『スーパーマリオRPG』レビュー: 丁寧に幸せなリメイク

『スーパーマリオRPG』とは、任天堂が開発したRPG。
本作は1993年に発売された同名作のリメイク版であり、オリジナル版はスクウェア・エニックス(当時はスクウェア)と任天堂が共同開発したことでも話題になった名作だ。
現在ではペーパーマリオシリーズになっているけれど、マリオのRPGシリーズの記念すべき第1作目でもある。
長らく移植が行われていなかったけれど、グラフィック向上はもちろんのこと、追加要素も盛り込んで遂にリメイクされた。
本作はNintendo Switchでプレイ可能。
本作がどんなゲームか、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
日常茶飯事の誘拐劇
マリオの家に遊びに来ていたピーチ姫。
ごきげん麗しくお花と戯れていた姫だけど、毎度の如く例によって大魔王クッパに攫われてしまう。
そして、ババーンと我らがヒーローのマリオが登場!
いざ、クッパ城へ(今回のクッパ城はめちゃくちゃ近所)。
そして、ドタバタ劇を繰り広げ、大魔王クッパを叩きのめしてピーチ姫を無事に奪還!
めでたしめでたし。

クッパ城の悲劇
ところが、「めでたし」にはならなかった。
クッパ城の上方から、とてつもなくでっかい剣が落ちてきて城にブッ刺さってしまった。
天界の巨人が大剣を落としたとか、そんなミラクルでファンシーな事故ではないようだ。
この巨大な剣は生きていて、カジオーという奴に仕えているらしい。そして、この世界を乗っ取るためクッパ城を拠点にすることにしたという。
しかも、剣ブッ刺さり事件の衝撃で、ピーチ姫も大魔王クッパも遠くへぶっ飛んでしまった。

スターロード修理とクッパの復讐劇
とりあえずピーチ姫を探さなくては!と飛び出したマリオは、道すがら新たな仲間と出会うことになる。
自称カエル、見た目はパンツを履いた綿菓子のマロ。
木彫りの人形に取り憑いた、空から来た星の使者ジーノ。
ジーノが言うには、クッパ城に刺さった大剣は、上空からの降下中に人々の願いを叶えるスターロードを破壊してしまったらしい。
そして、おやおや、カジオー軍団の不法占拠によって帰る家がなくなってしまった大魔王クッパもマリオと共に戦うらしい。ついでにピーチ姫も共に戦うと仰っている。
マリオの旅路は、スターロードを復活させるために必要なスターピースを集めるにぎやかな旅へと変わっていく。
…あれ、そういえばルイージはどこ?

ゲームの特徴Features
コース攻略のようなRPG

本作ではストーリー進行に合わせて、訪れる場所がどんどん増えていく。
マップ上には、いつもの2Dマリオゲームのコース選択画面のようにダンジョンや街がストーリーに合わせて登場する。
一度行ったことのある場所ならいつでも行き来が可能。マップ画面からファストトラベルも出来る。
各所にはセーブポイントがあるけれど、本作ではマップ切り替え時にオートセーブもされている。現代仕様だ。
タイミングを見極めるバトル

バトルは、3人パーティーでのターンベースでコマンド選択。
各キャラは武器での「たたかう」、各キャラ固有のスキル「スペシャル」、アイテム使用、防御などが選択できる。
「スペシャル」には対応したFP「フラワーポイント」を消費するけれど、FPはパーティーみんなで共有しているので使う配分には注意。
そして、バトルの大きな特徴がアクションコマンド。
攻撃時もスペシャル使用時も、タイミング良くボタンを押すと与ダメージ量が増す。最高のタイミングなら通常の「たたかう」が全体攻撃になる。
逆に敵から攻撃を受ける時もタイミング良くボタンを押すと被ダメージ量を減らせる。最高のタイミングなら、なんと受けるダメージがゼロ!
3人わざ

上述の通り、タイミング良くボタンを押すことで有利にバトルを進めることが出来るけれど、更なるボーナスもある。
タイミング良くボタンを押し続けられると、画面左側に表示されるチェインの数が増えていき、各キャラに対応したステータスボーナスが発生するようになる。
更に、チェインが途切れたとしても、タイミング良くボタンを押すごとにバトル画面左下のアクションゲージが溜まっていく。
100%になるとパーティー3人での必殺技「3人わざ」を発動することができる。
どの3人がバトルに参加しているかによって、3人わざの種類も変わる。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ


4.5
筋書きは分かりやすくて楽しい物語。
クッパ城が乗っ取られるなんて由々しき事態だけど、全体的にコメディ調で描かれている。
マリオは各地で小馬鹿にされるし、ピーチ姫は意外とノリが軽い。NPCのボケに全員でズッコケるなど、ノリツッコミを繰り広げる場面も多い。
それでいて熱い場面はしっかり熱い。
でも、やはり時代を感じる場面はあるし、結構ギリギリの線を攻めてるネタもあるし、オリジナル版を知っている大人ゲーマーほど楽しめると思う。
現代のRPGとは違い、サブクエストなど自由度は少なく複雑さもないけれど、その分、ドタバタ劇のような脅威のテンポの良さでぐんぐん進む。
難しいことは一切考えずに頭空っぽにして自然と笑顔が広がってくる幸せなゲームだ。
キャラクターの魅力


