『TOEM トーエム』レビュー: ゲーム丸ごとトーエム
『TOEM トーエム』とは、Something We Madeが開発したほんのり謎解き要素のあるアドベンチャーゲーム。
基本的には見下ろし視点でプレイするけれど、ゲームプレイのメインとなるカメラを構える動作をすると主観視点になる。
モノクロの手描き調グラフィックも特徴。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、PCでプレイ可能。私はPC版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
画像はタップもしくはクリックすると拡大して見ることが出来ます。
あらすじStory
旅立ちの日
ゲームが始まると、主人公(鳥?そら豆みたいな頭部をしている謎生物)が自分の部屋に佇んでいる。
特に何が起こるわけでもなさそうなので、ひとまず隣の部屋に行く。すると、おばあちゃんからカメラを渡される。
そして、「遂に出発ね!」と背中を押される。
実は、今日は主人公がトーエムを求めて冒険に出発する日。
トーエムとは、最高のシャッターチャンスである魔法のような現象のことらしい。
「おばあちゃんがトーエムを体験した時は素敵だったわ」と自慢されつつ、主人公は出発することに。
観光
主人公は、自然豊かな森やにぎやかな街に繰り出し、様々な景色を写真に収めていく。
時にはカメラで人助けをしたり、ちょっとしたオシャレを楽しんだり。
カメラ片手にゆったり気ままな旅に出る。
おばあちゃんが言っていたトーエムな体験は出来るのだろうか。
ゲームの特徴Features
スタンプ集めて進む
本作では、各エリアでNPCから出されるクエストを攻略すると、報酬としてコミュニティカードにスタンプを押すことができる。
このスタンプを一定数集めると、次のエリアに進むことが出来るようになる。これが本作の大きな流れ。
クエストは、ゲーム攻略のためのスタンプ最低必要数以上の数があるので、どれを攻略してもいい。
また、次のエリアに進んでも前のエリアに戻って未クリアのクエストを攻略することもできる。
メインは写真撮影
主人公の操作は移動とカメラを構えて写真撮影することだけ。
探索時は見下ろし視点で、カメラを構えるとレンズ越し(主人公から見た視点)に変わる。
クエストのお題に沿って対象物や風景を撮影し、アルバムに保存する。
で、その依頼主であるNPCのところに戻り、その写真をアルバムから見せればクエストクリアとなる。
レンズ越しじゃないと見つけられないものや被写体にリアクションが起こることもあるので、何かありそうと思ったらとりあえずカメラを構えるのが鉄則。
ゲームの途中からは三脚を使った撮影なども出来る。
ちなみに、自撮りも可能。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
ひたすら穏やかでのどかで平和。全てが優しい世界。あたたかい。とんでもなく癒される。
プレイしながら「はあ〜、癒されるぅう〜」と幸せなため息が漏れ、心が洗われすぎてツヤツヤピカピカになった。
必要最低限のスタンプはすぐ集まるし、複雑な話が展開するわけでもない。
出会った人のちょっとした悩み事や願いを手助けするだけだ。
それだけなのに、ものすごく記憶に残るゲーム。
本作全体に漂う雰囲気や各キャラがいちいち素敵で、この体験は本作でしかできない。寄り道すればするほど忘れられない思い出が増える。
キャラクターの魅力
4.5
登場するキャラたちは、みんなちょっとヘンテコ。
お化け業界を憂うオバケや、ゴミ箱の中から怪しい人物を探しているうちに逆に本人が怪しくなっているヤツ、真剣にノンストップでフリスビーを投げ続ける2人組などなど。
思わず「ふふっ」と笑顔になるエピソードばかりだ。
更に問題解決して満足したキャラを撮影すると、ものすごくキラキラしたハイクオリティポートレート(絵柄まで変わってるレベル)が写し出されることも。その輝きぶりがまた面白い。
操作性
4.0
見下ろし視点(視点を左右に動かしたり、ズームは可能)だけど、カメラを構えた瞬間に視点に変わるのが面白いところ。
カメラを構えると主人公自身は移動出来ず、見ている方向のみ動かすことになる。
