『Eastward イーストワード』レビュー: 髭モジャのドット絵に感服
『Eastward イーストワード』とは、Pixpilが開発したアクションアドベンチャーゲーム。
俯瞰視点でプレイする2Dゲームであり、ピクセルアートで描かれるグラフィックが本作の大きな魅力だ。
ドット絵が好きな人には絶対おすすめしたいし、物語がしっかり楽しめるゲームが好きなも人におすすめしたい内容になっている。
本作は、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。
本稿では、『イーストワード』の特徴と、Nintendo Switch版を実際にプレイした感想と要素ごとの評価を交えてネタバレなしでレビューする。
また、本作を気に入った人におすすめしたい、本作に似ているゲームも合わせて紹介する。
あらすじStory
親子ではない2人
主人公は、髪ボサボサでヒゲ面のジョン。そして、白いフワフワな髪の毛がチャームポイントの少女、珊(サン)。
2人はポットクロック島で共に暮らしている。2人は仲良しだけど、実の親子ではない。訳ありだ。
この2人が出会った経緯は、ゲームを進めていくと徐々に明らかになってくる。
地上へ
ある日、珊は禁断の地に足を踏み入れてしまう。
禁断の地とは地上のことだ。実は、ポットクロック島は地下にあり、なぜか地上は危険な地とされている。
で、珊を追いかけてジョンも禁断の地に行ってしまい、ルールを破ったことがバレた2人は町長の逆鱗に触れてしまう。
そして、その禁断の地に追放されてしまうことに。
地上に行くのは禁止だけど、その掟を破ったら地上に追放されるという不思議なルールだ。
地上は良いところ?
追放されることになった2人は電車に乗せられて地上へ送られる。
地上には大空と緑あふれる大地が広がっている。とても美しい。
なぜ禁断の地と言われていたんだろう。
しかも、地上では人も暮らしている。ジョンと珊は、電車が停まった駅近くにある村に身を寄せて穏やかに暮らしていけそうだ。
なんだ、地上へ追放って、全然罰じゃないじゃん!
地上は怖いところ
ところが、村の人々とも仲良くなって安心していた2人はタタリを目撃することになる。
タタリとは黒いガスのような瘴気で、人間も動植物も命あるもの全てを崩壊させる恐ろしいものだ。
タタリがあるから、地上は禁断の地と呼ばれていたのだろうか?
更に、珊の様子もなんだかおかしい。超能力が使えるようになったり、珊そっくりの幻影まで現れる。
タタリとは何なのか。なぜ発生するのか。そして、珊は一体何者なのか。
疑問だらけのジョンとサンは、東へと旅しながら世界に隠された真実へと近づいていく。
ゲームの特徴Features
ジョンと珊
本作では、物語の進行とともに旅する地が変わっていき、様々な街やダンジョンが登場する。
物語は章立てになっており、章ごとにエリアが決まっていて、他エリアと自由に行き来することはできない。
プレイヤーはジョンと珊を切り替えて操作しながら、バトルと謎解きに挑んでいくことになる。
ジョンはフライパンで近接攻撃したり、爆弾や銃も扱えるし、主に物理ダメージ専門だ。
珊は、超能力を使って遠距離から敵の動きを止めたり、魔法使い系だ。
操作していない方のキャラは、操作キャラの後ろについて来るけれど、指定した場所で待っていてもらうこともできる。
この機能は、主に謎解きの際に利用することになる。
お料理
ジョンはフライパンで敵をボコボコに殴るけれど、本来の使い方もする。
各地にある調理台では、ショップや敵を倒した際などに手に入る食材を組み合わせて料理が出来る。
料理はリュックに入れておき、いつでも食べることができる。これによって体力回復やバフを付与することができる。
ちなみに料理時には、何故かスロットが始まる。運任せ料理だ。絵柄が揃えば、出来上がった料理から得られる効果が上がる。
ゲーム内ゲーム
各所にあるゲーム機を調べると、「大地の子」という昔のドラクエっぽいRPGをプレイすることが出来る。
珊が夢中になっているゲーム内でプレイするゲームだ。
この「大地の子」は本作の世界で大人気らしく、ガシャポンもある。
宝箱などから手に入るトークンを使ってガシャポンを回すと「大地の子」のフィギュアが手に入る。
獲得したフィギュアは、「大地の子」内で使用可能なアイテムとなる。amiiboみたいだ。
各要素の評価と感想Rating
物語の魅力
物語の面白さ
4.5
物語はグイグイ進む。
次から次へと魅力的なキャラが登場して、1つ事件が勃発したと思ったら、またすぐに別の問題が勃発する。
先が気になってどんどんプレイしたくなるし、それに応えてくれる魅力たっぷりの展開が待ち構えている。
セリフが良く、日本語翻訳もいい感じ。
でも、セリフは長すぎず過不足ない。変に寄り道が多くもなく、テンポ良く進む。
そして、本作の物語の要となるジョンと珊の絆に心がキューンとなる。
無口だけど、ただひたすら大事な珊を守りたい不器用なジョン。ジョンのことが大好きで天真爛漫な珊。
2人の絆を感じる場面では、微笑ましく切なく、泣けてくるほどのあたたかさ。
キャラクターの魅力
5.0
ジョンと珊はもちろんだけど、NPCも個性爆発している。
見た目も個性的で、モブキャラ全員が異なっている。
