『The Last Case of Benedict Fox』レビュー: 悪魔と一緒に謎解きメトロイドヴァニア
謎解きと探索が互いに絡み合う異次元のメトロイドヴァニア『The Last Case of Benedict Fox』をネタバレなしで、攻略のコツと各要素の評価を交えてレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
The Last Case of Benedict Fox製品情報
タイトル | The Last Case of Benedict Fox |
---|---|
開発元 | Plot Twist |
対応機種 | PS5, Xbox, PC |
ジャンル | メトロイドヴァニア, 2D横スクロールアクション, パズルアドベンチャー |
本作は今のところ日本語版がないため、本稿のゲーム画像は英語版プレイ時のものとなっている。
セリフは自動で流れてしまうけれど、メニュー画面からセリフ履歴を読むことは出来る。またセリフ量は多くないため、高度な英語力は必要ない。
ただ、以下読んでもらうと分かると思うけれど、日常会話では使わない単語が多いので翻訳手段は準備してプレイした方がいいと思う。
本稿では、Xbox版をレビューしている。
The Last Case of Benedict Foxの攻略
ストーリー
私立探偵ベネディクト・フォックス
本作の物語が展開する時代は第一次世界大戦後。
錬金術師や魔女など超常的な力を持つ者たちが集まるthe First Circleと呼ばれる秘密結社があった。そんなThe First Circleを本作の主人公であるベネディクトは探っていた。
しかし、The First Circleは異端審問官に取り締まられており、その活動内容や存続自体も闇に潜って分からなくなってしまった。
ベネディクトは異端審問官というわけではなく、私立探偵だ。しかし誰かからの依頼や単なる興味本位ではなく、個人的な理由でThe First Circleを探っているようだ。
怪しすぎる洋館
ベネディクトは調べ上げたThe First Circleの手掛かり基にとある洋館へ向かった。
その洋館で目したのは、ベネディクトの父親の遺体だ。しかし、ほぼ驚きも嘆きもしないベネディクトは、父親の遺体に手をかざした。
そうすると、「こいつの記憶の中に案内してやるぜ、ウハハハハ」という声が響き、ベネディクトは禍々しい光に包まれていった。
実は、この声の主はゲーム冒頭からずっとブツブツ喋っていた。でも、物語のナレーターというわけではない。
ベネディクトは悪魔が憑いている特異体質で、ずっとその悪魔が話しかけてきているのだ。結構お喋り好きな悪魔のようだ。
記憶の中に眠る真実
悪魔の力によって、ベネディクトは父親の記憶から形作られたLimboと呼ばれる異次元へ入っていく。
Limboで父親の記憶の断片を目撃したり、父親のメモ書きを追っていったベネディクトは、父親の秘密を知ることになる。
また、現実世界の洋館では、父親が再婚した妻と生活していた痕跡が残っており、更に子供がいた手がかりも見つける。
しかし、2人に子供がいたというのは初耳だし、その子の行方も分からない。
ベネディクトは悪魔の力を借りながら、父と義母、そして謎の子供が辿った軌跡を追っていく。
攻略のポイント
謎解きで進むメトロイドヴァニア
本作は、メトロイドヴァニアゲームだ。
新たな移動スキルを習得すると探索できる場所が広がるというのがメトロイドヴァニアゲームの特徴だけど、本作では謎解き攻略がゲーム進行に必須となる。
パズルアドベンチャーゲームのように、手に入れたアイテムや情報を使ってパズルを解いたり仕掛け付きの鍵を開けて道を切り開いていく。
手に入れたキーアイテムは回転させたり詳しく見ることも出来て、それによって謎解きのヒントが得られる場合も多い。
また、本作ではLimboが探索の舞台であり、洋館は拠点として機能し、ベネディクトの強化や買い物ができる。
ちなみに、マップ画面を開けば、いつでも開放済みのセーブポイントにファストトラベル出来る。
