レビュー【The Alters】最大の敵にして最強の味方 | 分身と生き延びるストラテジーゲーム

「あの時、別の選択をしていたら?」選ばなかっ人生を歩んだ自分を生み出し、過酷な惑星から脱出を目指す物語に惹き込まれるストラテジーゲーム『The Alters』のネタバレなしレビューも攻略情報も詳しく掲載。
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- ストーリー
- 未知の惑星に取り残されたヤンが、分身とともに脱出を目指す物語
- 攻略
- 別の人生を歩んだヤンたちに作業を割り当てながら惑星で生き延びる物語性強めなストラテジーゲーム
- 評価
- 物語や設定が面白く、ゲームプレイを通しても物語を味えて没頭する高評価作

- 物語とゲームプレイが上手く融合している
- 資源も感情も管理するストラテジーが面白い
- 人生について考えさせられる物語に惹き込まれる
- 自由な戦略立てができるわけではない
The Altersの概要
タイトル | The Alters |
---|---|
開発元 | 11 bit studios |
販売元 | 11 bit studios |
発売日 | 2025年6月13日 |
対応機種 | PS5, Xbox, PC |
ジャンル | ストラテジー, アドベンチャー |
シリーズ | 新規IP |
プレイ機種 | Xbox |
The Altersのストーリー
取り残されたヤン

本作の舞台は、宇宙のどこかにある未知の惑星。
そこに降り立ったヤン・ドルスキが本作の主人公だ。
彼は宇宙を巡る探検家などではなく、アライ社という会社が立ち上げたプロジェクト・ドリーの一員だ。
とはいっても、ヤンは希少鉱物を発掘するチームの脇役にすぎなかった。
ところが、ヤン以外のメンバーは惑星に着陸した時点でポッドの中で死んでしまっていた。
事故が起こった痕跡はないのに、一体なぜ?
大きな円状の未来感溢れるベース(拠点)とヤン1人だけが、放射線が溢れ草木も生えず、さらには定期的に太陽の熱で地表全てが焼き尽くされる過酷な惑星に取り残されてしまった。
そんな絶望的な状況から物語は始まる。
ヤンがヤン達と脱出を目指す

プロジェクトは失敗だ。地球に帰らなければならない。というか、帰りたい。
ところが、地球との通信は不安定で、早々に救助してもらえる望みは薄い。
このままではヤンは丸焦げになってしまう。
しかし、不幸中の幸いか、運命のイタズラが連発し始める。
ヤンはプロジェクト・ドリーのお目当てだった謎鉱物ラピディウムを見つけ、ベースに備え付けられた量子コンピューターで使用してみると、なんと、もう1人のヤンが出来上がった。
ヤンのコピー、クローン、いや、違う。
誕生したのは、主人公ヤンの過去とは異なり、大学に進学せず地元に残った人生を歩んできたという別のヤンだ。
新たなヤンは短気だし性格もなんだか違うけれど、主人公ヤンにはない知識も技術も持っている。
もしかしたら、惑星から脱出する糸口が見つかるかもしれない。
ヤンの人生には他にもいくつかの転機があった。つまり、他のヤンも生み出せるわけだ。
ヤンは「オルター」と呼ばれる様々なバージョンのヤンを作り出し、ヤン軍団一丸となって惑星脱出を目指すこととなる。
The Altersの攻略情報
拠点に乗って惑星を進む

本作は、オルターのヤン達を指揮して資源を集めて必要物資をクラフトし、拠点(ベース)で生活しながら惑星を探索していくサバイバルストラテジーゲーム。
拠点は移動できる乗り物でもあり、メインストーリー進行に伴って拠点は惑星上の様々なエリアを旅することになる。後戻りはできない。
ゲーム内では常に時間が流れており、日中は資源採取やクラフトなどの作業を行う。
プレイヤーは主人公ヤンを操作し、オルターのヤン達に仕事を割り振って作業を行ってもらう。
全ての作業には所定の時間がかかる。例えばマッシュポテトを1個料理するには20分かかる。
そして、夜になると疲れて作業効率が下がるだけでなく、地表の放射線量が上がるため屋外での作業は実質できなくなる。
オルターたちも仕事を切り上げて休み始める。
夜更かししてしまうと、翌朝寝坊するので注意。
主人公ヤンの行動に気を配りつつも、時間配分を考えてオルター達へ的確に指示出しすることが本作攻略の要となっている。
惑星で生き延びる

