『Hades』レビュー: 地獄からの楽しすぎる脱走劇
気持ち良いバトルに夢中になるローグライクアクションでありつつ、物語もキャラもしっかり楽しめてしまう『Hades』をネタバレなしで、攻略のコツと各要素の評価を交えてレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
Hades製品情報
タイトル | Hades ハデス |
---|---|
開発元 | Supergiant Games |
対応機種 | PS5, PS4, Nintendo Switch, Xbox, PC, iOS(Netflix) |
ジャンル | ローグライク, 見下ろし型, アクション, ハクスラ |
シリーズ | Hades ハデス |
Supergiant Gamesは、高評価作『Bastion』などの開発元であり、本作の続編『Hades 2 ハデス2』の発売も予定している。
本稿では、Nintendo Switch版のレビューを行なっている。
Hadesの攻略
あらすじ
地獄の御曹司ザグレウス
本作の世界や物語は、ギリシャ神話がベースになっている。
主人公は、タイトルになっている冥王ハデス、ではなくハデスの息子ザグレウスだ。
物語は、ザグレウスが冥界、つまり自宅から抜け出すところから始まる。
実は、ザグレウスはある人を探している。彼の出生に関わる人物が地上にいると知り、自身の過去を探るためにザグレウスが遂に家出を決行したのだ。
ハデスとの最悪な父子関係
ザグレウスは、なぜ家出なんて真似をするのか。なぜ玄関から堂々と出ていかないのか。
なぜなら、ザグレウスは父ハデスとの親子関係が超絶悪いからだ。常に皮肉と煽り合戦を繰り広げており、いつも互いに喧嘩腰だ。
しかも、ハデスはなぜか息子の地上行きに猛反対していて、「やれるなら、やってみろ。どうせ無理だけどな。ふはははは。」という調子で、ザグレウスの家出の道中に刺客まで送り込んでくる。
オリンポスの強力な助っ人たち
父上に反対されたって負けるもんか。ザグレウスには頼れる親戚のお兄ちゃんとお姉ちゃんたちがいる。
親戚とは、冥界の遥か上にあるオリュンポスの神々たちだ。
父ハデスは神ゼウスの兄なので、オリュンポスの神々は、叔父さんや従兄妹にあたる。なんともセレブな家系だ。
そして、オリュンポスの神々たちも、ザグレウスを助けてあげる気満々だ。
こうして親戚一同の力を借りながら、ザグレウスは高圧的な父親から逃れて自らの出生の秘密を追い求めていく。そんなお話の幕が上がる。
攻略のポイント
負けたら帰宅するローグライク
本作はローグライクゲームであり、道中でゲームオーバーになると所持金やアップグレードしたステータス強化などを失う。
そして、スタート地点であるハデスの館から再スタートとなる。主人公は不死身体質であり、父ハデスに嫌味を言われつつも繰り返し家出を図ることになる。
しかし、後述する永続するアップグレードもあり、失わない取得アイテムもある。そのため、死にまくっても少しずつ強くなっていけるローグライトゲームになっている。
ランダムな地獄の歩き方
ザグレウスの地上に向かう道中のダンジョンは毎回ランダム生成され、一部屋ずつ攻略していくことになる。各部屋に出現する敵を全て倒すと報酬を獲得し、次の部屋に進む扉を開けることが出来る。
次の部屋へ進める扉は複数あり、その先で貰える報酬が扉に表示されている。欲しい報酬を選んで進めば良い。ただし、後戻りは不可能だ。
こうしていくつかの部屋を攻略していくと中ボス部屋があり、さらに進むと大ボスに挑むことになる。大ボスを倒せば次のエリアに進むことができる。
これを何度が繰り返して、地獄の底から地上を目指す。
永続アップグレード
ダンジョンで手に入る報酬には、ゲームオーバーになると失うものと引き継がれるものがある。
失うものは、通貨、攻撃力アップなどのダンジョンの各部屋の報酬として得られるステータスのアップグレードなど。
引き継がれるものは、鍵、永続アップグレードに使う紫色の宝石や宝珠などの貴重品だ。
