『イモータルズフィニクスライジング』レビュー: 密度も顔も濃い神のオープンワールド – Immortals Fenyx Rising
ギリシャ神話ならではの謎解きとスキルが満載のオープンワールドゲーム『イモータルズ フィニクス ライジング Immortals Fenyx Rising』をネタバレなしで、攻略のコツと各要素の評価を交えてレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
イモータルズフィニクスライジング製品情報
タイトル | イモータルズ フィニクス ライジング Immortals Fenyx Rising |
---|---|
開発元 | Ubisoft |
対応機種 | PS5, PS4, Nintendo Switch, Xbox, PC |
ジャンル | アクションアドベンチャー, オープンワールド |
Ubisoftでギリシャといえば、『アサシンクリード オデッセイ』が頭に浮かぶけれど、本作は神話そのものがテーマになっている(アサクリは史実に基づいたストーリー)新規IPだ。
本稿では、PS版のレビューを行なっている。
イモータルズフィニクスライジングの攻略
ストーリー
物語の語り手はプロメテウス
主人公はフィニクス。ギリシャの若い戦士だ。
フィニクスは戦地から故郷に帰る航海中に嵐に巻き込まれ、本作の舞台となる黄金の島に漂着する。そして、フィニクスは、この島でなんやかんや奮闘することに。
という感じで、回想録のようにプロメテウスが語る形式でストーリーは展開していく。
プロメテウスは雪山で磔になっている罪人だ。でも、本当は神だ。
で、そんな磔になっているプロメテウスのもとにゼウスが訪ねてきており(ゼウスはプロメテウスを磔にした張本人なんだけど)、ゼウスがプロメテウスからフィニクスの物語を聴かされているという体裁で物語が語られていく。
神々の賭け
なぜゼウスは自ら磔にしたプロメテウスのところに来ているのか。そして、なぜプロメテウスは神々には関係なさそうな人間のフィニクスの話を始めたのか。
実は、テュポンという恨みや支配欲にまみれた怪物が大暴れしている。で、ゼウスは「磔から解いてやるからテュポン討伐の助太刀しろよ」とプロメテウスを言いくるめに来たのだ。
ところが、プロメテウスは、テュポンに勝てる可能性を秘めているのは主人公フィニクスだと話す。
もし人の子であるフィニクスがテュポンを倒せたなら、「磔からの解放どころか免罪しろ」という賭けをプロメテウスはゼウスにもちかけているのだ。
フィニクスの冒険は前置き
そう、実は、本作はテュポンと神々の大きな戦いの前置きに過ぎない話だ。
戦いを始める前に「こんな人間がいてさー、なんかやってたんだよ」という神々の会話が本作の物語になっている。人間なんてちっぽけなもんだ。
フィニクスが黄金の島を冒険してテュポンによって封じられた神や洗脳されている神を解放し、フィニクス自身が神の力を身につけていく過程が、プロメテウスによって語られていく。
ちなみに、フィニクス自身は神同士の賭けなんて一切知らず、呪いによって石化した兄を助けるために冒険を始める。
この壮大な前置きはどこへ行き着くのか。そして、本編であるテュポンと神の戦いは一体いつ始まるのか。
攻略のポイント
黄金の島オープンワールド
本作はオープンワールドゲームであり、各地でメインクエストやサブクエストなどを好きな順番で攻略していく。
ちなみに、本作は発売前から『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』と似ていると言われていた。確かに、出来ることはほぼ似ている。
馬に乗って移動、どこでもよじ登れて、高い場所からは滑空(本作では翼を使う)出来て、各地に謎解きで攻略するダンジョンが点在している。
ダンジョンを攻略すると、主人公のステータスをアップグレードしていくことが出来る。
本作独自のシステム
本作ならではの要素も、もちろんある。
フィニクスはめちゃくちゃ視力が良い。千里眼を使うと、たとえ建物に隠れていても水中にあっても、宝箱やダンジョンの場所を特定することが出来る。