でも、別に面倒くさいわけではない。実際に写真を撮る時の「あ、もうちょっとそっちに行ってから撮ろうかな」とベストアングルを求めてウロウロする感覚が味わえる。
アルバムやコミュニティカードをすぐ開けるショートカットもあるし、主人公はサクサク動くし、カメラ操作も直感的。操作しやすい。
難易度バランス
4.0
ゲーム攻略自体はかなり簡単。誰でも楽しくプレイできる。
クエストを依頼されてから撮るべき風景などを探しに行くより、特徴的なものを撮りながら進んでいると、依頼された途端に「その写真なら、もう持ってるよ!」とスムーズに攻略しやすい。
単に写真を撮るだけではないクエストもあり、依頼内容からちょっと考えないといけない謎解き要素もある。
また、見過ごしやすい隠されたブロックなどもあり、全て攻略しようとするとしっかり探索というか、しっかりカメラを構えてキョロキョロしなければならない。
ゲームシステム
4.0
お目当ての風景を探して写真に撮る。
ゲームとしてはそれだけなんだけど、笑えて癒される雰囲気作りやカメラを構えた時に視点が変わる新鮮さに夢中になる。
バトル要素やゲームオーバーの概念は一切ないけれど、いいくらいの広さのマップに単純すぎないクエストがギュッと集まっていて飽きないバランス。上手く作られている。
ゆったりしたい時に最高におすすめなゲーム。
やりこみ要素
4.5
どれだけクエストを攻略するかがやり込み要素。
クエストとは別に、動物や虫を撮影するとコレクションされるので、様々な生き物を見つけて撮影するのもやり込み要素。
海に浮き輪で浮かんでたり新聞読んでたり好き放題景色に馴染んでいるタトという鳥や、奇妙な姿(ネーミングも笑える)の生き物ばかりだ。
やり込み要素でもある寄り道をどれだけするかが本作の一番の楽しさ。
最高の瞬間であるトーエムを追い求める物語だけど、私にとっては本作の最初から最後まで全てがトーエムだった。
また、クリア後には追加エリアが登場する。本編とはちょっと違った要素もあるので、エンディング後もお見逃しなく。
グラフィック
4.0
モノクロで描かれる、ちょっと気の抜けた落書きのような手描きイラスト調グラフィック。
2Dに見えるけれど、実際には3Dで動くのも面白い。
ゲームで写真を撮るというと絶景を狙いがちだけど、本作ではヘンテコなものを撮るのが楽しい。
また、随所で主人公が身につけられる衣装が手に入る。機能的なものもあるけれど、単に装飾目的なものもある。
頭から足までたくさん身につけると場違いなコーディネートにも出来る。
動きにくいくらい着込みつつ写真を撮っている姿はシュールだ。
サウンド
4.5
本作の癒し成分の85%はサウンドだ。
上述してきた通り、ヘンテコで笑える場面が多いけれど、コメディゲームではなく癒しゲームになっているのは癒されるBGMと心地良い環境音のおかげ。
眠たい時にプレイしたら即寝してしまう安眠音楽。ちなみにゲーム内では好きなBGMを選んで流すことができる。
良曲ばかりなので、サントラは作業用BGMにもぴったりだ。
サントラはこちら
総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
癒される雰囲気とゲーム性
カメラを構えると視界が変わる新鮮さ
誰でも楽しめる
個性的なグラフィック
残念なところ
任意の時点でセーブできない(オートセーブ間隔は設定できる)
オススメな人
とにかく癒されたい
写真を撮ることが好き
平和なゲームを探している
ゆったりプレイしたい
オススメではない人
バトルや濃厚な物語を味わいたい
探索するのは面倒くさい
ひたすらエンディングにだけ進んでいきたい
おすすめ類似ゲーム本作に似たゲームはコチラ
小さな島で気楽に散歩しつつハイキングを楽しむ、本作のように寄り道を楽しむアドベンチャーゲーム。良いセリフも多く、癒される。
写真を撮って攻略するゲームなら、こちらもおすすめ。依頼に沿って森のリスを撮影するけれど、徐々にとある真実を暴いていく物語も楽しめるアドベンチャーゲーム。
TOEM トーエム
ゲーム丸ごとトーエム
ひたすら癒し。平和で穏やかになるアドベンチャーゲーム。 カメラを構えると視点が変わる面白さや謎解き要素も楽しめる。 寄り道するほど楽しい、ゆったり散歩する最高の体験ができる。
TOEM トーエム
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