FF16こと『ファイナルファンタジー16』とは、スクウェア・エニックスが開発したアクションRPG。
長年高い人気を誇るFFシリーズのナンバリングタイトルだ。
毎作ゲームシステムも世界設定も全く変わるのが特徴で、本作はシリーズ初の本格アクションRPGと銘打たれている。
本作はPS5でプレイ可能。また、PC版も開発中であることが発表されている。
本作がどんなゲームか、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
不穏なヴァリスゼア
本作の舞台は、人間の暮らし含め世界を豊かにする魔法の源マザークリスタルが点在するヴァリスゼアという地。
しかし、マザークリスタル以上に豊かなのは人間の欲。
各国はマザークリスタルを我が物にしようと小競り合いを続けていて、ヴァリスゼアはずっと情勢が不安定だ。
そして、本作をプレイ中に何があっても絶対忘れてはいけないキーワードが、ドミナント。
ドミナントとは召喚獣を身に宿す人間のことで、国同士の戦いで大活躍する選ばれし者だ。
そして、本作の主人公はロザリア公国の第一王子であるクライヴ。
国を統べ民を守る召喚獣フェニックスのドミナントが生まれる家系のご長男さんだ。
ところが、彼はフェニックスを身に宿しては生まれなかった。FFの主人公だけど選ばれし者ではない!?

悲劇
ロザリア公国にドミナントがいないわけではなく、クライヴの弟のジョシュアが召喚獣フェニックスのドミナントとして生まれた。
第一王子として気まずい立場のクライヴだけど、病弱な弟を守ろうとナイトとして腕を磨いていた。
しかし、クライヴの人生はある日一変する。
突然、同盟国であるはずのザンブレグ皇国に襲われ、父もジョシュアも失ってしまい、クライヴ自身はザンブレグ皇国の奴隷として捕えられてしまう。
クライヴの脳裏には、フェニックスの姿になったジョシュアが、謎の火の召喚獣によって無惨に痛めつけられていた記憶が焦げつくように残る。
あの火の召喚獣め、絶対許さんぞ。
ちなみに、ここには書いていない重要人物のアレコレや幼馴染ジルや可愛すぎる狼トルガルなど、後々に繋がる伏線も冒頭から大乱発している。

クライヴの運命が動き出す
そして13年後、やさぐれ感をほんのり帯びた青年に成長した奴隷クライヴ君に再び転機が訪れる。
ベアラーと呼ばれる奴隷たちの保護活動を行っているシドと出会い、奴隷生活から抜け出したクライヴはジョシュアの仇を討とうと動き出す。
しかし、クリスタルを介さず魔法を使える者が奴隷にされている歪な社会構造や、思想の異なる各国の争い、そして肝心のマザークリスタルの力が弱まっていること、そうした世界の現状を目にしながらクライヴの運命は大きくグネグネグルグルとうねっていく。
とんでもない事態に陥っていくヴァリスゼアの地で、クライヴの運命は一体どうなってしまうのか

ゲームの特徴Features
物語がぐんぐん進む

本作は、メインストーリーに沿って様々な場所が登場し、ワールドマップから目的地を選んで移動してプレイする。
本作はがっつり物語主導なゲームであり、基本的に後戻りは出来ず、どんどんとダンジョンやバトルを攻略していく。
再訪はできなくなる場所が多いけれど、拠点で攻略済みのダンジョンなどをリプレイすることが出来るので、取り逃がした宝箱などは後からでも回収できる。
また、ワールドマップを表示できる時なら、いつでも拠点である隠れ家に移動できる。そこで装備を整えたり、アイテムの買い足しなどができる。
サブクエストももちろんあり、こちらはメインストーリーの合間に自由に攻略することが出来る。
アクションバトル

敵と遭遇するとシームレスにバトルが始まる。
クライヴの基本アクションは、武器での近接攻撃と魔法での遠距離攻撃とステップ回避。
ジャスト回避やパリィもあり、成功するとスローモーションになる。パリィは敵の攻撃が当たるタイミングでこちらも攻撃を繰り出すと発動する。
強敵やボスには体力ゲージとは別にウィルゲージがあり、ダメージを与えると敵の体力と共に削れていく(意志力というクライヴのステータスが高いほど削りやすい)。
ウィルゲージを50%削った際は一瞬、100%削った時は長めに敵が硬直状態になり、より大ダメージを与えられるようになる。
召喚獣の力を借りる

クライヴは上述した基本アクションに加えて、アビリティとフィートの2種類に分けられる召喚獣の力を使うことが出来る。
アビリティは、それぞれ挙動や効果が異なる攻撃技。使用すると、クールタイムを経なければ再使用できない。
フィートは、召喚獣ごとに異なる基本アクションのようなもので、クールタイムなく使用出来る。
例えばイフリートのフィートなら敵の近くへ高速移動する、ガルーダなら軽い敵を引き寄せることができる。
こうしたアビリティやフィートは装備中の召喚獣のものしか基本的には使えない。というわけで、バトル中には召喚獣を切り替えながら戦うことになる。
そして、バトル勝利時には経験値とアビリティポイントを獲得する。
レベルアップで基礎ステータスが上昇し、アビリティポイントで各召喚獣の新アビリティをアンロックしたり強化することができる。
召喚獣合戦

