ししなければならない。
デフォルト設定だと指の疲労度がハンパないことに。長時間プレイしたい時や筋肉ムキムキの指を持つ人以外ならアダプティブトリガーは「弱」かオフにした方がいいと思う。
せっかくのアダプティブトリガー機能なのに、残念。連続で多用しないアクションに割り当てて欲しかった。
また、敵もフレイも大きく動くので、ロックオンが外れやすい。派手なバトルが楽しめる分、仕方ないのかもしれないけれど。
フィニッシュブローやNPCに話しかけるコマンドが対象に近づきすぎると効かなくなるなど、ちょっとした「困るなあ」がちらほらあって残念。
難易度バランス
4.0
難易度は、ストーリー重視、オープンワールド重視、アクションバトル重視、デフォルトという明確に違いが分かりにくい4つの選択肢から選べる。
私はデフォルト設定でプレイ。
フィールドには強めな変異体モンスターがいて、そいつらにむやみに殴りかからなければ、敵の攻略は難しくない。
基本的には敵の背後から攻撃するのが鉄則。
敵自体の強さより、ビョンビョン動くフレイの魔法パルクールを制御しながら立ち回る方に苦戦することの方が多い。ついつい大きく動きすぎてしまうからだ。
オープンワールドでレベルアップで強くなるシステムなので、探索しながら進んでいれば自然と強くなりゲーム進行につまずくことはない。
ゲームシステム
4.0
3Dアクションのオープンワールドゲームで、魔法だけで戦うというのは珍しい。しかも魔法パルクールという高速移動方法も駆使する。
この2つの珍しい要素が面白いところ。躍動感もっりもりのアクションが楽しめる。
ただ、このアクションを楽しむのがメインで、物語や探索の面白さは薄め。
マップ構造は複雑ではなく、瘴気によって世界はほぼ壊滅しているため探索はアイテム収集が中心。ざっくり表現するとバトルを繰り返して宝箱を開けていくシンプルなゲームとなっている。
旅や探検を楽しむオープンワールドではなく、寄り道できるアクションゲームという印象だ。
やりこみ要素
3.5
どれだけ探索ポイントを攻略するかが1番のやり込み要素だ。
装備品が手に入ったり、フレイのステータスアップが出来るものばかりなので、やる気が湧きやすい。
また、フィールドや敵討伐時に手に入る素材を使って消費アイテムをクラフトしたり、装備品に追加効果を付けて強化も出来る。
ちなみに、フレイの装備品はマントとネックレスとネイルアートだ。
フィールドやレベルアップ時に獲得するマナを溜めると、より強い魔法をアンロックしていくことができる。
また「敵にダメージを一定以上与える」などバトル目標を達成することで各魔法を更に強化出来る。
サイドクエストやテキスト資料集めなど収集要素もあるけれど、マップ構造や物語がシンプルな分、やや単調に感じてくる。
グラフィック
4.0
綺麗な3DCGグラフィック。魔法のエフェクトは派手だし、メニュー画面もおしゃれ。
舞台となるアーシアの世界は、エリア(レルムと呼ばれる)によって風景が異なっていて綺麗。
ただ、クオリティがあまり安定していないのが気になるところ。デフォルト設定だとコントラストがキツすぎて影も明るい場所もどちらも見にくくなる場所がある。
グラフィックモードは3つあり、私は「標準的な設定」という高画質表示を選んだけれど、NPCに比べてフレイの肌質がのっぺりになっていることが多くてちょっと気になる。
主人公だけは常に美肌加工される特別仕様かな。
サウンド
4.0
壮大なBGMが多い。大体、女性のファーラーラーラーみたいなボーカルが聞こえてる。
フレイが放つ魔法はエフェクトが派手なだけではなく、効果音も豪快に鳴るので、魔法ぶっ放してる感が満点。
ちなみに、本作はフルボイスだけど、英語ボイスと日本語ボイスで「性格変わった?」レベルでフレイの印象が異なる。
フレイは、英語ボイスだとかなり落ち着いた印象で、日本語ボイスでは元気で生意気な印象に変わる。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
魔法パルクールや魔法バトルが新鮮
派手なバトルが楽しめる
操作が分かりやすい
残念なところ
物語描写が断片的
探索要素やマップ構造がシンプル
作り込み不足な部分がある
オススメな人
ハイペースなアクションゲームが好き
派手なバトルが好き
魔法使いになりたい
オススメではない人
物語を楽しみたい
近接攻撃で戦いたい
画面酔いしやすい
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逆境に立ち向かう強気な主人公のオープンワールドゲームならこちらもおすすめ。物語もバトルも探索も全てが濃密に特大ボリュームで作られた高評価な超大作。
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アクロバティックなオープンワールドゲームなら、こちらもおすすめ。スパイダーマンとなってニューヨークの街を蜘蛛の糸で縦横無尽に跳び回る。本作主人公フレイが生まれ育ったニューヨークのヘルズキッチンも登場する。
Forspoken フォースポークン
不思議の国の魔法パルクール
異世界に迷い込んだ主人公が、魔法で戦うオープンワールドアクションアドベンチャーゲーム。
魔法パルクールでの高速移動や、エフェクトが派手なハイペースな魔法バトルが新鮮であり本作の大きな魅力。
物語や探索というよりアクションゲームとして楽しむのがおすすめなゲーム。
FORSPOKEN フォースポークン
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