『Melatonin』レビュー: 夢の中で夢心地

クスッと笑えてふわふわ夢心地、でも現実への皮肉もたっぷりなゆるい音ゲー『Melatonin』をネタバレなしで要素ごとに詳しい評価を交えてレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
Melatonin製品情報Game Info
タイトル | Melatonin |
---|---|
開発元 | Half Asleep Games Ltd. |
対応機種 | PS5, Nintendo Switch, PC |
ジャンル | リズムアクション, カジュアル |
本稿ではPC版のレビューを行なっている。
Melatoninの内容Features
あらすじ
夜ふかし
テレビをつけたまま、ソファに座りスマホをいじっている主人公。
どうやら食後っぽいけれど、周りには食事や空き箱などゴミや脱ぎ捨てた服が散らばっており、生活感丸出しだ。
主人公はそんな部屋を片付ける気もなく、特に何か決まった予定や作業がある雰囲気でもなくスマホを眺めている。絵に描いたような「ちょっとそのままダラダラしちゃってる」状態だ。
…あ!案の定、主人公はそのまま寝てしまった。

夢の中
こうしてうたた寝をしてしまった主人公は、夢を見る。
ハンバーガーが飛んで来たり、クレジットカードをスキャンしまくったり。ゲームをプレイしてる夢もある。
うーん、不思議な夢ばかりだけど、全く脈略のない夢ってわけでもなさそうだ。
主人公の現実生活を反映しているっぽいぞ。

寝不足の果てに
そして、次の晩。主人公は寝不足にも関わらず夜ふかししている。
で、やっぱりソファでうたた寝してしまう。そして、今度はまた別の夢をみる。
人間という生き物は何故ソファでうだうだダラダラしてしまうんだろう。しかも、それが最高に気持ち良いのは何故なんだ。
そんなしょうもないことを考えてしまうけれど、とりあえず主人公の夢の世界を進む。
この夢の先には何が待っているのか、いや、それよりも連日の寝不足を解消できるほど安眠して過ごせる夜は一体いつ訪れるのだろうか。

ゲームプレイの特徴
夢ステージを攻略

本作はステージクリア型のリズムアクションゲーム。いわゆる音ゲーだ。
ゲームはいくつかの章(夜)に分かれていて、毎晩いくつかの夢=ステージが登場する。
各章の最終ステージをクリアすると、次の章である次の日の夜に進む。こうしてゲームが進行していく。
夢の中でやるべきこと

ステージごとに異なるゲームプレイになるけれど、操作は基本的にBGMに合わせてタイミング良くボタンを押すだけだ。
ステージ上の物や背景の動きもBGMのタイミング合っていることが多いので、これが視覚的なヒントになる。
タイミング良くボタンを押せたら「Perfect」と表示され、画面左端のゲージが溜まっていく。
ゲージが一定以上になるごとにスターを獲得していく。これがステージクリア時に表示される成績となり、最高でスターを3つ獲得出来る。
各章の最終ステージに挑むにはスター8つが必要になるので、各ステージでスターを集めていかなくてはならない。
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Melatoninの評価Review
物語の面白さ


セリフはないし、テキストは各ステージのチュートリアルが表示されるだけ。
でも、部屋の様子や夢の内容から、主人公の状況は想像できる。
眠たいはずなのにソファでダラダラしてしまったり、仕事か勉強か何かの締め切りに追われて大量のコーヒーを片手に徹夜していたり。
そして、うたた寝すると現実世界で気になっていることが妙な夢となって現れる。
誰もが経験したことがある「夜ふかしあるある」な状況ばかりが登場するので、フフッと笑える。「寝不足は良くないよなあ」とちょっと身につまされつつ眺める。
で、その妙な夢の内容がかなり面白い。SNSの画面上をジャンプしたり、クレジットカード決済しまくったり。
どのステージも突拍子もないけれど現実が反映されていて、どのステージでも初見時には「なるほど、今度はそうきたか!」と笑ってしまった。
キャラクターの魅力


上述した通り、主人公は夜ふかしを続ける。
徹夜作業したり、エナジードリンク飲みまくったり、時にはヨガに打ち込んでみたりもしてる。
毎晩色々と一生懸命だ。
「とりあえず今晩こそはちゃんとベッドで寝ろ」と思ってしまうけれど、ついつい夜ふかししてしまう気持ちも分かる。
また、ストレスが溶岩になって襲ってくる夢もあり、少し主人公のことが心配にもなる。
主人公にはセリフはないし無表情だけど、夢の内容から主人公のことがよく分かってくるので、かなり愛着が湧いてくる。ゆっくり寝てくれ!
操作の快適さ


