『クライシスコア FF7 リユニオン』レビュー: 切なすぎる前日譚は必修科目
『クライシスコア ファイナルファンタジー7 リユニオン』とは、スクウェア・エニックスが開発したアクションRPG。CCFF7と略されることも多い。
本作は、FFシリーズのなかで特に人気が高いFF7関連作の一つであり、FF7本編の前日譚にあたる。
本作はリメイク作であり、オリジナル版は2007年にPSP向けに発売されていた。そこからグラフィック向上や一部システムに改良を加えて現行機向けにリメイクされた。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はPS版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
若手ソルジャー
本作の主人公はザックス。
神羅カンパニーという巨大企業の精鋭部隊ソルジャーとして働いている。
神羅カンパニーは、人々の生活を支える魔晄というエネルギーを扱っており、軍事産業から宇宙産業も行う、ほぼ世界を牛耳っている会社だ。
しかし、敵も多い会社であり、特にウータイという国とはずっと戦争を続けている。
というわけで、ザックスたちソルジャーの出番だ。
とは言っても、ザックスは、まだまだ駆け出しのソルジャーで、先輩ソルジャーのアンジールに鍛えてもらっている身だ。
失踪したソルジャーたち
ザックスの夢は「英雄になる」こと。
漠然とした夢だけど、とにかくソルジャー1st.というソルジャーの最強ランクに出世することが目下の目標。
ところが、お仕事がない。
実は、ソルジャー1st.の1人ジェネシスが、他のソルジャーを大量に連れて失踪する事件が起こっており、ザックスのトレーニングも頓挫してしまっているのだ。
しかし、ソルジャーが業務停止したままでいい穏やかな情勢ではない。
ザックスは、いなくなったジェネシスの代わりにウータイとの戦いに駆り出されることに。
これは、出世の大チャンス!
不穏な神羅カンパニー
ウータイとの戦いの中でめざましい活躍ぶりを見せ、意気揚々としていたザックスだけど、ウータイ兵ではない敵に遭遇する。
その敵たちは全員同じ顔をしていた。失踪したはずのジェネシスそっくりな顔だ。
「ジェネシスコピーだ」そう教えてくれたのは、アンジールとはまた別の先輩ソルジャーであり英雄と名高いセフィロス。
あれ?そういえばアンジールは?
なんと頼れる優しい先輩アンジールまで失踪してしまった。
何か良くないことが起こっている。
ザックスはソルジャーとして、そして友として、アンジールを助け出そうと過酷な運命に巻き込まれていく。
ゲームの特徴Features
ミッション
本作は、ミッション攻略でゲームが進行していく。
拠点である神羅カンパニーで準備を行い、メインミッションに出発する。
また、NPCに話しかけるなど特定の条件で、サブミッションが発生することもある。
サブミッションは、セーブポイントから選択して出撃する。メインミッションの合間などに好きに攻略することが出来る。
ミッションでは探索しながら進み、ボスを倒すとクリアとなる。
近接攻撃とマテリア
本作はアクションRPGであり、ミッション中には各所でアクションバトルが発生する。
ザックスは近接攻撃と回避、ガードが出来る。
更に装備しているマテリア(FF7世界でのスキルにあたる魔晄が詰まった不思議な珠)を使って、魔法やアビリティ(回転斬りなど魔法ではないスキル)などを使用することも出来る。
魔法にはMP、アビリティにはAPを消費する。
マテリアは、ミッション報酬などで手に入れることが出来て、手持ちのマテリア同士から新たなマテリアを合成することも出来る。
スロットで強くなるソルジャー
本作の1番大切なシステムは、D.M.W. デジタルマインドウェーブ。
バトルが始まると画面左上でスロットが勝手にクルクル回り始め、自動で止まる。その出目によってザックスに様々な効果が現れる。
スロットはキャラが描かれた絵柄と数字で構成されている。
例えば、絵柄が3つ揃うと、ザックスのHP、MP、APが回復して上限値も増え、リミット技という必殺技が発動できるようになる。
また、敵を倒していると経験値が溜まっていき(ゲーム内で数値は確認できない)、777が揃いやすくる。で、777が揃うとザックスがレベルアップする(永続効果)。
その他、絵柄や数字が3つ揃わなくても、効果がある出目もある。マテリアが強化されたり、一定時間無敵になるなどバトル中に有利な効果も発生する。
ちなみに、スロットが回るにはSPが必要で、これは敵を倒すことで溜まっていく。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
私は、FF7オリジナル版で描かれていた内容含め、本作の物語はざっくり知っていたけれど、ゲームとしてプレイするのは初めてだ。
プレイしていると「あー、なるほどなるほど、そういうことでしたか」とFF7の物語を補完できる。
元は2007年のゲームということもあり、物語の描き方は現代とはやはりちょっと違う。
シーンがババッと変わったり暗転する場面も多く、「え、すっ飛ばしたな!」と思う謎の急展開もある。
でも、熱い友情に胸打たれる物語で、やはりなんといっても涙なくして見られないエンディングは必見だ。
キャラクターの魅力
4.5
本作をプレイすると、FF7の主人公クラウドが、なぜザックスにあれほど強い思い入れを持っていたかよく分かる。
ザックスは、かなり魅力的なヒーローだ。明るくて元気いっぱいで優しく正義感に溢れている、まさにヒーロー。
もしFF7をプレイしたことがない人でも、きっと好きになる。
そんな彼が迷いつつも自分なりに何とか事態を打開しようと頑張る姿には感情移入してしまう。
リメイク作含めFF7をプレイしたことがある人なら、FF7で敵だった神羅カンパニーの面々やセフィロスが味方という面白い体験が出来る。
彼らと談笑している場面では、なんだか不思議な感覚になる。特に、セフィロス。普通に会話してくれるじゃん!頼れる良い先輩じゃん!
