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『The Last Case of Benedict Fox』とは、Plot Twistが開発したメトロイドヴァニアゲーム。
本作は、Xbox、PCでプレイ可能。私はXbox版をプレイ。
本作は今のところ日本語版がないため、以下は英語版をプレイしたゲーム画像になっている。
セリフは自動で流れていくけれど、メニュー画面からセリフの履歴を確認出来る。またセリフ量は多くないため、高度な英語力は必要ない。
ただ、以下読んでもらうと分かると思うけれど、日常会話では絶対使わない単語が多いので翻訳手段は用意しておいた方がいいと思う。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
画像はタップもしくはクリックすると拡大して見ることが出来ます。
あらすじStory
私立探偵ベネディクト・フォックス
時代は第一次世界大戦後。
錬金術師や魔女など超常的な力を持つ者たちが集まるthe First Circleと呼ばれる秘密結社は、異端審問官に取り締まられるようになり、存続や活動内容は分からなくなってしまった。
そんなthe First Circleを探っているのが主人公のベネディクト。
仕事や興味本位というわけではなく、個人的な理由があるようだ。

怪しすぎる洋館
the First Circleを取り締まる当局に潜り込み、何らかの書類を読んだベネディクトは、情報を基にとある洋館へ向かう。
その洋館で目したのは、ベネディクトの父親の遺体。
しかし、ほぼ驚きも嘆きもしないベネディクトは、父親の遺体に手をかざす。
そうすると、「こいつの記憶の中に案内してやるぜ、ウハハハハ」という声がして、ベネディクトは禍々しい光に包まれる。
実は、この声の主は冒頭からずっとブツブツ喋っていた。でも、物語のナレーターというわけではない。
ベネディクトは悪魔が憑いている特異体質で、ずっとその悪魔が話しているのだ。結構お喋り好きな悪魔のようだ。

記憶の中に眠る真実
悪魔の力によって、ベネディクトは父親の記憶から形作られたLimboと呼ばれる異次元へ入っていく。
Limboで父親の記憶の断片を目撃したり、父親のメモ書きを追っていくうちに、ベネディクトは父親の秘密を知ることになる。
更に、お屋敷では、父親が後妻と生活していた痕跡が残っており、更に子供がいた手がかりも見つける。
しかし、2人に子供がいたというのは初耳だし、その子の行方も分からない。
ベネディクトは悪魔の力を借りながら、父と義母、そして謎の子供が辿った軌跡を追っていく。

ゲームの特徴Features
謎解きで進む

本作は、メトロイドヴァニアゲーム。
新たな移動スキルを習得すると探索できる場所が広がるというのがメトロイドヴァニアゲームの特徴だけど、本作では謎解きがゲーム進行に必須。
パズルアドベンチャーゲームのように、手に入れたアイテムや情報を使ってパズルを解いたり鍵を開けて道を切り開いていく。
キーアイテムは回転させたり詳しく見ることも出来て、それによって謎解きのヒントが得られる場合も多い。
また、本作ではLimboが探索の舞台で、洋館は拠点となり主人公の強化や買い物ができる。
マップ画面を開くと、いつでも開放済みのセーブポイントにファストトラベルも出来る。
悪魔の力

敵とのバトルでは、ナイフでの近接攻撃と悪魔の力を使ったパリィや回避などを駆使して戦う。
また、近接攻撃を当てていると銃弾ゲージが溜まっていき、溜まりきると銃を撃つことができる。
パリィ以外にも、触手で敵を掴んだり投げたりする悪魔の力を使ったスキルも使用できて、これには悪魔パワーゲージを消費する。こちらは時間回復する。
武器は、通貨と特定のアイテムを使って強化することもできる。
インクと思い出の品

本作では敵を倒すとインクを手に入れる。本作でのインクは墨のことだ。
同じ敵からは一度しかインクを獲得できない。
敵は同じ場所に再登場するけれど、一度倒したことがある敵を倒してもインクは貰えない。
インクは、拠点にいる怪しい女性にタトゥーを腕に彫ってもらうために使う。
タトゥーはスキルツリーのようなもので、悪魔のスキルが増えていく。
また、各地には思い出の品 Bits and Piecesが落ちていて、それらを調べると本作の通貨を手に入れることが出来る。
ゲームオーバーになった場合は通貨は失わないけれど、インクは全て失ってしまう。
しかし、前回倒された敵を討伐したら回収可能。回収前に再びゲームオーバーになると、また各敵にインクが戻ってしまう。
ただし、セーブポイントでは手に入れたインクを保存することが可能で、保存した分はゲームオーバーになっても失わずに溜めておくことができる。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ

4.0
かなり不気味で奇妙で怪しい。
怪しい儀式や人体錬成とかオカルトな話が盛りだくさん。
冒頭から気になることばかりだけど、誰も説明してくれない。
でも、父や義母の記憶の断片を見ていくうちに、「なるほど、そういうことか」と少しずつ点と点が線で繋がっていく。
超常現象ばかりなので理解しやすい話ではないけれど、煙に巻いて突き放されるわけではないし、プレイしているうちに奇妙が普通になってくる。
情報の小出し具合もちょうど良くて、どんどん真相を暴きたくなる。
「訳分かんないのに、気になる!」という、まさにオカルトミステリーそのもの。
キャラクターの魅力