他のキャラとは全く違う頭身になっているキャラとか、ピクセルアートでも潰れないぶっ飛びファッションセンスの奴とか。
キャラごとに性格も全く違っていて、すごく人間くさく、どいつもこいつも記憶に残る。悪役のゲスっぷりも気持ちいい。
ゲームプレイの快適さ
操作性
4.0
ピクセルアートのグラフィックなので、そこまで繊細で高精度なアクションというわけではない。
フライパン振り回したらバンバン敵に当たるし、敵にぶつかってダメージを受ける当たり判定も甘め。
でも、そんなに精度が求められるバトルではないので、特にプレイに支障が出ることはない。
操作は分かりやすくて、ジョンと珊の切り替えもササッとできるし、サクサク進められる。
ただ、たまにエラーでゲームが落ちることがあるのが困ったところ。
でも、本作では画面が切り替わるごとにオートセーブされる。エラー落ちしても、直前から復帰できるので安心。
難易度バランス
4.0
ボス戦も謎解きもあるけれど、料理をちゃんと準備しておけば、まず負けない。謎解きは数回試行錯誤すれば解ける。
全体的に難易度は高くない。良いテンポで攻略していくことができる。
ただ、2人をタイミングよく切り替えながら進まなければいけない場面では、結構素早く操作しなければならない。
でも、たとえ失敗しても、チェックポイントが小刻みに設定されているのでリトライはしやすい。
ゲームとしての面白さ
ゲームシステム
4.0
アクションバトルはサクサク、物語はどんどん進み、謎解きも楽しめる。
それぞれの要素がバランス良く組み込まれていて、常に面白い冒険ができる。
章によって雰囲気が全く変わるので新鮮さも続く。
でも、目新しいシステムがあるわけではないし、自由度が高いわけでも成長要素が豊富というわけでもない。
それでも、物語を楽しみ世界を堪能させる力が強いゲームで、細部まで丁寧に作り込まれている。
やりこみ要素
4.5
そんなに多いわけではないけれどサブクエストがあり、そこでもしっかり物語が展開する。
好きな食材を組み合わせて色んな料理レシピを発見したり、ゲーム内ゲームの「大地の子」をプレイするのが、分かりやすいやり込み要素だ。
ちなみに、本作の物語は考察欲をくすぐってくる展開へと向かっていく。そこで、この「大地の子」がかなり鍵を握っているので、あらすじはなぞっておいた方がいい(完全攻略は難しい)。
また、攻略とは関係ないけれど、端から端まで眺めながら旅するのが、本作一番のやり込み要素だ。
さらに、店内のインテリアやそこら辺に落ちているソックスまで、そこに住む人たちの生活ぶりが分かるほど描き込まれている。
NPCのセリフも多く、タイミングによって細かくセリフも変わる。いちいち街の人全員に話しかけたくなるプレイヤーにとってはかなり嬉しい。
また、田舎の町で農業ライフシムが楽しむというゲームジャンルが変わってしまう大型追加DLC「よみがえれ!カモメ町」が2024年1月31日に配信予定。
芸術性の高さ
グラフィック
5.0
ピクセルアート好きなら絶対たまらないグラフィックだ。
もう、どこからどう見ても、どこを眺めても、ため息が出るほど完成度が高いピクセルアート が堪能できる。
日本っぽい風景もあるし、田園風景、不気味な工場など、エリアごとに雰囲気が全く異なる。
本作は、タタリによって廃墟になってしまっている場所もあるけれど、ちゃんと人が生活していた痕が残っている。描き込みが細かすぎて、もう、最高。
更に、各キャラのアニメーションも細かく変わり、全てにこだわられた手作り感を感じる。
ピクセルアート好きとしては、眺めているだけでも満足してしまうほどの素晴らしさ。
サウンド
5.0
楽しい曲調のBGMが多いけれど、ジョンと珊の絆を感じる場面など泣けるメロディのBGMもある。
レトロさを感じるゲームではあるけれど、BGMはピコピコ音というわけではない。
それでも、懐かしさを感じる。レトロゲームのようにメロディがはっきりしている曲だからだと思う。
良い曲揃いなので、ゲーム音楽好きにおすすめ。
\\サントラも楽しむならこちら//
総合評価Summary
- 展開が面白く考察欲もくすぐられる惹き込まれる物語
- 魅力的で個性的なキャラが盛りだくさん登場する
- 完成度高く見惚れてしまうピクセルアートグラフィック
- エラー落ちすることがある
- 自由度は少なく、前のエリアに戻れない
おすすめな人
- ピクセルアートが好き
- 物語が楽しめるゲームが好き
- サクサク攻略できるゲームを求めている
おすすめではない人
- 自由度が高いゲームをプレイしたい
- 歯ごたえのあるバトルを求めている
本作と似ているゲームや関連作は更に下へ
こちらも美しいピクセルアートと壮大な冒険が楽しめる、物語主導型のアクションアドベンチャーゲーム。
雰囲気がかなり良く、心あたたまる物語や仲間を掴んで飛び回るバトルが楽しめる。
80年代映画の雰囲気が抜群な、少年少女が不思議で壮大な冒険に巻き込まれていくアクションアドベンチャーゲーム。
こちらも、ピクセルアートグラフィックの完成度が高く、キャラを切り替えて各自の特性を活かして攻略していく物語を楽しむゲーム。
Eastward イーストワード
Pixpil Games © 2021. Published by Chucklefish Games.
https://eastwardgame.com