『Hi-Fi Rush』レビュー: ビートを刻む不良品
陽気な仲間も背景も一緒にリズムに乗って敵をかっ飛ばし、底抜けに元気になれる『Hi-Fi Rush ハイファイラッシュ』をネタバレなしで要素ごとに詳しくレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
Hi-Fi Rush製品情報
タイトル | Hi-Fi Rush |
---|---|
開発元 | Tango Gameworks |
対応機種 | PS5, Xbox, PC |
ジャンル | リズムアクション, プラットフォームアクション, アクションアドベンチャー |
本稿ではXbox版をレビューしている。
Hi-Fi Rushの攻略
ストーリー
ヴァンダレイ社の治験に参加するチャイ
高いロボット技術で儲かりまくりな巨大企業ヴァンダレイ社。
ヴァンダレイ社ではロボットパーツと人間を融合させる新技術を開発し、そのテストのために被験者を募集していた。
そこに意気揚々と応募してきたのが、本作の主人公チャイ。
ロックスターに憧れるノリが良すぎる若者だ。しかし、右腕を負傷しているらしい。
チャイは今や懐かしいのiPodのようなミュージックプレイヤー含め手荷物を預けて、いざ手術へ!
いや、待てよ、手術じゃないのか?
チャイが案内されたのは病院ではなく工場のような場所だ。大丈夫か?あれ?チャイって人間だよね?
ビート人間の誕生
そんなチャイ含め被験者たちの様子を、ヴァンダレイ社の社長ケールと幹部たちは眺めていた。
聞こえのいいキャッチコピーで被験者を集めているけれど、社長ケールの本性はお金儲け至上主義だ。
ケールは「被験者にインフルエンサーがいないじゃないか」と不満たらたらで、八つ当たりにチャイが預けていたミュージックプレイヤーをポイッと放り投げてしまった。
そして、幸か不幸か、そのミュージックプレイヤーが今まさにチャイの右腕にロボットパーツを装着しようとしているプレス機(やっぱり手術ではなかった!)の中に落下してしまう。
で、ガッチョン!とプレス完了。
手術ではなくスタンプのようにロボットパーツを人体にプレスするというハイテク謎技術だ。
こうして出来上がったのは、右腕には確かにロボットパーツ(ゴミ拾い用の磁石付き)は装着されているけれど、胸にミュージックプレイヤーが埋め込まれてしまったチャイだ。
不良品チャイと仲間の戦い
ミュージックプレイヤーが埋め込まれたことで、なぜかビートに合わせて動けばパワフルになれる不思議ボディになってしまったチャイ。
そんなチャイは異物混入した不良品とみなされ警備ロボット達に追われることになってしまう。不良品は廃棄される運命だ。
ところが、別の運命が動き出す。
「殺されてたまるか!」と必死に逃げていたチャイはペパーミントという女性に助けられ、そこからヴァンダレイ社の陰謀阻止計画に半ば強引に協力させられることになる。
一癖も二癖もある、というか、もはや人間をやめてるレベルで暴走する幹部達やロボット達を相手に、ビート人間チャイの戦いが始まる。
攻略のポイント
ステージクリア型
本作では、物語はひと続きになっているけれど、いくつかのステージに区切られている。
ステージごとに探索とバトルを攻略して進んでいく。バトルは特定の地点で発生し、全敵を倒さないと先に進むことは出来ない。
本作はリズムアクションゲーム(音ゲー要素あり)なので、バトルでどれだけリズムに乗れていたかといった内容が評価され、ステージ終了時には総合評価も表示される。
ビートに合わせてアクション
探索中でもバトルでも、背景やオブジェクトもBGMのビートに合わせて動く。
探索中にはプラットフォームアクションもあるけれど、ギミックもBGMのビートに合わせて動く。ちなみに主人公もBGMに合わせて一歩一歩踏み出す。
バトルでは、ギターを振り回して弱攻撃と強攻撃が可能。攻撃もビートに合わせて発動する。
どんなにボタンを連打しても、変なタイミングでボタンを押しても、主人公はビートのタイミングに合わせて攻撃を繰り出す。
じゃあ、いつボタンを押してもいいのか、というわけではない。
ビートに合わせて攻撃ボタンを押せると与えるダメージ量がより多くなり、敵が回復アイテムをドロップしたり、スコアも上がっていく。
操作がビートからズレてもアクションは起こるけれど、タイミングが合っている方がメリットが得られる。これが本作の基本だ。
