『ソニックフロンティア』レビュー: 音速で単独事故を繰り返す
『ソニックフロンティア』とは、セガが開発したアクションゲーム。
超高速で走る2D横スクロールでプレイすることが多いソニックシリーズだけど、本作は3Dアクションでプレイする。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はPS版をプレイ。
本作はどんなゲームか、その特徴や魅力と共に実際にプレイした感想と各要素の評価をネタバレなしでレビューする。また、本作に似ているゲームも紹介する。
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あらすじStory
怪しいエッグマン
どこかの森の中で怪しい動きをしている奴がいる。
卵に足が生えたようなシルエットのヒゲが生えた男性。
主人公より先に登場してしまっているのは、相変わらずのエッグマンだ。ソニックシリーズの永遠の悪役だ。
エッグマンは怪しげな石の柱に何かを埋め込んで「しめしめ」とほくそ笑んでいる。
すると、その柱から不気味な赤い光が出てくる。
エッグマンの新たな悪い発明かと思いきや、どうやらエッグマンにとっても想定外の事態が起こり始める。
そして、なんとエッグマンはそのまま柱に吸い込まれてしまった。
カオスエメラルドを追って
エッグマンがいなくなって、めでたしめでたし。
というわけにはいかない、もちろん。
カオスエメラルド(ソニックシリーズでクリア時などに獲得するキーアイテム)を追って飛行機に乗りグリーンヒルという場所を訪れていたソニックとテイルスとエミー。
そんな3人の行く手の上空に、突然穴が空く。空に穴!?
画面にはビリッビリッとグリッチ演出がかかるし、さっきエッグマンが吸い込まれたのと同じ現象のようだ。
で、案の定ソニックたち3人も吸い込まれてしまう。
スターフォール諸島
吸い込まれた先でソニックが目にしたのは、いつものソニックゲームなコース!
「ここからいつものソニックだな!」と、ズゥオオオオッと爆走してクリアすると、スターフォール諸島という見知らぬ島へ飛ばされてしまう。
そこに、どこからともなくソニックを導く声が聞こえてくる。
その声によると、実はさっきのソニックゲームなコースは電脳空間らしい。
仲間達やエッグマンも同じく電脳空間に閉じ込められてしまったそうだけど、ソニックは瞬足のおかげか唯一脱出できたらしい。
こうして不思議な声に導かれつつ、ソニックは仲間を救出するため文字通り駆けずり回ることになる。
しかし、そんなソニックをジッと見つめる謎の少女が1人。彼女は一体何者なのか?
ゲームの特徴Features
好きに走って飛んで謎解きして
本作では、いくつかの島を攻略することになる。
各島はオープンゾーンと呼ばれるオープンワールドになっている。
各島のあちこちにアスレチックのようなギミックやパズルなどのチャレンジが点在していて、敵も待ち構えている。
進む方向も攻略する順番も自由。
で、敵を倒したり、ちょっと難しいチャレンジを攻略するとギア(歯車)を手に入れる。
それを石の柱のようなポータルに持っていくと、電脳空間へ移動することができるようになる。そこではソニックゲームお馴染みのスピードランを攻略する。
電脳空間コースを無事にクリアしたらエメラルドキーが手に入り、もとの世界に戻ってくる。
こうしてエメラルドキーを一定数集めたら、各地にあるカオスエメラルドを解放する。
これを繰り返していくのがゲームの大きな流れだ。
ソニックバトル
島には大小様々な敵がいる。
パンチやキックで攻撃することになるけれど、スキルツリーをアンロックすることで新たな攻撃アクションを習得することも出来る。
敵を倒すと経験値を獲得し、一定数溜まるとスキルポイントが手に入る。
また、赤い実や青い実を集めると、それぞれ攻撃力と防御力をレベルアップ出来る。
そして、迷子になっているココという生物を各地で集めると、体力上限や走るスピードのレベルアップも可能。
ちなみに体力は保有しているリングの数だ。
ダメージを受けると持っているリングを落としてしまう。保有リングがゼロの状態で攻撃を受けるとゲームオーバーとなる。
カオスエメラルドだけじゃない
チャレンジでは、ギアやソニックの強化アイテムが手に入るだけではない。
マップが開示されたり、ピンクのハートが手に入るチャレンジもある。
ピンクのハートを一定数集めると、各地にいる電脳空間に閉じ込められたエミーや謎の少女の幻影を解放することが出来る。
解放すると、物語や本作の世界設定が明かされていく会話を見ることが出来る。
また、会話をきっかけにサブクエストが解放されることもある。
その他に、釣りも出来て、報酬を手に入れることもできる。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
3.5
古代遺跡が残る不思議な島。そこには電脳空間への入り口がある。
そんな興味をそそるオープニングから始まり、最初は「謎が気になる」と興味津々だった。
が、そこからはかなりザックリとした展開ばかり。
オープンワールドゲームやアクションアドベンチャーゲームのように物語を楽しめるかと期待していたんだけど、そうではなかった。
あくまでも、コースクリア型アクションゲームの感覚だ。コースクリアしたら、キャラ同士がちょっとだけ喋って「さ、次行こう」というのと同じ。
「面白くなりそう!」という期待が、そのうち「良い設定が揃ってるのにもったいない」という感想になってしまった。
キャラクターの魅力
3.5
