レビュー【ホビット庄の物語】癒しのグルメ村 | 指輪物語の世界でのんびりライフシムゲーム

「指輪物語」のホビットとなり、水の辺の集落で穏やかに暮らしながら住民と仲良くなっていく癒しのライフシミュレーションゲーム『ホビット庄の物語 指輪物語の世界から Tales of the Shire: A Lord of the Rings Game』のネタバレなしレビューも攻略情報も詳しく掲載。
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- ストーリー
- 水の辺に移住してきたホビットとなり、集落に貢献しながら生活する物語
- 攻略
- 料理やクエスト攻略でご近所さんと仲良くなり、集落から村へ格上げを目指すライフシムゲーム
- 評価
- 複雑さや難しさはなく、可愛く癒される世界でのんびりプレイできる
ホビット庄の物語の概要
タイトル | ホビット庄の物語 指輪物語の世界から Tales of the Shire: A Lord of the Rings Game |
---|---|
開発元 | Wētā Workshop |
販売元 | Private Division |
発売日 | 2025年7月30日 |
対応機種 | PS5, Switch, Xbox, PC |
ジャンル | ライフシム |
シリーズ | 新規IP |
プレイ機種 | PC(ゲームパッド使用) |
ホビット庄の物語のストーリー
水の辺の新参者

本作の主人公は、とあるホビット。
プレイヤーが自由にキャラクリし、名前も好きにつけることができる。
そして、舞台はもちろんホビット庄(英語ではシャイアと呼ばれる地域)。
「ホビットって何者なんだ?」というと、名作ファンタジー小説「指輪物語」に登場する種族で、小柄で争いは好まず、お酒や食事が大好きという平和な者が多い。
「指輪物語」では壮大な戦いに巻き込まれた勇敢なホビットも闇堕ちしたホビットもいるけれど、本作はそういった一大スペクタクルではなく、とあるホビットが水の辺にある集落に移住するというお話だ。
主人公は道端で行き倒れ…ではなく、昼寝をしていたほどのんびり屋さんだけど、ガンダルフという魔法使いのおじいちゃん(「指輪物語」の有名人です)の馬車に乗せてもらい、やっと水の辺に辿り着く。
ここから本作の物語が始まる。
水の辺を村にしようの会

主人公が引っ越してきたのは、ルビーおばあちゃんと呼ばれていたホビットが暮らしていた水の辺にある古い家。
だいぶ年季が入っており、あちこち荒れている家だけど、ご近所さんは優しそうだし、水の辺は自然豊かだし、なんとかなるだろう。
道端で昼寝していたほど大らかな主人公なので、どこでも寝れそうだ。
しかし、穏やかに見えていた水の辺では、小競り合いが起こっていた。
議題は、水の辺が村といえるかどうかについて。
住民はみんな水の辺が大好きで誇りを持っているけれど、どうやら弱小集落に過ぎないらしい。
ホビットの集落が村として認められるためにはいくつか条件を満たさなければならないそうだ。
新参者に過ぎなかった主人公だけど、この新顔ホビットが水の辺を村にしよう運動で大活躍することになる。
ホビット庄の物語の攻略情報
朝から晩までホビット生活

ゲーム内では時間が流れており、暦や季節もある。
毎日早朝から深夜まで活動できる。
深夜を超えるまでにベッドに入っていない場合、どこにいようとその場で眠り込んでしまい、翌日は寝坊してしまう(早朝の時間帯がスキップされる)。
住民たちもそれぞれ生活しており、日中にはお店で買い物ができ、夜には住民たちは広場に集まって語らっていたりする。
各住民の居場所はマップでいつでも確認できるので、彼らの生活ルーティンを覚える必要はない。
主人公には体力やスタミナや空腹ゲージなどはなく、自由に家庭菜園や釣りや料理などができる。
水の辺を散策すれば、さまざまな食材を採取することもできる。
また、自宅では内装や庭の装飾、服などホビット自身の外見をカスタマイズすることもできる。
料理を振る舞って、ご近所づきあい