ビートに合わせてコンボを決める
上述した通り、チャイは弱攻撃と強攻撃が可能で、その組み合わせによってコンボ技が発動する。
コンボの最後にはビートヒットが発動し、画面上に現れる緑色の円と赤色の円が重なるタイミングでボタンを押せば大ダメージを与えられる。
また、パリィやグラップリングフックを使って敵に近づいたり、敵を打ち上げて空中コンボを決めるといったアクションも出来る。
更に、ビートに合わせて攻撃ボタンを押せているとリバーブゲージが溜まっていき、一定量溜まるとスペシャルアタックと呼ばれる必殺技を繰り出すことが出来る。
新たなコンボ技や必殺技やパッシブスキルは、探索やバトルで手に入るギアを消費してアンロックしたり強化も出来る。
仲間に加勢してもらう
プレイヤーが操作するのは主人公だけど、仲間に加勢してもらうことが出来る。
仲間は常に同行しているわけではなく、Xbox版ではRTボタンを押すと仲間が登場して、そのキャラ固有のスキルで敵を攻撃して帰っていく。
味方キャラは、クールタイムを経れば再召喚出来る。
特定の敵が張っているバリアや探索中の障害物は、対応した仲間スキルでないと壊せないものもあるので、仲間を上手く使い分けなければならない。
記事はさらに下に続きます
Hi-Fi Rushの評価
物語の面白さ
見た目通りのカートゥーンそのものな軽快なノリで物語は進む。
物語の冒頭からずっとノンストップでハイテンション。
笑えるシーンも多く、にぎやかなアニメっぽい演出が矢継ぎ早に起こり、ドタバタとずっと楽しい。
自己顕示欲とプライド高すぎな敵集団に、もやし野郎とも呼ばれる若僧が立ち向かう。
あるあるな展開が多いけれど、異常にテンポが良くて冒頭からグングンと物語に惹き込まれていく。
キャラクターの魅力
主人公は、バカにされたり殴られたりぶっ飛ばされたり散々な目に遭うけれど、常に根拠のない頑丈な自信があり元気いっぱい。
少年漫画(ギャグ漫画寄り)の主人公のように魅力的なヒーローだ。ヒーローっぽく決められないけれど。
一方で、仲間はツンデレハッカーや心優しき脳筋など、分かりやすくて魅力的だ。
で、仲間よりも強烈なのはボスとなる幹部達だ。とんでもなく濃い性格をしてる奴らなので、いちいち笑える。突き抜けた性格が採用条件なのかもしれない、ヴァンダレイ社は。
そして、そこかしこにいる従業員であるロボット達は、かなり人間くさいヤツらばかりで、セリフが面白い。
操作の快適さ
BGMのビートは分かりやすく、ボタン入力の反映や敵の動きもビートのタイミングにバッチリ合っている。
また、色んなアクションが登場するけれど、操作方法は分かりやすい。というよりチュートリアルが親切だ。
新たな要素が登場する度にチャイの脳内ステージでチュートリアルが行われ、それ自体が面白おかしく作られているし、新しいアクションが登場するテンポも親切だ。
本作をプレイしていると、プレイヤーに快適に楽しんでもらおうという心くばりが随所で感じられて、すごく好感が持てる。
敵のロックオンは出来ないけれど、攻撃ボタンを押せば自動で近くの敵を狙ってくれるので、ビートに集中出来るのもありがたい。
難易度バランス
リズムアクションゲームなので、プレイヤーのリズム感が一番大事だ。
でも、背景などもビートに合わせて動いているので視覚的にタイミングが分かる。リズムを把握するのが苦手な人にも安心だ。
更に画面下にビートのタイミングが分かるように表示させることもできる。
ボタンを押すタイミングがビートに合っていなくてもミスにはならず攻撃を繰り出せるので、いわゆる音ゲーに馴染みがなくても気軽にプレイできて攻略できる。
一方で、高スコアや後述するやり込み要素は、リズム感や上手さがしっかり求められる。
「リズムって難しいよう…」という人から「我こそはリズムマスターだ!」という人まで、みんなが楽しめる作りになっている。
ゲームシステムの面白さ
リズムに合わせて攻撃する音ゲーなシステムに、コンボ技やパリィなどもあるしっかりしたアクションバトルが噛み合っている。
絶妙にブレンドされていて相乗効果を生み出し、ビートに乗る高揚感とアクションの爽快感が倍増している。
お互いに邪魔し合っていないのが凄いところ。
ビートを気にしているとアクションの気持ち良さが消えたり、アクション操作が優先しているとリズムに乗る楽しさが低くなりそうに思えるけれど、そんな心配は一切無用。
