『Lysfanga: The Time Shift Warrior』レビュー: きっと自分がなんとかしてくれる
過去と現在と未来の自分が共闘してくれるストラテジー要素が楽しめるハクスラアクションゲーム『Lysfanga: The Time Shift Warrior』をネタバレなしで要素ごとに詳しい評価を交えてレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
Lysfanga製品情報Game Info
- タイトル
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Lysfanga: The Time Shift Warrior
- 開発元
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Sand Door Studio
- ジャンル
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見下ろし型アクションアドベンチャー, ハクスラ, ストラテジー
- 対応機種
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PC
Lysfanga: The Time Shift Warriorの内容Features
あらすじ
時が止まったマユラ
はるか昔、マユラとバララという2つの国が争っていた。でも、その戦いは無事に終結したので、本作はその物語ではない。
その戦いの終結後、第3の勢力が現れたのだ。
ラクセスと呼ばれる悪魔が現れ、世を乱し始めた。ラクセスはめっぽう強くバララは陥落し、せっかく平和になっていた世界は大混乱に陥ってしまう。
そこで、マユラの女王コメーラが身を捧げて時の神となり、各地の時を止めてラクセスを封じ込めた(もちろん住民たちは避難済み)。ラクセスを倒せないなら封印しようというのが女王の作戦だったようだ。
リスファンガのイマ
ラクセスが封印された後、マユラから避難した人々は新たな王国を作り、そこでは代々神に選ばれし戦士が生まれるようになった。
この戦士はリスファンガと呼ばれ、先代から次の世代の戦士へと力が受け継がれていく。
そして、お察しの通り、本作の主人公であるイマは世代交代してリスファンガとなった戦士だ。
「ラクセスは封印されたわけだし、勇者なんて必要ないのでは?」と思うけれど、もしもの時の神の保険みたいなものだろうか。
そして、案の定、保険があって良かった事態となる。なぜかは分からないけれど、マユラにかけられた時の封印が解け始めてしまったのだ。
有事の際はリスファンガ!というわけで、イマは早速、古代都市マユラへと向かう。
ケホルとの再会
マユラの街を調査し始めたイマは、元気いっぱいの雑魚敵ラクセスを発見する。本当に時の封印が解けてしまっているようだ。
こうしてはいられない、遂に神の保険が発動する時だ。
イマは、時の神から新たな力を授かりつつ、ラクセス退治に乗り出すことに。
しかし、そこで意外な人物と再会することになる。それは行方不明になっていたイマの双子の弟ケホルだ。本来は双子であるケホルも、イマと共にリスファンガになるはずだった。
ところが、再会したケホルは、ろくに話もせず、なぜか悪魔であるラクセスを従えて去っていく。
生き別れの弟は闇堕ちしてしまったのだろうか。イマは、リスファンガとしての使命と共に、ケホルを取り戻すため先の見えない古代都市の奥へと進んでいく。
ゲームプレイの特徴
闘技場を攻略して進む
本作では、ひたすらダンジョンを進み、特定の地点で発生する強制バトルを攻略してゲームを進行していく。
バトルが始まると、闘技場(アリーナ)としてバトルフィールドが区切られ、全敵を倒すと先に進むことができる。
各地にはファストトラベルできる地点があり、いつでも拠点に戻って主人公をアップグレードすることが出来る。
ダンジョン内にはちょっとした寄り道もあり、アイテムや宝箱などを回収することが出来る。
レムナントと共闘する
本作の大きな特徴は、ストラテジーとアクションが融合したバトルシステムだ。
バトルが始まるとカウントダウンが始まり、ゼロになる前に全敵を倒さなければならない。
しかし、敵の数は多い。そこで登場するのがレムナントと呼ばれる、プレイヤーの過去プレイをそっくりそのまま再現する分身だ。
同じバトルは、所持しているレムナントの数だけ繰り返しプレイできる。繰り返した分だけ、各回での行動を再現するレムナントが現れて、それぞれの回の再現プレイを自動で行う。
