『トライアングルストラテジー』レビュー: 胸と頭が痛い
本気で悩む分岐する物語と位置どりが要の戦略性高いバトルに夢中になる『トライアングルストラテジー Triangle Strategy』をネタバレなしで、攻略のコツと各要素の評価を交えてレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
トライアングルストラテジー製品情報
タイトル | トライアングルストラテジー Triangle Strategy |
---|---|
開発元 | Square Enix |
対応機種 | Switch, PC, Meta Quest |
ジャンル | ストラテジー, シミュレーション, RPG |
本作は『オクトパストラベラー』から始まったHD-2Dグライフィックで描かれており、そのオクトラシリーズと同じく浅野チームが手掛けている。
本稿では、Nintendo Switch版をレビューしている。
トライアングルストラテジーの攻略
ストーリー
睨み合う三国
本作の舞台はノゼリア大陸。この地では、三つの大国が互いに牽制しつつも、なんとか平和を保っていた。
- グリンブルク王国
- 川に面した自然豊かな王制の国
- 貿易で栄えている
- エスフロスト公国
- 厳しい寒さの雪国
- 製鉄に長けており、技術開発が得意
- 聖ハイサンド大教国
- 砂漠地帯で栄える宗教国家
- 大陸で唯一塩が採れる
三国は文化も環境も異なり、かつては塩と鉄を巡って、名前もそのまま塩鉄大戦で争いまくっていたほど仲が悪い。
しかし、塩鉄大戦はなんとか終結し、今は三国が友好関係を保っている。まあ、表面上はそういうことになっている。
若くて真っ直ぐなセレノアお坊ちゃま
本作の主人公は、グリンブルグ王国の御三家であるウォルホート家当主のセレノアだ。
当主とは言っても、エスフロスト公国から嫁いできたフレデリカと結婚を控える若い貴族のお坊ちゃまで、物語の冒頭に父親から当主の座を譲られたばかりの新社会人といったところ。
政略結婚ではあるものの訳ありのフレデリカ、グリンブルグ王家次男のロラン王子、そして執事のベネディクトら家臣たち。
セレノアは、ウォルホート家に関わる皆んなと信頼関係を築きながら、当主としての振る舞いを絶賛勉強中だ。
戦いの火蓋を切ったのはエスフロスト公国
政治の場に当主として出席したり、結婚式の準備をしたり、新人当主セレノアは一つずつ新しい経験を重ねていっていた。
しかし、世界は彼の成長をゆっくりとは待ってくれない。
ある日、突然エスフロスト公国がグリンブルグ王国に攻めてきたのだ。
故郷の平和を脅かすエスフロスト公国、腹のうちが全く読めない聖ハイサンド大教国、そして風前の灯となってしまったグリンブルグ王国。
大国間で翻弄されるセレノア坊ちゃんは、どんどん厳しい状況に追い込まれていく。
ウォルホート家はグリンブルグ王国に属してきたものの、セレノアの決断は彼自身だけではなく、家族や家臣、そして領民の命をも左右してしまう。
セレノアは、苦渋の決断を下しながら嘘にまみれた世界をその目で見ながら、自身の信念を拠り所にして大国間で奮闘することになる。
攻略のポイント
イベントと探索とバトルを攻略する
本作は、クエスト攻略でゲームが進行する。
メインクエストとサブクエストはもちろんのこと、イベントを見るだけというクエストまでもある。
また、時々探索できる場面があり、舞台となる街などを自由に探索しつつNPCと話したり、お買い物したり、アイテムを拾ったり出来る。
その場が後々のバトルの場になることが多いので、地形や環境ギミックを把握するチャンスでもある。
また、必ずしも全敵を倒すバトルばかりではなく、「特定のキャラが指定された場所にたどり着く」といった固有の勝利条件を達成するとクリアできるクエストもある。
タクティクスバトル
本作のバトルはターンベースなタクティクスバトルだ。
敵味方関係なくターンが回ってきたキャラが、移動とアクションを行う。
本作では位置どりがかなり重要で、特に以下の2つの位置どりを心がけた方がいい。
- 敵の背後や敵より高い位置
- 攻撃が当たる確率が上がり、与ダメージも上がる
- 敵を挟みうち
- 味方同士で敵を挟む配置にする
- 一方の味方が攻撃した際に、他方が追撃してくれる
もちろん、敵も同条件なので、敵に有利となってしまう場所へ味方を配置しないように注意が必要だ。
そして、アクションでは武器攻撃や防御とスキル使用ができる。スキルを使用する際にはTPを消費する。TPはターンが回ってくるごとに1ずつ回復する。魔法であろうとTPを消費するので、MPの概念はない。
セレノアの信念が高まった!
