『Unpacking』レビュー: 荷ほどきで人生ほどき – アンパッキング
『Unpacking』とは、Witch Beamが開発したカジュアルなパズルゲーム。
パズルとはいっても考え悩むようなパズルではなく、カジュアル寄りだ。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、 PC、iOS、Androidでプレイ可能。私はXbox版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
少女の荷解きから
主人公の詳細ははっきりとは言及されないけれど、どうやら女性だ(主人公の姿は描写されない)。
ゲームが始まると、どこかの子供部屋と段ボールがいくつかが画面に映し出される。
ここからひたすら荷解きする人生が始まる。
彼女の人生
主人公は、何回か引っ越しをする。引越しの度にプレイヤーは彼女の荷物を解いていく。
今度はどんな荷物を持って引っ越ししたのか、次の家はどんな感じか、そして、誰と住むのか。
彼女の人生はどうなっていくのか。
荷解きをしながら、彼女の人生を見守っていく。
ゲームの特徴Features
荷解きするのみ
プレイヤーがやるべきことは、段ボールから荷物を取り出し、部屋に収納していくのみ。
Xbox版では、コントローラーの左スティックで画面上のカーソル移動して、Aボタンで物を掴む。掴んだ物を収納したい場所まで持って行き、Aボタンを押せば収納される。
掴んでる最中にBボタンを押せば向きを変えることもできる。
こうして荷解きと収納を続けて、段ボールに入っている荷物を全て収納し終わると、次のチャプターに進むことが出来る。
ちゃんと収納して下さい
ゲームが進んでいくと、複数の部屋が登場するようになる。お風呂場もキッチンも片付けなければならない。
どの部屋から荷解きをしてもいいし、行ったり来たりしながら同時進行してもいい。
でも、全ての荷解きが終わったと思っても、赤く点滅する物がある。
これは、「置く場所間違ってますよ!」のサイン。
基本的にどこに収納するかはプレイヤーの自由だけど、ある程度現実的な収納をしなければならない。
例えば、服をベッドの上に置いただけでは収納完了にはならない。
クローゼットのハンガーにかけるか、引き出しにしまわなければならない。
赤く点滅するものがなくならないと、次のチャプターに進むことはできない。
アルバムづくり
プレイ中には、好きに写真を撮ることが出来る。
その写真にはステッカーを貼って飾り付けることができるけれど、そのステッカーは特定の収納をした時にアンロックされていく。やり込み要素だ。
特定の荷物は、特定の場所に飾ると特殊な飾られ方になることがある。
これによってステッカーがアンロックされる場合が多い。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
3.5
本作では、人物は全く姿が見えず、ナレーションも主人公のセリフもない。
ただ、チャプタークリア時に主人公が日記を綴る。とはいっても、かなり短文だけど。
しかし、荷物や部屋の様子から、彼女の人生がかなり分かる。
「こんな子なんだろうな」「この部屋に引っ越してくるまでにどんなことがあったんだろうか」と想像が膨らむ。
持ち物を見れば、人となりが分かる。まさにそれ。
シンプルなゲームだけど、プレイヤーの想像力をゴリゴリかき立ててくれる。自分で物語を妄想するゲームだ。
キャラクターの魅力
4.0
主人公のことは想像するしかないけど、すごく愛着が湧いてくる。
主人公は物持ちがいい子で、子供の時からずっと登場するぬいぐるみや人形もいる。
次のチャプターに進むたびに「あ!このぬいぐるみ、まだ持ってたんだ!」となんだか嬉しくなってしまう。
自分自身が彼女の親かなにかのような誰目線になってるのが分からないけれど、彼女が彼女らしさと子供の時の気持ちも忘れていない様子を見て心があたたかくなる。
「色んな物をポイポイ捨ててきたなあ」と自分自身のことをちょっぴり反省しつつ、次の引越し先で彼女が幸せな生活をおくれますようにと願ってやまなくなる。
操作性
4.0
操作はシンプル。
服を掴みながら引き出しに近づければ自動的に畳まれるし、ハンガーに近づければ自動的に掛かる。楽ちんだ。
視点はズームインもズームアウトも出来る。
コントローラーでも全く問題ないけど、カーソルを動かしての操作なので、マウス操作の方がプレイはしやすいと思う。
難易度バランス
3.5
攻略に詰まることは全くない。
ただ、段ボールから取り出す荷物の種類や順番は選べないし、段ボール自体で隠れている収納場所もある。
そして、段ボールの中に荷物があと何個入ってるかとか、何が入ってるかは一切分からない。ダンボールをクリックする度に出てくる荷物を片付けていくのみ。
途中で大きな荷物が登場すると、「ああ、せっかく整理整頓させたエリアを、また組み直さないと荷物が入りきらない!」という面倒くさい事態が発生する。
また、ダンボールの中には、そのダンボールが置かれていた部屋とは別の部屋に収納するものが紛れてたりもする。
が、それが嫌になるわけではなく、そういう作業や限られた空間に上手く収めるパズル要素が本作の面白さの1つだ。
ゲームシステム
4.0
片付けるというパズル。かなり個性的なゲームだ。難しくはないけれど、ちゃんとパズル性もある。
特に片付け好きの人やシンデレラフィット(限られた空間に物がぴったり収まる様子)が好きな人にとっては、最高なゲームだ。
また、「えー?ゲームの中でも片付けするのー?」という面倒くさがりな人でもきっと楽しいはず。
なぜか癒される。無心で収納している自分に気づく。
どこにどれを置くか。テトリスに近い感覚にもなる。
やりこみ要素
3.5
上述もしたステッカー収集がやり込み要素。
でも、1番のやり込みは、色んな収納方法を試してみること。
それぞれの荷物にはある程度の収納正解エリアがあるけれど、ピシィッと整頓するのもいいし、無造作に置いて生活感丸出しにするのも面白い。
ただ、ゲームボリュームが少ないので数時間で終わってしまう。完全に自由な荷ほどきができるとか別のゲームモードがあっても良かったな。
グラフィック
3.5
本作は全てピクセルアートなグラフィック。
現実にある物がドット絵で再現されている。
めちゃくちゃ緻密というわけではなく、どことなくレトロな雰囲気が漂うピクセルアートだ。
サウンド
3.5
基本的に癒されるゆったりしたBGMが流れている。
しかし、BGMが連続でループ再生されないので無音になることがよくある。寂しい。
一方で、本作は効果音がすごい。
コップを掴むと本当にコップを掴んだ音がする。物によってちゃんと変わる。
更に、どこに置いたかによっても置いた瞬間の効果音が変わる。布の上に物を置けばボスッとなるし、タイルの上におけばカツンッと音がする。
サントラはこちら
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
癒される雰囲気
片付けるという独特なゲーム性
想像するのが楽しい物語
残念なところ
ややボリューム不足
オススメな人
片付けが好き
ゆったりプレイしたい
短時間でクリアできるゲームを
探している
オススメではない人
ゲームの中であろうと
片付けをしたくない
ちまちました作業が嫌い
Monument Valley
騙し絵がテーマのパズルゲーム。ブロックを回転させてピタッと道がつながると気持ち良い。本作と同じくゆったりプレイ出来て、かなり癒し度が高い高評価作。
Hidden Folks
『ウォーリーを探せ』的なゲーム。ミニ人間たちがワイワイしているのを眺めながら特定のものを探し出す。そこにいる人たちの物語を想像せざるを得なくなる素敵な世界。
Unpacking アンパッキング
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