5.0
マリオとピーチ姫と大魔王クッパ。ゲーム界最強の黄金トリオ。もちろん存じ上げています。
それでも、本作でコメディ調に描かれる大魔王クッパとピーチ姫は新鮮。特にピーチ姫は近年の雰囲気とはちょっと違って、小悪魔感強め。
大魔王クッパの意外な一面も見れるし、マリオシリーズ好きにはたまらない。
そして、マロとジーノ。しっかりキャラが立っていて魅力的で、今後のマリオシリーズにも出演してほしい。
NPCのキノピオたちもボケに走ってたり、各地の街の住民たちも勢いよく天然ボケをかましてたり、とにかくみんな面白い。
細かなところまで小ネタが仕込んであって、全員に話しかけて歩くのが楽しい。ボスも間が抜けていて笑える。
操作性


4.0
探索中はマリオならではのジャンプが出来る。軽快。
アクションゲームではないので、難しいアクションが求められるわけではないけれど、単に歩き回るだけではないので移動も楽しい。
本作はシンボルエンカウントなので、ジャンプで敵をぴょんぴょん飛び越えてバトルを避けることも出来る。
バトルでは、コマンドが各ボタンに割り振られており、操作が分かりやすい。
そして、バトルの肝であるアクションコマンド。ボタンを押すタイミングが、まあまあOKかパーフェクトタイミングかで効果が変わる。
パーフェクトタイミングの判定は厳密。ボタンを押すタイミングで「!」が表示されるけれど、それを見てボタン押したのでは既に遅いくらい厳しめ。
難易度バランス


4.0
難易度は最初に2段階から選択できる。
バトルが楽な「エンジョイ」と、「ノーマル」だ。
私は「ノーマル」でプレイ。メインストーリー攻略で苦戦することはまずない。
アクションコマンドに成功すると全体攻撃になるのが強いし、更に3人わざもかなり強力。
オートセーブもあるし、昔のゲームならではの面倒くささは排除されていて、快適にすいすい攻略できる。
ゲームシステム


4.0
今となってはそこまで珍しいわけではないけれど、発売当時は斬新だったはずのリアルタイム要素のあるバトルもRPGでアクション要素のある探索も完成度が高い。
キャラによって武器もスキルも異なり、更に同じキャラでも武器が多種類登場し、武器によってアクションコマンドのタイミングが変わるので、バトルの新鮮さが損なわれないのが良いところ。
更に全体攻撃や3人わざなどコマンドバトルを更に楽しくさせる追加要素が加わっている。
オリジナルの良さは壊さずに現代でプレイしてもストレスを感じないように調整されていて、既プレイヤーも新たなプレイヤーも楽める良いリメイクだ。
やりこみ要素


4.0
寄り道は少ないけれど、各地にミニゲームが用意されている。
どれも趣向が違い、高得点をとるためにはしっかりコースを覚えたり、アクションの腕も必要。
また、ちょっとした小ネタが随所にあるので、あちこち探索しながら歩くと面白い発見がある。
更に強敵(雑魚敵と同じ見た目だけど強い)を倒したり宝箱から、カエルコインが手に入る。集めると様々なアイテムと交換できる。
また、本作での追加要素として、旅の思い出として日記を見れたり、モンスター図鑑で出会った敵の情報を見ることができる。そこに書かれているコメントが面白いので、たまには読んでみるとクスッと笑えるはず。
グラフィック


4.0
カットシーンは、がっつり綺麗な3DCG。3人わざを発動した際には3DCGの見応えある演出が入るのも嬉しい。
ゲームプレイ部分は、オリジナル版の雰囲気を壊さずに上手く3DCG化されている。
2頭身なちびキャラで、可愛い。
最新のゲームに比べれば描き込みなどは少ないけれど、荒さは感じない。グラフィック面でも丁寧にリメイクされてる。
サウンド


4.5
BGMは、ゲーム内容に合っていてにぎやか。
クラシック音楽のようなメロディが多いけれど、愉快な調子なのでBGMを聴いているだけで楽しい気分になる。
また、設定からオリジナル版のBGMに切り替えも可能。ゲームのリメイク作では、BGMが変わると違和感を感じるプレイヤーもいるので、最初からオリジナル版が用意されているのは親切。
一方で、オリジナル版と同じく本作にはボイスはない。
マリオといえばの「レッツゴー」とか「イッツミー、マリオ!」といった効果音的に使われるボイスもないので少し寂しい感じはするけれど、そこはオリジナル版に忠実で良いところでもある。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
笑いたっぷりの誰もが楽しめる物語
単純作業にならないバトルのリアルタイム要素
オリジナル版良さがしっかり残っている
残念なところ
初見プレイヤーにとっては物足りないかも
(オリジナル版に忠実という良いところでもある)
オススメな人
オリジナル版のファン
楽しい気分になれるゲームを探している
RPGが好き
オススメではない人
最新ゲームの体験を求めている
複雑な物語を楽しみたい
メタ的な発言やネタなど笑いに走られると冷める
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Sea of Stars
リアルタイム要素のあるターンベースバトルなら、こちらもおすすめ。壮大な物語や仲間との連携技もバトルの歯ごたえもしっかり味わえる高評価作。


ペーパーマリオRPG オリガミキング
マリオのRPGシリーズ最新作。リアルタイム要素だけでなくパズル要素も加わったバトルや、笑いっぱいの物語も楽しめるボリューム満点な高評価RPG。


スーパーマリオRPG
丁寧に幸せなリメイク
笑いもたっぷりな楽しい物語が味わえるクッパもピーチ姫も共に戦う名作RPGのリメイク作。
リアルタイム要素のあるバトルやマリオならではのジャンプを交えた探索は現代でプレイしても面白い。
グラフィック向上やバトルの追加要素によって、新旧ファンみんなが楽しめる丁寧なリメイク作。
スーパーマリオRPG
© Nintendo/SQUARE ENIX
Characters: © Nintendo, © SQUARE ENIX
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