また、同じエリアで一定時間行動しているとテュポンに目をつけられ、隕石が雨のように降りそそぎ、強めい亡霊に追いかけられる事態に陥る。
この亡霊は出現する度に撃退することもできるけれど、その亡霊の根城を特定して完全に討伐すると、そのエリア内では狙われなくなる。
また、アクションも謎解きもギリシャ神話を元にしたものになっていて、時間制限があるものやパズルなどチャレンジ要素も各地に用意されている。
フィニクスは神の力で戦う
フィニクスは、様々な神の力を習得して戦うことができる。もはや1人でギリシャ神話オールスターパック状態だ。
重い石などを持ち上げて敵にぶつけるのはヘラクレスの力だし、射た矢の視点になって飛ぶ方向をコントロール出来るのはアポロンの力だ。
基本攻撃は、剣で弱攻撃、斧で強攻撃。ジャスト回避すると全てがスローモーションになり、パリィも出来る。
敵にはスタンゲージがあり、強攻撃やスキルを当ててスタンゲージが溜まると、その敵は一定時間スタンする。
神に強くしてもらう
謎解きやチャレンジの攻略報酬であるカロンのコインを使うと、新たなスキルをアンロックすることができる。
また、メインストーリーでもある神の解放クエストをクリアすると、神から授かる恩恵(パッシブ効果)が加わる。
また、フィールドで採取できる植物を使うと、回復薬などを自分でクラフトすることが出来る。また、各地で手に入る黄金の琥珀というアイテムを集めると薬の効果をアップグレードすることも出来る。
というわけで、本作では敵を倒してレベルアップするわけではなく、謎解きやクエスト攻略によってフィニクスを強化していくことになる。
イモータルズフィニクスライジングの評価と感想
物語の面白さ
本作は全てがギリシャ神話がベースとなっており、星座などどこかで聞いたことのある名前の神がわんさか登場する。
私は神話には全然詳しくないので、正直なところ誰が誰やら。神同士の関係性も全く知らない状況から始まった。
でも、本作のストーリーは分かりやすく、神話を知らなくても楽しめる。
語り担当のプロメテウスが「神がどうしたこうしたとか」とか真面目に語っているのを聞いてると「うわ、眠くなりそう」と思うけれど、本作のノリは軽い。
プレイヤーの気持ちを代弁してくれる、ツッコミ役のゼウスがいるのだ。ゼウスは「だから、どういうこと?」といった質問を私に代わってしてくれるので助かる。
ゼウスは、神の王なのに「真面目に聞け」と注意されているほど終始プロメテウスを茶化しているけれど、それによって分かりやすい話にしてくれるので、理解しやすい。
キャラクターの魅力
登場キャラはギリシャ神話の神様ばかり。予備知識がなくとも、それぞれ分かりやすいキャラとして登場する。
名前だけ聞いたことあった神でも、「こういう神様だったのか(本来より誇張されてるけど)」と興味が湧いてくる。
めちゃくちゃ人間臭いし、かなり偏った性格の神ばかり。「神ってこんなのでいいの?」と心配になるくらい欠点もありつつ生き生きと描かれている。
時おりナレーションとして聞こえてくるプロメテウスとゼウスの会話は、居酒屋のおじさんトークみたいに騒がしくて面白い。
操作の快適さ
思った通りに操作できる。フィニクスはきびきび動くし、バトルも爽快。技も派手だしプレイしていて楽しい。
挙動は一般的なゲームの平均以上のクオリティ。
ただ、ボタンの割り振りが複雑なのが気になる。
ジャンプして、滑空して、加速、これが全部別のボタン。岩に手にして、持ち上げて、敵を狙って投げる、これも全部別のボタン。
よく行う一連の動作にいくつもボタンを押さなきゃいけないのはアクションしてる気分になるとはいえ、あまりスマートじゃないと思う。
また、崖を登っている時に見えない何かに引っかかったり、足場の端まで来たのにぶら下がる動作をしてくれなかったり、細かく気になる部分もあった。
難易度バランス
バトルは、探索しながら進めていれば主人公が強化できるので、楽しくクリアしていける(私はノーマル難易度でプレイ)。
でも、オープンワールドなので、めちゃくちゃ強い敵にケンカ売りにいける楽しみもちゃんと味わえる。
謎解きは、種類が多くて楽しい。本作ならではのアクション要素高めなパズルが数も種類もたくさん用意されていて、飽きずにたっぷり楽しめる。
