『エンダーマグノリア ブルームインザミスト』早期アクセスレビュー: 多彩で多才な悲劇
多彩な仲間と共に戦い、儚く悲しく美しい物語に溺れる悲劇のメトロイドヴァニア『エンダーマグノリア: ブルームインザミスト Ender Magnolia: Bloom in the Mist』早期アクセス版をネタバレなしで、攻略のコツと各要素の評価を交えてレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
エンダーマグノリア製品情報
タイトル | エンダーマグノリア: ブルームインザミスト Ender Magnolia: Bloom in the Mist |
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開発元 | Adglobe, Live Wire |
対応機種 | PC(早期アクセス) PS5, PS4, Nintendo Switch, Xbox(今後発売予定) |
ジャンル | メトロイドヴァニア, 2D横スクロールアクション |
シリーズ | エンダー Ender |
本作は人気メトロイドヴァニアゲーム『エンダーリリーズ』の続編。物語は直接の続きではないので、本作からプレイしても楽しめる。
本稿は、前作はクリア済みでPC版早期アクセスのレビューを行っている。フルリリースまでに変更が生じる可能性があるので、ご注意を。
エンダーマグノリアの攻略
ストーリー
下層で目覚めたライラック
本作の舞台は煙の国。前作『エンダーリリーズ』の数十年後の物語が描かれる。
煙の国では、人工生命体であるホムンクルスの研究と実用化が行われていた。
ホムンクルスは魔力によって生み出されており、強い力を持つものの人間に忠実であるように調律されて使役されていた。
しかし、ある時を境に、ホムンクルス達は暴走して人間を襲うようになってしまった。原因は分からない。
そして、そんな煙の国の下層に横たわる棺のようなポッドから、本作の主人公であるライラックは登場する。
ノラと名のるホムンクルス
なぜ廃墟のような下層にいるのか、なぜポッドに入っていたのか。残念ながらライラックは記憶を失ってしまっている。
ライラックに微かに残る思い出は、ライラックをポッドに入れて何かから守ってくれたと思われる女性の姿。きっと大切な人だろう。
その女性を探そうと歩き出したライラックは、とあるホムンクルスを見つける。暴走はしていないようだけど瀕死の状態らしく、力を貸してくれと頼まれる。
実はライラックは、調律師だ。調律師とは、ホムンクルスを操る力を持つ能力者だ。
そんなライラックの調律によって元気になったホムンクルスはノラと名乗り、共に上層を目指そうと提案して来る。ノラには上層に行かねばならない理由があるそうだ。
煙の国上層を目指す
ホムンクルスが暴走してしまった煙の国では、人間達は上層に避難している。
下層は暴走ホムンクルスがいるし、地下から穢れた魔力が湧き上がってきているのだ。そのため、下層は廃墟と化しているのだ。
しかし、そんな危険な下層に残っている人間もおり、記憶のないライラックは住民たちから煙の国の事情を聞き出していく。
道中で他の調律師や暴走してしまったホムンクルスを調律して仲間にしつつ、ライラック一行は上層へと向かっていく。
攻略のポイント
下層から始まるメトロイドヴァニアゲーム
本作はメトロイドヴァニアゲームであり、ライラックを操作して煙の国を探索しながら進んでいく。
新たな移動スキルや鍵などを手に入れると探索できる範囲が広がっていく。
本作では敵を倒すと経験値を入手してライラックがレベルアップし、各ステータスが上がっていく。また、お守りを拾うとライラックの体力上限が上がる。
セーブポイントに触れると、体力回復薬が補充されるけれど、雑魚敵が全復活する。しかし、特にデスペナルティなく、ソウルライクといわけではない。
ホムンクルスの力を借りて戦う
プレイヤーが直接操作するのはライラックで、移動や回避、ジャンプなどが出来る。