ホビットは食事を愛する民だ。本作でも料理が1番重要な要素になっている。
料理は、まずレシピを選び、必要な食材が揃っていることで開始できる。
料理を始めたら、切ったり混ぜたり炒めたり、全工程を一つずつ操作することになる。
料理中には画面右下にグラフのようなものが表示され、どのくらい炒めるか、どこまで細かく切るかによって作っている料理の状態がグラフ上で変化していく。
グラフ上にその料理がより美味しくなるゾーンが表示されており、各工程をうまくこなして美味しいゾーンで完成させると、同じ料理でも抜群に美味しい料理となる。
そして、完成した料理はご近所さんに振る舞うことができる。
招待したいホビットにお手紙を送ると食事会を開くことができ、招待したホビットの好物や完成度の高い料理、さらに当日にそのホビットが食べたい風味の料理を振る舞うと好感度が上がる。
好感度が上がったホビットは新たなレシピをくれたり、そのホビットが経営するお店の品揃えが充実するなど様々な報酬を手に入れることができる。
また、そのキャラに関するイベントも発生するようになる。
会に貢献する

水の辺では一大プロジェクトが進行する。
様々な活動を行って水の辺を村として認めてもらうという住民総出の壮大な計画だ(ほぼ主人公が貢献することになる)。
食材探しや釣りなど大きく分けて4つの会があり、各会が出すクエストを攻略することでそれぞれの会が成長していく。
会のランクが上がるほどできる調理法が増えたり、インベントリ容量が増えるなど報酬を獲得できる。
住民からの好感度を上げることと会の活動を行うこと、これによってゲーム内でできることがどんどん増えていくというわけだ。
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ホビット庄の物語のレビュー
物語: とんでもなく穏やか

村になろう運動がメインストーリーではあるけれど、基本的に本作の各要素をクエスト仕立てて行っていくという内容なので、物語はあってないようなものだ。
とりあえず穏やかでのんびり。
この雰囲気が本作の大きな魅力だ。
ホビットは穏やかな種族とはいっても性格はそれぞれ異なり、しっかりキャラが立っている住民が多くて楽しい。
偏屈な奴もいるし、人付き合い苦手な奴もいるし、おっとりしていて心配になる奴もいる。
みんなのんびりした可愛い種族かと思いきや、意外と十人十色だ。
さすがにブチ切れて殴りかかってくるような粗暴なホビットはいないので、あくまでもホビットの範囲内で個性の違いを楽しめる。
「指輪物語」を知っている人にとっては馴染みのある名前がチラホラ出てくるので原作ファンの人は、より一層楽しめる。
しかし、元ネタを知らないと分からないようなセリフなく、「指輪物語の指輪って何?」くらいの知識でも全く問題なくプレイできる。
一方で、先が気になるドラマティックな物語や、「指輪物語」をふんだんに盛り込んだエピソードばかりを求めている人には、少し物足りないと思う。
操作性: 概ね良好、細かな不便さはあり

基本のアクションや操作性は特に問題なく、攻略に困るようなバグにも遭遇していない。
早く移動する際にはダッシュではなくスキップになるのが可愛い。
食材はボキィッと採取するなどカジュアルな挙動のゲームかと思いきや、装飾要素にはかなり気合いが入っており、家具は回転したり移動させたり細かな配置換えができる。
そして、水の辺は小さな集落ではあるけれど意外と入り組んでいる。
しかし、マップ上で目的地や目標キャラを指定すれば鳥が道案内してくれる。
可愛くてホビットにぴったりな演出ではあるけれど、鳥が現れる木の間隔がまばらだったり、鳥の顔の向きをいちいち確認しなければならなかったりで、便利機能のはずがやや面倒に感じることがある。
他のゲームのように、主人公から光の筋が伸びるなどの方がガイドとしてはやはり見やすいと思う。
また、料理時に各食材の詳細を確認できなかったり、インベントリ整理時には細かな不便さがある。
細かなことではあるけれど、目的地までのガイドやインベントリ整理はよく行うことになる操作なので不便さが目につきやすくもある。
難易度: 節約とはほぼ無縁

