『Laika Aged Through Blood』レビュー: メトロイドヴァニアで自損事故
『Laika Aged Through Blood』とは、Brainwash Gangが開発したメトロイドヴァニアゲーム。
2D横スクロールアクションで探索をメインにしたゲームということでメトロイドヴァニアゲームだけど、本作は開発元が「モーターヴァニア」と銘打っている。
その意味は以下参照してもらうと分かると思う。
本作は、PS5、PS4、Xbox、PCでプレイ可能。
『Laika Aged Through Blood』とはどんなゲームか、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
母コヨーテ
荒野に立つコヨーテ。本作の主人公ライカだ(本作の世界では動物が擬人化されている)。
彼女はバイクに跨り走り出した。
どこに行くかというと、ヤコブを追いかけるためだ。
実は、無線機を通して、ライカの娘であるパピーが物騒な話を伝えきたのだ。
ライカが住む集落の子プーチーが無惨な姿で発見されたそうだ。そして、その子の父親であるヤコブが犯人に復讐するため集落を出ていったようだ。
ライカは、ヤコブに追いつこうと全速力でバイクを飛ばす。
侵略者バード
犯人は分かっている。1人ではない。バードという集団だ。
バードは名前の通り鳥たちで構成されており、ライカたちが住む一帯を蹂躙し残虐行為を繰り返している集団だ。
そんな危ない奴らに、復讐心に駆られたヤコブ1人では太刀打ちできそうにないけれど。
残念ながら、この悪い予感は的中する。
ライカがヤコブを見つけた時には、既に彼は満身創痍で虫の息。必死に呼びかけるライカの目の前で、ヤコブは息子の元へ旅立ってしまった。
戦争という名の復讐
ヤコブの遺体をバイクに乗せ、ライカは集落へ戻った。
集落総出で執り行ったヤコブのお葬式を見守り、ライカは彼女自身の娘パピーを慰める。
悲しみくれる一同だけど、集落の村長は「もう隠れて暮らすのはやめだ!バード相手に戦争をするぞ!」と熱り立ち、作戦を考え始めたようだ。実働部隊は、集落の戦士であるライカだ。
ライカは、バードへの復讐を果たすため、再びバイクで走り出す。
ゲームの特徴Features
モーターヴァニアとは
本作は、メトロイドヴァニアゲームなので、物語の進行や新たなスキルの入手によって探索できる場所が広がっていく。
本作最大の特徴は移動方法がバイクということ。
主人公は常にバイクに乗っており、プレイヤーはアクセルとバイクの向きを操作する。
バイクの向きについては、単純に右向きか左向きかというだけでなく、左スティックがバイクの傾きと連動している。
例えば、右を向いている際に左スティックを左斜め下へ倒し続けると、前輪が浮いてウィリー状態を経て後ろ向きに倒れていく。左スティックと連動してバイクが回転するというわけだ。
また、スピードを上げて斜面を走り上がると頂点で宙に浮かぶので、これを利用して足場を渡っていく。好きなタイミングでジャンプができるわけではない。
乗りながら撃つ
上述した通り、バイクを上手く操りながら移動することになるけれど、もちろん敵もいる。
主人公は銃で遠距離攻撃ができる。
狙って発射だ。狙っている間はバレットタイムとなり、一定時間全てがスローモーションになる。
また、バイクの車体で敵の銃弾をガードすることが出来るし、パリィも可能。
本作には残弾数の概念はないけれど、リロードは必須。
斜面を走り上がって宙に浮いている間に、左スティックを倒して後回転すると銃弾がリロードされる。
また、敵の銃弾をパリィできる回数は決まっているけれど、リロードと同じ要領で逆に前回転するとパリィ可能回数がリチャージされる。
過酷な戦士の戦い
本作では、主人公も敵も一撃必殺(ボスには体力ゲージあり)。
バイク操作を誤って、主人公の頭部が地面や天井に激突してもゲームオーバーになってしまう。