攻撃するのは仲間にしたホムンクルス達だ。
4つのボタンに仲間ホムンクルスを1体ずつセットし、ボタンを押すとホムンクルスが現れて敵を攻撃する。ホムンクルスごとに攻撃の種類や挙動が異なる。
- メインスキル
- ボタンを押したタイミングで敵を攻撃する
- 連続してボタンを押すとコンボになる
- 使いやすく万能
- リピートスキル
- ボタンを押している間ずっと出現して攻撃し続けてくれる
- 1発の攻撃の威力は少なめで手数でダメージを与えていく
- リキャストスキル
- ボタンを押すと発動する
- 一定時間のクールタイムを経なければ再使用できない
- 1発の威力が強いスキルが多い
- オートスキル
- ボタンを一回押せば出現したままとなり、自動で近くの敵を攻撃してくれる
- 威力は少なめだけど、出現させたら自分で操作する必要がない
などなど、ホムンクルスによって、それぞれスキルのタイプが異なる。
敵にはダウンゲージがあり、攻撃すると少しずつ削れていき、ゲージがゼロになった敵は一定時間スタンする。
ホムンクルスが繰り出す攻撃は、種類によって攻撃力だけでなく、ダウンゲージへのダメージ量も異なるため、ホムンクルスの組み合わせと使い方次第で敵の攻略しやすさがかなり変わる。
ホムンクルスのスキルとライラックの装備で強くなる
各ホムンクルスの攻撃方法は1種類ではない。
特定のアイテムを使用すると、各ホムンクルスの新たなスキルをアンロックしたり、その強化が出来る。
ただし、複数のスキルを習得したとしても、ボタンに割り振れるスキルはホムンクルス1体につき1種類のみだ。1体のホムンクルスを複数のボタンにセットすることはできない。
また、ライラックは防具とレリックの装備ができる。
レリックは、属性ダメージを減らすなどといったパッシブスキルとなる。装備コストの上限値があるので、上限内なら好きなレリックを装備出来る。
各地にあるマテリアルショップでは、道中で拾えるマテリアルで防具を買ったり、レリックの装備コスト上限値をアップグレードすることが出来る。
Keep Gaming Onからのおすすめ
エンダーマグノリアの評価
早期アクセス版のレビューです。フルリリース時には内容や評価が変わる可能性があります。
物語の面白さ
主人公も仲間になるホムンクルスも、明確に素性が分からないところから始まる。
煙の国には怪しげな秘密がたくさんありそうで、煙の国で何が起こったのかだけでなく、上層は一体どうなっているのかもかなり気になる。
前作と同じく全体的に悲劇な雰囲気満点で、各ホムンクルスが抱えている過去はかなり切ない。
キャラクターの魅力
ライラックは、なかなか肝の据わった子だ。
ホムンクルス達に物怖じせず物申すし、ほんのりツッコミを入れていたりする。
また、本作ではセーブポイントでライラックとホムンクルスとの会話が発生する時があり、真剣に現状や今後の話をしていることもあれば、微笑ましい雑談が繰り広げられたりする。
前作では、仲間はそっと寄り添っている印象だったけれど、本作では意外と和気あいあいと旅できる。
操作の快適さ
ホムンクルスはそれぞれ挙動が異なるものの操作は分かりやすく、且つ、操作性も良い。サッサッサッとした挙動だ。
敵からの攻撃はちゃんとライラックに当たり判定があり、攻撃者と主人公が異なる本作ならではの立ち回りの面白さが味わえる。
また、マップ画面がメニュー画面を開かずともオーバーレイで表示できるのも便利。
逆にマップ表示をオフにも出来るので、全て覚えて探索するといった新たな遊び方が生まれそう。
同じホムンクルスでもスキルが変われば、武器の振りスピードや射程がしっかり変わるので、どの組み合わせでセットするのかを考える楽しさが倍増する。
難易度バランス
早期アクセスでは難易度選択はできない。製品版では選択可能になるそうだ。
早期アクセスの難易度がどのレベルに設定されているのかは分からないけれど、前作より確実に攻略しやすくなっている。
ホムンクルスのスキルがかなり優秀で、射程の違いや自動追従などタイプの異なるホムンクルスが最初からズラッと勢揃いするので、立ち回りの選択肢が多くて敵に対応しやすいからだ。