本作の物語には分岐要素がある。
会話中に3択から回答を求められることがあり、どれを選んだかによってセレノアの信念が変化していく。
本作での信念とは道徳、利益、自由であり、選んだ選択肢によって対応する信念が上がる。
どの選択肢がどの信念にあたるか、各時点でのセレノアの信念の状況はゲーム内では確認することが出来ない。
また、物語の重大な局面では2択の方針が提示され、どちらに進むか選択を迫られることがある。
その際にはプレイヤーが自由に選べるわけではなく、仲間内で「信念の天秤」による投票を行って多数決をとらなければならない。
多数派となった方針がプレイヤー自身の希望と違っても、この結果には従わなければいけない。
ただし、投票前には、仕入れた情報を使って仲間を説得することもできる(失敗することもある)。
セレノアの元に集まる仲間たち
本作では、上述した物語の分岐やセレノアのどの信念が高いかによって仲間になるキャラが変わる。
突発的に発生するサブクエストでいきなり仲間になるキャラもいれば、メインストーリー上で仲間になるキャラもいる。
ちなみに、各キャラはバトル中に行動するごとに経験値を得てレベルアップし、新たなスキルがアンロックされていく。
クエストの合間には、マップ画面から詰所と呼ばれる拠点に移動でき、鍛冶屋やよろず屋などで武器やキャラの強化が出来る。また、模擬戦をプレイしてレベル上げもできる。
トライアングルストラテジーの評価と感想
物語の面白さ
政治も争いも人間関係も、正解がない。現実なら、そりゃそうだ。
そんな現実の厳しさが本作内でもバチンバチンと顔面を叩かれるように突きつけられる。
「どれも正解じゃない!でも、どれも正解だ!」という過酷な選択ばかりで、本気で名家の当主として頭を抱えることになる。
胸糞展開も多く、「ぐぬぅ、なぜこんなことになってしまったんだ。自分が選択した結果なのか、ぐぐぐ」と、画面の前で胸が痛むことも。
でも、初見では複数のセーブデータは作らず、攻略情報も見ずに、自分の信念で選択して進むのがオススメ。
どこからどこまで分岐による影響なのか分からないくらい自然にドラマティックに展開していくので、苦悩し、その結果に悶える濃厚で楽しい体験が出来る。
キャラクターの魅力
登場人物はめちゃくちゃ多い。仲間も増えるし、名前を覚えるのもひと苦労だ。
しかし、みんな良いキャラだ。
特に投票前の各キャラとの会話では、それぞれの考え方に感心する。「そっかそっか、そういう考え方もあるよな」と、こっちが説得されそうになる。
また、敵の事情もちゃんと描かれており、「なるほど、そういう理由だったのか」「やり方が賢い!」と、ムカつきつつも褒めたくなる。
そう、キャラそれぞれにも独自の信念がちゃんとあるというわけだ。
敵味方関係なく、本作のテーマである信念がちゃんと活かされてキャラが描かれており、終始感心しっぱなしだった。
操作の快適さ
ターンベースなので、操作性が問題になる場面はほぼない。
UIは見やすく、移動できる位置や敵味方の射程も可視化されるので分かりやすい。
本作は十字キーでもスティックでも操作出来るけれど、スティック操作すると画面やカーソルが動きすぎるのが、たまに気になる。
カーソルもカメラ視点もドゥラララーと、それはもう滑らかに動く。マス目移動やコマンド入力のゲームなので、そこが滑らかすぎる必要はないと思うので、カーソル移動に引っかかりがあると良かった。
難易度バランス
本作では、4段階から難易度が選べる。
ベリーイージー、イージー、ノーマル、ハードだ。ノーマルの目安は、タクティクスゲームをプレイしたことがある人向けになっている。
私はノーマルでプレイしたけれど、確かに歯ごたえがあって、「なんとかなるでしょ」という感覚で戦っていては負けるので、ちゃんと先を見越して作戦を立てなければならない。
敵の数は多いし、敵も追撃や地形ダメージをちゃんと使ってくる。
一方で、タクティクスに馴染みがない人でもプレイしやすいイージー難易度に二段階あるのは親切だと思う。
タクティクスが苦手だからと敬遠するのは勿体ないくらい物語の分岐要素が面白いので、ストラテジーに馴染みがない人にもおすすめしたい。
ゲームシステムの面白さ
