『にほんの田舎ぐらし』レビュー: 底知れぬ里山
『にほんのいなかぐらし』とは、GAME START LCCが開発したライフシムゲーム。
これまでにも魅力的なピクセルアートのカジュアルなスマホゲームを手がけているデベロッパーだ。
本作は、Apple Arcadeでプレイ可能。私はiPadでプレイ。
本作がどんなゲームか、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
画像はタップもしくはクリックすると拡大して見ることが出来ます。
あらすじStory
移住計画
電車に乗って、とある片田舎にやって来た主人公。
目の前には廃墟と言えなくもないボロボロの空き家。
しかし、主人公はやる気満々だ。なんと、これから、このあばら屋に住む気らしい。
田舎に移住とはよく聞くけれど、ちょっとレベルが違う。これでは野宿みたいなものだ。いきなりハードモード移住では?
のどかで過酷な田舎暮らし
そこに地主さんが現れる。
「田舎暮らしなんて無理だろう、荷物まとめてさっさと帰れ」と、初対面からいきなり嫌味を言われまくる。
しかし、主人公にはここに移住しなければならない訳があるらしい。
主人公は、ちゃんとプロ並みの大工スキルを習得してから移住して来ている。たぶん。
トンテンカンとあばら屋を一気に直してしまった。
それを見ていた地主さんは、ようやく主人公のことを認めてくれたようだ。
過疎化が進む村
なんだかんだ地主さんはいい人そうだし、さて、平和に田舎暮らしを満喫するか。
静かだな、他には誰もいないし…いやいやいや、いた!村人がいた!
自由を満喫するが余り、庭でドラム缶風呂に入ったりしてた主人公だけど、実はご近所さんがしっかりいた。
主人公の新居近くには村がある。が、過疎化が進んでいるらしい。
そんなところに現れたのか主人公である若者。
というわけで、村長や村の住人から村おこしの期待を寄せられることになる。
あれ、スローライフはどこいった?
それと、冒頭で訳ありな様子だったけど、そもそも主人公が移住して来た理由は何なんだろう?
ゲームの特徴Features
里山での日々
本作では、常にゲーム内時間が流れている。暦も過ぎていき、季節も移ろう。
で、主人公は朝から晩まで活動する。
他の住民は時間によって居場所が変わったり、お店の営業時間も決まっている。
時間配分を考えながら、自宅での生活と住民からの依頼をこなしていく。
画面左上に表示されているハートが主人公の体力で、木を切ったり何かを修理したりなど行動すると一定量の体力を消費する。
睡眠(日中には昼寝)か食事をとると回復できる。
また、清潔度というパラメータもあり、肉体労働をする主人公は汗まみれ泥だらけになっていく。
最終的には臭いを発するようになり、NPCに話しかけることが出来なくなる。清潔さは人間関係のマナーだ。
でも、大丈夫。お風呂に入れば綺麗になる。
田舎でのお仕事
主人公は様々なことができる。
自宅の庭では農業や動物を飼ったり、散策しながら木や石など素材を採集しアイテムを作るDIYも出来る。
また、昆虫採集や魚釣り、料理も出来る。
自作できない物は、村の商店などから購入する。
で、どうやってお金を稼ぐかというと、軽トラのおじさんに物を売りつけるのが最短の方法。
雑草からカブトムシまで特定のアイテムを売ることができる。
また、村人のお悩み解決の報酬としてお金を貰うこともある。
進化する田舎暮らし
主人公は、特定の行動を一定数行うと成長する。
例えば、木を一定数切ると体力上限が増える。
また、虫を一定数採ると虫取りが簡単になる。
昆虫採集や魚釣りなどでは、ミニゲームのようにタイミング良く画面をタップしなければならず、レベルアップするごとにミニゲームが楽に攻略できるようになる。
更に、村の各住人には主人公への信頼度があり、特定のクエスト攻略や贈り物をすることで信頼度が上がり報酬も貰える。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
スローライフなライフシムあるあるな物語。
引っ越して来た主人公が、自給自足しつつ、集落のために色々頑張って、住民たちから一目置かれるようになっていく。分かりやすく、物語要素は軽めだ。
ただ、こうしたゲームで日本の田舎が舞台というのは珍しい。
初詣や七夕など日本ならではの行事や、調理方法が炉端焼きだったり、登場する昆虫や植物も日本ならではのものばかり。
日本の田舎町を知らなくても、なぜか懐かしさを覚えるし、知っている人なら「懐かしいー!」とほっこりするはず。
でも、ちゃんと主人公の事情や村おこしなどメインストーリーもあるので、「ほのぼのなんてしてられないぜ!」という血気盛んな人でもゲームとして楽しめる。
キャラクターの魅力
3.5
村は過疎化が進んでいるので、NPCはそんなに多くない。
村おこしが進むと観光客など新たな人も登場するけれど、各NPCのエピソードはサラッとしている。
時間帯やゲームの進行に伴ってセリフがたくさん変わるわけでもない。