例えば、敵が右/左/正面にいて、レムナントを3体持っている場合
- 1回目プレイで右の敵を倒したら制限時間になってしまった
- 2回目プレイが始まったら、今度は左の敵を倒しにいく
- 右の敵は1回目プレイを再現するレムナントが倒してくれる
- 3回目プレイでは、正面の敵を倒しにいく
- 右の敵は1回目、左の敵は2回目のレムナントが倒してくれる
といった感じで、過去の自分と共闘して全敵を倒せるように段取り良くプレイを積み重ねていくのだ。
所持しているレムナント数で全敵を倒しきれなかった場合はゲームオーバーとなり、そのバトルの1回目からやり直しとなる。
リスファンガの強化
主人公イメは、バトルに勝っても経験値を得たりはせず、レベルアップして強くなるわけではない。
攻撃を当てる度に溜まっていくルーンゲージを使用する必殺技や、クールタイムを経て再使用可能な魔法は好きなものを装備できる。
また、探索中に拾える魔法の痕跡を集めて、鍛冶屋さんに装備品を強化してもらうことも出来る。
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Lysfangaの評価Review
物語の面白さ
物語は、かなり分かりやすい。悪い奴がいるダンジョンを進んでボスを倒す。
カットシーンは紙芝居で、イベント時の会話もかなりあっさりしている。
イメとケホルの姉弟問題とか、悪役の思惑とか世界の真実が明らかになるなど、物語としてはまとまっている。
しかし、セリフは状況説明なことが多いので、いまいち感情移入はしにくく、描写が単調なので盛り上がらない。
正直なところ、物語はバトルするためのちょっとした理由づけのような感じで、あまり惹き込まれない。
イメのサポートをしてくれるグレノスというゴーレムが記してくれる図鑑を読むと世界設定が補完出来るけれど、完全にテキスト情報でしかない。
キャラクターの魅力
物語要素が軽めなので、キャラクター描写もあっさりめ。
イメは、理解力と冷静さも勇者レベルなので、さっくりと現状を受け入れて、ズンズン進む。
イメが物分かりが良すぎるせいで物語が薄めになっている気がするけれど、本作はバトルが魅力なので、そのおかげで早く次のバトルをしたい欲が邪魔されない。
悪役や拠点でサポートをしてくれるゴーレム達も分かりやすくキャラ付けされている。
操作の快適さ
本作はハクスラであり、その楽しさがしっかり味わえる素早く滑らかな挙動だ。
操作していて、かなり気持ち良い!サクサクでシュピシュピでピュンピュンだ。
本作では同じ闘技場(バトルフィールド)で何人ものレムナントが同時に動くことになるけれど、「この敵ってさっき倒したっけ?」「あと何匹倒せてないんだっけ?」「残りのレムナント数はいくつ?」という、忘れがちだけど絶対必要になる情報が画面をパッと見て分かりやすく表示されていて助かる。
本作は見下ろし型の視点で、カメラ位置は結構遠めだ。
闘技場全体を見回しながらプレイできるので、本作のバトルシステムに合っていて見やすい。
が、それと同時に迫力は少なくなってしまっているので、プレイ中は臨場感を感じやすいアクションゲームというよりもストラテジーゲームをやってる感覚の方が強い。
難易度バランス
本作は、段取り良く作戦を立てる賢さと、その通りに動けるアクションの上手さどちらもが求められる。
難易度選択はなく、ゲーム進行と共にバトルは徐々に複雑になっていく。
中盤くらいまでは「ま、ゴリ押せるでしょ」とあまり考えずにバトルを始めても攻略できてしまう。
しかし、中盤以降はちゃんと賢さが必要になる。
同時に倒さなければいけない双子の敵、防御が異様に高い敵、開閉するゲート、敵もイメも吹っ飛ぶギミックなどなど厄介なものが登場し、敵の数も増えていく。
考えなしにバトルを始めたら、全く協調性のない自分軍団が出来上がってしまう。
当たり前だけど、所持しているレムナントの数が多いほど攻略しやすいので、難しく感じるなら、探索してレムナントの欠片を集めて数を増やすのがおすすめ。
ゲームシステムの面白さ
本作の魅力は、なんといっても過去の自分と共闘するバトルシステム。
作戦をちゃんと立てておかないと無駄な動きが増えて敵を倒しきれない。ギミックや特定の方法じゃないと倒せない敵もいて、バトル前に段取りを考えるストラテジー要素がしっかり味わえる。
そして、制限時間があるため、アクションも正確に素早く行わなければ、いくら作戦が上手くても攻略できない。逆に途中でミスしても、後の自分が好プレイをして立て直せることもある。