本作では、食料や探索に必要となる設備や機械などは、資源を集めてクラフトして生き延びなければならない。
- 拠点外で資源採取
- 金属や有機鉱物、ラピディウムなどが資源となる
- 拠点外を探索して落ちている鉱物を拾ったり掘削して手に入れる
- 深い鉱脈があるエリアでは、地表をスキャンして鉱脈を探し当てて採掘ポストを建てる
- 採掘ポストに作業者を配置しておくと、時間経過と共に鉱石が手に入る
- 拠点の増改築
- 体調不良の仲間を治療する医務室や寝室など、資源を消費して新たな部屋を建てることができる
- 各部屋はブロックのように動かして自由に配置換えできる
- 出入り口がつながっていないと部屋は使えない
- 拠点でのクラフト
- 資源を消費して、探索や採掘に必要なアイテムをクラフトする
- 対応した部屋があれば、料理や植物の栽培、新技術の研究などもできる
仲間は全員ヤン

サブクエストが発生
本作の物語にも攻略にも欠かせないのがオルターのヤン達。
量子コンピューターでは、ツリー状になったヤンの人生(ライフパス)を見ることができる。
ライフパス上にはヤン人生の転機が分岐点として表示されており、ラピディウムを消費すると主人公ヤンとは別の人生を歩んだオルターのヤンを生み出すことができる。
新たなオルターが誕生するとそのオルターが歩んできた人生がライフパスに加わり、そこからまた別の分岐点が発生することもある。
オルターのヤンはそれぞれ異なる職業や技術を身につけており、例えば大学院に進学したヤンは科学の知識が豊富だ。
そんなヤン・サイエンティスト(科学者ヤン)は研究室で新技術の研究ができる。
こうした適材適所で仕事を割り当てることが大切で、得意分野を任されたヤンは効率良く作業を行える。
しかし、オルターはそれぞれ別々の人間だ。会話の選択肢や健康状態などによって感情が変化する。
オルター同士で喧嘩をしたり、落ち込んでいるヤンは仕事をしなくなるなどトラブルも起こる。
話しかけてオルターのやる気を高める選択肢を選んだり、「美味しいものが食べたい」といった彼らの要望を叶えてあげるなど、オルターのメンタル管理もプレイヤーの大切な仕事だ。
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The Altersのレビュー
物語: 人生と人間の可能性に思いを馳せる濃い物語

本作は物語がとにかく面白い。
「あの時、別の選択をしていたら?」誰もが別の人生を一度は妄想したことがあるだろう。
じゃあ、実際に別の人生を見れると言われたら?うーん、見たいような見たくないような。
そんな気持ちをくすぐってくる設定に、初っ端から興味をぐんぐん惹きつけられる。
演出も上手くて、物語に瞬時に夢中になった。
しかも、SF感満載な世界設定ではあるけれど、ヤンの過去の転機は進学するか就職するか、恋人と別れるかなど、めちゃくちゃ親近感の湧くものばかりなので感情移入しやすい。
そして、別の人生の答えであるヤンがオルターとして現れて一緒に生活するなんて面白くならないわけばない。
「進学した方が人生うまくいきそう」と思って見ていても、進学した場合のヤンが現れると「え!そうなるんかい!」と驚かされる。
もちろんフィクションではあるけれど、先読みなんて絶対できない人生の面白さをしっかり味わえる。
それだけ物語に夢中にさせてくれるのは、オルターのヤンそれぞれが主人公になれるくらい説得力があり、しっかり描き分けられているからだ。
他のオルターなら喜ぶ選択肢でもこっちのオルターはイラッとしたり、オルター同士の喧嘩もよく起こる。
歩んだ人生や環境で人は大きく変わる。では、「自分」も変わってしまうのか。
1人の人間が持つ可能性や「自分とは」を目の当たりにする、絶対に何かを感じたり考えずにはいられない面白すぎる物語だ。
人間の本質や人生哲学が描かれており、本作をプレイしたら自分の人生も思い返してしまうはず。
操作性: 独創的でありつつ、プレイしやすい

