『Ghost of Tsushima』とは、SIE(ソニー・インタラクティブエンタテイメント)の子会社であるSucker Punch Productionsが開発したオープンワールドゲーム。
開発元は、超能力アクション『InFAMOUS』シリーズなどを手がけきたデベロッパーだ。
本作では、日本史の元寇がテーマになっている。史実を元にはしているけれど、本作の登場人物や物語はフィクション。
開発元はアメリカのデベロッパーではあるけれど、日本の時代劇に着想を得て開発したそうだ。
本作は、PS5、PS4でプレイ可能。現在は、発売当初から追加コンテンツも同梱されたDirector’s Cut版が発売されている。


本作はどんなゲームか、その特徴や魅力と共に実際にプレイした感想と各要素の評価をネタバレなしでレビューする。また、本作に似ているゲームも紹介する。
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あらすじStory
ピンチな対馬
舞台は鎌倉時代の対馬。
領土拡大により勢いを増すモンゴル帝国が、遂に日本へ襲来。モンゴル兵が対馬に上陸してくるところからゲームは始まる。
迎え撃つのは、対馬の武士たち。
本作の主人公である境井 仁(さかい じん)はそのうちの一人。
仁は、対馬を治める地頭(じとう)である志村の甥にあたる。仁にとって志村は父親代わりであり、師匠のような存在だ。
そして、圧倒的な数のモンゴル兵との激闘の末、対馬の武士たちは壊滅してまった。
更に対馬のリーダーである志村おじさんは、モンゴル兵に捕まってしまう。

待ってて!おじさん
そんな激戦にも関わらず、仁は奇跡的に生き延びた。仁は、目覚めるやいなや、いきり立って志村おじさんを助けに向かう。
ところが、主人公補正なんてあるわけもなく、モンゴル兵のボスであるコトゥン・ハーンの圧倒的な強さに吹っ飛ばされてしまう。
それでも、またまた奇跡的に生き延びる仁。この時点で既にゴースト感があるくらい強運で不死身だ。
今の仁ではおじさんを助けられないし、対馬の地はモンゴル兵に好き放題されてしまう。
仁は、もっともっと強くなって対馬を奪還しようと心を決める。
それが、たとえ武士としての教えにも背く手段であったとしても。

ゲームの特徴Features
HUDなしオープンワールド

本作はオープンワールドであり、メインストーリーにサブクエスト、敵の拠点攻略などなどが各地で発生する。発生したイベントは、どの順番でクリアしてもいい。
本作の大きな特徴は、進路や方角などのHUDが表示されないということ。
バトル時には体力ゲージなどが表示されるけれど、探索中はミニマップや近くの拠点などの地図情報は一切表示されない。
「いちいち地図画面開くの面倒くさっ!」となりそうだけど、そんなことはない。
対馬の自然が全て教えてくれる。
行きたい場所を地図上で一度設定すれば、その方向へ風が吹く。地図は見ずとも風の向きを頼りに進めばいいだけだ。
また、狐や鳥を追いかけていけば、お稲荷さんや温泉が見つかる。そこでは、仁の基礎ステータスのアップグレードができる。
黒い狼煙の元にはモンゴル兵の拠点があるし、白い狼煙の元には誰かがいてクエストが発生する。
正々堂々か姑息か

道中では、モンゴル兵などのバトルが勃発する。パトロール中のモンゴル兵に遭遇したり、拠点に攻め込んだり。
戦い方は大きく分けて2つ。
一つ目の戦い方は、正々堂々としたもの。誉れ高い武士として「たのもー!」と挨拶して一騎討ちからバトルスタートできる。
一騎打ちでは、相手を一撃必殺できる。だけど、一騎討ちの相手以外の他の全敵から狙われる状態になる。
バトルは、刀で戦う時代劇なチャンバラ。弱攻撃と強攻撃があり、ジャストガードやパリィもある。
また、剣の構え(「型」と呼ばれる)が大切で、敵の種類に合わせて切り替えながら戦う。
二つ目の戦い方は、姑息だけど賢さで戦う方法。ステルスプレイだ。敵に挨拶せずに背後からステルスキルしたり、弓やクナイや火薬などで遠距離攻撃もできる。
噂される仁

仁は、地頭の甥であり、民の上に立つ立場だ。百姓たちは、仁のことを「お侍さま」と敬ってくれる。
とはいっても、民は対馬の武士は惨敗したと思ってて期待はしてくれない。
しかし、クエストをクリアすると仁の噂が立つ。「頼りになる良いお侍さんだ」と言われているに違いない。で、噂が広まっていくと、仁の武士の格が上がって技量を得る。
つまり、噂が経験値で、噂がある程度広まるとレベルアップしてスキルポイントが貰えるわけだ。
スキルポイントによって、新たな技を習得したり、道具のアップグレードが出来る。
また、武器や防具は、各地にいる鍛冶屋や甲冑師などに素材を渡して強化することができる。
素材は店やフィールド、また敵を倒すことで手に入れる。
また、花を集めると装具の色を変えたり、刀の飾りも変えたり、外見のカスタマイズも可能。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ

4.5
元寇がテーマになったゲームって他にあるんだろうか。
ゲームで日本が舞台になる時は、戦国時代や現代の都会とか、サイバーパンクな世界に登場する奇妙な日本文化なことが多い。
おそらく史上初の元寇ゲーム。それだけで興味惹かれる。
物語は、守るべき民と倒すべき敵がいるという分かりやすい内容。
その一方で、自分がどうあるべきか、どういう姿勢で生きたいのかを自問自答する心の葛藤がしっかり描かれている。
オープンワールドでは珍しく主人公の感情が丁寧に描かれていて、感情移入しやすい。
仁につられて「深い…」と渋い顔になりながらプレイしていた。誉れって深い。
キャラクターの魅力