ただ、単純にギミック等が見にくいことで難易度が上がっている謎解きは残念。
ドーン!とレバーが目の前にあって、何するかは一目瞭然。単にレバーを操作可能にするスイッチを探すだけというのは、うーん。
「これは謎解きと言えるのか」と思うこともあるけど、でも、謎解き好きも十分満足できる面白いダンジョンも多い。
ゲームシステムの面白さ
Ubisoftのお馴染みなオープンワールドに『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』の要素を混ぜ込んだゲーム。
こう書いてしまうと、これでおしまいだけど。どちらかプレイしたことがある人なら、想像がつく通りのゲームだ。
ただ、実際にプレイすると『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』とはプレイ感覚は意外と違う。
謎解きは「頭を捻って解こう」ではなくプラットフォームアクションの上手さが求められるもので、バトルは真正面からガンガン攻めて戦うバトルであり、ステルスやサバイバル感はほぼない。
そして、本作単体で評価すると、普通に楽しい。フィールドは高低差も激しく、オブジェクト密度も濃くて、所狭しと謎解きやチャレンジが配置されている。
高品質でたっぷりしっかり楽しいオープンワールドゲームだ。
やりこみ要素の楽しさ
オープンワールドゲームなので、どれだけ隅々まで歩き回るか、どれだけサイドクエストをクリアするか、どれだけダンジョンを攻略するか。それがやり込み要素。
やり込み始めたらキリがないくらいボリュームたっぷりのやり込み要素が用意されている。
装備品で見た目を変えるのも楽しいし、成長要素もやり込みたくなる。デイリークエストや追加DLCも配信されている。
かなり長時間遊べるゲームだ。プラットフォームアクションが好きな人にとって、やりがいのあるダンジョンが満載。
グラフィックの芸術性
舞台となる黄金の島は、美しい。自然たっぷりで、エリアによって景色も違う。至る所に何かがあって、景色に飽きない。
ギリシャ神話を熟知した製作陣なだけあって、彫刻や絵画など装飾までこだわりを感じられるし、ファンタジーな雰囲気もバツグン。
キャラは、みんな筋肉隆々で(特に主人公はムッキムキ)、ギリシャ神話ならではの顔の濃さ。キャラの表情も豊かでコミカルな演出が多めだ。
サウンドの魅力
BGMは神話っぽく壮大な音楽が多いけれど、探索時には環境音のみだ。
でも静かとか癒しな雰囲気とは違い、全体的に明るくて楽しい空気が流れている。
本作のサウンドには神BGMの名作Oriシリーズを手がけたGareth Cokerさんが携わっており、やはりさすがの良い曲揃い。
サントラはこちら
本作と似ているゲームや関連作は更に下へ
イモータルズフィニクスライジングレビューのまとめ
おすすめな人
- オープンワールドが好き
- 長時間遊べるゲームを探している
- ギリシャ神話が好き、興味がある
おすすめではない人
- 知恵で攻略する謎解きを期待している
- バトルで強くなりたい
- 様々な戦術で戦いたい
総合評価良いところ&残念なところ
- ボリュームたっぷり
- ストーリーやキャラが魅力的
- ダンジョンやチャレンジが豊富
- 操作方法が無駄に複雑
- 単に歩き回るだけの謎解きもある
イモータルズフィニクスライジングが好きならおすすめのゲーム
関連ゲーム
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
本作と似た要素が多い名作オープンワールドゲーム。
オープンワールドが好きなら絶対一度はプレイしてみてほしい最高傑作。
こちらは知恵で解く謎解きが多い。
似ているゲーム
Hades
「ギリシャ神話って面白いな」と思ったら、こちらもおすすめ。
ギリシャ神話がベースの高評価ローグライクアクションゲーム。
こちらは地獄が舞台だけど、本作にも登場しているギリシャ神話の神様たちがたくさん登場し、彼らの物語もたっぷり楽しめる。
イモータルズ フィニクス ライジング Immortals Fenyx Rising
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