こうした「うまく噛み合ってるな」と感じるバトルシステムの真髄は中盤以降により強く感じるようになる。
逆に中盤まではしっかりチュートリアルだ。そのため、序盤はもたつき気味だけど、よくあるバトルシステムというわけではないので後々の応用編が始まる前にしっかり基礎を学ばせてくれる親切なゲームだ。
やりこみ要素の楽しさ
各闘技場(バトル)は、リプレイが可能。
各バトルをより早いタイムでクリアするという過去の自分に挑戦するぞ!なリプレイが1番のやり込み要素。
ただ、初見プレイ時に最適解を探るバトルなので、正直なところそんなにリプレイしたい気は湧かなかった。
また、かなりシンプルなマップだけど探索要素もあり、主人公イメをアップグレードできる魔法の痕跡やレムナントの欠片を集めるとゲーム攻略に役に立つ。
さらに、特定の地点を調べると、図鑑にその説明が書かれていく。本作の世界について、より詳しく知ることができるので、「ここ調べられるよ」アイコンが出たらとりあえず確認したほうがいい。
グラフィックの芸術性
舞台はエキゾチックな雰囲気の街や遺跡だ。
探索出来ない場所にまでしっかり装飾があり、美しい背景を眺めながら進むことができる。エフェクトも綺麗で、バトル中は画面がにぎやかだ。
たまに視点が近くなるとあまり高精細ではないけれど、ほぼ遠めから見ることばかりなので特に気にならない。
バトルでは、敵の種類によって倒し方を変えなければならないけれど、その敵の特徴が前面出たデザインになっているので、バトル前に作戦を考える時もバトル中も敵を判別しやすいのが良い。
サウンドの魅力
見た目の雰囲気と同じくエキゾチックな雰囲気のBGMが流れる。やや控えめ。
シュッとかイメの素早さを感じる効果音が小気味良く聞こえてくるので、操作していてより気持ちよく感じる。
また、会話は全てフルボイス(英語音声)になっている。
本作と似ているゲームや関連作は更に下へ
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Raji: An Ancient Epic
こちらも見下ろし視点でエキゾチックな雰囲気満点なアクションアドベンチャーゲーム。
複数の武器種や地形によってアクションを切り替えなが戦うバトルが魅力。
ちなみにこちらでも姉が主人公で、弟を探している。
Katana ZERO
こちらも全敵を倒す立ち回りを考える面白さが味わえる高評価2D横スクロールアクションゲーム。
主人公も敵も一撃死するので、アクションの上手さはもちろん、環境も使って敵を捌いていく段取りの良さが求められる。
Diablo IV ディアブロ4
時間制限などなく、とにかく見下ろし型で敵をドカドカ倒すハクスラを満喫したいなら、こちらがおすすめ。
大量の武器を吟味しながら、キャラビルドも楽しめる人気ハクスラアクションRPG。
エンドコンテンツが充実しているので、お腹いっぱいハクスラが楽しめる。
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LysfangaレビューのまとめSummary
おすすめな人
- 作戦を立てるのが好き
- 試行錯誤が好き
- 素早く動けるハクスラが好き
おすすめではない人
- 時間制限があるゲームが苦手
- ドラマティックな物語を楽しみたい
- 成長要素を楽しみたい
総合評価
- ストラテジーとハクスラが融合し、どちらも活きているバトルシステム
- 素早く滑らかで気持ち良い挙動
- UIのデザインやチュートリアルが丁寧
- 描写が紙芝居的で盛り上がりに欠ける
- 寄り道はあるものの、楽しい探索というほどではない
Lysfanga: The Time Shift Warrior
© 2024 Sand Door Studio. Published by Quantic Dream S.A.S. “Lysfanga : The Time Shift Warrior” is a trademark of Sand Door Studio and Fabloo Games. Quantic Dream and Quantic Dream logos are trademarks and/or registered trademarks of Quantic Dream S.A.S. All rights reserved.
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