5.0
メインキャラはそんなに数は多くないけれど、みんな個性豊かで短所だらけ。
彼らの物語もしっかり描かれていて、必ずしも良いところばかりじゃない人間臭さに愛着が湧く。
そして、何といっても主人公の仁が魅力的。
主人公的なスマートでクールで屈強というわけじゃない。
どちらかというと泥臭くて一生懸命。だけど、良い。だからこそ良い。
操作性

5.0
バトルでは、敵によって型を切り替えたり、遠距離武器も種類が豊富で、たくさんの戦術が使うことができる。
でも、どれも直感的に操作しやすくなっている。
敵のロックオンは出来ず、主人公が向いている方向に攻撃を繰り出す。となると、移動しながら上手くカメラを動かさなくてはならない。
面倒くさそうだけれど、これが、主人公と敵を画面におさめながら戦うという自分で時代劇を撮っているような気分になる。
日本の時代劇に着想を得ているだけあって、ゲームプレイでもそれをしっかり感じることができる。
ロックオンできなくても、プレイしやすい。
馬に乗って移動しながら資源が採れたり、スタミナの概念もないので、スイスイ移動できる。ノンストレス。
難易度バランス

4.0
一騎打ちやを斬り合っている時は、相手の剣先を見たり、敵の種類に応じて型を変えたり、まさにチャンバラ!
バトルの難易度はそんなに高くなく、「武士やってまーす!」といった感じで楽しく戦える。もちろん、対複数戦やボス戦になると全然楽勝というわけではないけれど。
一方で、ステルスプレイでは敵の挙動が単純すぎてしまう。敵は、すぐに主人公のことを見失うし諦めてしまいがちなので、ちょっと物足りない。
ゲームシステム

5.0
オープンワールドあるあるなシステムであり、各地を巡って、クエストをこなす。
でも、移動するときに自然や環境を見て道を探るのは新鮮。
バトルは、一騎打ちが独特でハマる。見合って見合ってー、シュバッ!これが、かなり爽快!
仁は物語上、正々堂々と戦う武士の誉れと勝ちにこだわる冥人としての生き方の狭間で悩む。特に敵の拠点を攻めるときは、どう攻めるかを自ら選ぶことになる。
で、ステルスももちろん面白いんだけど、「誉れに反している」と感じてしまう。
でも、敵の極悪非道っぷりや大量の敵を目にすると、「絶対に倒す!」と手段構わず勝ちを求める。
プレイしているこちら側も、仁と同じ葛藤する感覚に陥るのが面白い。
やりこみ要素

5.0
オープンワールドなのでやり込み要素はもちろん豊富。
和歌を詠んだり温泉に入ることで基礎ステータスがアップグレードするというのは、独特で面白い。
武士とは、戦うだけではなく、風流を嗜んでも強くなるって訳だ。
サブクエストもかなり多く、それぞれでストーリーが展開してNPCの過去を知ることが出来るので、かなりやる気が湧く。
あと、なんといっても絶景。移動している最中も絶えず「綺麗、綺麗、綺麗、綺麗」とうっとりしてしまう。ずっと飽きずにプレイできる。
グラフィック

4.5
絶景に次ぐ絶景!どこを見ても絵になる。
色鮮やかで風に花や落ち葉が舞う様子とか、もはや現実より綺麗。
フォトモードの機能も気合入った作りになっている。
本当に侍ムービーが好きな人が作ったんだなと感じるような演出も多い。とにかく絵になる画になる。
「黒澤モード」という白黒時代劇調グラフィックで楽しめるモードまである。
毎秒毎秒がクライマックス。対馬に旅行に行きたくなる。
サウンド

4.5
BGMはガンガン鳴らない。環境音にほんのり曲が乗る程度。
コントローラーのスピーカーからも風の音が聞こえてくる。ASMR動画になりそうな気持ちいい環境音ばかり。
でも、バトルになると、和風で厳かでありつつ盛り上がる曲が流れて、武士の気分満点で楽しめる。
\\サントラはこちら//

総合評価Summary
5.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
時代劇のようなカッコいい剣戟
たくさんの戦術がとれる
美麗グラフィック
しっかり心理描写されている物語
自然を見て探索するシステム
残念なところ
ステルス時に敵が賢くない
オススメな人
オープンワールドが好き
時代劇や武士が好き
自由度の高いゲームをプレイしたい
ボリュームたっぷりの大作をプレイしたい
オススメではない人
朗らかな雰囲気のゲームをプレイしたい
残虐な演出が苦手
出来ることが多いと思考停止してしまう
探索が面倒くさい


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Trek to Yomi
本作と同じく、時代劇を感じる2Dアクションアドベンチャーゲーム。剣戟アクションと、自分の信念を見出していく物語が楽しめる。美しいモノクログラフィックも魅力。

SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE
敵と刀と刀でぶつかる剣戟アクションが好きならこちらもオススメ。高評価の高難易度和風死にゲー。こちらは架空の戦国時代が舞台で主人公は忍。

Ghost of Tsushima
侍ムービー主演男優賞
自然豊かな絶景の対馬で孤軍奮闘しながら武士として葛藤する物語が楽しめる。
周囲を観察して道を見つける探索や、一騎討ちなど剣戟バトルも面白い最強オープンワールドゲーム。
Ghost of Tsushima
©2020 Sony Interactive Entertainment LLC.