音ゲーなので、ボタンを押したタイミングがちゃんと反映されるかが1番大事だ。
そこに関して問題は一切なく、BGMにピッタリだ。ズレがある場合は、手動でキャリブレーションも出来る。
私はゲームパッドでプレイしたけれど、全く問題なくプレイできた。
音ゲーといえば、いろんなボタンを矢継ぎ早に押していくというゲームが多いけれど、本作で使うボタンは3つのみ。音ゲーに馴染みがない人にもプレイしやすいゲームだ。
難易度バランス


上述もした通り、本作ではたくさんのボタンを押す必要はなく、BGMはゆったりしていてリズムも分かりやすい。
視覚的にもタイミングが確認できる(たまに隠されるけれど)ので、リズム感覚に不安がある人でも大丈夫。
でも、ぬるいわけではなくて、裏拍をとったりボタンを長押ししたり、画面に表示される動作を覚えて正確にボタンを入力するなど、難易度は徐々に上がっていく。
そして各ステージでスターを獲得しなければ先に進めないので、歯ごたえもちゃんと味わえる。
また、各ステージでスター2つ以上を獲得するとそのステージのハードモードが解放される。BGMのテンポが速くなったり、入力も難しくなる。
でも、Perfect判定を緩くする設定などもあるので、どうしてもリズムをとるのが苦手!という人にも安心。ちなみに私は普段音ゲーはあまりプレイしないけれど、デフォルト設定でもサクサク攻略できるレベルだった。
各ステージの初プレイ時は必ず練習モードから始まるので、新しいステージが始まった途端に「あわわわ、BGMに置いていかれる!」と右往左往することもないのも親切。
ゲームシステムの面白さ


タイミングに合わせてボタンを押す。シンプルなリズムアクションだ。
でも、ステージごとに入力の仕方やタイミングが変わり、ステージ構成が異なるので常に新鮮だ。
本作はとにかくアイデアの面白さが最大の魅力で、実際の現実世界にもあるものが各ステージのテーマになっていて笑える。
出会い系アプリと思われるステージでは、NGにする相手の写真がウンチになっていたり、皮肉もたっぷり。
また、音ゲーでよくあるアップテンポでポップなBGMではなく、ゆったりしたLoFiなBGMばかりというのは意外と珍しい。
やりこみ要素の楽しさ


各ステージの全難易度で最高の成績を目指すのが1番のやり込み要素。
また、各ステージにはエディタ機能もあり、好きなステージを作ることも出来る。
ただ、ゲーム全体としてのボリュームは少なめなので、続編やDLCなど期待したいところ。
グラフィックの芸術性


紫やピンクで統一されたパステルカラーの色づかいが綺麗。
シンプルな線画を使ったイラスト調グラフィックになっており、気が抜けたおしゃれさ。私はこのグラフィックがきっかけで本作に興味を持ったほど魅力的だ。
ただ、パステルカラーは見にくいという人もいるかもしれない。でも、設定からモノクログラフィックに出来るので、この配色が苦手な人にも安心だ。
サウンドの魅力


上述したけれど、音ゲーにしては珍しく、BGMはダウンテンポでLoFiな曲ばかり。
これがゆるくて良い感じ。
ただし、ゲームとしては、ゆったりめなペースだと逆に難しく感じる時もある。アクションバトルでのディレイ攻撃みたいな感覚なので、ゆるいからといってリズムが簡単というわけではない。
夢の世界に合ってる夢心地になれる良曲ばかりで、サントラだけでも聴いていたくなる。
サントラはこちら
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似ているゲーム
Sayonara Wild Hearts
ステージごとに全く違った構成が楽しめる高評価リズムアクションゲーム。
こちらはテンポ早めなポップBGMだけど、操作は簡単。
かなりオシャレでセンス抜群な人気作。


OlliOlli World オリオリワールド
ゆるいパステルカラーなアートスタイルが好きなら、こちらもおすすめ。
こちらもLoFiなBGMも魅力で、本作と雰囲気が近い。
音ゲーではなく、2D横スクロールでプレイするスケボーアクションゲーム。


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MelatoninレビューのまとめSummary
おすすめな人
- リズムアクションが好き
- ゆるい雰囲気が好き
- 寝不足な生活を反省したい
- パステルカラーのオシャレさが好き
おすすめではない人
- ハイペースで難易度の高い音ゲーを求めている
- 長時間遊べるゲームを探している
総合評価


- 現実の生活をネタにしたアイデア満載のステージ
- おしゃれなグラフィックとBGM
- リズムをとるのが難しい人にも安心な機能あり
- ステージ数が少ない
Melatonin
Copyright 2022, Half Asleep Games Ltd.
https://www.halfasleep.games/melatonin/