本作の大きな目玉は召喚獣合戦。
召喚獣でのバトルでは、毎回状況が全く異なり、バトルの最初に出来ることが表示されることも多い。
バトルの途中ではQTEも発生し、成功するとダメージを与えたり攻撃を回避することも出来る。
ちなみに召喚獣合戦もちゃんとバトルであり、負ければゲームオーバーになってしまうので、回避含めてちゃんと立ち回らなければならない。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ

5.0
熱い。物語が熱すぎる。もはやイフリートの炎で物語全体が灼熱地獄(褒めてる)。
ネタバレになる事件ばかりが起こるので詳しくは書けないけれど、人間臭さのあるファンタジーにグイグイ惹き込まれる。
テンポもめちゃくちゃ良い。良すぎて、たまに「え、もう立ち直った?」と登場キャラたちの気持ちの切り替えの良さに驚くこともあるけれど。
架空の世界だけど、物語の説得力が強く感情移入もしてしまうのは、世界設定がしっかりしているから。
古代文明、召喚獣や奴隷のいる社会構造、国ごとに違う文化や思想が、物語の「静」な部分として盤石な屋台骨を築いているからこそ、急展開していくクライヴの物語が「動」として、より一層活きてくる。
気がついたら全て忘れてヴァリスゼアの世界に入り込んでしまっていた。現実に戻される隙がない。
ハマりはしても他人事のように見てしまいがちな完全ファンタジーなゲームで、もはや自分が追い込まれている気分になるのは珍しい。
「なになになにぃい!?」「どうする?どうする?どーするぅうう!?」と画面の前で思わず叫んでしまう。
キャラクターの魅力

5.0
情勢不安定な世界ということもあり、各キャラはそれぞれの覚悟を持って生きていてかっこいい。
敵であろうと、その想いを知るとグッと胸に来るものがあり、数秒後にハッと我に返って「いや、だからってさっきまでの非道な振る舞いを許したらダメだ!」と慌ててしまうほど。
重要キャラたちは、いい歳した大人が多いけれど、「とにかくみんな一旦落ち着け」とツッコミたくなるほど活きが良くてギラついている。
一方で主人公クライヴはというと、見ていて可哀想になるほど過酷な人生を歩む。それでも王子様としての天性の気品を備えているのか、ブチ切れて怒っても善き人。
クセ強すぎなドミナントが多いなか、プレイヤーの気持ちを邪魔しない主人公だ。クライヴに感情移入するというより、各キャラの事情に感情移入する感覚だ。
あと、絶対に言及しておかなければならないのが、狼トルガルの可愛さ。辛い展開が続くと撫で撫でしたくなるFF16における最大の癒し。
操作性

狼トルガルには指示出し可能
4.0
バトルはサクサク爽快。
スキルを発動しながら召喚獣を切り替え可能だし、どんどんアクションを繋げられるので気持ち良い。ひたすらバトルしていたい病にかかる。
当たり判定は甘めで、スキルや回避のボタンを押すタイミングの方が重要。でもジャスト回避などのタイミングは厳しくもないので、とっつきやすい。
正直なところ、カメラ追従は弱めだったり、敵のロックオンがL1ボタンだったり、ちょっと独特で最初は違和感が強かった。でも、慣れれば操作は分かりやすくて問題なし。
ただ、マップを見れないのが気になったところ。エリアマップを見れる場所もあるけれどミニマップは表示出来ず、マップ関連は不便。
没入感を高めるため敢えて実装しなかったそうだけど、似通った景色が続いたり暗くて見づらい場所も多いので、探索大好きな身としては辛い。
本作では各ダンジョンはリプレイ可能なので、リプレイ時だけでもマップ表示可能などの機能があると良かった。
また、左スティックを倒し続けるとダッシュ移動になるけれど、効かないことが多い(場所によるのかな?)。任意のタイミングでダッシュ出来る方が分かりやすかったと思う。
難易度バランス

与ダメージ量が増えていく
4.0
本作では、ストーリーフォーカスとアクションフォーカスの2つから選択するのが難易度設定にあたる。
ストーリーフォーカスの方がアクション操作が簡単。更に自動回避など便利な指輪によって、難易度をもう少し細かくいじることが出来る。
幅広い人が楽しめるのがFFの良さ。指輪によってプレイヤーごとに苦手な部分を補えるシステムは面白い。
私はアクションフォーカスで指輪全て無しでプレイ。
それで特に苦戦なくサクサク進むので、個人的には歯ごたえゆるめな印象(ぬるいわけではない)。
でも、このバランスによってアクションの面白さを感じつつも本作のメインである物語を良いテンポで追うことが出来る。
もちろん、やり込み要素である強敵討伐などでは歯ごたえのあるモンスターに挑むことができる。
ゲームシステム