敵を倒した際には、通貨であるビセラが手に入る。
ゲームオーバーになると、所持しているビセラのうち一部が入ったビセラ袋を落としてしまう。しかし、前回ゲームオーバーになった場所に戻れば回収可能。
ゲーム開始時にはビセラ袋は2袋持っており、2回分までなら袋を落としたままにできる。その状態で更にゲームオーバーになると、古いビセラ袋から消滅してしまい、その中身を失ってしまう。
道中で拾える素材を消費して、このビセラ袋の数を増やしたり、新武器を作成したり、武器の強化を行うこともできる。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
擬人化された動物たちの物語なので、ほのぼのと可愛い話かと思いきや、かなり殺伐とした過酷な物語だ。
バードの極悪非道ぶりには目を覆いたくなるけれど、彼らの事情もちゃんと描かれている。
そして、ライカと娘、そしてライカ自身の母との関係など主人公の物語も展開する。
現実世界にも通じる重ためのテーマが描かれており、寓話のような物語が楽しめるメトロイドヴァニアゲームだ。
「バード許すまじ!」となるので感情移入しやすいし、物語のテンポや演出も上手くて、先に進むのが楽しい。
そして、本作は全体的に西部劇のような雰囲気だ。主人公が乗るのは馬じゃなくてバイクだけど。
そのため皮肉や退廃的なセリフも多いけれど、そういった言い回しの日本語翻訳が妙でちょっと気になった。
また、いわゆる「胸糞」な描写もあるので、苦手な人は冒頭から身構えておいた方がいい。
キャラクターの魅力
4.0
ライカは静かに怒る孤高の戦士。
マフラー巻いてヘルメットを被り、バイクをブンブンかっ飛ばす。渋くてかっこいい。
やっぱりバイク乗るならマフラーたなびかせて走りたい。
その一方で、ライカはたまに無線で娘パピーと「今晩のご飯何にする?」と喋っていて、優しい母の顔も覗かせる。とても素敵な戦士だ。
NPCは皮肉屋さんが多くて、みんな現状に絶望気味だけど、集落外にはバードとも上手くやっている人も多い。
会話していると「嫌なこと言われるなあ」と思うことが多いけれど、ライカも負けじと相手の嫌なところを突くので、皮肉の応酬が楽しめる。
NPCそれぞれの事情はサブクエストを通して知ることが出来るので、各キャラに愛着も湧きやすい。
操作性
4.5
本作の操作は独特だ。上述したバイクの操作方法は文章で読んでも「どういうこと?」と思うはず。
実際、チュートリアルが表示されても「はい…?」となった。
プレイして感覚的に理解して慣れるしかない。体得するまで少し時間がかかる人もいると思う。
しかし、慣れてくると頭で考えるよりも先に自然と指が動くようになる。スピードや回転がよく効くし、プレイするほど「よく出来てるな」と感心してしまう。
慣れは必要だけど操作性や挙動は快適。当たり判定も精度が高い。
ただ、本作ではバイクの向きや傾きがかなり重要だけど、向きが視認しにくい時がある。
巨大なボスと戦う時など、視点が遠くなり、前景や煙のエフェクトなどでバイクの状況が分かりにくい。
ライカは絶対嫌がるだろうけど、派手に光るライトとかペイントが施されていると分かりやすいと思う。
難易度バランス
4.5
一撃必殺なので、本作の難しさは敵の強さでなく、どれだけ正確に素早く操作できるかだ。
ボスよりも複数の雑魚敵が密集している場所の方が苦戦する。
どの順番で敵を倒すか、どこでリロードするか、パリィも交えるかなど、試しながら切り抜け方を考える。死に覚えゲーともいえる。
バイクとシューティングの両方に同時に気を配るのが難しさであり、本作ならではの面白さ。序盤に探索した場所でさえヌルくなることはない。
敵もいない場所なのに自損事故を繰り返したり、慣れるまではもどかしさを感じる。
その分、上達を感じやすいので、どんどんハマっていく。
デスペナルティはビセラの袋の数だけ猶予があるし、スローモーションになるバレットタイムはしっかり長いし、正確に操作する腕を磨ける良い難易度バランスだ。ちなみに難易度選択は出来ない。