拠点にあるザグレウスの自室の鏡でそうした貴重品を消費すると、最大体力値などを永続アップグレードが可能で、徐々にスタート時点から強い状態のザグレウスに育てていくことができる。
多彩な攻撃ができるザグレウス
ハデスの館からスタートする際には、毎回武器を選ぶことが出来る。
ザグレウスは、武器による近接攻撃と武器固有の特殊攻撃、赤い魔弾を放つ遠距離攻撃、ダッシュ回避などのアクションで戦う。
上述したゲームオーバーになっても失わない鍵を使うと、大剣、槍、弓など新たな武器種をアンロックしていくことができる。
武器によって特殊攻撃だけでなく挙動や射程もしっかり異なるので、さまざまなプレイスタイルを試すことができる。また、それぞれの武器は強化も可能だ。
Hadesの評価
物語の面白さ
ギリシャ神話といえば、話がややこしい。親子関係、人間関係が複雑で、顔も性格も濃厚。
しかし、本作はお堅いギリシャ神話ではない。分からずやのお父さんに反抗する息子のお話だ。理解しやすくて感情移入しやすい。
負けて帰ってくると、父ハデスの前を通らなければならず、その度に嫌味を言われるので、歯ぎしりギリギリして「絶対鼻をあかしてやる」と闘志が湧きやすく、ザグレウスに共感しやすくなっている。
また、本作はローグライクアクションゲームとしては珍しくストーリー要素が大充実している。
「どれだけセリフやカットシーン用意してるんだろう」と不思議に思うくらい、ハデスの館ではイベントが起こる。ゲームオーバーになって帰ってきてもイベントが発生する。
更に、オリュンポスの神は遠方にいるにも関わらず交流することができて、贈り物を渡すと新たなエピソードが明らかになるなどサイドストーリーもたっぷり用意されている。
繰り返しプレイしたくなるゲーム性に加えて、ストーリーがしっかり展開する。はい、これは、もう、やめられない。
キャラクターの魅力
登場キャラは多い。オリュンポスの親戚一同(これだけでもたくさんいる)やハデスの館にいる使用人まで様々な立場のNPCが登場する。
その全員が魅力的に描かれていて、しかも、上述した通りキャラごとにストーリーが展開する。
ツンツンしてるヤツでも、贈り物を渡すと、まんざらじゃない態度になるのが楽しい。
お堅いギリシャ神話ではないので各キャラのセリフは軽いノリのものも多く、会話だけでも大量のパターンが用意されている。それぞれのキャラに愛着が湧いてきやすい。
操作の快適さ
バトルはハイペースだ。敵は大量に攻めてくるし、弾幕ゲームかと思うくらい敵の攻撃が飛んでくる。
でも、引き気味のアイソメトリックビュー(斜め上から視点)なので、見にくくなることはない。
操作性はかなり良い。気持ち良い。キビキビでサクサク。ダッシュの距離や武器の射程が広めで、爽快に派手に立ち回れるハクスラの楽しさがしっかり味わえる。
バグに遭遇することもなく、Nintendo Switchでもロード時間は速くてノンストレスでプレイできる。
難易度バランス
武器ごとに挙動がしっかり作り分けられていて、どの武器にも独自の強みがあるし弱点もある。このバランスが絶妙で、どの武器でもちゃんと攻略できるようになっており、全武器を使いたくなる。
ローグライクゲームというわけで繰り返しプレイが前提となっているため、ボスは簡単に撃破できるというわけではない。
でも、報酬が手に入りやすく、永続アップグレードしやすい。プレイしていれば着実に強くなっている実感が持てるので、飽きにくい。
ゲームオーバーになっても復活できるスキルもあるし、今回は運悪すぎたなということにならない質の高いランダムさが保たれており、長生きしやすい難易度バランスになっている。
サイドストーリーが豊富だけど、そうしたやり込み要素を満足に味わう前にエンディングに到達してしまうくらいのバトル難易度だ。ゲームクリア自体は難しくない。
ゲームシステムの面白さ
まず、上述してきた通り、ローグライクアクションゲームの肝であるバトルが気持ち良くて武器も多彩で楽しい。ダンジョンの部屋の種類や永続効果などは、ローグライトゲームのよくあるシステムが揃っている。