悪魔の力
敵とのバトルでは、ナイフでの近接攻撃と悪魔の力を使ったパリィや回避などを駆使して戦う。
また、近接攻撃を当てていると銃弾ゲージが溜まっていき、溜まりきると銃を撃つことができる。
パリィ以外にも、触手で敵を掴んだり投げたりする悪魔の力を使ったスキルも使用できて、これには悪魔パワーゲージを消費する。こちらは時間回復する。
武器は、通貨と特定のアイテムを使って強化することもできる。
インクと思い出の品
本作では敵を倒すとインク(墨)を手に入れる。
同じ敵からは一度しかインクを獲得できない。敵は同じ場所に再登場するけれど、インクを獲得できるのはその敵を倒した初回のみ。
インクは、拠点にいる怪しい女性にタトゥーを腕に彫ってもらうために使う。
タトゥーはスキルツリーのようなもので、彫ったタトゥーによって新たな悪魔スキルがアンロックされる。つまり、インクがスキルポイントのようなものだ。
また、各地には思い出の品 Bits and Piecesが落ちており、それらを調べると本作の通貨を手に入れることが出来る。
本作では、ゲームオーバーになった場合は通貨は失わないけれど、インクは全て失ってしまう。しかし、前回倒された敵を倒せば回収できる。
もし回収前に再びゲームオーバーになると、インクが各敵に戻ってしまう。それぞれの敵をまた倒して回らなければならないわけだ。
ただし、セーブポイントで手に入れたインクを保存することが可能でゲームオーバーになっても失わない。
記事はさらに下に続きます
The Last Case of Benedict Fox評価と感想
物語の面白さ
かなり不気味で奇妙で怪しい世界だ。怪しい儀式や人体錬成とかオカルトな話が盛りだくさん。
冒頭から気になることばかりだけど、誰も丁寧に説明はしてくれない。
しかし、父や義母の記憶の断片を見ていくうちに、「なるほど、そういうことか」と少しずつ点と点が線で繋がっていく。
超常現象ばかりなので理解しやすい話ではないけれど、煙に巻いて突き放されるわけではない。情報の小出し具合がちょうど良くて、どんどん真相を暴きたくなる。
「訳分かんないのに、気になる!」という、まさにオカルトミステリーそのものな物語が楽しめる。
キャラクターの魅力
主人公ベネディクトは悪魔が憑いていても当たり前な態度で、悪魔のお喋りをよく無視しているくらい怖がってもいない。
そんなベネディクトは、父親の遺体を見ても「ふむ」、Limboで不気味な目に遭っても「ふむ」な調子だ。
奇妙な出来事ばかりなのに、主人公が全然驚かない!ベネディクトはシャーロック・ホームズのように淡々と調査する。
本作からは落ち着きのあるオシャレな印象を受けるんだけど、それはベネディクトの落ち着いた探偵っぷりによるところも大きい。
一方で、NPCは全員黒幕でもおかしくないくらい怪しいし、これまた淡々とお洒落に喋る。
で、本作で1番感情豊かなのは誰かというと、実はベネディクトに憑いている悪魔だ。言ってることは邪悪だけど、悪魔がムードメーカーという珍しい立ち位置でにぎやかしていくれる。
操作の快適さ
操作性は、はっきり言って悪い。
動きはもっさりしていて、疑惑の当たり判定も多く、ボタン入力が効かないのかサッと反応してくれないこともある。
また、謎解きでアイテムを配置する際には、なぜかいちいちボタン長押し操作ばかりで、アイテムを置き換えるのが面倒くさい。
極めつけに、バグが発生してゲームがクラッシュし、再起動したらオートセーブがしばらく効いていなかったことが分かり、かなり前まで巻き戻ったという事件まで起こった。
これもオカルト現象か!ではなく不具合なので、アプデでしっかり修正されることを期待したい(「Definitive Edition」で挙動の改善は図られたとのこと)。
難易度バランス
本作は、謎解きがメイン。
誘導はほぼなく、ヒントも少なく、自力で進めそうな道と解けそうなパズルに挑戦していく。
メトロイドヴァニアの魅力である迷子になる感覚がしっかり味わえて、探索が楽しい。
「ジャンプで届きそうで届かない」というのがメトロイドヴァニアあるあるだけど、本作では「何か手がかりが足りない」という珍しい道の阻まれ方に遭う。これが面白い。