ビートからズレてボタンを押しても自動でビートに合わせて動くシステムになっているおかげだ。
探索要素も成長要素も複雑すぎず組み込まれているので、難しいことを考えずにどんどん攻略していきたくなる。
やりこみ要素の楽しさ
大量に用意されている目標を達成するのがやり込み要素。
敵を一定数倒そう!という簡単なものから、一切ダメージを受けずにボスを倒せ!という難しい目標まである。
それらの目標を達成すると報酬が貰えて、拠点であるアジトに壁画が描かれていく。
また各所にある落書きを見つけたり、初見時には探索できない場所など、各ステージを再プレイして楽しむ要素も隠されている。
そして、ギアを集めて主人公を強化していくのもやり込み要素だ。探索中やアジトのショップでは、体力やリバーブゲージの上限値を高める貴重アイテムが手に入る。
こうしたゲームプレイに関わるやり込み要素とは別にテキスト情報の収集もある。
ステージ上のあちこちに置かれているテキスト情報からはヴァンダレイ社の異次元なブラックぶりが垣間見えるので(月曜日が4日連続してたりする、最悪)、本作の物語をより楽しむことができる。
グラフィックの芸術性
カートゥーン調のグラフィックが滑らかに動く。線が綺麗でアニメっぽいデザインも楽しめる。
色とりどりで鮮やかで、しかもそれがビートに合わせて動いている。ステージを眺めているだけでも気分が盛り上がってくる。
また、攻撃した時にテキストのエフェクトが表示されたり、攻撃ボタンを押した瞬間に合わせて背景のライトが光ったり、画面の隅から隅までぎっしりにぎやかで楽しい。
サウンドの魅力
本作はリズムアクションゲームなので、BGMは命だ。
ゲームプレイの面白さを更に盛り上げる良い曲揃い。
主人公チャイがロックスターに憧れているのもあり、BGMはロックな曲が分かりやすいビートにアレンジされている。
常にノリが良い曲ばかりで、プレイしていると自然に体も動いてしまう、元気になる良い曲ばかりだ。
サントラはこちら
本作と似ているゲームや関連作は更に下へ
Hi-Fi Rushレビューのまとめ
おすすめな人
- リズムアクションが好き
- 元気になりたい
- リズムに乗るのが苦手だけど音ゲーに挑戦したい
おすすめではない人
- 本格的な音ゲーを求めている
- スコアなど評価されるゲームが嫌い
- 落ち着いた雰囲気を味わいたい
総合評価良いところ&残念なところ
- リズムアクションもアクションバトルも両方しっかり楽しめる
- 操作がビートからズレでもミスにならない珍しいシステム
- テンポやノリが良く、どんどん攻略したくなる
- 手動で任意の敵を狙うことは出来ない
Hi-Fi Rushが好きならおすすめゲーム
似ているゲーム
ケイデンス オブ ハイラル クリプトオブネクロダンサー feat. ゼルダの伝説
ビートに合わせて攻撃するゲームなら、こちらもおすすめ。
移動も攻撃も全てBGMに合わせて行う『クリプトオブネクロダンサー』とゼルダの伝説がコラボしたリズムアクションゲーム。
ゼルダの伝説シリーズの名曲がノリの良いBGMにアレンジされているのも魅力。
Sayonara Wild Hearts
元気になれるリズムアクションなら、こちらもおすすめ。
目まぐるしく変わる画面やステージによってゲーム性が変わるなど、よくある音ゲーとは全く異なる体験ができる。
ポップなBGMに合わせて、現実逃避出来る高評価作。
Hi-Fi Rush ハイファイラッシュ
© 2023 Bethesda Softworks LLC, a ZeniMax Media company. Developed in association with Tango Gameworks. HI-FI RUSH, Tango, Tango Gameworks, Bethesda, Bethesda Softworks, ZeniMax and related logos are registered trademarks or trademarks of ZeniMax Media Inc. in the U.S. and/or other countries. All Rights Reserved.
https://www.xbox.com/ja-JP/games/store/hi-fi-rush/9NFTC552K3GJ
リズムアクションゲームをもっと見る