ローグライクゲームでは、どこまで繰り返し頑張れるかという自分との戦いになることが多い。
しかし、本作は負けても新たなイベントが起こるほどストーリー要素が豊富で濃く、好感度システムや後述する多彩なやり込み要素が加わることで、ローグライクという言葉だけには収まらない魅力たっぷりゲームになっている。
第一印象では「お、気持ち良いサクサクバトルのローグライクアクションか」と思っていたら、「また新しいイベントが起こった!また?また!?またまた!?」とバトル以外にもハマっていく。単なる繰り返しにはなっていない。
斬新な何かがあるわけではないけれど、各要素の質が高く且つ、上手い具合にローグライクの繰り返しプレイに組み込まれている。
ラスボスを倒すことよりも、世界を満喫することの方に熱中し始める珍しいローグライクゲームだ。
やりこみ要素の楽しさ
やり込み要素こそが、本作の一番の魅力。上述の通り、各キャラごとに展開するストーリーに好感度、成長要素などなど、たくさんある。
更に面白いのは、ハデスの館のインテリア。報酬の宝珠を大工に渡すと、攻略に役立つ施設だけでなく、装飾も楽しめる。ハデスの館から出て行きたいのに居心地良くしようとするのは矛盾しているけれど、ハマる。
それぞれのやり込み要素が程よい面倒くささで達成できるので、やり込み要素にはあまり興味がない人でもやる気が維持されやすいはずだ。
こうして繰り返しプレイをするローグライクでも、矢継ぎ早に新たな変化が起こる新鮮さが保たれていて病みつきになりやすい。
グラフィックの芸術性
手描きイラスト調のグラフィックで描かれる。背景の細部まで描き込まれていて美しい。
線も色も美しい世界が滑らかに動く。
見下ろし型なのでキャラたちは小さいけれど、会話時には立ち絵が表示される。オリュンポスの神たちは、それぞれ司るものを繁栄したデザインになっていて、どのキャラもファッションセンス抜群。
サウンドの魅力
バトルになると盛り上がるBGMがガンガン鳴る。かっこいい曲ばかりで気分も盛り上がる。
バトルが終わるとスンッと静かになり、メリハリがしっかりしているため、バトルで気持ちが盛り上がりやすい。
サントラはこちら
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Hadesレビューのまとめ
おすすめな人
- 物語もアクションも楽しみたい
- ローグライクとハクスラが好き
- ギリシャ神話が好き
おすすめではない人
- 硬派なローグライクゲームを求めている
- 同じ敵と何度も戦いたくない
- たくさんのセリフを読むのが面倒くさい
総合評価良いところ&残念なところ
- ストーリーが楽しめる
- ハイペースで爽快なアクション
- やり込み要素が豊富でやる気も湧きやすい
- 乱戦になると主人公を見失いやすい
Hadesが好きならおすすめゲーム
関連ゲーム
Hades II
本作の続編。主人公はザグレウスからメリノエに変わり、時の巨神クロノスに挑む。
本作のその後の世界が舞台となっており、オリュンポスの神々も続投するローグライクゲーム。
似ているゲーム
Children of Morta チルドレンオブモルタ
物語も楽しめるローグライクが好きならこちらもオススメ。
こちらも死んでもストーリーが進行していくのが魅力。
大家族の面々から操作キャラ選び、多彩な戦い方ができる高評価ローグライトゲーム。
Have a Nice Death
2D横スクロールでのプレイになるけれど、本作と似ているシステムが楽しめるローグライクアクションゲーム。
死神が、部下たちをぶっ飛ばしていく物語で、拠点のオフィスの装飾やNPCのエピソードを辿ることもできる。
ジョークも満載で、サクサクしたアクションが魅力。
Hades ハデス
https://www.supergiantgames.com/games/hades/
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