ゲームシステム
5.0
移動はバイクのみ。単に左右に走るだけではなく回転やスピード管理も操作する。
そこに一撃必殺のシューティングも組み込まれている。
バイクにも銃にも目を向ける緊張感と集中力が求められ、無駄なく敵を捌けた時の爽快感と達成感が心地良い。
個性的だけど完成度高く、爆走コヨーテに病みつきになる面白さだ。
徒歩移動が出来るわけではないので、マップ構造はそこまで入り組んでいないけれど、各エリアは繋がり合っているし、まだ行けない場所をチラ見せしてくる程度も良く、探索したい欲が序盤から刺激されまくる。
本作ならではの歯ごたえと面白さが詰まっている、個性が光る高品質メトロイドヴァニアだ。
やりこみ要素
4.5
まず、サブクエスト攻略。
集落や各地にいるNPCから色々と依頼される。報酬も貰えるし、それぞれに物語があるので、本作をより一層楽しむことが出来る。
また、素材を集めて料理すると様々なバフが発生する。武器やバックパックの強化ももちろんやり込み要素だ。
そして、主人公の強化とは別に娘パピーへのお土産を集めてくる収集要素もある。
お留守番しているパピーは荒んだ本作の世界での唯一の癒しなので、もはやパピーの親になった気持ちで、お土産になりそうな物を見つけたら大枚叩いて買ってしまう。
あと、バーではミニゲームのブラックジャックをプレイすることが出来る。
グラフィック
4.5
イラスト調のグラフィックで描かれている。
特に背景は繊細な線と色づかいで描かれていて、エリアごとに異なる風景を堪能できる。
キャラクターは様々な動物が擬人化されていて、本作の物語を知らなければ、そのままグッズにしてしまいたくなる可愛さ。
ボスを倒した時にはカッコイイ演出も入るし、グラフィックもクオリティが高いゲームだ。
サウンド
4.0
収集要素でもあるカセットテープで音楽を流しながらプレイできる。
どれも切なくなるメロディで、ボーカル付きの曲が多い。
静かに熱く燃える復讐心と過酷な現実に立ち向かう勇敢さ。そして西部劇のような雰囲気を高めてくれる曲調が多い。
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総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
個性的な移動方法
正確な判断と操作が求められる歯ごたえが味わえる
感情移入する物語
残念なところ
妙な日本語翻訳になっている場面がある
視認性が低い場面がある
オススメな人
個性的なゲーム体験を求めている
歯ごたえを味わいたい
メトロイドヴァニアゲームが好き
オススメではない人
残酷な表現や演出が苦手
扱いやすい操作方法でないと興味が失せる
複雑なマップを探索したい
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Dandara
個性的な移動方法のメトロイドヴァニアゲームなら、こちらもおすすめ。壁や天井に飛び移ることでしか移動できないのが特徴で、歯ごたえもしっかりある高評価作。
Katana ZERO
スローモーションと一撃必殺の2Dアクションなら、こちらもおすすめ。スローモーションを利用して刀で銃弾をも弾き返す頭も指も忙しい高評価作。
Laika Aged Through Blood
メトロイドヴァニアで自損事故
スピードだけでなく回転まで操作するバイクで移動しながらシューティングで戦うスタイルに病みつきになる個性的なメトロイドヴァニアゲーム。 一撃必殺の歯ごたえと過酷な物語も魅力で、本作でしか出来ない体験が詰まっており、各要素のクオリティが高い高評価作。
Laika Aged Through Blood
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