『The Almost Gone オールモストゴーン』レビュー: 最悪な妄想が膨らみ続ける
『The Almost Gone オールモストゴーン』とは、Happy Volcanoが開発したポイント&クリックのパズルアドベンチャーゲーム。
JOOST VANDECASTEELEさんという文学賞受賞歴のあるライターさんがシナリオを担当している。
本作はNintendo Switch、PC、iOS、Androidでプレイ可能。私はiPhoneでプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
誰?いつ?
ゲームが始まると、女性の語りが始まる。
彼女が何者なのかは語られないけれど、どうやらこのゲームは彼女の回想らしい。
最初の章は、「そのすぐ後」と表示されているけれど、何があった直後なのか。
彼女自身もここがどこなのか正確には分かっていないらしいけれど、目の前にある家を探索していく。
謎解きしながら進み、徐々に明らかになってくる彼女の思い出とは?彼女にはどんな事情があるのか?
ゲームの特徴Features
グルグル回してつつく
ゲームは、章に分かれている。章ごとに舞台となる場所が変わる。
ゲーム中は、常に画面に1つの部屋(もしくは1つのエリア)が表示されている。
その部屋は、グルグルと90度ずつ回転できる。壁や大きな家具があったりするので、回転してはじめて見える部分やアイテムも多い。
部屋の中にあるアイテムをタップすると、主人公がそれにまつわるエピソードを語ってくれる。
移動
部屋は移動していくことが可能。ここでも部屋の回転が重要。
そのままでは移動できる矢印が表示されていなくても、部屋を回転してドアが見える状態になってはじめて移動できる矢印が出現する。
マップを見ることもできて、行っていない場所などを確認することができる。
手に入れて謎を解く
画面上の部屋などに置かれている特定の物をタップするとズームされて、鍵や何かしら役に立ちそうなアイテムを手に入れることができる。
また、場所によっては、持ち物から必要なものを選んで使ったり、パズルを解いたりする。
ズームしている時に、輪郭が白く点滅している時は、その物で何かアクションができるサインだ。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
3.5
本作をクリアした瞬間の感想は、「え?」。
ネタバレになるので詳細は書かないけど、恐らく本作をプレイした人のほとんどがエンドロールが表示された時に「え?終わり?」と思うはず。
そこからどう考察するか妄想するかはプレイヤー次第。
私も私なりに色々と考えた。余韻が残る。思わせぶりな短編小説を読んだ感覚だ。
とりあえず、これだけはお伝えしておく。ほんわかとした色使いや可愛い雰囲気のグラフィックに騙されてはいけない。悲しく鬱々と嫌な想像が膨らむ物語だ。
キャラクターの魅力
3.0
常に回想している主人公の女性。そして、彼女が思い出す人々。
語られる断片的なエピソードから、自分なりに登場人物たちの姿を想像する。
悲劇に次ぐ悲劇。特に父母については壮絶。父親は、正直やばい。
プレイしている最中ずっと「どうか主人公は幸せになって欲しい。どうか!」と思っていた。彼女の姿は想像するしかないけれど、彼女のたどってきた人生を思うと心がキュッとなる。
操作性
3.5
特に複雑な操作はないし、操作性も問題なし。
スマホでは、操作方法を選択できるんだけど、フリック操作だと画面が回りすぎてしまうことがあるので、操作ボタン表示(仮想ゲームパッドみたいな感じ)でプレイの方がおすすめ。
そして、横画面にすると表示や操作が完全にバグる。縦持ちプレイがおすすめ(PC版では横長でプレイできる)。
難易度バランス
3.5
謎解きは難しくない。
ゲーム内ヒントはないけれど、どの部屋でも全方向に回転させるのを忘れなければ道は開ける。
章が進むごとに部屋の行き来が必要になってくるけれど、行き詰まるようなことはない。何をしたらいいかは分かりやすい。
ボリュームはそんなに大きくなく、1時間くらいでクリアできる。
ゲームシステム
3.5
画面を回転することでアイテムや道が見つかるっていうのは、シンプルだけど面白い。
ぐるっと回転すると意外な光景が広がっていることも多くて、どの場面でも回転するのが楽しみになる。
そして、こういう謎解きゲームって癒しな雰囲気が多いけれど、本作は物語性が強く、しかも癒しとは真逆。意外性があって興味そそられる。
やりこみ要素
4.0
一直線でエンディングに向かっていく。特に寄り道もない。
しかし、調べられる物は多い。それぞれに対して主人公がコメントするんだけど、このコメントをどれだけ聞いたかによって物語をどのくらい味わえるかが変わる。
正直、知りたくなかった嫌な思い出が語られることも多い。
特に父親に関しては、どんどん嫌な妄想が膨らんでくる。
グラフィック
4.0
シンプルだけど、美しい。章ごとに変わる色遣いがオシャレ。
グラフィックだけ見たら、「癒しじゃん、可愛い、良い雰囲気」て思うだろう。しかし、内容はかけ離れているのでご注意。
サウンド
3.5
上述のグラフィックの雰囲気の良さをぶち壊してくるのが物語とBGM。
不穏。不気味。全く癒しではない。サウンドは、ホラーだ。
総合評価Summary
3.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
回転して物や道が見つかる面白さ
余韻の残る物語
残念なところ
後味が良くない
オススメな人
謎解きが好き
短時間でクリア出来るゲームを探している
物語を考察するのが好き
オススメではない人
陰鬱とした雰囲気が苦手
複雑な謎解きをプレイしたい
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こちらも暗めな雰囲気で深い物語(悲劇ではない)が楽しめるパズルアドベンチャーゲーム。
こちらも画面をくるくる回して攻略するパズルアドベンチャーゲーム。立方体の各面に写されている風景を繋がっているように回転させて攻略する独特なシステムが楽しめる。
Almost Gone オールモストゴーン
最悪な妄想が膨らみ続ける
画面を回転させて隠れている物を見つけて謎解きしていくのが面白いポイント&クリック型のパズルアドベンチャーゲーム。
陰鬱だけど、考察しがいのある物語が体験できる。
Almost Gone オールモストゴーン
2020 © Happy Volcano all rights reserved. Licensed to & published by HYBRID SQUAD CO., LTD.
https://www.thealmostgone.com