操作性
4.5
操作はめちゃくちゃ分かりやすい。
マテリアは装備しているものが画面に表示されるし、ロックオンしていなくても近くの敵を自動で狙ってくれるし、親切。
バトルエリアは狭め(一定範囲から出ると「逃げる」扱いになる)なことが多いけれど、特に困ることもない。
剣一振りでも魔法一撃でも、近くの敵を複数巻き込んでくれて気持ち良くガシガシ戦える。
難易度バランス
4.0
難易度はノーマルかハードの2段階から選択可能。私はデフォルトのノーマルでプレイ。
上述した通り、攻撃ボタン1つでどんどん攻めていけるし、回避をちゃんと使えばメインミッションはサクサク攻略できる。
サブミッションは難易度が表示されるので、無謀な挑戦をしなければ、こちらもサクサク攻略できる。
本作はD.M.W.によるランダム要素があるので同じバトルでも内容は変わる。これが面白さ。
でも、基本的にハズレはないし、親切なランダムさ(ダメージを受けていると良い出目が出やすくなる等)なので、「ランダムのせいで大変なことになったじゃないか!」なんてことは一切ない。
サブミッションを攻略しながら進めているとどんどんザックスが強くなってメインミッションがぬるくなりがちなので、攻防交えたバトルを楽しむなら難易度ハードでプレイするのがおすすめ。
ゲームシステム
4.0
基本はミッションの繰り返しだけど、上述した通りかなり親切設計でバトルにそこまで苦労しないので、物語を楽しむのがメインのゲームだ。
FF7ファン向けの、というか、これからも続くFF7リメイクを追いかけるなら、もはやプレイしておかなければならないゲームだ。
かなり重要な物語が描かれていて、本作をプレイしたかどうかで、FF7が面白くなる度が数億倍変わる。
FF7リメイク第2弾『FF7 リバース』ではセフィロスやザックスが絡む物語が展開するので、「予習しておけよ!」という強いメッセージを(勝手に)感じる。
単純に「クライシスコアFF7のリメイク」ではなく、「FF7リメイクの重要なパーツの1つ」だ。
ゲームとしては、ランダムさのあるバトルシステムが独特で面白い。
でも、上述した通り、サクサク攻略できるバトルでよく似たミッションの繰り返しが続く。
FF7に全く興味がなく且つ現代ゲーム慣れしている人だと物足りないと思うし、本作の魅力をしっかり味わうことは出来ない。これを機にFF7本編までセットでプレイするのがおすすめ。
やりこみ要素
4.0
1番のやり込み要素は、サブミッションをどれだけこなすか。
貴重な装備品が登場したり、物語要素のあるサブミッションもあるので、やる気も湧きやすい。
そして、マテリア合成は地味にハマる。アイテムも合成に使うことが出来て、意外な組み合わせを試すのが楽しい。
また、本作では、ゲーム内でNPCから逐次メールが送られてくる。
テキスト情報ではあるんだけど、深刻な雰囲気の物語とは裏腹に気の抜けた内容も多くて、読んでいて面白い。
グラフィック
4.0
『FF7 リメイク』のグラフィックだ。
FF7リメイクで使われているのと同じ風景やキャラの見た目になっていて、マップ構造は単純だけど高精細で綺麗な風景が多い。
最初の街となるミッドガル以外の場所も登場し、今後発売予定の『FF7 リバース』と同じ風景が使われているのかも。ちょっと先取りでチラ見しできてるのかも。
ただ、カットシーンはオリジナルのものがリマスターされており、キャラはお肌サラツヤだ。FF7リメイクのグラフィックとはやや違う。
また、モブキャラとメインキャラの作り込みの差が結構目立つ。
でも、全体としては、かなりのクオリティでリメイクされている。
サウンド
4.0
バトルなどではかっこいい曲調のBGMが流れる。
でも、本作の物語は切ないので、哀しさを感じる旋律のBGMの方が耳に残る。
FF7の曲も多く、ファンにとっては耳も楽しめる。
サントラはこちら
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
FF7の世界をより深く楽しめる
『FF7リメイク』に近いグラフィック
サクサク攻略できる
ランダム要素のあるバトル
残念なところ
ゲームとしてはシンプルで古さも感じる
FF7とセットで魅力が大幅に変わる
オススメな人
FF7のファン
サクサク攻略できるゲームを探している
JRPGが好き
泣きたい
オススメではない人
FF7自体に興味がない、知らない
戦略性高いバトルを楽しみたい
探索を楽しみたい
おすすめ類似ゲーム本作に似たゲームはコチラ
本作とセットで楽しむべきな高評価RPG。ゲームシステムもグラフィックもオリジナル版から大きく変わり、アクションとコマンドバトルが融合したバトルシステムが魅力。
簡単操作で派手で気持ちいいバトルが楽しめるアクションRPGなら、こちらもおすすめ。操作方法が本作と近く、ディズニーキャラと共に大冒険できる人気シリーズ。メインストーリーは難解。
クライシスコア ファイナルファンタジー7 リユニオン
切なすぎる前日譚は必修科目
FF7を楽しむならプレイ必須と言える重要な前日譚が描かれるアクションRPG。
魅力的なキャラが多く、物語を楽しみながらサクサク攻略できる親切設計になっていてプレイしやすい。
『FF7リメイク』と同じグラフィックになっている豪華なリメイク作。
クライシスコア ファイナルファンタジーVII リユニオン Crisis Core Final Fantasy VII Reunion
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