レビュー【Sword of the Sea】イルカと一緒に空を飛ぶ | 全てが美しいアクションアドベンチャーゲーム

ホバーソードに乗り枯れた死都に海を蘇らせていく、アクションも世界も美しいアクションアドベンチャーゲーム『Sword of the Sea』のネタバレなしレビューも攻略情報も詳しく掲載。
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- ストーリー
- 廃墟と化した都を巡り、海と命を蘇らせていく謎多き物語
- 攻略
- ホバーソードで高速移動しながらアクションと謎解きを攻略するアクションアドベンチャーゲーム
- 評価
- 滑らかで扱いやすいアクションも演出も全てが美しく、芸術作品のようなゲーム
Sword of the Seaの概要
タイトル | Sword of the Sea |
---|---|
開発元 | Giant Squid |
販売元 | Giant Squid |
発売日 | 2025年8月19日 |
対応機種 | PS5, PC |
ジャンル | アクションアドベンチャー |
シリーズ | 新規IP |
プレイ機種 | PC(ゲームパッド使用) |
Sword of the Seaのストーリー
砂に覆われた都

本作の舞台は不思議な世界。
人の姿も動植物の姿もない。
しかし、廃れてはいるものの遺跡など何らかの文明があったと思われる建物が点在している。
なぜ命の気配を感じないのか。
そして、もう一つ見当たらないものがある。それは水だ。
一体この世界は何なのか。何が起こったのか。
それはゲームが進むにつれて明らかになってくる。
目覚めたレイス

そんな世界にある建物の奥深く、暗闇の中に戦士風の石像が何体も並んでいた。
この世界最後の一滴だろうか、水がひと粒だけ一体の石像に滴り落ち、その石像戦士が目覚めて動き出した。
これが本作の主人公レイスだ。
レイスは困惑する素振りもなく、持っていた剣を投げて上に乗って滑り出した。
剣に乗る?
妙な表現ではあるけれど、文章通りの意味だ。
レイスの剣はホバーボードのように地面に浮かび、スケボーのように剣の上に乗って地面を滑って移動できるのだ。
寝起きから驚異的な体幹とバランス能力を見せつけるレイスは、枯れた死都へと滑り出した。
迷いのある素ぶりが全くないレイスは何をするべきか分かっているのだろうか。
プレイヤーはレイスとなってホバーソードを操りながら不思議な旅路を歩む…ではなく滑っていくことになる。
Sword of the Seaの攻略情報
ギミックを動かし道を切り開く

本作は、道なりに進んでいくアクションアドベンチャーゲーム。
いくつかの章に分かれており、それぞれエリアが変わる。
基本的にゲーム内で後戻りはできない。
各エリアではいくつかのギミックを動かすと、扉など次のエリアへ進むための道が開かれる。
探索してギミックを動かすという流れでゲームを進めていくことになる。
本作にマップ情報やクエストリストといったものはなく、自分で探索してギミックを探し出す。
基本的にメインルートには旗や光の筋が立っていることが多いので、周囲のヒントを見ながら探索するのがおすすめ。
ホバーソードのアクション

主人公は常にホバーソードに乗って移動する。
スタミナや体力ゲージなどはなく、スティックを倒すだけでスイィーーと進む。
そして、ジャンプもでき、空中にいる間にはトリック(後述)を決めることができる。
もちろん斜面を進むほどスピードは増し、速くなるほどより高く遠くへジャンプできる。
落下ダメージなどはなく、移動中にバランスを崩したり着地に失敗してズッコケるようなことはない。
レイスはものすごいバランス感覚の持ち主だ。
ただし奈落に落ちるとミスになる。が、ペナルティなく地上に復活する。
アクションとトリックを増やす

あちこちには金色の宝石のようなものが浮かんでいる。
これはテトラと呼ばれる本作の通貨にあたるもので、道中のツボを壊したり、各地に隠されている宝箱から手に入れることもできる。
各エリアには大きなツボを背負っている人がおり、集めたテトラを渡すと一定数ごとにトリックや新たなアクションを習得することができる。
トリックとは、スケボーやスノボのように空中でボードを使って決める技のことで、本作ではスピンしたり様々なトリックを習得できる。
上手く決まればスピードを殺さず着地できる。
実は画面上には常時表示されないけれど、行ったトリックに応じてゲーム内でスコアが蓄積されている。
しかし、ゲームクリアを目指す上では、スコアは気にしなくてもいい。
一方で、大きな海藻に沿って上方へ一気に移動できたり、ブーストで移動速度が上げられるなど、ゲーム進行ととともに習得できるアクションもある。
こちらは攻略上必須のアクションとなっている。
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Sword of the Seaのレビュー
物語: 石碑で神話のような物語を辿る

主人公にセリフはなく、レイスは黙々と進む。
カットシーンもあるけれど、セリフではなく状況から物語を読み取っていく。
言葉で物語を語ってくれるのは、各地にある石碑だ。
読み繋いでいくと、世界の成り立ちや何があったのかが明らかになってくる。
そのため、石碑を読んでおくとメインストーリーをより深く楽しむことができる。
時には展開に涙してしまう神話のような物語となっている。
ただ、石碑は脇道などに隠れていることが多いので、寄り道しながら進んでいないと「なんだか神秘的で不思議だった」で終わってしまうので、寄り道必須!
操作性: 摩擦ゼロが気持ち良すぎて、ピタッと止まる

