『Loop Hero』レビュー: これが正真正銘の無限ループ
同じ場所をぐるぐる回っているはずが、自分次第で景色も難しさも変わっていく世界の虜になる。
ストラテジー要素と永続要素も味わえるローグライクゲーム『Loop Hero』をネタバレなしで要素ごとに詳しくレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
ゲーム製品情報Game Info
- タイトル
-
Loop Hero
- 開発元
-
Four Quaters
- ジャンル
-
ローグライク, ストラテジー, シミュレーション
- 対応機種
-
Nintendo Switch、Xbox、PC,
2024年4月30日にはiOS, Androidでも発売が予定されており、スマホでもプレイできるようになる。本稿は、Xbox版をレビューしている。
Loop Heroの内容Features
あらすじ
星が落ちて世界が消える
星が落ちていく。
そんな天変地異、というか、もはや世界の終わりのような状況から物語は始まる。
星が落ちると世界は暗闇に呑み込まれ始めた。このままでは世界が完全に消えてしまいそうだ。
この大惨事の主犯は、空に浮かぶ骸骨のようなやつだ。
忘れたけど思い出す若者
そんな世界を救おうと正義感に駆られて立ち上がったのは、とある若者。本作の主人公だ。
よし、世界を救うぞ!
いや、待て。世界ってどんなだったっけ?
闇に包まれた世界は、その世界があった事実さえ消えてしまうらしく、主人公は世界の姿を忘れてしまっている。
しかし、とりあえず歩き出した主人公は、徐々に記憶を取り戻していく。
ここには森があったよな、山もあったし。そうそう、邪魔なゴブリンもいたよな。
生き残りのキャンプ
モンスターと戦いつつ歩いているうちに主人公は世界の風景を思い出していく。
そして、ぐるーっと回って出発地のキャンプに戻ってくると、そこには他の人間がいた。
彼らも生き残りではあるけれど、主人公と同じく世界についての記憶をなくしている。
しかし、生き残った人間の中でも主人公は特別らしい。彼には「記憶=世界の元の姿」を取り戻す力があるようだ。
主人公は他の生存者たちと協力して集落を築きつつ、世界を取り戻すためのぐるぐる回る旅に挑んでいく。
ゲームプレイの特徴
やめるまで回る
本作は、拠点から遠征に出ると、毎回ランダムな輪になっている道が生成される。
主人公はスタート地点であるキャンプから出発して、自動でその輪っか道路をぐるぐる歩く。
道中には敵が出現し、ぶつかるとバトルが始まる。が、バトルも自動。勝手に主人公と敵が殴り合いを始めて終わる。
敵を倒すと、装備品や後述する地形カードを手に入れる。装備品は一定数は保管しておくことも出来て、バトル中でも付け替えが可能。
武器や防具には、攻撃力や防御力だけではなく攻撃速度や吸血などの追加効果も付いていることが多く、プレイヤーは装備品の付け替えによって自動バトルに関与することが出来る。
また、ローグライクゲームでは珍しく、好きなタイミングで拠点に帰ることが出来る。後述するけれど、もちろんデメリットはある。
地形を並べて世界を作る
上述した通り、遠征開始時には暗闇に浮かぶシンプルな輪っか道路しかない。
しかし、敵を倒すと、木立や沼などの地形カードを手に入れる。
このカードを輪っか道路沿いの好きな場所に配置すると、地形が変わる。
主人公が自動で歩いている間はアドベンチャーモードと呼ばれ、バトル時以外なら一時停止してプランモードに切り替えることができる。プランモード中に、地形カードを配置したり装備品の付け替えが出来る。
アドベンチャーモード中には主人公が歩くにつれて時間が流れ、1日経つごとに各地形タイルからモンスターが湧いてくる。
例えば木立カードの配置して木立タイルになった道には、朝になるとウルフのモンスターが出現する。そこを主人公が通過する際にはウルフとのバトルが発生する。そして、倒して無事に通過すると木の資源を手に入れる。
こうして報酬を狙いつつ、プレイヤーが好きな道を作りながら進んでいく。
拠点キャンプの繁栄
ひたすらループを回って何がしたいのかというと、道を周回していると現れる大ボス討伐だ。そいつを倒すとチャプタークリアとなりゲームが進行する。
しかし、大ボスは強い。
そこで力になるのが拠点キャンプの繁栄だ。
ぐるぐる回りながら手に入れた資源を使って、拠点に様々な設備を建設することが出来る。設備によって、ボーナス特典やポーションなどがアンロックされ、主人公の旅路は楽になっていく。
遠征中に退却するかバトルで負けると拠点に戻されて遠征は一からやり直しになるけれど、拠点の建設状況は引き継がれる。
自分で退却を選択した場合(任意のタイミングで可能)は、キャンプタイルにいる時なら手に入れた資源全てを持ち帰れる。が、キャンプから離れたタイルにいると、いくつかの資源を失って退却することになる。
バトルで負けた場合は、道中で手に入れた資源のうち少量しか持ち帰れない。
拠点から再び遠征に出ると、全て最初(安全に退却した場合でも装備品は失い、地形は初期状態になってしまう)から始まることになるので、退却するか否かは悩みどころ。
Keep Gaming Onからのおすすめ
各要素の評価Review
物語の面白さ
ローグライクゲームなので、物語要素は軽め。
でも、世界の姿形を忘れてしまっていて、それを思い出して世界が出来上がっていくという設定が面白い。