重めの大人向けストーリーに、めちゃくちゃ悩む分岐要素と選択がしっかり反映される展開、歯ごたえのある戦略性高いバトル。
間違いなく、クオリティの高いストラテジーゲームだ。
特に、本作では投票システムが面白い。
自分の希望する方針へと仲間を説得する際には、会話上の駆け引きが楽しめる。もちろん説得に失敗すれば、自分の希望していない方向に物語が進む。
でも、例え希望していなかった投票結果になっても「あ、こっちで良かったのかも」と思う展開になることもあり、色々な考え方を学ぶことができる。
そう、まさにセレノアと共に悩みながら成長している気分だ。苦渋の決断に胸も頭も痛めながら進んでいく。
こうしたプレイヤーが物語を動かしていると感じる仕掛けが散りばめられており、物語への没入感がえげつない。
ただ、ゲームの進行はかなりゆっくりな印象だ。クエストがかなり細切れになっていて、イベントシーンを見るだけのクエストが連続することもある。
やりこみ要素の楽しさ
1番のやり込み要素は周回プレイだ。会話での選択肢や投票など分岐要素がたっぷりある。
違う選択にしたら物語はどうなるのか。また別の仲間が現れるのか。もちろんマルチエンディングだ。
2周目は、自分なら絶対選ばないという選択肢をあえて選んでプレイしてみるのも面白いかも。
また、バトル中には、賢い戦略をとると戦巧ポイントを獲得して、切札というバトル中に使えるスキルが使用可能になる。
同じバトルでも、より巧く戦えば報酬が貰えるので悩み甲斐もある。というわけで、あれこれ戦術を試すのもやり込み要素だ。
仲間は多くてそれぞれに成長要素があり、収集要素もしっかり用意されているので、たっぷり楽しむことが出来る。
アップデートによって前日譚も追加され、ストーリー上のバトルを再プレイできるようにもなっている。
グラフィックの芸術性
『オクトパストラベラー』から続くHD-2Dグラフィックで描かれる。
私はこのグラフィックが好きなので、本作ももちろんグラフィックからお気に入り。
タクティクスゲームというと、ある程度決まった視点からの景色だけで、隅々まで見ることができないことが多い。
でも、本作には探索パートがあり、そこでは自由に移動してカメラも回転できるし、街の風景も細部まで堪能できるのが嬉しい。
サウンドの魅力
壮大な戦いという感じがムンムンに感じられる良曲揃い。かっこいいBGMばかりだ。
同じバトル中でも、戦局が変わるとBGMも変わり、ターンベースでも白熱した気分が味わえる。
登場キャラは多いけれど、村人Aみたいなモブキャラまでボイス付きで、サウンド面も豪華な作りだ。
サントラはこちら
本作と似ているゲームや関連作は更に下へ
トライアングルストラテジーレビューのまとめ
おすすめな人
- 戦略性高いタクティクスバトルが好き
- 物語を楽しみたい
- 様々なものの考え方を知りたい
おすすめではない人
- 分岐要素が嫌い
- サクサク攻略できるゲームを探している
- 胸糞展開は見たくない
総合評価良いところ&残念なところ
- しっかり悩む分岐のある物語と魅力的なキャラ
- 歯ごたえのある戦略性高いバトル
- 結果に従わなければいけない投票システム
- ゲーム進行がゆっくり
- イベントを見るだけのクエストが多い
トライアングルストラテジーが好きならおすすめのゲーム
関連ゲーム
オクトパストラベラー2
本作の開発陣が手がける代表シリーズである、古き良きと新しく面白いが融合した高評価RPG。
こちらも完全な正解はない大人が楽しめる物語が魅力。分岐要素はない。
似ているゲーム
タクティクスオウガ リボーン
名作ストラテジーゲームのリメイク版。
様々な種族が登場し、分岐要素もある物語が楽しめる。
歯ごたえもしっかりあり、古くささはなく完成度の高いゲーム。本作が好きなら、絶対気に入るはず。
ファイナルファンタジー タクティクス 獅子戦争
大戦の裏で巻き起こっていた物語が描かれる名作ストラテジーゲーム。
こちらも位置取りが重要な戦略性の高いバトルでは、歯ごたえの高さも魅力。
今なお人気が高く、リメイクや続編が望まれている高評価作。
トライアングルストラテジー Triangle Strategy
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