そんななか面白いのが、みんな主人公にハッキリと依頼をしない。
「あー、腰が痛いなあ」「あー、困ったなぁ」(チラッチラッ)みたいな調子で、解決すると「あらあら!あなたがやってくれてたのね」とニコニコしてくれる。
奥ゆかしいですね、皆さん。
操作性
4.0
全てタップ操作なので、操作は簡単。
タップした位置に主人公は自動で移動するし、主人公の近くにある物は一気に採集出来る。
主人公から一定の範囲内にある物全てに「!」マークが表示されるので、いちいち近づかなくても「!」マークをタップすれば採集したりアクションを行える。
半径1メートルくらい以内にある雑草全てを刈り取りながら歩ける。主人公は何らかの能力者かもしれない。
逆に物が密集していると特定の一つだけを取るということは難しいけれど、荷物容量の制限があるわけではないので特にプレイに支障はない。
また、ゲーム自体は、特に端末の充電を食いすぎることもなく安定してプレイ出来る。
難易度バランス
3.5
ライフシムといえば、素材や資源のやりくりが難しいところ。
しかし、本作では、一度採った素材は一定時間後に復活する。日をまたぐ必要はなく、ほんの少し時間が経てば同じ場所に復活する。
とんでもない再生力を持つ無尽蔵の里山だ。
魚や虫もホイホイ登場するので、高値で売れる獲物を狙えば、お金もどんどん貯まる。
複雑なクラフトもなく、カジュアルに楽しめるゲームだ。
でも、体力と清潔度が良い面倒くささとして機能しており、すんなりとは攻略出来ないようになっている。
ゲームシステム
4.0
上述した通り、カジュアルなライフシムなので、気軽に楽しめるのが本作最大の魅力。
農業などライフシムあるあるなことは一通り楽しめる。作物はすぐ育るし、クラフトの中間素材はほぼなく、それぞれのアクションが手軽に完了できる。
まったりしながら「ちょっと癒されたい」という時にぴったりだ。
でも、昆虫採集や魚釣りがミニゲームになっているので、意外と集中しなければならない。
また、時間や暦の進み方が適度に早いので、「あ、もう日が暮れたか、じゃあ朝になったらアレとコレをしよう」と思い、「あともう1日、いや、やっぱりあともう2日」と、ついつい長時間プレイしてしまう。
カジュアルだけど、良い加減に面倒くさくて、出来ることが多すぎず迷うこともない。
買い切りゲームだと気合い入りすぎてて大変、基本プレイ無料ゲームだと満足出来ない。その中間を埋めてくれるようなバランスで丁寧に作られたゲームだ。
やりこみ要素
3.0
やることリストはあるけれど、まったり暮らすのが1番のやり込み要素だ。
別にまったりしなければならないわけではなく、魚や虫を乱獲して儲けに走るのもいいし、農業に精を出しまくるのもいいし、効率性の鬼になり村おこしを早急にやり遂げるのも良い。
ただ、作れる物や採れる物の種類は少なめで、装飾も自由には出来ない。
カジュアルな分、自由度は少なめ。こだわりの自宅は出来ないし、びっくり料理なんてのも出来ない。
あれこれ考えずにまったり暮らせばいい。リラックスゲームだ。
グラフィック
4.0
全て可愛いピクセルアートグラフィックで描かれている。
のどかな風景や、昔の日本を感じる商店や駄菓子屋さんなどの外観もノスタルジックで良い感じ。
1ピクセルのサイズが大きめだけど、それぞれちゃんと描き分けられていて、本作ならではのスタイルも可愛さもある。
「ピクセルアートで表現するのが上手いな!」と感じる、間違いなくみんなが好きになるドット絵だ。
サウンド
3.0
雰囲気やゲームプレイに合ったのどかなBGMが流れている。
ただBGMの変わり映えがないのが残念。
BGMに耳を傾ける時が多くなるまったりゲームなので、時間帯や季節によってBGMに変化があると嬉しかった。
スマホでゲームする際はサウンド無しでプレイする人も多いので、そんなに需要は無いのかもしれないけれど。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
のどかな雰囲気
分かりやすく気軽にプレイできる
しっかりしたガイドがある
残念なところ
装飾は楽しめない
自由度は少ない
オススメな人
農業系ライフシムが好き
日本の田舎が好き、もしくは懐かしい
気軽に長くプレイできるゲームを探している
オススメではない人
自由度が高いライフシムを求めている
バトル要素が欲しい
ちまちました作業が嫌い
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にほんの田舎ぐらし
底知れぬ里山
日本の田舎ならではの風景や空気感を満喫しながら、まったりと生活が楽しめるライフシムゲーム。 複雑さや難しさはなく気軽にプレイできるのが魅力だけど、物語や適度な面倒くささもありゲームとしてもちゃんと楽しめる癒しのゲーム。
にほんの田舎ぐらし
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