4.0
本作は、ゲームプレイ部分のシステムだけ見るとオーソドックスなアクションRPGだ。
ところが、物語の体験させ方が上手くて、ゲーマー心の炎に燃料を注ぎ続けてくれる。
ものすごく乱暴に書くと、最初から最後まで丸ごと遊べるカットシーンだ。
実際に召喚獣バトルやボス戦などでは操作しながらイベントが進むし、ドラマティックな展開が続く。
FF16という一本の壮大なカットシーンの中でゲームプレイしているような感覚だ。「細かいことはいい!良いところ詰め合わせだぜ!」という感じ。
そして、FFシリーズファンとしては、召喚獣をたっぷり堪能できるのがかなり嬉しい。しかも、変にデフォルメされず、まさに想像通りの召喚獣のまま大暴れしてくれる。
実は、私はFFシリーズ過去作のプレイ時にはMPを節約して召喚獣をあまり呼ばずにプレイすることが多かった。
そんな貴重な召喚獣の力をドカーンドッカーンボッカーンと連発出来るのは感動もひとしお。
過去作では序盤に習得するものの使わなくなることが多かったイフリートが、こんなにスポットライトを浴びるとは!
自分でもよく分からない謎目線で大暴れするイフリートを微笑ましく見守ってしまう。
やりこみ要素

4.0
サブクエストや強敵討伐、拠点のBGMを変えられる楽譜集めなどの収集要素が、分かりやすいやり込み要素。
また、拠点には語り部さんがいて、物語に登場したキーワードの説明を読むことが出来る。
こうした説明は、クエスト中には進行中の物語や場所に関係ある人物や歴史についてのみ読むことができる。
個人的にこの機能がすごく気に入っていてで、他のゲームでも採用して欲しいほど。
その時に必要な情報だけが簡潔に得られて、キャラが話の腰を折りまくって説明に徹することもない。
しかも、補足情報も得られて物語がよりよく分かるので、適時目を通しておくのが一番おすすめのやり込み要素。
また、ストーリー上のダンジョン攻略リプレイもやり込み要素。己のアクションの腕を磨くアーケードモードなども楽しめる。
ただ、物語の先が気になってしまって途中でリプレイする気がほぼ起こらない。
また、追加DLC2種が開発中であることが発表されている。
FF満喫するなら、やはりアルティマニア!
グラフィック

4.0
高精細な3DCG。エフェクトや背景も美しい。
特に召喚獣のカッコ良さが突き抜けていて、登場する度に見惚れてしまう。
また、召喚獣によって一般兵たちが踏み潰されたり、地割れや大火事など天変地異ともいえる大災害になる。
過去作では召喚獣を呼んだ時の演出としてしか見ていなかったことが実際に起こるので、その恐ろしく凄まじい力を体感することが出来る。
臨場感たっぷりだ。
ただ、グラフィック格差(?)が目についてしまうのが残念。
重要キャラとモブキャラ、動かない背景と動く物のクオリティに差を感じてしまう。
モブキャラやパーツが周囲と馴染まず浮いて見える場面も多く、しっかり描き込まれている重要キャラとの違いに不自然さを感じてしまいやすい。
サウンド

5.0
本作の物語は重い。悲劇や切ない場面も多い。面白いけれど、暗い展開が多めだ。
ところが、プレイしていると意外と元気にファンタジーしている気分だ。
これはBGMパワーによるところが大きい。
熾烈な召喚獣バトルや過酷や場面でも、BGMはテンション上がる燃えるメロディが多くて、ズーンと暗くならない。
悲しい場面ではBGMも全力で泣かせつつ、場面が変わるとBGMがぶつ切りになる時もあるけれど、また気持ちを盛り上げてくれる曲が流れてくる。
BGMがプレイヤーの気持ちを良い意味で操ってくれる。実はBGMがFF16の真の黒幕かもしれない。
\\サントラはこちら//
総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
テンポ良いドラマティックな物語
サクサク爽快バトル
気持ちが昂るBGM
世界設定を教えてくれる
残念なところ
マップ関連が不便
グラフィックのクオリティが一貫していない
オススメな人
物語を楽しみたい
爽快バトルが大好物
FFといえば召喚獣でしょ!
オススメではない人
自由度の高いゲームが好き
辛い展開は見たくない
高精度なアクションバトルを求めている
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FF16 ファイナルファンタジー16
召喚獣オールスター戦開幕
国や人の思惑が激しくぶつかり合う世界にグイグイと惹き込まれていく物語を楽しむアクションRPG。
爽快でプレイしやすいアクションバトルと、豪快でド派手な召喚獣同士の戦いも体感できるのも魅力。
プレイできるカットシーンのような体験ができる。
FINAL FANTASY XVI ファイナルファンタジー16
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