『Carrion』レビュー: 気持ち悪いって言わないで
『Carrion』とは、Phobia Game Studioが開発した2Dアクションのメトロイドヴァニアゲーム。
本作はピクセルアートグラフィックなので幾分マイルドにはなっているけれど、気持ち悪い演出がふんだんに盛り込まれており、特に触手系が苦手な方はご注意を。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はNintendo Switch版をプレイ。
『Carrion』とはどんなゲームか、その特徴や魅力と共に実際にプレイした感想と各要素の評価をネタバレなしでレビューする。また、本作に似ているゲームも紹介する。
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あらすじStory
触手くん登場
どこかの研究施設からゲームは始まる。
培養器のようなケースを派手にパリーンと突き破って登場するのが、本作の主人公。
触手の塊。
「『バイオハザード』のラスボスは?」と訊かれたら頭に浮かぶようなキモい触手の塊。
他のゲームでは見たことがない斬新な主人公が堂々とお出ましだ。
触手くんの大冒険
触手くんは、逃亡したいのか、はたまた人間を喰らい尽くしたいのか、とにかく研究施設を所狭しと暴れ回る。
自分は何者なのか。そんなことを気にしてるかどうかは一切分からないけど。
触手くんは進化しながら、研究施設内で自分の縄張りを拡大していく。
人間は、我が血となり肉となれ。
触手くんの過去
触手くんはセリフがないけれど、随所で触手くん誕生の謎に迫る場面も描かれる。
そう、誰にだって過去はある。触手の塊だったとしても。
ゲームの特徴Features
触手アクション
触手くんは、かなりアクティブ。
ヌルヌルヌルーっと縦横無尽に触手を伸ばして滑らかに移動する。
触手くんの基本アクションは、触手で掴むこと。
触手で機械や人間を掴んで、豪快に投げて壊したり地面に叩きつける。
Nintendo Switch版では、右スティックで狙い、ZRを押すと物や人を掴む。ZR押しっぱなしで右スティックを動かすと掴んだままブンブンと振り回せる。
人間と触手の攻防
敵は、もちろん人間。人間たちはバンバン銃で撃ってくる。
特殊な防護服を着ている人間もいるし、装甲機に乗りズドドドドと機関銃で撃ってくる危ない輩もいる。
触手くんは撃たれると触手が少しずつちぎれ飛んでしまい、ヒョロヒョロなミミズ状態になるまで小さくなってしまうと絶命する(ゲームオーバー)。
人間にどう対抗するかというと、人間を直接掴んでブンブン振り回したり、そこら辺にある機械を人間に投げつけて攻撃する。とにかく大暴れすること。
人間たちは勇敢だけど、本作では捕食対象でしかない。
触手くんは、倒れて床に転がった人間をバリバリムシャムシャ食べると体力回復ができて、身体が大きくなっていく。
恐怖の進化
舞台となる研究施設は、怪しさ満点。
各所にバイトハザードマークが付いた培養器がある。
触手くんは、そんな培養器をパリーンと壊して、ズルズルズルと中に入り込む。
そうすると新たなDNAを手に入れて、新たな触手を使った技を発動できるようになる。
本作はメトロイドヴァニアゲームなので、どんどん触手技を習得してして、探索できる領域を広げていく。
人間に触手を挿して操ることができる恐怖のスキルなどが登場する。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
ゲームでは怪物と戦うヒーローが主人公になることが多いけれど、まさかの怪物が主人公。
しかも気持ち悪い触手の塊。設定だけで最強!
セリフはないけれど、触手くんの正体や行く末に興味そそられる。
しかし、物語としては黙々と進むという感じで、もうひと盛り上がり欲しかった。
キャラクターの魅力
4.0
最初は「うわっ、キモい!」と思うけど、プレイしていると触手くんのことが可愛く思えてくる。
人間に撃たれると「どうして触手くんにそんな意地悪するんだ!」と、他のゲームでは味わったことがない触手に愛着が湧くという、とんでもない感情を味わえる。
操作性
4.0
すんごく滑らかに動くので、動かしているだけで気持ちいい。
しかし、人間や機械など触手で掴めるものが密集している場所では、掴みたいものを一発で掴めないことが多い。
右スティックで掴む対象に狙っている最中も、触手くんはウゴウゴとうごめいていて、滑らかに動きすぎる。
本作ならではの操作性のクセに慣れる必要がある。
あと、大きなボディになってくると、どこが触手くんの中心なのか分からなくなるので、移動したり当たり判定が分かりにくくなる時がある。
難易度バランス
4.0
ゲームオーバーになると、セーブポイントでセーブした時の状況からリスタート。
こまめにセーブしないと結構長いやり直しになるので注意。
基本的には人間を圧倒できるパワーを持っているけれど、特殊な防護服を着てる奴やドローンなど相手には賢く立ち回らなければならない。
それなりにゲームオーバーになるし、試行錯誤したくなる良い難易度。
ゲームシステム
4.5
触手を操るという独特なアクション。それだけで面白い。
透明になれたり、外皮を硬く出来たり、覚える触手技はどれも「触手あるある」だけど、実際に自分が使うのは新鮮だし、モンスター側になると楽しすぎる。
単に大暴れするだけではなく、触手でメトロイドヴァニアっていうのも、また良い。
触手くんはめちゃくちゃ凶悪モンスターだけど丁寧にレバーを操作したり、迷子になってウロウロしたり。謎解き要素もある。
自分で操作してるとはいえ、妙に笑えてくる。
やりこみ要素
3.5
やり込み要素は格納ユニット集め。
特定のスキルを使うためのエネルギー上限が増えたりする。でも、探し出すのはそこまで難しくない。
メトロイドヴァニアではあるものの寄り道要素はほぼなし。淡々と粛々と進むのみ。
でも、触手くんは地図を読めないためか地図情報がなく、道を覚えるのが大変。迷子になってる時間が1番長かったかも。
グラフィック
4.5
ドットが滑らかに動く高品質なピクセルアート。
人間のデザインはシンプルだけど、触手くんのゾワゾワウネウネっぷりは素晴らしい。
触手一本ずつが丁寧に描かれている。ドット絵だけどキモさが素晴らしい。
もしフォトリアルだったらキモ過ぎただろうな。ドット絵だからこそ良い、というか発売できたんだと思う。
サウンド
3.5
BGMはずっと不穏。緊迫感溢れるホラーな曲調。
そして、人間たちの悲鳴と恐怖で泣き喚く声と触手くんの唸り声が響き渡る。
自分が怪物側なのにドキドキしてくる。
サントラはこちら
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
斬新な設定
他のゲームではあまり見ないスキル
触手体験が出来る
残念なところ
物語の盛り上がりがやや不足
操作しにくい時がある
オススメな人
個性的なゲームを探している
触手ウネウネの怪物が好き
メトロイドヴァニアが好き
オススメではない人
触手が生理的に無理
集合体恐怖症
ホラーがかなり苦手
独特な移動方法のメトロイドヴァニアといえば、こちらもオススメ。壁や床へ飛び移ることでしか移動できない高評価ゲーム。
本作と違って可愛い雰囲気だけど、本作と同じく人類(勇者たち)の敵側になれるローグライクアクションゲーム。
Carrion
Copyright Phobia Game Studio 2020.
https://www.devolverdigital.com/games/carrion