4.0
主人公ベネディクトは、悪魔が憑いていても当然のような顔していて、悪魔のお喋りを無視しがちなくらい怖がってもいない。
ベネディクトは、父親の遺体を見ても「ふむ」、Limboで不気味な目に遭っても「ふむ」な調子だ。
奇妙なイベントばかりなのに、主人公が全然驚かない!
オカルトミステリーと上述もしたけれど、主人公はシャーロック・ホームズのように淡々と調査する。
本作からは良い落ち着きのあるオシャレな印象を受けるんだけど、それはベネディクトの落ち着いた探偵っぷりによるところも大きい。
NPCは全員黒幕でもおかしくないくらい怪しいし、これまた淡々とお洒落に喋る。
で、本作で1番感情豊かなのは誰かというと、実はベネディクトに憑いている悪魔だ。言ってることは邪悪だけど、悪魔がにぎやかし担当。
操作性

4.0
操作性は、はっきり言って悪い。
動きはもっさりしていて、疑惑の当たり判定も多く、ボタン入力が効かないのかサッと反応してくれないこともある。
また、謎解きでアイテムを配置する際には、なぜかいちいちボタン長押し操作ばかりで、アイテムを置き換えるのが面倒くさい。
極めつけに、バグが発生してゲームがクラッシュし、再起動したらオートセーブがしばらく効いていなかったことが分かり、かなり前まで巻き戻ったという事件まで起こった。
これもオカルト現象か!ではなく不具合なので、アプデでしっかり修正されることを期待したい。
難易度バランス

4.0
本作は、謎解きがメイン。
誘導はほぼなく、ヒントも少なく、自力で進めそうな道と解けそうなパズルに挑戦していく。
メトロイドヴァニアの魅力である迷子になる感覚がしっかり味わえて、探索が楽しい。
「ジャンプで届きそうで届かない」というのがメトロイドヴァニアあるあるだけど、本作では「何か手がかりが足りない」という珍しい道の阻まれ方に遭う。これが面白い。
いくらアイテムを持っていてもパズルが解けなければ進めないわけだけど、メモ書きをしっかり集めれば分かる程度の難しさだ。
完全に情報を集めきれていなくても推測してパズルが解ければ進めてしまうのも面白いところ。
バトルはメインではないものの、上述した操作性の悪さで変な難しさを発揮しているのが残念。特に複数の敵が現れた時は危険。
でも、バトルそのものはハイペースではないし、敵は攻撃すればしっかり怯んでくれる。
ゲームシステム

4.0
謎解きで進むという新鮮なメトロイドヴァニア。
謎解きは、まさにパズルアドベンチャー。アイテムを見つけて使える場所や使い方を考え、ヒントを探してパズルを解く。
パズルアドベンチャーでは単純に行ったり来たりすることが多いけれど、本作ではその部分がメトロイドヴァニアになっているという発想が面白い。
謎解きたっぷりで隠し部屋もたっぷり。
謎解きの面白さと探索する楽しさが相乗効果で高まっている。
ゲームが進むごとに拠点の洋館の部屋が少しずつ開けられる変化も楽しい。
操作性が良くなれば、もっと良いゲームになるはず!
やりこみ要素

4.0
より多くの思い出の品とインクを獲得するのがやり込み要素。
各敵を倒した初回だけインクが貰えるので、楽な敵だけ相手にするわけにはいかない。
思い出の品はかなりの数があって、本気であちこちに散らばっている。
特に武器強化の素材となる思い出の品は面倒な場所にあるので、回収はなかなか大変だ。
しかし、どの品にもオカルトなおもしろエピソード付きだし、主人公の強化につながるのでやる気が湧きやすい。
グラフィック

4.0
メトロイドヴァニアなので横スクロールではあるけれど、前景から背景までぎっしり何かがある。
豪華でクオリティの高いグラフィックだ。
非現実世界なので何でもあり。金属や歯車のだらけの部屋から一転して雪景色に変わったり、綺麗だけどよく見ると不気味な庭園のような場所もある。
奇妙で不思議で不気味、それでいてお洒落。雰囲気が最高だ。
影響を受けていると開発元が公言している通り、ティム・バートン映画が好きな人なら絶対気に入るはず。
サウンド

4.0
本作の時代設定は1925年。
洋館では、その時代のヴィンテージなジャズが流れている。
お洒落で居心地の良い素敵な洋館だ。遺体は転がってるし、怪しいNPCが占拠してるので、現実なら絶対逃げ出した方がいい屋敷だけど。
一方で、LimboではBGMはほぼなく、不気味な環境音ばかり。
たまに大きな音が鳴ることがあるので、びっくり演出が苦手な人はご注意を。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
謎解きで進むという独特なメトロイドヴァニア
不気味でオシャレな雰囲気
惹き込まれるオカルトミステリー
残念なところ
操作性が悪い
バグが発生する
今のところ日本語版がない
オススメな人
謎解きが好き
オカルトな物語が好き
一風変わったメトロイドヴァニアをプレイしたい
オススメではない人
バトルを楽しみたい
道案内や謎解きのヒントが欲しい
操作性が良くないと我慢できない
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禍々しくも魅力的な世界が舞台のメトロイドヴァニアなら、こちらもおすすめ。頭がブラックホールという独特なバトルシステムも魅力で、重厚感のあるアクションが特徴の高評価作。

こちらも悪夢のような世界が舞台のメトロイドヴァニア。有名なおとぎ話が残酷になって登場する。主人公はハサミで戦うクマのぬいぐるみという世界設定がユニーク。

The Last Case of Benedict Fox
悪魔と一緒に謎解きメトロイドヴァニア
謎解きで探索できる場所が広がっていくというのが新鮮なメトロイドヴァニアゲーム。
操作性の悪さが残念だけど、禍々しくもオシャレな雰囲気やグラフィックに惹き込まれる。
先が気になって仕方なくなる謎と秘密たっぷりのオカルトミステリーな物語が魅力。
The Last Case of Benedict Fox
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