いくらアイテムを持っていてもパズルが解けなければ進めないわけだけど、メモ書きをしっかり集めれば分かる程度の難しさだ。
逆に完全に情報を集めきれていなくても自力で推測してパズルが解ければ進めてしまうのも面白いところ。
バトルはメインではないものの、上述した操作性の悪さで変な難しさを発揮しているのが残念。特に複数の敵が現れた時は危険。
でも、バトルそのものはハイペースではないし、攻撃すれば敵はしっかり怯んでくれる。
ゲームシステムの面白さ
謎解きで進むという新鮮なメトロイドヴァニア。
謎解きは、まさにパズルアドベンチャーなゲームプレイだ。アイテムを見つけて使える場所や使い方を考え、ヒントを探してパズルを解く。
パズルアドベンチャーでは単純に行ったり来たりすることが多いけれど、本作ではその部分がメトロイドヴァニアになっているという発想が面白い。謎解きたっぷりで隠し部屋もたっぷり。
謎解きの面白さと探索する楽しさが相乗効果で高まっている。
ゲームが進むごとに拠点の洋館の部屋が少しずつ開けられる変化も楽しい。
操作性が良くなれば、もっと良いゲームになるはず!
やりこみ要素の楽しさ
より多くの思い出の品とインクを集めるのがやり込み要素。
各敵を倒した初回だけインクが貰えるので、楽な敵だけ相手にして強くなることはできない。
また、思い出の品はかなりの数があって、本気であちこちに散らばっている。特に武器強化の素材となる思い出の品は面倒な場所にあるので、回収はなかなか大変だ。
しかし、どの品にもオカルトなおもしろエピソード付きだし、主人公の強化につながるのでやる気が湧きやすい。
グラフィックの芸術性
メトロイドヴァニアなので横スクロールではあるけれど、前景から背景までぎっしり何かがある。
豪華でクオリティの高いグラフィックだ。
非現実世界なので何でもあり。金属や歯車のだらけの部屋から一転して雪景色に変わったり、綺麗だけどよく見ると不気味な庭園のような場所もある。
奇妙で不思議で不気味、それでいてお洒落。雰囲気が最高だ。
影響を受けていると開発元が公言している通り、ティム・バートン映画が好きな人なら絶対気に入るはず。
サウンドの魅力
本作の時代設定は1925年で、洋館ではその時代のヴィンテージなジャズが流れている。
お洒落で居心地の良い素敵な洋館だ。遺体は転がってるし、怪しいNPCが占拠してるので、現実なら絶対逃げ出した方がいい屋敷だけど。
一方で、LimboではBGMはほぼなく、不気味な環境音ばかりだ。たまに大きな音が鳴ることがあるので、びっくり演出が苦手な人はご注意を。
本作と似ているゲームや関連作は更に下へ
The Last Case of Benedict Foxレビューのまとめ
おすすめな人
- 謎解きが好き
- オカルトな物語が好き
- 一風変わったメトロイドヴァニアをプレイしたい
おすすめではない人
- バトルを楽しみたい
- 道案内や謎解きのヒントが欲しい
- 操作性が良くないと我慢できない
総合評価良いところ&残念なところ
- 謎解きで進むという独特なメトロイドヴァニア
- 不気味でオシャレな雰囲気
- 惹き込まれるオカルトミステリーな物語
- 操作性が悪い
- バグが発生する
- 今のところ日本語版がない
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Airhead
謎解きで道を切り開いていくメトロイドヴァニアなら、こちらもおすすめ。
頭と体が別々になっている不思議生物を操作して、様々な謎解きを攻略して行く。
独創的な世界設定が魅力で、たっぷりの良い謎解きに挑むことが出来る。
GRIME
禍々しくも魅力的な世界が舞台のメトロイドヴァニアなら、こちらもおすすめ。
頭がブラックホールという独特なバトルシステムが魅力で、重厚感のあるアクションが特徴の高評価作。
The Last Case of Benedict Fox
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