新たな敵や設備が出来た時には会話が発生するので、軽めではあるものの物語描写はほんのり楽しめる。
キャラクターの魅力
上述した通り、物語描写は軽めなので、NPC達はサラッとだけ登場する。
それでも、拠点に新たな設備が建った時に登場する薬屋おばあちゃんや鍛冶屋おじさんなどのキャラ達はデザイン含め濃いめ。
それぞれ絶対何か訳ありな過去を持っていそうだし、これから何らかの事件を起こしそうな雰囲気を漂わせている。
しかし、そんなよく知りたくなるキャラ達は、新施設を建設した時くらいしか登場しないのが残念。
操作の快適さ
プレイヤーが操作するのは、装備付け替えと地形タイルを配置するくらいなので、操作自体は簡単だ。
UIは一見すると分かりづらく、チュートリアルは懇切丁寧というわけでもなく、自分であれこれ触って覚えていく。
それでも、実際のところ複雑なルールではないので、ゲームプレイにすぐ慣れることができて、画面は見やすく感じるようになる。
また、主人公が歩く速度とバトルスピードはいつでも変更できるので、快適に主人公の自動無限ループを見守ることができる。
難易度バランス
何周もループするのが必須の難易度だ。「最初から一気に大ボスまでクリアだぜ!」なんてことはまず無理。それくらい大ボスは桁違いで強い。
ある程度の運要素はあるものの、しっかり拠点を充実させてからボスに挑むというRPGっぽい攻略をすることになる。
ドラクエなどで町の近くをうろついてバトルを繰り返し、ちょっと遠くに行ってみてキツくなったら町に戻るというレベル上げをやってるような感覚だ。
でも、安全策をとって拠点に帰ってばかりとはいかないのが小憎らしい(褒めてる)。
建築に必要な素材はすぐに手に入らない。なぜなら、例えば建築に必要な「安定した木材」は枝を一定量集めなければ手に入らないからだ。
そのため危険なモンスターが出る地形タイルも積極的に配置して、何周もループしなければならないようになっている。
ゲームシステムの面白さ
ほとんど自動でゲームが進んでいくなか地形を自分で造るというのが独創的であり、本作の1番の面白さ。
同じ道を何度も通ることになるので、自分で造った地形が後々自分の首を絞めることになる。
先を見越して地形を作り、戦況を見て装備を変えるなどストラテジーゲームとしての面白さがたっぷり味わえる。
一方で、プレイするほど拠点がどんどん充実していくので、着実に強くなっていく感覚も味わえる。
それでも、ドロップする地形タイルや装備品によって戦況が激変するローグライクなランダムさもちゃんと効いてる。
画面だけ見ると一見シンプルそうに見えるけれど、プレイするほど面白さのループにハマっていく、よく練られた中毒性の高いゲームだ。
やりこみ要素の楽しさ
どれだけ拠点繁栄に力を入れるかはプレイヤー次第。
新たな設備を建てると、新たな地形カードや主人公の新たなクラスがアンロックされる。
更に、各設備は強化も出来る。
大ボスが登場しても戦わずに拠点に帰ることもできるので、どこまで拠点を充実させてから大ボスに挑むかがやり込み要素と言えるかもしれない。
施設を作らないとNPCや敵の登場も乏しいままなので、物語を楽しむためにも様々な設備を作るのがおすすめ。
グラフィックの芸術性
かなりレトロなピクセルアートグラフィックで描かれる。
主人公は簡素な2頭身だし、モンスターもかなりデフォルメされている。最近のゲームではなかなか見ないほど潔い豆粒グラフィック。
会話時にはキャラの立ち絵が表示され、デザインも良いけれど、会話時くらいにしか見ることはできない。
分かりやすいグラフィックでゲームプレイには支障はないものの、さみしさや見た目の地味さは否めない。
サウンドの魅力
闇に包まれた世界が舞台なので、BGMはほとんど不穏な戦いを感じさせる曲が多め。
BGMもループしている…と思いきや、色んな曲が流れてくる。意外だ。同じ一曲がループしそうなゲーム性だけど、意外とそんなことはなかった。
本作と似ているゲームや関連作は更に下へ
本作が好きならおすすめゲームRelated and Similar Games
似ているゲーム
The Last Spell
こちらもストラテジー要素が楽しめるローグライクゲーム。
拠点防衛とタクティクスバトルが同時にプレイできる面白システムで、歯ごたえもバキバキ。
こちらも次の日以降を見据えて戦略を考える面白さが魅力。
Dungeon of the Endless ダンジョンオブジエンドレス
ストラテジー+ローグライクなら、こちらもおすすめ。
新たな部屋に進む度にターンが進み、資源産生や敵迎撃設備などリアルタイムストラテジー要素も楽しめる。
高評価作が多いエンドレスシリーズに属する一本。
ローグライクゲームをもっと見る
まとめSummary
おすすめな人
- 先を考えるストラテジーゲームが好き
- ローグライクゲームが好き
- 独創的なゲームに興味がある
おすすめではない人
- 物語を楽しみたい
- バトル時の操作もしたい
総合評価
- 地形を造って周回する独創的なシステム
- 先を見越して作戦を考えるのが楽しい
- 永続要素とランダム要素のバランスが絶妙
- グラフィックが寂しい
- 物語やキャラの描写は軽め
Loop Hero
Copyright 2021 Four Quarters. All Rights Reserved.
https://loophero.com