本作はかなりハイスピードなアクションで起伏に富んだ地形を進み、マップ構造にはかなり高低差がある。
下手したら画面も手元も大変なことになってしまうゲーム内容だ。
しかし、本作ではストレスは全く無し。
ホバーソードは制御しやすく、見づらくなったり目が回ってしまうこともない。
特にボードに乗る系のゲームで感じやすい「扱いにくさ」が一切ない。
スティックを倒してから動き始めて加速していくペースが適度になるよう調整されており、スティックを止めるとサッと止まる。
流れるように滑らかなアクションが気持ち良く、それと同時にキビキビ動く感覚だ。
タイルや氷など意図的に滑りやすくされている地形以外では慣性が抑えられているので扱いやすい。
ただし、地面が波打っていたり高速に動くことには間違いないので、画面酔いしやすい人は設定を調整してからプレイするのがおおすめ。
とはいっても、動きを制御しやすいおかげか、個人的には酔いやすいゲームではないように感じた。
難易度: 寄り道はしっかりプラットフォームアクション

正規ルートは複雑ではなく、テトラがこれ見よがしに浮かんでいるので道に迷うことはない。
プラットフォームアクションの腕前の要求度も高くはなく、「ホバーソードって気持ち良いー!」と思いながらスイスイ攻略できる。
しかし、寄り道は豊富に用意されており、そこではしっかりアクションの腕が試される。
スピードに乗って大ジャンプしたり、到達が難しい場所には収集要素の貝殻が隠されている。
背景に思える場所まで意外と探索できるので、斜面にも果敢に攻めるのがおすすめ。
サーッと物語をなぞっていくアドベンチャーゲーム的にも楽しめるし、探索やチャレンジに挑戦するアクションゲームとしても楽しめる。
そして、メインルートを走っていると寄り道があまり目に入らないようになっているのも良いところ。
本作の魅力であるスピード感で止まらずプレイしたい人やアドベンチャーゲームとして楽しみたい人には「なんか色々すっ飛ばしてるな」とモヤモヤしないようになっている良い設計だ。
しっかり探索する派にとっては、各エリアではギミックを起動できると海が復活し、テトラが新たに現れたり、上下移動しやすくなる海藻も生えてくるのが嬉しい。
さっさと次に移動するのではなく、もう一度ひと回りが楽しめる。見つけていなかった寄り道を発見できることも。
システム: ゲームプレイも世界も美しい

複雑な謎解きがあるわけでも白熱バトルがあるわけでもなく、本作は端的にいえば道なりに進む旅だ。
しかし、高低差が激しい地形を滑らかで気持ち良いホバーソードで滑りまくれるのがやはり大きな魅力で、海が蘇る時など一気にブワッと景観が変わる演出もとてつもなく美しい。
このあまりにも綺麗な演出が最高の報酬となっている。
お金とか装備品などゲーム内コンテンツではなく体験が報酬というゲームだ。
良い意味で頭と心が空になり、ただただ見惚れてしまう。
また、海が蘇ることで、進んできた道をヒョーイと超えて新たな角度からエリアを探索できるのも面白い。
一度で二度美味しく味わえるよう計算されて地形が作られている。
ゲームとしての複雑さはあまりないけれど、それが良い。
深くあれこれ考えるより、身体で感じるゲームだ。
ちなみに、本作開発元の過去作をプレイしたことがある人にとっては、本作は過去作を全て混ぜたような内容だ。
過去作のどれかを気に入っている人には間違いなくおすすめ。
芸術性: 空が海中に変わる!美しすぎる演出

上述してきた通り、本作はアクションも演出も破格の美しさ。
世界とアクションが一体となって1つの美しい芸術作品になっており、最強の芸術センスを味わえる。
魚たちが空中を舞い飛んでいるようにも泳いでいるようにも見える光景は幻想的で、どのエリアもぼんやり眺めていたくなる。
BGMもそうした芸術性をさらに高めてくれており、神秘的な雰囲気の曲調が多く、ここぞという時にガッと盛り上がる。
プレイしながら泣けてくる美しさで、完全なる現実逃避ができる。
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Sword of the Seaの総合評価
Sword of the Sea

総合評価
ハイスピードで滑らかなアクションにも演出にも惚れる芸術作品のような美しさのアクションアドベンチャーゲーム。高速ながら扱いやすいアクションや探索要素の配置など心地よく楽しむことができる完成度が高いゲーム。
長所と短所
良いところ | アクションは高速でありつつ扱いやすい 寄り道するほど、より楽しめる | 美しい演出とアクションの挙動
---|---|
残念なところ | 謎解きはかなりシンプル |
こんな人におすすめ!
おすすめな人
- 芸術的なゲームが好き
- 高速アクションが好き
- 自分で物語を考察するのが好き
おすすめではない人
- バトルや悩むパズルなどゲームとしての複雑さを期待している
- 寄り道要素は飛ばしたい
- かなり画面酔いしやすい
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