ゲームの導入はゆったりテンポで、確実に理解しながらゲームを進めることができる。
それでもチュートリアルに抜けがある部分はあるけれど、触っていれば自ずと分かってくるはずだ。
複雑なゲームではない。
ライフシムゲームでの難しさといえば、資源やお金のやりくり。
しかし、本作ではカツカツな生活になることはまずない。
スタミナゲージがないため、バシバシ魚を釣ってスキップしながら野草を引きちぎって村を回って売れば、ガシガシお金を稼ぐことができる。
また、主人公には空腹ゲージもないため、作った料理はNPCとの交流に全投入でき、資源が足りなくて困ることもほぼない。
わざわざ相手が嫌いな料理を押し付けたりしなければ、必ずしも大好物ばかり用意できなくても住民たちと着実に仲良くなっていくこともできる。
ゲームが進行するほどできることは増えていくけれど、特に難しさを感じる場面はなく、気軽にプレイできる。
逆に、あれこれ工夫してやりくりする面白さをライフシムゲームに求めている人にとっては刺激が少ないと感じるかもしれない。
システム: 「ホビットとなる」を楽しむゲーム

本作は、料理と装飾にこだわりが集中しているものの、その他はカジュアルな作りのライフシム。
上述したように、やりくりしたり、ドラマティックな物語に翻弄されるわけでもない。
野菜を育てて、料理をして、模様替えして、水の辺の風景を眺めながら散歩する。
急かされたり何かに失敗する心配もなく、のんびりとホビットの暮らしを体験する。
このホビット体験ができるのが本作最大の魅力であり、目新しいシステムや斬新なゲームプレイがあるわけではなく、気負わず楽しめる。
ちなみに、ここまで読んできたらお分かりだとは思うけれど、「「指輪物語」ってことは、なんだかんだ闇の勢力と戦うんだろ?」と期待してしまう人はご注意を。
本作は決してそういうゲームではない。
芸術性: ひたすら可愛くほのぼの

水の辺に到着した瞬間に「ほのぼの〜」とため息が漏れたほど、世界は穏やかで美しく可愛い。
小川がせせらぎ、草木がそよぎ、そこに可愛いホビットたちの家が並び、笑顔のホビットたちが行き交っている。
季節によって風景は変わり、雨が降ろうとも毎日毎日のどかで可愛い。
家具や服は様々な種類があり、特に家は壁紙や柱一本ずつから、庭は小石一個からカスタマイズできるので、装飾好きな人はこれだけで時間が溶けると思うし、装飾要素を主目的にして本作をプレイしてもいいくらいこだわれる。
音楽ものどかだ。
キャラたちは動きに合わせて効果音が鳴るくらいでセリフもあまり多くはない。
ホビットたちが元気にわいわいにぎわっているように見えるけれど(元気であることに違いはないけれど)、実際には落ち着いた雰囲気のゲームだ。
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ホビット庄の物語の総合評価
ホビット庄の物語 指輪物語の世界から

総合評価
ホビットとして生活を楽しめる、穏やかで可愛いライフシムゲーム。細かくこだわれる装飾や雰囲気の良さが魅力。やや軽めな要素もあるけれど、気軽にホビット体験ができる癒されるゲーム。
長所と短所
良いところ | 細部までこだわった装飾ができる 風景もキャラも全てが可愛い | のんびり癒されるホビット生活を味わえる
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残念なところ | 不便さを感じる部分がある | 要素によって作り込みにバラつきがある
こんな人におすすめ!
おすすめな人
- 穏やかにプレイできるゲームを探している
- 装飾にこだわりたい
- 前々からホビットになりたいと思っていた
おすすめではない人
- ゆっくりしたテンポのゲームが苦手
- 節約やダンジョン探索などゲームとしての難しさも求めている
- 物語に期待している
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マジカルデリカシー
- こちらも料理がメインのライフシム
- 食材によって風味が変わり、依頼人の希望に沿った料理を作ってクエスト攻略する
- 徐々に行ける範囲が広がっていく港町の探索も楽しめる

あつまれ どうぶつの森
- カジュアルなライフシム決定版
- 無人島を自由に作り込み、釣りや虫取りやクラフトも楽しめる
- カジュアルな作りながら、コンテンツ量は膨大