鉱脈を探し、クラフトには時間がかかり、放射線にも対応する。
最初に覚えることは色々とある。世界設定も独創的だ。
それでも、各要素はちゃんと順序立てて登場し、チュートリアルも理解しやすく、操作方法も分かりやすい。
要素は多いけれどUIはスッキリしていて状況を把握しやすい。
メニュー画面から仕事の割り当てやクラフトするアイテムのキューも出せるので、かなりサクサク指示出ししながらプレイできる。
攻略に困るバグなどに遭遇することもなかった。
難易度: 環境もヤンも複雑すぎず手がかかる

本作では頭を悩ませるものがバランス良く四方八方に散りばめられている。
放射線防護など危険な環境に対処しつつ、各作業を終えるにはなかなかに時間がかかる、それでいて資源はまとまって手に入らない。
優先順位を考えて効率良く全員のヤンに指示出ししなければならない。
ゲーム進行と共に徐々に状況は厳しくなり、モタモタしている暇はなくなってくる。
とはいっても一気に難しくなるわけではなく、緊張感が保たれる良い難易度バランスとなっている。
そして、ヤンだ。彼らの感情や体調も気遣わなくてはならない。
諍いが起これば仲裁するために厄介なクエストが発生し、かといって何もしないと喧嘩でヘソを曲げたヤンは仕事をしなくなる。
ヤンが増えれば増えるほどできることは増え、管理する要素も要望も衝突も増える。
とはいっても、生み出せるヤンの順番はある程度決まっており、探索できる範囲も資源の数も程良い設定に制限されている。
「さあ、なんでもかんでも試してみるがいい」と自由度高すぎる地に放り出されるようなことはない。
そのため戦略はある程度決まっており、悩んだり行き詰まってしまうことはない。
自分であれこれ賢い打開策を考えるというより、いかに効率良く仕事を割り振りつつ各ヤンの性格を把握してやる気を維持できるかといった中間管理職のようなストラテジーを味わえる。
システム: ストラテジーが物語を紡ぐ

上述してきた通り、本作はそれぞれ特性が異なるヤンを上手く管理して目標達成するストラテジーゲームだ。
拠点の間取りを変えたり鉱脈を探し当てるなど新鮮で面白い要素もあり、他のゲームにはない体験が詰まっていて、ストラテジー部分だけでも面白い。
しかし、本作は物語性がかなり強く、会話も多い。
物語はヤンの作業効率に影響を及ぼすため、ゲームプレイに密接に関わっている。
物語は見るだけでゲームプレイ部分はストラテジーというわけではなく、物語とストラテジーが融合している。
この融合バランスが絶妙で、本作を始めたら物語とゲームプレイにセットで夢中になる。
他の人生を歩んだ自分が登場するなんて設定だけで面白い上に、その別の自分と人間関係を築くという奇妙な状況をリアルに体験できる。
物語の面白さがゲームプレイに落とし込まれており、ゲームプレイでも「人生とは」を描いている。
なんとも上手くできたゲームだ。
芸術性: 美しい映像で描き分けられるヤン

本作はフォトリアルなグラフィックと壮大なBGMで描かれる。
丸型拠点をはじめ、あちこちに未来感があって細かな部分までデザインがかっこいい。
そして、本作で一番の見どころがヤンの違い。
オルターごとに性格を描き分けられているだけでなく、外見もしっかり描き分けている。
理論派ヤンや兄貴肌ヤンなど、服装や髪型から「このヤンはこういうタイプだよな」というのがパッと見て分かるのがゲーム攻略上でも助かる。
しかも、ちゃんと表情や喋り方や声質も異なっており、オルターたちを自然と別人だと認識してしまう。
演者さん含めキャラ作りが素晴らしい。
日本語翻訳にもちゃんとオルターごとの違いが反映されており高品質だ。
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The Altersの総合評価
The Alters

総合評価
別の人生を歩んだ自分を生み出して協力するという設定と物語に夢中になりつつ、良い緊張感を味わえる高評価ストラテジーゲーム。物語とゲームプレイが絶妙に融合しており、記憶に残る新鮮な体験ができる。
おすすめな人 | マルチタスクなストラテジーが好き 人生を振り返るのが好き、もしくは他の人生を思い描くのが好き 過酷な設定ほど燃えるタイプ |
---|---|
おすすめではない人 | 時間制限のあるゲームが苦手 ストラテジーだけ楽しみたい 取り返しがつかない要素のあるゲームが苦手 |
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