そもそも私はそんなにソニックゲームに詳しくはない。その前提での評価になるのだけど、キャラや世界の説明や描写が乏しいのが残念。
世界的スーパースターのソニックだ。強気で頼もしい絶対的主人公感は安心できるし、もちろん魅力的。
ただ久しぶりのソニック新作なので、私含め本作からしっかりソニックシリーズに入ってみようという人や久しぶりに触れる人も多いはず。
そうした人向けにも、もう少し丁寧な説明や描写が欲しかった。
操作性
4.0
爆速で爆走。
レールの上を高速で滑り、加速装置で更にグンッとスピードが上がる。
楽しい。気持ち良い。思った通りにキビキビ動かせる。
バトルもコンボをつなげやすく、気持ち良い。
そう、ひたすら気持ち良い。風を切って走るソニックの疾走感そのものが味わえるプレイ感覚だ。
カーブや一回転する時には視点が自動で遠めになって、プレイしつつソニックのカッコイイ走りっぷりを目で見て堪能できる。
ただ、予想はつくと思うけれど、高速で飛んで跳ねて回るので、目は回りやすい。
画面酔いしやすい人は、あらかじめしっかり設定を調整しておくのがおすすめ。
難易度バランス
4.0
難易度は3段階から選択可能。私はデフォルトのチャレンジモードでプレイ。
バトルはあるけれど、プラットフォームアクションの難しさの方が強め。
フィールドに点在しているアスレチックでは、爆速スピードを制御しながら正確にジャンプしなければならない。
また、電脳空間のコースにはいくつか目標が掲げられており、目標を達成するごとにエメラルドキーが1つずつ貰える。
ある程度コースを覚えなければ、Sランクとなるクリアタイムなど目標達成は難しい。何度か挑戦して、より上手くなっていく必要がある。
ゲームシステム
4.0
ソニックゲームのたくさんのコースをドーンとフィールドにたくさん並べてみたよ。
そんな感じで作られたオープンゾーンというフィールドは目新しいし、そのコンセプトが面白い。
それでいて、ソニックのスピードランな感覚もちゃんと味わえる。
ところが、慣れてくると単調になってしまう。
細かく見ればそれぞれちゃんと違うんだけど、どのギミックでもアクション自体はほぼ同じなので、1人で黙々と作業を繰り返している感覚になる。
正直なところフィールドは寂しいので、アクションに合わせてエフェクトやソニックのボイスがつくなど、盛り上がる仕掛けが欲しかった。
また、プレイしていると変化の乏しさも気になってくる。人間の慣れって欲張りだ。
一方で電脳空間はカッコ良くて派手さもあるんだけど、意外とあっさり味。
面白くなる可能性を秘めつつ、いま一歩盛り上がらず惜しい。荒削りな印象。
やりこみ要素
3.5
やり込み要素は、ひたすらギミックに挑戦して強化アイテムを手に入れたり、エミーを解放したりといったもの。
上述した通り、あまり変わり映えがしないチャレンジが続くので、単調な作業になってきがちだ。
そして、1番「うーん」となったのがスキルツリー。
スキルポイントが手に入りやすく、あっさりアンロック出来てしまい、成長要素でも変化を楽しめないのが残念。
グラフィック
4.0
フィールドは自然豊かで、そこに無機質なギミックが点在している。
正直なところ、最近の他のオープンワールドゲームに比べれば、がらーんと空いていて寂しい。
でも、だだっ広いほど自由に爆走しまくれる楽しさが味わえるので、ソニックにとってはこのくらいの方がいいのかもしれない。
一方で電脳空間はかっこいい。派手だしにぎやかだし、風景もそれぞれ違っていて楽しい。
サウンド
3.5
フィールドでは切ない抑えめなBGMが流れていて、電脳空間ではスピードランを盛り上げてくれるノリのいいBGMに変わる。
フィールドの不思議で切ない雰囲気は良いのは良いんだけど、ゲームプレイはハイスピードなアクションなのでチグハグさを感じてしまう。
アスレチックにひたすら挑戦している時間が多く、失敗しては再挑戦する黙々とした作業感が出てくる。
で、その間ずっと静かなBGMなので、更に作業感が増してくる。
大型の敵と戦う時にはかっこいいBGMが変わるんだけど、ギミックに挑戦している時もBGMのテンポが上がるなど変化があると良かった。
サントラはこちら
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
自由に広く爆走できる
ソニックの高速っぷりを体感できる
見ごたえのある電脳空間
残念なところ
単調になってくる
物語要素が軽め
オススメな人
3Dプラットフォーマーが好き
ソニックシリーズのファン
ハイスピードな挙動が好き
オススメではない人
物語や探索を楽しみたい
成長要素を楽しみたい
画面酔いしやすい
おすすめ類似ゲーム本作に似たゲームはコチラ
近年ソニックと共演することが多いプラットフォームアクションのもう一人のスターといえばマリオ。帽子を飛ばしたり敵に変身するなど、新たな3Dマリオアクションが楽しめる高評価作。
高速移動が好きなら、こちらもおすすめ。滑るようにハイスピードで移動しながら探索し、巨大な敵とのバトルは迫力抜群。高速で正確なアクションを繰り返していく3Dアクションが楽しめる。
ソニックフロンティア
音速で単独事故を繰り返す
オープンゾーンという広大な空間にコースのようなギミックが点在し自由に攻略できるコンセプトが目新しいソニックシリーズの新作。
大きく自由に動けることでソニックの爆走ぶりを体感できて気持ち良い。
電脳空間では、かっこいいスピードランもしっかり楽しめる。
ソニックフロンティア Sonic Frontiers
©SEGA
https://sonic.sega.jp/SonicFrontiers/