もちろん製品版では硬い敵が増えそうだけど、雑魚敵は遠距離攻撃で敵のダウンゲージを削り、近接攻撃を一気に叩き込むと危険度がかなり下がる。
ゲームシステムの面白さ
メトロイドヴァニアの一番の魅力である探索の楽しさは、早期アクセスでも味わうことが出来て、正式リリースへの期待がむくむく高まる。
エリアによって風景がガラッと変わるし、NPCも多いので話しかけて回るのも楽しい。
そして、上述もしたけれど、同じホムンクルスでも挙動の異なるスキルに変更できるのが面白いところ。
バトルの面白さが前作より増していて、戦いながら自分好みのホムンクルスの組み合わせを考えるのにハマる。
製品版では恐らくホムンクルスの数が増えると思うので、敵をぶん殴れ!重力級パワータイプホムンクルス軍団とか、手数で勝負!超速ホムンクルス軍団といった偏った編成も試してみたい。
やり込み要素の楽しさ
早期アクセスなので、やり込み要素が豊富にあるわけではないけれど、探索やクラフトショップでのお買い物が楽しめる。
また、上述したセーブポイントでの仲間ホムンクルスとの会話が可能な時の表示は、スッと表示されているだけなので、お見逃しなく。
本作はお喋りしてくれるNPCが多いので、製品版では様々なサブクエストにも期待したいところ。
グラフィックの芸術性
綺麗な線の日本のアニメっぽいアートスタイルなイラスト調グラフィックで描かれる。
儚く繊細という表現がピッタリだ。
禍々しい場所では、赤色や紫色がドスッと使われているので、「明らかに危険な場所だ」という雰囲気も高まる。
また、セーブポイントでは、仲間のホムンクルスがライラックを囲むように集まっているのが個人的にかなり好き。
セーブポイントでも探索中でも、操作せずにじっとしているとホムンクルスがちょっとした仕草を見せてくれる。こうした細かい作り込みが嬉しいところ。
本作ではホムンクルスが活き活きとしていて、前作の仲間に守られている印象ではなく、共に旅している気分が味わえる。
ちなみに、ライラックは衣装を変えることが出来る。
サウンドの魅力
圧倒的に悲劇なBGMのみ。
ボス戦であろうと綺麗な曲ばかりで、「うぉお!倒すぞー!」というより、「なんだな切ないけれど、倒しますね」な気持ちになる。
BGMだけ聴いたら、まさか穢れた国で戦っているとは思えない。感動物語のアドベンチャーゲームかと思うくらいテンポも抑揚も抑え気味のBGMが流れている。
本作と似ているゲームや関連作は更に下へ
エンダーマグノリアレビューのまとめ
おすすめな人
- 前作のファン
- 様々なスキルを駆使して戦いたい
- 物語がしっかり味わえるメトロイドヴァニアが好き
おすすめではない人
- 明るい雰囲気や勇ましい調子が好き
- 主人公で直接戦いたい
- 高難易度さを期待している
総合評価良いところ&残念なところ
- 挙動もしっかり変わるスキルが豊富で好みの戦い方が出来る
- 真相が気になる物語が楽しめる
- スキルやレリックなどカスタマイズ出来る要素が多い
- 前作より歯ごたえが甘め(難易度選択可能になると変わるかも)
エンダーマグノリアが好きならおすすめなゲーム
関連ゲーム
エンダーリリーズ
本作より前の時代が描かれる人気メトロイドヴァニアゲーム。
主人公はリリィという、ライラックとは別の少女だけど、仲間が戦うという基本スタイルは同じ。
リデンプションリーパーズ
本作や前作の悲劇成分多めな物語や雰囲気が好きなら、こちらもおすすめ。
本作開発元が手掛けているけれど、ゲーム性は異なり、少数精鋭で多くの敵を倒して行くストラテジーゲームとなっている。
エンダーマグノリア: ブルームインザミスト ENDER MAGNOLIA: Bloom in the Mist
© BINARY HAZE INTERACTIVE Inc.
https://endermagnolia.com/ja/
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